土木学会論文集A1(構造・地震工学)
Online ISSN : 2185-4653
70 巻 , 4 号
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地震工学論文集第33巻(論文)
  • 岩楯 敞広, 内藤 伸幸, 安藤 幸治, 小田 義也
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_1-I_8
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     首都大学東京では,逗子の不整形地盤の地表と地中基盤(GL-30m,N値≧50)で地震観測を実施し,東北地方太平洋沖地震時に,過去最大の加速度記録を得た.観測記録を用いて,大地震時の不整形地盤の地震応答特性を検討・評価するとともに,地盤構造を同定し,さらに,同定モデルと観測波を用いて,3次元地震応答解析を実施し,表層地盤の挙動を検討・評価した.解析結果と観測結果は良く一致しており,解析法(モデル)の妥当性が確認された.また,基盤構造の不整形な盆地状の勾配の急な部分では,地表においては,水平地震動入力の場合で,水平動の増幅だけでなく,かなり大きな上下動が発生する等,不整形地盤特有の3次元的な応答特性が解析的に明らかとなった.
  • 猪子 敬之介, 大嶽 公康, 成田 健太郎, 林川 俊郎, 有賀 義明
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_9-I_20
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     ポンプ場のような水道施設では,複数の地表面傾斜や新設RC池状構造物に隣接して既設RC池状構造物が立地していることがある.これらの地表面傾斜や新設構造物築造が既設構造物に及ぼす地震時の影響に関して不明な点が多くある.そこで,本論文では2次元動的有限要素解析により構造物の建設過程に応じたケーススタディを行い,地表面傾斜が周辺地盤および既設構造物に及ぼす地震時の影響,さらに地表面傾斜と既設構造物との間に新設構造物が築造される場合の既設構造物に及ぼす影響を検討した.その結果,地震時において地表面傾斜や新設構造物築造が既設構造物に対して与える影響よりも,高剛性,短周期のRC池状構造物が,軟弱土の非線形化の生じる周辺地盤に及ぼす影響の方が大きいために,低地側に位置する既設構造物への影響は少ないという結論を得た.
  • 能島 暢呂, 加藤 宏紀
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_21-I_32
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     平成22年度版の水道統計に記載された全国水道事業者の配水管(本管+支管)に関するデータを用いて,地震に対する弱さを定量化した「脆弱性指数」を集計し,脆弱性指数と種々の統計指標との関連や,埋設管の耐震適合性を考慮した管種区分の変更(平成19年度以降)が脆弱性指数評価に及ぼす影響について考察を行った.また,脆弱性指数のばらつきを地域格差ととらえ,経済学分野で用いられるジニ係数を用いてその定量的評価を行った.さらに,平成6~22年度版の水道統計を用いて,脆弱性指数および耐震化率の経年推移を示して長期トレンドに関する考察を行った.
  • 山田 雅行, 長尾 毅, 野津 厚
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_33-I_43
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     比較的小さな盆地構造を有する鬼首地域において,臨時地震観測を実施し,サイト増幅特性の算定を行い,一方で,常時微動観測(アレイ観測および単点H/V)を行い,地盤モデルの精度向上を図った.この地盤モデルに対する2次元地震応答解析により得られた伝達関数を,観測から得られたサイト増幅特性,一次元計算による伝達関数と比較した.
     その結果,サイト増幅特性が伝達関数の平均~平均+標準偏差の間に対応していることがわかった.入射方向,詳細な地盤構造,表層地盤の影響により生じるバラツキを勘案すると,良い対応といえる.一方,小さい盆地構造を有する地盤のサイト増幅特性は,スペクトルインバージョンに用いる地震動の入射方向などに影響を受ける可能性があることがわかった.
  • 中原 知洋, 井合 進, 飛田 哲男, 三藤 正明, 佐々木 広輝, 井瀬 肇
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_44-I_65
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     津波防護施設として構築されている傾斜式護岸の耐震性不足による広域的な沿岸防災機能の脆弱性が指摘されている.効果的な耐震対策を推進するためには,性能とコストの両立を目指した最適化,想定外の地震動に対しても壊滅的被害を防止する粘り強い対策の選定が必要となる.本研究では遠心模型実験を行い溶液型薬液改良による対策に関する検討を行った.その結果,護岸直下から法面にかけては液状化に伴うせん断変形が卓越してそれら領域のみの改良であっても効果が高まり最適化が可能であることが確認できた.また,同対策は粘り強い対策であり,その要因は粘着力の効果で繰返し載荷時のひずみの累積が低減すること,さらに不透水境界形成により間隙水の移動が抑制されて正のダイレイタンシーに対して有効応力が高まりせん断抵抗が高まるものと考察された.
  • 谷下 雅義, 浅田 拓海
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_66-I_70
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     東北地方太平洋沖地震津波による犠牲者については,同じ浸水深であっても犠牲者率に大きなばらつきがあることが示されているが,それに影響を与えている要因については十分明らかにされていない.本研究は,南三陸町の行政区を分析単位として,ヒアリング調査を行って犠牲者率を整理するとともに,1960年チリ地震津波の被害や地理的条件など,犠牲者率に影響を及ぼす要因について検討した.その結果,従来から指摘されてきた(1)浸水深に加え,(2)1960年チリ地震津波が到達したか,(3)海が見えるか,(4)高台が近くにあるか,が犠牲者率に影響を与えている可能性があることを明らかにした.
