土木学会論文集A1(構造・地震工学)
Online ISSN : 2185-4653
ISSN-L : 2185-4653
72 巻, 3 号
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和文論文
  • 関屋 英彦, 小西 拓洋, 木ノ本 剛, 三木 千壽
    2016 年 72 巻 3 号 p. 364-379
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/20
    ジャーナル フリー
     構造物の維持管理を行う上で,外力を把握することは重要である.この外力に対する応答を計測するツールとして,MEMSセンサが注目されている.MEMSセンサは,磁石等で設置が可能なため,施工が容易である.さらに,安価で小型なことから構造物のモニタリングへの適用が期待されている.本研究では,MEMSセンサによるモニタリングの一つとして,可搬型車両重量推定システム(Portable-Weigh-In-Motionシステム)の開発を行った.具体的には,まず複数車線を有する橋梁の加速度記録から,全自動にて変位応答を算出するアルゴリズムを構築した.次に,その変位応答を利用した車両重量推定システムを開発した.最後に,実橋梁において計測を行い,ひずみゲージによるWIM結果と本システムの結果を比較することによって,本システムの実用性を示した.
  • 黒田 璃紗, 西尾 真由子
    2016 年 72 巻 3 号 p. 380-392
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/20
    ジャーナル フリー
     既存橋梁の性能評価を行うためにその状態を考慮した数値モデルを構築し,構造信頼性を論じることが有効である.本研究では実鋼鈑桁橋を対象に,計測データからモデルパラメータの事後分布推定を行い,それを用いて構造信頼性評価を行う有効性を示した.対象橋梁の有限要素モデルを構築し,定期点検データ等に基づき設定した支承および床版のパラメータ事前分布に対して,実橋梁で取得した固有振動数からベイズ事後分布推定を行い,実際の桁腐食状態に対応して不確定性が低減された分布を得られたことを確認した.その上で,設計活荷重で主桁端部に生じる最大応力に対する降伏耐力を信頼性指標βにより評価し,最大応力分布導出に事前分布と事後分布を用いた場合での比較を行い,不確定性低減によって危険側に偏らない評価結果を得られたことを示した.
  • 八木 尚人, 鈴木 俊光, 若林 登, 村野 益巳, 三木 千壽
    2016 年 72 巻 3 号 p. 393-406
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/20
    ジャーナル フリー
     トラフリブで補剛された鋼床版において,トラフリブとデッキプレートを接合する縦方向溶接継手の内部から発生する疲労き裂は,主に溶接ビード表面方向に進展する“溶接ビード進展型”と,デッキプレート上面方向に進展する“デッキプレート進展型”に分類される.本研究では,これら両方のタイプの疲労き裂を効率的かつ,初期段階で発見することを目的として開発したフェーズドアレイによる超音波探傷装置と,疲労き裂評価手法により,供用下の鋼床版箱桁橋での疲労き裂探傷試験を実施し,その探傷性能について検証を行った.
  • 伊藤 義人, 廣畑 幹人, 奥野 貴文, 森 達也, 上村 隆之
    2016 年 72 巻 3 号 p. 407-419
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/20
    ジャーナル フリー
     鋼材にSn(スズ)を微量添加することで耐食性を向上させたSn添加鋼が開発されている.本研究では塗装Sn添加鋼の鋼橋への適用性を明らかにするため,防食欠陥部からの腐食劣化特性の評価を行った.A塗装系とC塗装系の2種類の塗装系を用いて防食塗装した鋼板に防食欠陥部を設け,塩水噴霧複合サイクル環境促進実験を実施した.防食欠陥部からの塗膜のふくれを劣化指標として経時的な防食塗装劣化の評価を行った.また,防食欠陥部付近の残存塗膜および腐食生成物を除去し,下地鋼材の腐食量の評価を行った.その結果,Sn添加鋼ではSM鋼と比較して防食欠陥部周辺の腐食量がA塗装系で約80%,C塗装系で約60%に抑制される効果が確認された.また,塗膜劣化および鋼の腐食劣化の抑制効果はA塗装系よりもC塗装系において大きいことを確認した.
  • 松岡 弘大, 曽我部 正道, 上半 文昭, 渡辺 勉
    2016 年 72 巻 3 号 p. 420-439
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/20
    ジャーナル フリー
     簡易な振動モニタリングによる膨大な既設鉄道橋の効率的な維持管理の実現には,簡易な測定に基づく構造性能評価が重要である.本研究では,梁動力学モデルを援用し,列車走行時のコンクリート橋の単点加速度から,橋梁パラメータに加え設計性能指標である列車走行時の変位や衝撃係数を推計するMCMC法に基づいた逆解析法,および既存同定法を援用した簡易評価法を提案した.数値実験により,提案逆解析はFFT法等の既存同定法と比べ橋梁パラメータの推計精度が高く,車両との相互作用が存在する場合でも最大変位を誤差2%程度で推計できることを示した.さらに,実列車走行試験により,提案逆解析法は実橋梁でも最大変位を-3%から+6%で精度良く推計できることを実証的に示した.
  • 貝沼 重信, 郭 小竜 , 小林 淳二, 武藤 和好, 宮田 弘和
    2016 年 72 巻 3 号 p. 440-452
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/20
    ジャーナル フリー
     合金溶射皮膜の耐食・防食特性については,これまで様々な腐食試験が行われてきたが,Al-5Mg合金溶射については不明な点が多い.本研究ではNaClが介在する高腐食性環境におけるAl-5Mg合金溶射皮膜の耐食・防食特性を評価することを目的とした.そのために,溶射皮膜にクロスカットを導入した鋼板の複合サイクル腐食促進試験,電気化学試験および皮膜の付着強度試験を実施した.また,Zn-15Al合金溶射とC-5系重防食塗装についても同様な試験を実施し,Al-5Mg合金溶射と比較した.これらの試験結果から,Al-5Mg合金溶射のカット部の耐食・防食性は,Zn-15Al合金溶射とC-5系塗装に比して著しく高く,JIS K5600-7-9のサイクルDの2,000cyclesに相当する腐食環境においても,クロスカットの鋼素地露出部において十分な防食性能を有することを明らかにした.
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