土木学会論文集A1(構造・地震工学)
Online ISSN : 2185-4653
ISSN-L : 2185-4653
74 巻 , 4 号
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地震工学論文集第37巻(論文)
  • 坂岡 和寛, 大坪 正行, 和田 一範, 小山 倫史
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_1-I_15
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
     無筋コンクリート橋脚は,鉄道構造物として現在も多数供用されているが,耐震性に劣るため,地震時に打継目での水平方向の貫通ひび割れやずれ,打継目下部コンクリートの剥落が生じている事例が多い.本研究では,打継目を有する無筋コンクリート橋脚を模擬した縮小供試体および打継目移動制限装置を設置した縮小供試体を製作し,静的試験ならびに大型振動台を用いた動的試験を行い,地震時の挙動や破壊形態等の基本的な挙動および対策工の効果を検証した.その結果,打継目移動制限装置により最大変位,残留変位を抑制する効果を確認することができた.また,打継目下部コンクリートの剥落時の挙動や,打継目上部に作用する荷重についても確認することができた.
  • Ruben Rodrigo VARGAS TAPIA, Kyohei UEDA, Susumu IAI
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_16-I_24
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
     Effective stress analyses based on the finite element method are often used as a reliable tool to predict liquefaction occurrence in soil-structure systems during earthquakes. In the analyses, the soil properties are typically specified by using a deterministic model although they intrinsically have spatial variability even in the case of horizontally layered ground. In this study, nonlinear finite element analyses under undrained conditions are performed to investigate the effects of soil heterogeneity on the liquefaction behavior of stochastically heterogeneous soil deposits subjected to seismic loading through a Monte Carlo simulation approach. A series of analyses has revealed that the heterogeneity of the shear wave velocity (or initial shear modulus) has no significant effect on the distribution of the computed excess pore water pressure (EPWP); while the mean value of the maximum EPWP ratio is partially influenced and becomes up to 20% less (in comparison with the deterministic case) by considering the spatial variability in the internal friction angle and the N value under the given seismic loading.
  • 久末 賢一, 西澤 一志, 佐藤 清
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_25-I_35
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
     トンネルと接続する場合など開口を有する立坑では,開口により断面が欠損するため開口部以外の残存断面によりせん断耐力を確保する必要がある.現状における開口部周辺の構造設計においては,3次元的な挙動を適切に考慮したものではなく,必ずしも合理的な構造となっていない可能性がある.そのため,本研究ではコンクリートおよび鉄筋をモデル化した3次元解析モデルにより,開口を有する立坑のせん断耐力の評価を行っている.また,立坑のせん断耐力に特に大きな影響を及ぼすと考えられる,部材厚,配力筋の鉄筋比,コンクリート強度および開口の配置などの条件を変更しそれぞれの影響を確認している.その結果,開口を有する立坑におけるせん断耐力を簡易的な式で評価できる可能性があることを確認した.
  • 池野 勝哉, 白 可, 高橋 英紀, 森川 嘉之
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_36-I_44
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
     本研究は,陸上工事において広く用いられている補強土壁工法を港湾の矢板岸壁に適用し,安価で優れた耐震性能を有する矢板岸壁構造の開発を目指したものである.著者らは,過去に格子状のジオグリッド補強材を想定した50G場の遠心模型実験を実施し,矢板岸壁における地震時の水平変位や矢板応力抑制効果など高い耐震性能について明らかにしている.本稿では,非線形有限要素解析により遠心実験の再現解析および補強材の敷設長をパラメトリックに変化させた検討を行った.その結果,補強材は地震時主働崩壊線の陸側まで敷設する必要があること,最下段補強材の敷設長が岸壁の外部安定に大きく影響することなどを示し,陸上の補強土壁と類似する本構造の補強メカニズムについて考察した.
  • 高橋 良和, Yucheng GONG
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_45-I_58
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
     2016年熊本地震では,2度の震度7を含む地震により多数の橋梁被害が発生したが,多数の落橋防止システムが損傷したことに強い関心を示すべきである.落橋防止システムは落橋を防止するための最終手段であり,支承部が破壊した後でも落橋防止の機能が確実に発揮されるよう設置される.しかしながら,設計では水平耐力が規定されているものの,落橋防止システムの望ましい損傷形態が示されておらず,熊本地震でも様々な性状の損傷が発生している.本論は,まず橋梁の横変位拘束構造の被災状況を整理し,設計に対する課題を整理するとともに,また,府領第一橋に対して地震応答解析を行い,横変位拘束構造に作用した衝突力を推定するとともに,その被災メカニズムの検討を通じ,横変位拘束構造の縁端距離など,改善策について検討するものである.