  • 中西 陽一, 鍬田 泰子, 直田 梓, 米山 望
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_71-I_79
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震に伴い大規模な津波が発生し,それにより太平洋沿岸の土木施設は多大な被害を受けた.本研究では,津波により支承のサイドブロックボルトが破損し,3径間のうち2径間の上部工が流出した釜石市の矢の浦水管橋の被害メカニズムを明らかにするため,津波浸水時の構造物の作用力・耐力のモデル化を行い,直田らの津波遡上解析結果を用いて津波波力の時間経過に伴う上部工の回転とサイドブロックにかかる作用力の評価を行った.分析の結果,支承の破損に上部工の回転が寄与していることが確認できた.また,浸水深が浅ければ上部工に作用する水平・鉛直波力により川下側への回転が優勢であった.さらに,水管橋と道路橋の間隔が狭くなれば,送水管への波力が大きくなり,損傷しやすいことがわかった.
  • 柴田 大介, 金子 浩士, 森 篤史, 佐藤 誠一, 田代 聡一, 大矢 陽介, 井合 進
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_80-I_88
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     本検討では,東北地方太平洋沖地震により被害を受けた港湾構造物の中から小名浜港5号埠頭耐震強化岸壁(-12m)を対象として,地震時の再現解析を試みた.再現解析には,液状化による構造物被害予測プログラムFLIP(Finite element analysis of Liquefaction Program)を使用した.また,継続時間の長い東北地方太平洋沖地震による小名浜港での事後推定波を入力地震動とすること,対象岸壁では液状化による過剰間隙水圧の消散に伴う沈下が発生していることを踏まえ,地震中および地震後の間隙水の移動や液状化に伴う土骨格の体積収縮を考慮可能な透水解析機能と構成モデル(カクテルグラスモデル)を用いた.
  • 古川 愛子, 木村 翔太, 清野 純史
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_89-I_100
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     個別要素法を用いて構造物の動的挙動を再現する際,減衰モデルは解析結果に影響を及ぼすが,適切な減衰モデルに関する検討は十分でない.個別要素法における減衰力としては,定式化上,要素重心に作用する減衰力と,要素間に作用する減衰力の2つの項を定義することができる.本研究では前者の減衰モデルとして,質量比例型減衰とlocal dampingを採用し,後者の減衰モデルとして,臨界減衰と瞬間剛性比例型減衰の2通りを想定した.これらを組み合わせることで,振動における減衰と,要素接触時の衝突エネルギーを吸収するための減衰の両方を表現できる3通りの減衰モデルを提案し,減衰のモデル化が自由振動応答,破壊挙動,崩壊挙動の解析結果に及ぼす影響について検討した.
  • 酒井 久和, 澤田 純男, 高橋 良和, 五十嵐 晃, 真鍋 和将, 藤田 遼
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_101-I_108
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     澤田らは新しい耐震構造として摩擦機構を有する拘束集合柱を開発し,その実用化に向けて正負交番載荷実験を行っている.本研究では,集合柱の拘束条件の異なる6つの実験ケースに対して,3次元有限要素法による数値シミュレーションを実施した.モデル化は,柱を軸力変動の考慮できる非線形ファイバー要素,柱間の摩擦機構を非線形バネで行い,正負交番載荷状態は準静的に変位制御した.損傷箇所と荷重-変位関係に着目して解析モデルの検討を行った結果,応力経路や最大荷重等に対して実験結果と整合した解析結果が得られた.
  • 中尾 尚史, 張 広鋒, 炭村 透, 星隈 順一
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_110-I_120
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     本研究は,フェアリングを設置したことによる津波作用時の上部構造の挙動メカニズムについて,水路実験および数値解析より検討を行った.水路実験では1/20スケールで実験を行い,三角形および半円形のフェアリングを設置したときの支点反力の低減効果を検討した.その結果,上部構造の断面形状に関わらず,フェアリングを設置することにより,段波状の津波が作用した時に支承部に発生する衝撃的な水平反力および鉛直反力を低減できる効果があることが分かった.また数値解析では格子法を用いて検討を行った.その結果,フェアリングを設置しない場合は,主桁上部および張出部底面に作用する圧力が衝撃的な力を受けることや,フェアリングを設置することにより,この部分に作用する圧力が小さくなることを確認できた.
  • 有賀 義明, 上島 照幸, 仲村 成貴, 塩尻 弘雄
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_121-I_129
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     宮城県仙台市に位置する大倉ダムは,1961年に建設された,我が国唯一のダブルアーチ式コンクリートダムである.このダムは,2つのアーチダムがスラストブロックによって連結された複合構造型のダムであり,2011年東北地方太平洋沖地震の本震および余震等の際に堤体で地震動が観測されている.本研究では,ダムの耐震性能評価の精度向上を目的として,地震観測結果を基づいた固有値解析により堤体の動的変形特性を同定するともに,三次元動的解析により堤体内に発生した地震時応力を評価し対象ダムの地震時健全性について検討した.検討の結果,東北地方太平洋沖地震の際のダム堤体の動的せん断剛性は6, 000 N/mm2であり,本震時の引張応力は最大でも2.9 N/mm2程度である等の結果を得た.
  • 竹嶋 竜司, リーム アル セナウィ , 中島 章典, 中村 晋, 横川 英彰
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_130-I_139
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     本研究では,比較的容易に加振することができるRC橋脚の模型を対象として,まず微小振動から実地震動レベルの大きな振動下における振動特性の変化を検討し,さらに,上部構造を設置した橋梁完成系RC橋梁模型の状態でも同様の検討を行う.また,実際の2径間連続桁橋の上部構造がまだ架設されていない独立橋脚1基に対して微振動下の異なるレベルで振動計測を行った後,上部構造架設後の橋梁完成系についても同様の計測を行いその振動特性を調べる.さらに,鋼製橋梁模型でも同様に振動実験を実施し,RC橋梁模型との振動特性の変化の違いを検討する.以上の橋梁模型と実橋梁構造物を対象とした検討より,常時微動のような微振動下から,実地震動レベルの大きな振動下で把握したRC橋脚を有する橋梁の固有振動数や減衰定数などの振動特性の変化について考察する.
