土木学会論文集A1(構造・地震工学)
Online ISSN : 2185-4653
ISSN-L : 2185-4653
73 巻, 5 号
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複合構造論文集第4巻(招待論文)
複合構造論文集第4巻(論文)
  • 石井 佑弥, 飯田 卓弥, 中村 一史, 古谷 嘉康, 中井 裕司, 西田 雅之
    2017 年 73 巻 5 号 p. II_10-II_19
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー
     本研究は,一方向材からなる引抜成形GFRP溝形材(C75)のせん断耐力を材料試験の結果を用いて評価することを試みたものである.はじめに,JIS K 7019およびASTM D 5379に準拠したクーポン試験を実施して,せん断弾性係数,せん断強度を実験的に求めた.次に,せん断破壊を生じるような,はり部材の3点曲げ載荷実験を行って,はり部材としてのせん断特性を評価した.その結果,JISに準拠した試験では,試験片の45°方向の切断縁が破壊の起点となり,せん断強度が小さく評価された.ASTMに準拠した試験では,せん断力の作用が再現されるため,応力集中による補正を行うことで,はり部材の3点曲げ載荷試験と近い結果が得られた.これらより,一方向材のGFRP溝形材のせん断特性は,ASTMに準拠した試験により,概ね評価できることが確かめられた.
  • 小林 洸貴, 近藤 諒翼, 中村 一史, 松本 幸大, 松井 孝洋, 越智 寛
    2017 年 73 巻 5 号 p. II_20-II_31
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー
     炭素繊維を強化材とするCFRPは高弾性・高強度であること,現場でのハンドリングに優れることから,鋼構造物の補修・補強に適用されている.本研究は,大型FRP構造物の製造方法の一つで,真空含浸工法(VaRTM;Vacuum assisted Resin Transfer Molding)と呼ばれる成形技術を用いて,CFRPと鋼構造物を一体化させる補修工法の開発を目的としたものである.ここでは,鋼鈑桁橋の桁端腐食部を対象に,真空含浸工法による補修効果について実験的な検討を行った.その結果,含浸工程の時間が短時間で完了すること,柱部材の耐荷力が腐食前の状態の耐荷力まで回復することが確かめられた.
  • 櫻庭 浩樹, 西崎 到, 宇佐美 惣, 石田 雅博
    2017 年 73 巻 5 号 p. II_32-II_41
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー
     FRPとコンクリートを組み合せた構造では,コンクリートとの接触面でアルカリ作用によってFRPが劣化する可能性があるため,FRPの耐アルカリ性を確認することが重要である.本研究では,GFRP引抜成形材ついて,コンクリートと接触した状態で供用される場合の劣化挙動の検討を目的として,モルタルを充填した供試体を作製し,屋外暴露試験およびアルカリ浸漬試験を行った.屋外暴露試験の結果,約半年から11ヶ月の暴露で引張強度の低下傾向が確認され,GFRP引抜成形材とコンクリートが接触する場合には対策が必要な場合があることを示した.また,アルカリによるGFRPの劣化を簡易なモデルを用いて検討し,浸漬試験の結果から,屋外暴露試験における引張強度の低下傾向を概ね再現できることを示した.
複合構造論文集第4巻(報告)
  • 松村 政秀, 陳 晨, 中尾 亮介, 竹本 香織, 杉浦 邦征
    2017 年 73 巻 5 号 p. II_42-II_51
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー
     近年,照明・標識柱などの柱状鋼構造物の路面境界部付近において腐食による板厚減少が確認され,強度の不足や耐疲労性の低下などによる倒壊リスクも高まっている.このような柱状鋼構造物のストック数は膨大であることから,現場において短時間での施工と補強効果の発現が期待できる補強工法の開発が有用といえる.そこで,著者らは,短時間で施工可能な熱硬化型炭素繊維プリプレグシートを用いる補強工法の開発に向けて検討を進めている.本報告では,熱硬化型炭素繊維プリプレグシート用いる補強法の概要を述べ,静的載荷実験による最大強度の回復性および実照明柱を対象とした施工試験の結果について報告する.
