合金溶射皮膜の耐食・防食特性については,これまで様々な腐食試験が行われてきたが,Al-5Mg合金溶射については不明な点が多い.本研究ではNaClが介在する高腐食性環境におけるAl-5Mg合金溶射皮膜の耐食・防食特性を評価することを目的とした.そのために,溶射皮膜にクロスカットを導入した鋼板の複合サイクル腐食促進試験,電気化学試験および皮膜の付着強度試験を実施した.また,Zn-15Al合金溶射とC-5系重防食塗装についても同様な試験を実施し,Al-5Mg合金溶射と比較した.これらの試験結果から,Al-5Mg合金溶射のカット部の耐食・防食性は,Zn-15Al合金溶射とC-5系塗装に比して著しく高く,JIS K5600-7-9のサイクルDの2,000cyclesに相当する腐食環境においても,クロスカットの鋼素地露出部において十分な防食性能を有することを明らかにした.
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