  • 羽田 新輝, 葛 漢彬
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_140-I_149
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     本研究では,未溶着が内在する鋼製橋脚隅角部に関して,延性き裂の発生・進展に着目した既往の実験と新たに行った実験により得られた結果から,十字継手溶接部の溶接ディテールが変形能・エネルギー吸収量に与える影響についてまとめたものである.溶接部性状として未溶着高さ,フィレット半径,溶接ビード脚長を取り上げ,これらのパラメータが部材の耐震性能に及ぼす影響を検証した.これにより,溶接ビード脚長が大きくき裂が柱フランジに進展する場合,未溶着高さやフィレット半径は変形能・エネルギー吸収量共にあまり影響せず,対して溶接ビード脚長が小さく未溶着部からき裂が発生する破壊モードでは,未溶着高さ,フィレット半径が与える影響は非常に大きいといった結果を得た.
  • 葛 漢彬, 丸山 陸也
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_150-I_160
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     本論文は,断面が3段階に変化する補剛箱形鋼製橋脚の数値解析の結果より,変断面部で座屈が生じない条件式およびその条件式を用いた設計法の一提案に関してまとめたものである.3段階変断面鋼製橋脚においていずれの変断面部で座屈が生じると,橋脚基部で生じる場合に比べて耐震性能が低下する懸念がある.また,変断面モデルと等断面モデルで共に基部座屈が生じた場合,変断面モデルでは応力の分散により変形性能が等断面モデルに比べ若干有利になる場合がある.そこで本研究では,補剛箱形3段階変断面鋼製橋脚モデルに対して繰り返し弾塑性有限変位解析を行い,変断面部で座屈しないための条件式および条件式を用いた設計法を提案する.その結果,今回提案した設計法を用いることで補剛箱形変断面鋼製橋脚の座屈位置および耐震性能の低下の有無を知ることができ,補剛箱形等断面鋼製橋脚より優れた補剛箱形3段階変断面鋼製橋脚の変断面部の断面設計も可能となる.
  • 竿本 英貴, 丸山 正, 近藤 久雄
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_161-I_168
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     近年における航空レーザー測量の発達は目覚ましく,広範囲にわたる詳細な地形が膨大な数の点群によって容易に表現されるようになってきた.この結果,詳細な崖地形解析,断層線の抽出,海岸線の抽出,遺跡範囲の特定など,さまざまな用途に航空レーザー測量で得られた点群データが利用されている.ここでは地震の前後における地表の点群データに対してパターンマッチング処理を行い,地震時に地表で生じた変位を自動的かつ定量的に求めるための新たな手法を提案する.提案手法はRBF(Radial Basis Function)補間と遺伝的アルゴリズムを組み合わせたものであり,疑似的に作成した地震前後の地形データにこれを適用し,一定レベルのノイズが地表データに混入している場合においても安定的に正しい変位が抽出できることを確認した.また,地形のパターンマッチング問題における目的関数は多峰的であり,勾配法に基づく最適解探索では正しい変位を探索できないことを示した.
  • 小野 泰介, 曽根 龍太, 井田 剛史, 平野 廣和, 佐藤 尚次
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_169-I_174
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     東北地方太平洋沖地震において,上水道配水施設での矩形貯水槽の破損被害が多数報告され,多くの場合,壁面が破壊されている.このような貯水槽の被害は,やや長周期地震動により励起されたスロッシング現象(液面揺動の励起)が原因の一つとされている.そこで本論文では,実機貯水槽を大型振動台で加振実験を行い,壁面に作用する力を圧力計を用いて計測すると共に,加振方向の変化,加振時間の変化と加振振幅の変化によりスロッシング挙動が貯水槽壁面に与える影響を検討した.この結果から,加振方向角45°の場合に動液圧の作用力で貯水槽の隅角部ならびに天井付近が構造的に弱点となる可能性が高いことを把握した.
  • 馬越 一也, 葛 漢彬, 中村 真貴, 野中 哲也
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_175-I_186
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     本論文では,長大斜張橋を対象に,同一震源断層による地震と津波といった一連の複合現象を,数値解析を組み合わせてシミュレートした結果を例示し,橋梁全体系における複合被害を定量的に評価するための解析手法を提案している.まず,想定した震源断層を波源とする広域の2次元津波伝播解析を実施して,対象橋梁付近の津波高,流速および流向を算定した.それらは対象橋梁へ作用する津波波力を算定するための詳細な3次元津波解析の造波条件として適用した.次に,地震応答解析によって得られた地震後の応力状態を初期状態とした橋梁全体系のモデルに,3次元津波解析で求めた時刻歴の津波波力を入力する複合非線形解析を実施した.その結果,ケーソン基礎に僅かな浮き上がりが生じたが,基礎の滑動は見られず,地震によって損傷した部位が津波波力によって拡大することもなかった.このことから,本シミュレーションでは,対象橋梁に対して津波波力の影響は小さいことが結論付けられた.本手法を用いることで,他の地域における構造物の複合被害評価に対しても定量的な分析が可能となっている.