  • 竿本 英貴
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_59-I_71
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
     活断層周辺で地震時に地表で生じる変状を数値解析等の手法で予測することは,変状が社会基盤に与える影響を考察する上で重要である.変形予測では,断層面形状,地下構造,広域応力場,岩盤材料特性,松田式に代表されるスケーリング則など様々な情報を積極的に統合・活用することが肝要である.本論文では,これまで地表変形解析に導入されてこなかったスケーリング則(松田式)を有限要素法に組み込む一手法を提案する.提案手法を上町断層系に適用し,得られた変位量とボーリング調査結果との比較を行い,一定の確度を有することを確認した.次いで,変位場の広域応力状態に対する依存性や断層面間の相互作用について検討し,変位が最大化される圧縮軸の方角や生駒断層と上町断層の相互作用についての知見を得た.
  • 栗田 哲史, 董 勤喜, 吉見 顕一郎
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_72-I_82
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
     地震観測記録の分析により関東地方の工学的基盤上の地震動が地域特性を有することが分かってきており,著者等はこの原因が深部地盤構造と関係があるものと考えて,3次元有限要素法を用いた数値シミュレーションによる検討を行っている.本研究では観測記録との比較によって数値シミュレーション結果の妥当性について検討した.ここで,観測記録の再現性向上のために,パラメータ・スタディによる最適な震源モデルについて検討した.次に,地震動シミュレーション結果に距離減衰補正を行い,空間的な特性を分析した.このために,対象領域で得られた観測記録を用いて工学的基盤上の地震動の距離減衰特性をモデル化して評価に用いた.このような手順によって,関東地方の工学的基盤上の地震動が地域性を生じるメカニズムについて定量的な検討を行った.
  • 宇佐美 勉, 山田 聡徳, 葛 漢彬, 山崎 伸介
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_83-I_96
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
     著者らは,円弧状の波形にプレス加工した鋼板を芯材とし,拘束材で座屈拘束した座屈拘束波形鋼板制震ダンパー(BRRP)に関する一連の研究を行ってきた.本研究は,実構造物への適用範囲を拡げるため,BRRP芯材を2つ並列に設置したTwin-BRRPを製作し,繰り返し載荷実験および低サイクル疲労実験を実施してBRRPとの性能比較を行った.さらに,BRRPの終局状態に至るまでの挙動評価のために,芯材と拘束材を一体としたBRRPのPushover実験および解析を行った.
  • 土井 達也, 豊岡 亮洋, 室野 剛隆
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_97-I_108
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
     地中深く埋まる橋脚を対象として,土被り深さが免震構造による断面力の低減効果に及ぼす影響を検証するため,土被り深さ,支承構造をパラメータとした動的解析を行い,く体基部の応答塑性率およびく体のせん断余裕度について検討した.その結果,今回の検討条件においては,土被りが橋脚高さの半分程度までの範囲では免震構造によりく体の断面力は有効に低減するものの,橋脚の大半が土中に埋まるような条件では,地盤変位荷重の増加と,地表面加速度の低下による慣性力作用の低下の双方の影響により,免震構造による断面力の低減効果が小さくなることが明らかとなった.
  • 能島 暢呂, 加古 涼介, 加藤 宏紀
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_109-I_119
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
     地震調査研究推進本部による確率論的地震動予測地図の基礎データとして,わが国周辺の全地震活動モデルが用いられており,地震ハザードステーション(J-SHIS)で公開されている.本研究では,全地震活動モデルに基づいて,震度曝露人口PEXを推計し,地震発生確率Pとの関係をP-PEX関係として表し,これに基づいて地震リスクカーブを求めて地震リスク評価を行った.また震度レベルごとに,30年期待震度曝露延べ人口を求め,その内訳の考察を行った.さらに,地震リスク評価の応用として,供給系ライフライン(電気・水道・都市ガス)の地震時機能被害・復旧予測モデルを用いて,4種類(地震直後,3日間,1週間,1ヶ月間)の途絶リスクカーブを推計した.