  • 岡崎 直斗, 中村 一史, 岸 祐介, 松井 孝洋, 瀬戸内 秀規
    2017 年 73 巻 5 号 p. II_52-II_61
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー
     本研究は,地震により座屈損傷を受けた円形鋼製橋脚の効率的な応急復旧を目的として,炭素繊維シート巻立てによる性能回復を小型試験体を用いて,実験的に検討したものである.試験体は,無補強のケースに加え,予め7層の炭素繊維シートを巻き立てた補強,座屈損傷後に7層の炭素繊維シートを巻き立てた補修の3ケースを用意した.鉛直荷重を一定として,水平方向に漸増繰り返し荷重を載荷して,水平耐力,エネルギー吸収率を比較した.その結果,損傷前の補強では,無補強に対して,水平耐力の増加は小さいが,エネルギー吸収率は約2割増加することがわかった.損傷後の補修では,炭素繊維シート巻立てにより,水平耐力,エネルギー吸収率の向上は見られなかったものの,水平耐力は損傷前の90~95%まで回復することが確かめられた.
  • 茗荷 将浩, Mohammad Abdul KADER , 北根 安雄, 伊藤 義人, 日比 英輝
    2017 年 73 巻 5 号 p. II_62-II_73
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー
     近年,軽量性や耐食性に優れた材料であるFRPが注目を集めている.しかしFRP部材のボルト接合に関して,FRP材料が自由に材料設計が可能であることから,統一的な設計手法が確立されていないのが現状である.FRP材料が社会基盤施設の構造部材として普及していくために,FRP部材における接合部の強度を適切に評価し,設計手法が確立される必要がある.そこで本研究ではハンドレイアップ成形されたGFRP部材のせん断支圧ボルト接合に着目し,接合部耐力と破壊形式の評価を目的として,寸法パラメータ,ボルト軸力の有無,添接板材料など接合条件の異なる単ボルト供試体を用いて強度実験を行った.その結果から,幅w/d≧2.5かつ縁端距離e/d≧4の時に支圧破壊が生じること,ボルト軸力の導入は接合部耐力を増加させることなどを明らかにした.
  • 上山 裕太, 北根 安雄, 松井 孝洋, 近藤 富士夫, 舘石 和雄
    2017 年 73 巻 5 号 p. II_74-II_83
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー
     本研究は,ハイブリッドFRP部材のボルト接合部における支圧特性に関するデータの取得および評価を目的とする.強化繊維に炭素繊維とガラス繊維の両方を用いた積層構成の異なる5種類のハイブリッドFRP積層体,および,CFRP積層体,GFRP積層体を対象とし,Mottramらの提案する支圧試験法とピン接合法による2種類の支圧試験を実施し,得られた試験結果の比較を行うことにより,強化繊維の種類や積層構成の違いが支圧強度に与える影響を明らかにした.また,各積層体の材料圧縮試験を行うことにより,繊維や積層構成によっては,支圧強度が圧縮強度に比べて約50%も低下することを明らかにした.さらに,手締め程度のボルト軸力が支圧強度に与える影響についても検討を行い,ボルト軸力を導入することで支圧強度が大幅に増加することを明らかにした.
複合構造論文集第4巻(小委員会報告)
  • 複合構造委員会・構造物の更新・改築技術に関する研究小委員会
    2017 年 73 巻 5 号 p. II_84-II_92
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー
     社会資本の維持管理における現状は,構造物の長寿命化に対する取組みが中心で,その多くが事後保全としての対策工であり,一定の延命化は可能であるものの,最終的には解体を含めた大規模な更新・改築対策が必要となる.一方,日本の社会資本は,その多くが交通量の増大や河川改修等,構造物を取り巻く諸条件の変化や,機能に対する要求レベルの向上に対応することで,更新・改築されてきている.
     構造物の更新・改築技術に関する研究小委員会では,これまでの構造物の更新・改築技術を調査して課題を抽出し,体系化に向けた検討を行うことを目的として,2014年12月から2年間の研究活動を行った.本報告は,その成果を取りまとめたものである.この成果が,更新・改築に携わる様々な技術者の目に触れることに期待したい.
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