  • 猪股 渉, 乗藤 雄基, 大田 肇士, 丸山 喜久
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_187-I_198
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     本研究では,2005年千葉県北西部地震,2009年駿河湾沖地震,2011年東北地方太平洋沖地震の際に東京ガスのリアルタイム地震防災システム“SUPREME”が高密度に観測した地表面地震記録および首都圏地震観測網(MeSO-net)による東北地方太平洋沖地震の際の地下20mでの地中地震記録を用いて,東京都の地盤増幅度や地盤震動特性を推定し,SUPREMEの広域地盤データと比較した.この結果,SUPREMEの地盤増幅度は東京都の大部分で適切に評価されているが,東京都東部については20m以深の地盤データを考慮することで,より妥当な地盤増幅率が設定できるものと考えられる.
  • 本間 俊介, 藤田 航平, 市村 強, 堀 宗朗, Seckin CITAK , 堀 高峰
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_199-I_209
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     地震被害想定の信頼性向上を目的として,地理情報データおよび地震応答解析手法を統合する統合地震シミュレータを開発してきた.本論文では,工学的基盤以浅を対象にしていた統合地震シミュレータを,断層から都市までを一貫して扱えるように拡張した.実際に仙台都市域22,800棟の構造物について解析を行い,シミュレータの適用性を確認した.また,地盤と構造物に関して,不確実性のあるパラメータに対して複数の想定を行い,パラメータの変動を反映した解析結果の検討が可能であることを確認した.本研究の方法を利用し,高性能計算機上でモンテカルロシミュレーションを行うことで,地震被害想定の確からしさに関する検討ができる可能性がある.
  • 中村 友治, 庄司 学
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_210-I_218
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     本研究では,東北地方太平洋沖地震において津波作用を受けた桁橋構造の112橋梁を対象に津波シミュレーションを行い,これにより得られた浸水高の時系列波形の水面上昇率を基に類型化を行った.これにより全橋梁の74%が水面上昇率2.0 m/min未満の領域に存在した.また,分析対象橋梁位置での水面上昇率と津波伝播の過程における海域及び陸域勾配との関係を分析した.水面上昇率が5.0 m/min以上の津波が発生するには平均海域勾配がおよそ0.01(1/100) rad以上となり,また平均陸域勾配がおよそ0.05(5/100) rad以上でなければならないことが示唆された.最後に津波波面形状と津波の時系列波形の関係を分析した.
  • 久世 益充, 都竹 延晃, 岩崎 真二郎, 杉戸 真太
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_219-I_226
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     高速道路の耐震化優先度評価について検討を行った.基礎資料として,東海地域に整備されている高速道路路線のボーリングデータと構造種別データを収集し,50m間隔のデータベースを作成した.次に,東名・名神・新東名高速道路を対象に,当該路線が被害を受ける可能性が高いと思われる想定地震を選定し,地震動予測を実施した.これらの基礎資料,ならびに地震動予測結果を用いて,耐震化優先度評価指標の検討を行った.具体的には,複数の想定地震の予測震度と発生確率を考慮した震度の期待値と,路線重要度,構造物特性によるIC間の交通機能支障度σを提案した.さらに,東名・新東名のように,地域を並走するような路線の通行性を考慮して,都市間交通を考慮した交通機能支障度σ’を提案した.
  • 大矢 陽介, 小濱 英司, 菅野 高弘, 今井 政之, 東中 邦夫, 佐伯 嘉隆
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_227-I_241
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     アスファルト舗装の直下地盤の液状化対策として格子状改良工法の適用に際し,地震時の対策効果と舗装表面の変形について,実物と同じアスファルト合材を用いた1g場の大型模型振動実験にて確認した.実験は舗装の変状が現れやすい条件として,土被りが薄く地下水位が高い砂地盤において,格子間隔が広い格子状改良が適用された断面を対象とした.舗装外周のみを改良する場合,入力地震動が大きくなると舗装の沈下量は大きくなるが,舗装表面の勾配変化を軽減する効果が見られた.舗装外周に加えて直下にも固化体がある場合,格子間隔が広いと固化体と格子内の未改良地盤の間に変位差が発生し,舗装表面に不陸として現れ,特に固化体近傍の未対策地盤で沈下が局所的に大きくなることが分かった.
  • 加藤 一紀, 濱田 政則
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_242-I_251
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     既設護岸の背後に矢板壁や鋼管杭を打設して側方流動を抑止する工法が既往研究1)により提案され,それらの効果が模型実験により検証されている.しかしながら,流動対策工に作用する外力の評価については,外力の時間的変動や,地表部の非液状化層から作用する外力に関して十分な解釈がなされていない.また重油タンク等の重量構造物が対策工に近接して存在する場合の側方流動抑止効果および対策工へ作用する外力への影響については検討されていない.本研究は,対策工背後の地盤上に重量構造物が存在する場合について遠心載荷場での模型実験を行い,一連の既往実験結果と併せて矢板壁による流動抑止効果および矢板壁へ作用する外力の特性を明らかにする.また,対策工を設計するための合理的な力学モデルを提案することにより,流動対策工の設計法構築のための知見を提供する.
  • 池田 隆明, 小長井 一男, 釜江 克宏, 入倉 孝次郎, 清田 隆, 目黒 公郎
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_252-I_262
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     断層モデルによる強震動予測(例えば,経験的グリーン関数法や統計的グリーン関数法)では,大地震と小地震の地震の相似則と震源スペクトルの相似則に基づき経験的または統計的グリーン関数の線形な重ね合わせで地震動が合成されるため,軟弱地盤では特に短周期領域で合成波形が過大評価となる.筆者らは経験的グリーン関数法と地盤の非線形地震応答解析を組み合わせた詳細な方法を提案しているが,詳細な地盤特性が必要であるため評価地点が多い場合には困難を伴う.そこで,予測対象を応答スペクトルに絞り,評価地点のAVS30と断層モデルから直接得られた地震動から地盤の非線形性を考慮した応答スペクトルが評価できる簡便な方法を考案した.また,実観測記録を用いた検証により,詳細な方法と同程度の精度で応答スペクトルが評価できることを示した.