  • 伊藤 詩織, 庄司 学
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_120-I_130
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
     2011年東北地方太平洋沖地震の際の被害データから導き出された,平面道路と橋梁の物理的な津波被害関数をもとに,津波災害時における道路ネットワークの機能支障の評価方法を提案した.本提案手法では,津波災害時の公共施設間の最短ルートをダイクストラ・アルゴリズムを用いて選出し,津波対策として優先的に復旧すべき脆弱な平面道路と橋梁を特定するものである.本提案手法を,南海トラフ巨大地震津波の際に大きな被害を受けることが予想される徳島県徳島市の道路ネットワークに適用した結果,リンク信頼性の低い平面道路や橋梁がルート信頼性に大きな影響を与えることや道路の機能支障の観点から孤立しやすい地域を明確に特定し得ることなどが明らかとなった.
  • Angga FAJAR Setiawan, Yoshikazu TAKAHASHI
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_131-I_147
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
     After the 1995 Kobe earthquake, the structural performance concept of a bridge in Japan considers two levels of seismic excitation which are named as Level 1 and Level 2. However, the Level 2 of ground motion input is a large seismic coefficient demand. Also, the problem of bridge rubber bearing support which commonly is used in Japan lost expected seismic performance due to the deterioration. Some possible causes of the deterioration are the aging, the compression fatigue, or the frequent lateral deformation which triggered by traffic load, wind load, thermal expansion, creeps, and shrinkages phenomena of daily load. While the behavior and the parameters of reinforced concrete (RC) column accompanied with friction device were determined successfully based on the experiment and numerical analysis. This study proposed the structural system of integrated bridge pier with triple RC column connected by friction damper plus gap which is expected to substitute the conventional bridge pier system avoiding the use of rubber bearing. In the investigation of its behavior and seismic performance, numerical analysis was performed with fiber cross-section of non-linear beam-column-based element model on the longitudinal direction of the bridge structure. As the analysis result, the proposed structure had an excellent performance not only under small deformation to allocate frequent lateral deformation but also under seismic load. Furthermore, in the structural simulations, the consideration of different limit state of column location and the various yield strength of reinforcing steel configuration can obtain a better structural cost-performance option.
  • 栗野 翔太, 五十嵐 晃
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_148-I_159
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     近年,橋梁のゴム支承に経年劣化に伴う損傷が確認されている.劣化に伴う性能低下や,性能の個体差および地震動規模などの不確実性を考慮すれば,ゴム支承の劣化による橋梁の大地震に対する安全性の低下が懸念される.ゴム支承の劣化に対する対策には,部材性能のばらつきおよび地震動の不確実性を前提とした上で,橋梁の安全性の確保が図れるものが求められると考えられる.本研究では,ゴム支承が劣化した既設橋梁のL2地震動とそれを超える地震動に対する安全性を確保する対策手法として,変位拘束ケーブル設置の効果を検討した.ゴム支承とケーブルの性能のばらつきを考慮した漸増動的解析を行い,変位拘束ケーブル設置により桁変位の低減,ゴム支承および橋脚の限界状態に達する可能性の抑制,桁変位の変動低減の効果が期待できる結果が得られた.
  • 野津 厚
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_160-I_167
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     鉛直アレーによる強震観測記録をもとに,時間領域で基盤入射波を推定する方法について再考した.既往の方法としては,基盤面より上方の地盤の振動を表す運動方程式と粘性境界の式を連成し,通常は入力項目である基盤入射波を出力項目とする方法が提案されている.それに対してここでは,これらを連成させることなく,基盤面より上方の地盤の応答を先に求め,粘性境界の式を後から適用して基盤入射波を推定する方法を考案した.この方法によれば,これまで順方向の解析に用いられてきた任意の地震応答解析プログラムを,ソースを書き換えることなく基盤入射波の推定に利用できる.提案法の適用事例として,兵庫県南部地震におけるポートアイランドの鉛直アレー観測記録をもとに,基盤入射波の推定を行った.
  • 加藤 宏紀, 能島 暢呂, 佐藤 多恵
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_168-I_178
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     2016年熊本地震により影響を受けた高速道路網の日交通量データを入手し,時空間的な変動の可視化と高速道路機能の分析を行った.本震直後に熊本・大分両県で交通が寸断されたが,5月中旬以降にほぼ地震前の水準まで回復した.次に地震後の初動対応・復旧の動向・通行状況の把握を目的として日平均走行速度に着目した.また高速道路のネットワーク施設水準・機能水準を表す3種類の指標を算出した.施設水準は九州自動車道と大分自動車道で平常時より約60~100%,機能水準は同約50~80%低下した.その後,各指標とも約2~3週間でほぼ地震前の水準まで戻った.阪神・淡路大震災や東日本大震災との事例間比較を行った結果,機能水準は施設水準をほぼ一貫して下回っており,ネットワーク復旧の完結後にようやく地震前の水準に回復することが明らかとなった.