  • 藤生 慎, 大原 美保, 目黒 公郎
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_263-I_272
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     大規模地震災害時に発生しうる莫大な数の建物被害認定調査を効率的かつ迅速に実施するための遠隔建物被害認定システムを構築した.筆者らが構築したシステムの有効性を検証するために,東北地方太平洋沖地震での建物被害認定の経験のある自治体職員を対象としてシステムの実証実験を実施した.その結果,写真を用いた遠隔建物被害認定システムによる遠隔判定が可能であることが示唆された.しかし,判定時には,部位による判定のうち被害程度と損傷面積の判定に特に留意する必要があることも明らかとなった.
  • 佐藤 忠信, 吉田 郁政, 大島 義信
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_273-I_284
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     地震動位相をモデル化し,位相を模擬する新しい方法論を展開し,その物理的な背景について考察を加えた.まず地震動の群遅延時間に着目し,その確率特性から導かれる地震動位相の特性を明確にし,位相を模擬するための確率モデルを提案した.さらに,位相の物理的特性が,断層のせん断破壊過程と伝搬経路のランダム性に依存しているものとし,それらがフラクタル特性を有していることをHurst指数を用いて明らかにしたうえで,その検出法を構築した.粒状体を対象としたせん断試験シミュレーション結果と粒状体がランダムに配置されたモルタル供試体中の弾性波伝播試験結果を用い,フラクタル特性の検出法の有用性を検証するとともに,観測された地震動を用いて,地震動の位相がフラクタル特性を有していることを実証し,地震動位相をHurst指数で規定される非整数次ブラウン過程で模擬する方法論を提案した.
  • 橋本 和樹, 安井 良介, 下窪 邦裕, 髙見沢 和俊, 鈴木 崇伸
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_285-I_294
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     電柱は電気通信を支える重要なインフラ設備であるが,これまで震災による地盤の液状化によって,多くの電柱が沈下,傾斜の被害を受けている.過去にも電柱への液状化対策の研究は行われていたが,電柱1箇所毎に実施する対策としては,規模が大きくなる等の課題があった.本研究は,液状化による電柱の沈下,傾斜被害への対策として,グラベルドレーン機能を付与した建柱工法(根入れ部の砕石埋戻し工法)を検討し,模型実験により効果の検証を行ったものである.本実験では,電柱根入れ部への小規模な対策であっても電柱周囲の液状化発生を遅らせる効果や,地盤支持力の増大による沈下,傾斜を抑える効果を期待できることが確認された.
  • 岩本 哲也, 中瀬 仁, 西浦 泰介, 東山 和博, 菅野 高弘, 八尋 明彦
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_295-I_303
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     津波に対して粘り強い防波堤構造が求められている1).その断面設計照査において,水理実験の補完または代替しうる数値解析手法としてSPH-DEMカップリング解析が有望である.本研究ではSPHとDEMのカップリング方法として,防波堤などの流体が浸透しない構造物を対象としたモデルと捨石マウンドなどの流体が間隙率に応じて浸透する粒状体を対象としたモデルを提案する.さらに,大規模な三次元のモデルにあっては演算の高速化が必須であり,本研究ではGPUを用いた粒子法の並列化を行うことでSPH-DEMの三次元シミュレーションを可能にする.そして本シミュレーションを津波越流解析に適用し,実験との比較を通して本シミュレーションモデルの妥当性を検証する.
  • 駒井 尚子, 秦 吉弥, 常田 賢一
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_304-I_322
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     盛土構造物の耐震設計法においては,地震時におけるすべり破壊の有無の判定あるいは地震後における残留変形量などの評価に主眼をおいたものとなっており,斜面の崩壊範囲については検討の対象となっていない.一方で,盛土構造物や自然斜面などの一般斜面では耐震設計の対象ではないが,各都道府県のがけ条例による建築禁止範囲に関する規定が存在する.そこで本研究では,既往の大規模地震により崩壊した宅地造成斜面を対象として,法肩から天端におけるすべり面の位置までの水平距離に着目した基礎的な検討を行った.その結果,一次すべりのみの検討では,崩壊実績を十分に再現することができず,一次すべりだけでなく二次すべりについても同時に考慮する必要性が高いことなどがわかった.
  • 谷口 惺, 五十嵐 晃, 木田 秀人
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_323-I_333
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     大レベルまでのリスク水準を含む様々な地震動入力に対する構造物の耐震性を評価する手法として,漸増動的解析IDA(Incremental Dynamic Analysis,IDA)がある.この手法は,地震入力波の強度を漸増させた非線形時刻歴応答解析を行うことで得られるIDA曲線に基づいて構造物の性能を評価するものであり,動的なプッシュオーバー解析に位置付けられる手法である.動的応答特性や損傷と部材挙動が複合的に干渉しあうような複雑な地震応答特性を持つ長大橋では,それを踏まえた高度な地震時性能評価が求められることから、IDAの適用が有効な方法論であると考えられる.本論文では,仮想的な大スパン鋼Vレッグラーメン橋を対象としてIDAを実施し,損傷順序を考慮した耐震性評価に対する有効性を示す.
     また,長大橋の耐震補強においては,特定個所の補強が別の部分の損傷を引き起こす可能性があり,これが耐震補強にあたっての大きな課題となることがあるが,IDAではそうした効果を事前に検討する上で有用な手法であることを,計算例により示す.
  • 秦 吉弥, 駒井 尚子, 釜井 俊孝, 王 功輝, 野津 厚
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_334-I_356
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     宮城県仙台市泉区南光台の造成宅地では,1978年宮城県沖地震(MJ7.4)および2011年東北地方太平洋沖地震(MW9.0)において深刻な被害が発生した.これらの大規模地震時において南光台の造成宅地に作用した地震動を推定することは,造成宅地の耐震性評価手法の精度向上などを図る上で大変有意義である.そこで本稿では,南光台における既往被災地点を中心に,高密度の地震アレー観測を実施し,得られた記録などに基づいて,これらの大規模地震時における当該地点での強震波形を評価した.その結果,1978年宮城県沖地震と2011年東北地方太平洋沖地震の両地震においてともに被災が集中している地点では,推定地震動のやや短周期成分が卓越することなどがわかった.
  • 秦 吉弥, 中村 晋, 駒井 尚子, 常田 賢一
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_357-I_368
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     岩手県一関市にある中里地区舘ニュータウンの宅地造成斜面では,2011年東北地方太平洋沖地震において斜面崩壊を伴う深刻な被害が発生した.一方,2008年岩手・宮城内陸地震においては,当該斜面は無被災であった.これらの大規模地震時において当該斜面に作用した地震動を推定することは,宅地造成斜面の耐震性評価手法の精度向上などを図る上で大変有意義である.そこで本稿では,当該斜面近傍において地震観測を実施し,得られた記録に基づいてサイト特性を評価した.そして,経験的サイト増幅・位相特性を考慮した強震動評価手法に基づき,2008年岩手・宮城内陸地震ならびに2011年東北地方太平洋沖地震において当該斜面に作用した強震波形を評価した結果について報告する.
  • 秦 吉弥, 谷本 隆介, 常田 賢一, 舘川 逸朗
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_369-I_383
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     2011年東北地方太平洋沖地震により,宮城県石巻市の新北上川の堤防は,津波で破堤したとされているが,津波前の地震動により堤防の沈下が発生し,津波により堤防被害が増長した可能性がある.本研究では,津波遡上の影響範囲にある河川堤防における地震動および津波の複合的な影響に着目し,河川堤防の被害に関する再現解析を実施した.まず,地震動の影響に関して,現地で実施した常時微動計測に基づいて評価した本震の地震動により動的有効応力解析を実施した.次に,津波の影響に関して,地震動による残留変形下の津波越流解析を実施した.その結果,津波による破堤区間と未破堤区間において,地震動による残留変形下の堤防での津波の越流特性(流速等)の差異が明らかになり,津波遡上域にある河川堤防の耐震性と耐津波性の複合関係および津波対策としての耐震性の重要性が明らかになった.
  • 榊 想太郎, 丸山 喜久
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_384-I_392
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     本研究では,神奈川県鎌倉市を対象地域として,自動車運転中に津波の発生から運転車両が冠水するまでを体験することができるドライビングシミュレータを開発した.津波数値解析の波源モデルとしては,神奈川県が津波浸水予測図の作成に使用しているものを仮定した.解析結果をVR空間へ入力し座標設定を行うことで,津波遡上シナリオが生成される.これをドライビングシミュレータのシナリオとして搭載し,10人の被験者による本格実験に向けた予備実験を行った.構築したシナリオは本格実験へ適用できるものと考えられるが,避難中の歩行者や周辺の道路交通流の反映などの課題も明らかとなった.
  • 堺 淳一, 安藤 滋芳, 星隈 順一
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_393-I_406
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     既設道路橋の耐震補強においては,多径間連続橋の可動支点の橋脚として設計されている橋脚にもその耐力の範囲内でレベル2地震動によって生じる水平力を負担できるようにするという考え方もある.本研究では,既設道路橋の耐震補強において,可動支承部に遊間を有する水平力分担構造を設けた場合のモデル化と設計方法に関して検討するために,水平力分担構造を設置する橋脚の地震時保有水平耐力の大きさの影響,衝突ばねの剛性の大きさの影響,遊間量の大きさの影響,緩衝材の効果,水平力分担構造の耐力の大きさと塑性化の影響に着目して橋の地震応答解析を行った.これより,緩衝材等を設けない場合には支承部に橋脚の水平耐力の8倍に相当する水平力が瞬間的に作用すること,緩衝材を設けて上下部構造間の相対速度が大きくならないようにすれば,支承部に作用する水平力を低減できることを示した.
  • 塩崎 禎郎, 乙志 和孝, 相和 明男
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_407-I_418
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     前方斜杭式桟橋(土留め一体構造)は,鋼管矢板壁を海側に打設された斜杭で支える土留め部分と,海側に設けられた横桟橋を一体化した構造であり,新規築造のほか,既存岸壁の改良,更新等で用いられる構造である.2007年に改正された港湾基準では,本格的な信頼性設計法が導入されているが,本構造に関しては具体的な部分係数等が明示されていない.そこで,レベル1地震動に対する耐震設計法に関して,照査用震度の求め方と部分係数について検討を行った.その結果,1)矢板部は,矢板式(控え直杭)の照査用震度式を用いる,2)桟橋部は,桟橋用の部分係数を用いて矢板部を含む骨組解析で断面を決めることで,矢板式および桟橋式の性能規定を満足できることを確認した.