  • 花房 海斗, 高橋 良和
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_179-I_187
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     2016年熊本地震は,1995年の阪神大震災以降に建設された橋梁を含む多くの土木構造物に深刻な被害をもたらした.そこで,本研究は熊本地震で被災した大切畑大橋の橋脚の損傷メカニズムを推定することを目的としている.まず,現地調査を行い,中空断面RC橋脚の典型的なひび割れの様子と,大切畑大橋の南側の山の斜面崩壊の様子を観察した.次に,橋脚の被害は地震動によるものなのか,地盤の動きによるものなのかを明らかにするために国土交通省による地震後の測量結果を基に静的解析を行い,実際の被害の様子と比較した.解析結果と実被害との整合性があったため,本研究において,大切畑大橋のP2橋脚の主な被害要因が地震動によるものであったと推測した.また,同様の検討をP3橋脚についても行い,橋脚ごとの挙動を推察した.
  • 石川 敬祐, 安田 進
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_188-I_197
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     本研究は,K-NETで観測された種々な地震波形を用いた繰返しねじりせん断試験を行ない,波形形状や継続時間が液状化強度やその特性に及ぼす影響を一般的な正弦波による試験結果と比較検討したものである.地震波形には,海溝型地震動として東日本大震災の浦安と原町,内陸直下型地震動として2016年熊本地震の益城の前震と本震である.試験結果より,地震波荷重の不規則性に関する補正係数C2は有効波数(入力波形最大値の0.6倍の半波数の半分)と相関があることがわかり,益城本震波と原町波ではC2は2倍程度の違いがあることがわかった.累積損失エネルギーを用いて液状化強度特性を評価すると,継続時間の短い益城波に対して継続時間が長い浦安波や原町波は液状化に至るための累積損失エネルギー量に10倍程度の違いがあることがわかった.
  • 谷口 善則, 池本 宏文, 鈴木 健一, 高崎 秀明, 藤原 寅士良
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_198-I_209
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     都市部鉄道沿線の切土箇所にあるもたれ壁は,壁体背面近傍に用地境界が存在する場合が多く,地山補強材を壁体前面から打設する従来の工法では適用が困難となる.本研究では用地内に納まるように地山補強材を壁体背面側から急角度で打設し,壁体上部で一体化する耐震補強工法を提案した.本補強工法の補強効果,補強メカニズムを検証するため,実物の1/10程度の縮尺模型を用いた振動台実験を実施した.その結果,地山補強材の長さに応じて,耐震性の向上が図られること,もたれ壁の転倒変位を抑制する効果が高いことを確認した.また,実験で計測した抵抗力に基づき,ニューマーク法を用いた検証解析を行い,ニューマーク法が安全側の設計計算手法となる点を確認した.
  • 一ノ瀬 良奈, 丸山 喜久, 永田 茂
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_210-I_219
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     本研究は,スマートフォンのアプリから得られた位置情報データから,時間帯ごとの流動人口を推定することを目的とする.まず,スマートフォンのアプリで取得される位置情報データはデータ取得の頻度が低いため,最短経路検索に基づき各個人の移動経路を推定した.次に,交通量調査結果と比較して,流動人口を求めるための回帰式を構築し,スマートフォンの位置情報データを用いて時間帯ごとの流動人口を推定した.本研究の結果は,災害発生時刻に応じた被災者人口や帰宅困難者数の推定などの防災面での利用や,バリアフリー化などの歩道環境整備の優先順位付けのような平常時の歩行環境整備計画の立案に貢献できる.
  • 植村 佳大, 高橋 良和, 山本 伸也
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_220-I_236
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     曲げ破壊卓越型のRC柱のポストピーク領域における耐震安全性を確保するためには,軸方向鉄筋の座屈発生を抑制することが重要である.そこで本研究では,RC柱における軸方向鉄筋の座屈挙動に対する新たな抵抗特性としてヘッド付きフック(先端部にヘッドを設けたフック状の鉄筋)を提案し,ヘッド付きフックによる座屈制御効果を正負交番載荷実験により検証した.その結果,ヘッド付きフックによる座屈制御手法が帯鉄筋による従来手法以上の座屈抑制効果を示し,RC柱の荷重低下を改善させることを確認した.しかし,座屈発生後はヘッド付きフックのフック部が開くことで座屈抑制効果が低下する現象が確認された.そのため,フック部が開かずに軸方向鉄筋の座屈に抵抗できるよう,フック部のより最適な形状を検討する必要があることがわかった.