  • 宇野 裕惠, 佐藤 知明, 五十嵐 晃, 松田 泰治, 足立 幸郎, 北 聖大
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_419-I_432
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     反重力すべり支承(以下,UPSS)は平面すべり部と斜めすべり部で構成されたすべり支承であり,斜めすべりにより復元力を発現する.復元力は位置エネルギーに起因し,履歴の基本骨格は斜面角度により一義的に決定され,非線形性が極めて大きいため卓越周期を特定することが難しい.本論文ではUPSS支承の周期特性を分散支承や免震支承と共に,最大応答変位より求めた固有周期,フーリエスペクトルおよびウェーブレット変換により求めた応答周期を比較し評価した.この結果,フーリエスペクトルおよびウェーブレット変換では応答周期の発現状態は概ね一致し,広い周期帯に分布することが明らかになった.さらに,ウェーブレット変換を用いれば時間軸に沿った応答周期の発現状態が明確になり,入力地震動や時刻によっても変化することが確認された.
  • 大塚 久哲, 高 文君, 伊藤 耀, 河邊 修作, 今村 壮宏
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_433-I_442
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     著者らが行ったフレキシブルRC橋脚模型供試体の単調水平載荷実験によれば,本橋脚は柱のせん断破壊や曲げ破壊と異なる,両破壊モードの中間的な破壊性状を呈することが分かった.しかし,当該橋脚の復元力特性を適切に評価するためには,軸力の影響を含めた交番水平載荷実験も必要である.
     そこで本研究では,軸力と交番水平載荷を受ける状態の実験を行い,既往の単調載荷実験との比較も含めて,復元力特性に及ぼす軸力や交番載荷の影響,横方向鉄筋の補強効果を評価し,さらに変形性能の評価に影響を与える軸方向鉄筋の伸び出し量に関しても検討した.
  • 沼田 宗純, 目黒 公郎
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_443-I_452
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     本研究は,「防災戦略立案システム」を構築し,行政等のステークホルダーが効果的な防災戦略を立案・実施するための意思決定を支援することを目指している.本稿では,その第一ステップとして,福島県矢吹町を事例に,防災関連予算がどのように使われているのかを分析した.その結果,矢吹町のリスクマネジメントに関する事業は,人的・物的(財産)被害を抑止又は軽減することに貢献する部分もあるが,発災後の効果的な応急対応を実現するための事前準備により多くの予算が配分されていることが分かった.
     一方で,予算配分の分析だけでは事業の効果を図ることは難しく,事業の投資対効果を測定するモデルの必要性についても指摘した.これにより,限られた予算や時間等のリソースから,最も効果の高い事業を選択することができ,最適な防災戦略を立案できるようになる.
  • 中澤 博志, 菅野 高弘
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_453-I_468
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     滑走路や誘導路などの空港施設が地震による被災を受けた際,地盤中の過剰間隙水圧上昇と有効応力の減少に伴い,地盤の支持力低下が想定される.このような地盤状況下で航空機が走行すると,航空機荷重による滑走路の変状等の発生が懸念される.本研究では,液状化前後の地盤の支持力を対象にした既往の模型振動台実験結果の再現解析を行い,加振後の過剰間隙水圧消散仮定におけるパラメトリックスタディを実施した.一連の検討結果から,アスファルト舗装直下の液状化層の過剰間隙水圧比が完全に消散しない状態でも,アスファルト舗装の支持性能が得られている可能性があることを示した.
  • 松田 哲夫, 松田 泰治, 今村 壮宏, 坂田 裕彦, 宇野 裕惠, 松田 宏, 打越 丈将
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_469-I_486
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     既設吊橋の床組縦桁では,伸縮部からの漏水による損傷や活荷重の過積載と増加に起因して疲労損傷が顕在化している.この対策として,支承部のすべり機能および回転機能の確保と床組縦桁の連続化が有効である.連続化後の支承は,常時,風時および地震時に橋軸方向の移動が拘束されないように可動とし,床組縦桁・床版を補剛トラスから独立させて,床組縦桁・床版の慣性力を主塔とアンカレッジに受け持たせる.このため,床組縦桁端を主塔およびアンカレッジ部に制震ダンパーで連結し,地震時挙動を制御する.さらに,常時状態および地震時の挙動を安定させるために,床組縦桁端部と主塔およびアンカレッジとの間に弾性固定ケーブルを設置する.本論文では,ケーブル併用制震すべりシステムによる連続桁化と耐震性能について述べる.
  • 畑 明仁, 志波 由紀夫, 坂下 克之, 清野 純史
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_487-I_505
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     設計用応答スペクトルに適合した模擬地震動を作成する手法の一つに,ランダム位相を用いる方法がある.本手法は現時点における模擬地震動作成の主たる手法の一つであるが,ランダム位相を用いて作成された複数の地震動に対して,設計対象の非線形応答のばらつきがどの程度となるのかは必ずしも明確ではない.本論は,等価線形解析とR-Oモデルによる逐次非線形解析により,ランダム位相を持つ多数の地震動に対して1次元地盤の非線形応答スペクトルを算定し,地盤応答に与える影響を確認したものである.本検討では,地盤の非線形特性を固定して地震動のランダム位相による応答スペクトルの変動を確認したところ,固有周期が0.1秒~5.0秒の範囲で変動係数にして0.1~0.2程度となる結果を得た.
  • 村上 友基, 沼田 宗純, 目黒 公郎
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_506-I_512
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     地震による石垣構造物の崩壊を防ぐためには,事前に耐震性能を把握し,その性能が不十分な場合は,適切な耐震補強を実施することが不可欠である.そこで本研究では,2次元拡張個別要素法を用いて石垣構造物の地震動応答解析を行い,その結果を踏まえて,耐震補強策を検討した.具体的には,道路橋示方書の地震動データを用いて解析し,その時の石垣の挙動を把握した.耐震補強策として,施工範囲の短縮と景観の維持を優先して,石垣に対する耐震補強法としてアンカー補強を選択した.
     その結果,無補強時とアンカー補強時の比較に加え,アンカー補強の違いによるパターン分けで,石垣構造物に対する耐震補強の必要性と補強パターンによる地震動応答の変化の傾向を示し,アンカー補強の有効性を確認した.
  • 井澤 淳, 上田 恭平, 室野 剛隆
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_513-I_519
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     本稿では,低加速度・長継続時間地震動による液状化について,液状化強度曲線の形状が与える影響に着目し,有効応力解析により検討を行った.また,低加速度・長継続時間地震動に対する液状化挙動の特徴を明確にするため,地盤の液状化に与える地震動特性の影響についても事前に検討した.その結果,低加速度・長継続時間地震動に対する地盤の液状化に対しては,20回繰返し以上の液状化強度比が大きく影響するため,低加速度・長継続時間地震動に対する液状化の危険性を評価する場合には100回以上の多繰返し領域も含めた液状化強度曲線の形状を把握する必要があることが分かった.
  • 乗藤 雄基, 猪股 渉, 末冨 岩雄, 石田 栄介, 山崎 文雄, 鈴木 崇伸
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_520-I_526
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     東京ガスのリアルタイム地震防災システム「SUPREME」では,首都圏に約4,000点の超高密度地震観測網からSI値等を収集し,地震被害推定を行う.2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の際には,約5分間で観測SI値等を収集し,地震発生から10分後に50mメッシュのSI値分布を算出し,初動判断のための情報を提供している.観測開始から約10年経過し,これまでに多くの記録が蓄積されている.本論文では,地震観測記録から各観測点での平均SI値増幅度を,K-NETの地震観測記録を活用して算出した.これにより,東京東部低地,西部の丘陵地帯,地形が複雑な横浜市内の特性を把握した.そして,様々な地盤条件での観測記録が得られているので,得られたSI値増幅度と地形分類の関係,平均S波速度との関係を検討し,観測点により大きく値は異なるものの,平均的には低地でよく揺れる従来の関係と調和的であることが分かった.
  • 坂井 公俊, 室野 剛隆, 川野 有祐
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_527-I_534
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     鉄道構造物の地震時安全性照査のための地震動としては,L2地震動の標準応答スペクトルが一般的に用いられている.ただし,大規模震源域の近傍や,地震動の著しい増幅が想定される箇所については,耐震設計上注意を要する箇所と判定され,強震動予測手法によってL2地震動を設定する必要がある.しかしながら地震増幅の大小を判断するための明確な指標が存在しないという問題があった.
     本検討では,近年の高密度地震観測データや,全国の地震観測点における地震増幅特性の評価結果を活用することで,地震動の著しい増幅が想定される箇所を抽出する手法について検討を行った.さらに過去に発生した地震観測記録について提案した手法を適用し,妥当性の確認を行った.提案した手法を用いることで,地点毎の地震特性を加味した上での,要注意箇所を比較的簡易に抽出することが可能となる.
  • 高橋 良和, 日高 拳
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_535-I_544
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     本研究では,地震作用による機能損失に鈍感な構造システムを鈍構造と定義し,その実現方法・課題について整理する.そして,鈍構造の概念に基づく適用事例として,「入力の特性の変化に対し,応答の特性の変動が小さいこと」を応答改善効果と考え,振動特性を不均質にした構造システムの応答特性を,不規則振動論に基づき解析的に評価した.その結果,構造特性が均質な場合に比べ,構造特性を不均質にすることで,変位応答平均値の減少に加え,入力の特性の変化に対する最大変位応答値の変動をも小さくすることができる可能性を明らかにした.
  • 李 永学, 常田 賢一, 秦 吉弥, 川口 潤, 魚谷 真基
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_545-I_559
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     韓国では水不足の危惧から,農業用アースダムの嵩上げが活発化している.そのため,旧コアに継足される新コアの構造安定性およびそれが堤体の透水性,耐震性に及ぼす影響を把握し,継足コア構造の最適化を図ることが必要と考えられる.しかしながら,既存の継足コア構造は画一的であり,安定性評価は震度法に留まっているのが現状である.そこで本研究では,傾斜型コア嵩上げがなされた韓国の鶏龍貯水池をモデルとし,継足コア構造の規模に着目し,4種類のコアモデルに関する浸透流解析および動的解析を実施し,コア構造が浸潤線および新旧コア境界部のせん断応力に及ぼす影響を明らかにした.
  • 秦 吉弥, 高橋 良和, 秋山 充良, 後藤 浩之, 野津 厚
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_560-I_577
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/15
    ジャーナル フリー
     2003年三陸南地震(MJ7.1)では,東北新幹線のRCラーメン高架橋(愛宕高架橋など)が損傷するなど,深刻な被害が発生した.一方で,愛宕高架橋に隣接する稗田高架橋での被災は確認されていない.愛宕高架橋ならびに稗田高架橋における本震時の地震動を推定することは,被災機構の分析等を行う上で非常に重要である.そこで本稿では,当該高架橋沿いにおいて高密度の地震観測を実施し,得られた記録に基づいて,サイト特性を評価した.そして,経験的サイト増幅・位相特性を考慮した強震動評価手法に基づき,2003年三陸南地震における愛宕高架橋・稗田高架橋沿いでの強震波形を推定した結果について報告する.
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