  • 能島 暢呂, 久世 益充
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_237-I_248
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     地震動の応答スペクトルの特徴量として,固有周期軸上の101次元の特徴ベクトルを抽出し,KL変換を用いてモード解析と合成を行う方法を提案した.特徴ベクトルの相関行列の固有値解析により主成分に変換し,主要モードを用いた逆変換により特徴ベクトルを近似して,情報損失の少ない次元縮約を可能とするものである.2011年東北地方太平洋沖地震で観測された加速度記録を用いた数値計算例を示した.特徴ベクトルは5%減衰で3~12次モード(20%減衰ではより低次モード)までで概形をほぼ復元できることを明らかにした.また,9地震の全観測記録にKL変換を適用して得られる固有ベクトルが余弦関数で近似できることに着目し,離散コサイン変換に相当する汎用性の高い正規直交基底を提案した.
  • 梶田 幸秀, 朝廣 祐介
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_249-I_257
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     本研究では,2016年熊本地震で確認された橋軸直角方向用の変位制限構造および橋台躯体の損傷形態に着目し,実橋の橋台を用いた静的載荷解析を行った.変位制限構造の設計年度で設計荷重が異なるため,異なる設計荷重により設計された変位制限構造ならびに同一の設計荷重において構造寸法の異なる変位制限構造をモデル化し数値解析を実施した.その結果,設計荷重が小さくても,橋台躯体にせん断ひび割れが発生することが確認でき,また,変位制限構造に損傷を集中させたい場合は,変位制限構造の高さ方向の寸法を大きくした方がよいと考えられることが分かった.
  • 五十嵐 翼, 丸山 喜久
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_258-I_266
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     本研究では地震時の高速道路の復旧日数の予測モデルを高精度化することを目的とし,多重ロジスティック回帰分析を用いて復旧予測モデルを再構築した.2004年新潟県中越地震,2007年新潟県中越沖地震,2008年岩手・宮城内陸地震,2011年東北地方太平洋沖地震,2016年熊本地震の際の高速道路の開通までに要した日数をもとに,復旧予測モデルの構築に関する検討を行った.また,復旧日数の予測値の高精度化を図るため,道路構造の違いが復旧期間に与える影響を考慮した復旧予測モデルの検討も行った.さらに,構築した復旧予測モデルを南海トラフ巨大地震に適用し,復旧日数の推定を行った.
  • 宇野 州彦, 安 同祥, 清宮 理, 白 可
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_267-I_282
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     液状化地盤上にある既設橋台は,地震時に大きな被害をもたらすことが過去の震災から明らかとなっており,現行基準の要求性能を満足しない場合には早急な補強対策を講じる必要がある.本研究では,液状化対策工としてグラウンドアンカー工法と地盤改良工法を対象に,供用しながらまたは少ない交通制限で適用できる工法について提案し,模型振動実験によりその効果を検証した.実験結果から,橋台の応答変位抑制という点では,アンカー工法が優れていることが示された.ただし背後地盤の沈下量が大きくなることから,別途その対策を行う必要があることも分かった.また地盤改良工法について,特に橋台を改良体で囲う工法については橋台と改良体が一体となって挙動する場合には逆効果となる可能性も示唆された.
  • 坂下 克之, 畑 明仁, 山本 悠人
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_283-I_293
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     RCラーメン高架橋を対象として,常時微動による損傷検知に関する解析的検討を実施した.損傷として橋脚下端の塑性ヒンジ化を考え,損傷なし(Case0),損傷が橋軸方向に偏った場合(Case1),損傷が橋軸直角方向に偏った場合(Case2)の3ケースを設定し,各ケースに対し,固有値解析を実施して振動モードを把握した後,常時微動を模擬したランダム波を基部より水平2方向同時入力した.主要点の加速度伝達関数を比較することにより,Case0~Case2の各ケースの差異が伝達関数に与える影響を検討した.これらの結果から,常時微動モニタリングによる主要点の加速度伝達関数の分析により,損傷エリアの概略の分布傾向の把握が可能なことがわかった.
  • 豊増 明希, 後藤 浩之, 澤田 純男, 高橋 良和
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_294-I_301
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     平成28年(2016年)熊本地震前震および本震において,九州自動車道御船ICでは周辺に比べて大きな地動速度が観測された.本研究では御船ICにおいて大きな地動速度が観測された原因を分析することを目的とし,常時微動観測による地盤構造の調査と,御船ICにおける熊本地震の前震および本震記録の再現解析を行った.常時微動観測の結果,御船ICにおいて推定される地盤構造が周辺観測点と異なることが確認された.推定された地盤構造を用いて嘉島町役場の観測記録から御船ICの波形を求めたところ,観測記録を良好に再現した.この結果から,熊本地震の前震および本震において観測された大きな地動速度の原因の一つとして,御船ICの地盤による地震波の増幅が考えられる.
  • 松田 滋夫, 中仙道 和之, 盛川 仁, 飯山 かほり, 坂井 公俊
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_302-I_312
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     水晶振動子をセンサとして採用した加速度センサは振り子による加速度センサとは異なり,その原理から小さなセンサでも高い感度と精度が期待できる.しかし,水晶振動子は温度変化の影響を強く受ける.本研究では,既に実用化されている水晶振動子による加速度センサがどれだけの精度を有するかを確かめるためにセンサ全体をデュワー瓶に入れて高度な温度管理をしながら温度と共に加速度値を記録した.定点における長時間測定および絶対重力値があきらかな多数の重力基準点での測定を実施し,温度と加速度値の関係を定性的,定量的に明らかにしたうえで,簡単な回帰式を用いてモデル化した.得られたモデルを用いて加速度記録を温度を用いて補正することで,2~3 mGalの精度で加速度値を求めることができることを明らかにした.
  • 小野 祐輔, 本郷 峻介
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_313-I_319
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     本研究ではOpenStreetMapの道路ネットワークに関するデータと国土地理院基盤地図数値標高モデルによる標高データを利用し,中山間地の集落の地震時の孤立可能性を道路ネットワークの非連結確率として定量的に評価する手法を構築した.道路ネットワークを構成するノードとリンクの破壊確率は,酒井ら(2013)による斜面崩壊率の評価式を用いて求め,モンテカルロ法により指定した集落と防災拠点として想定した自治体庁舎との間の道路ネットワークの非連結確率を計算した.構築した手法による評価に対して,対策の有無及び利用する数値標高モデルの影響について考察した.さらに,中山間地の地震時孤立可能性の評価に対してOpenStreetMapを利用することの利点と問題点について整理した.
  • 阿部 慶太, 中島 進, 池本 宏文
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_320-I_328
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     地震時における鉄道盛土の被害抑止,防止に向け進められている耐震対策を行う上では,盛土の被害が想定される箇所を抽出した上で被害形態を評価し,適切な対策工を選定する必要がある.一方,被害箇所の抽出方法の検討については進められているものの,被害形態の評価については,現状主に実務設計照査で用いられている,土の進行的破壊を考慮していない円弧すべり安定解析を用いた場合,すべり面位置が深く計算される場合があることが模型実験により確認されている.そこで本研究では,土の進行的破壊を考慮しつつ,盛土が残留変形するまで解析可能な粒子法を用いた解析的検討を行い,進行的破壊の考慮が盛土の被害形態の評価に与える影響について検討した.
  • 坂井 公俊, 小島 謙一
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_329-I_340
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     等価1自由度モデルによる液状化地盤の簡易な地盤応答解析法を提案した.本手法はまず,地盤全体系の強度変化曲線と累積損傷度法を組み合わせることで,地盤全体系の強度変化を時々刻々評価する.続いて,この強度変化を等価1自由度モデルに導入することで,液状化に伴う地盤の長周期化,強度低下等の現象を直接考慮した応答評価を簡易に実施可能とする.
     提案手法による地表面地震動は,詳細な有効応力解析による地表面地震動と調和的な結果となっている.また,提案法に必要な情報は,入力地震動,地盤の固有周期Tg,地盤強度比Kfと地盤全体系の強度変化曲線のみであり,これらは柱状図等から比較的容易に推定可能である.そのため,本手法は液状化地盤上の地表面の簡易な地震動評価手法として活用が期待される.
  • 鈴木 健一, 池本 宏文, 佐名川 太亮, 阿部 慶太, 高崎 秀明, 西岡 英俊
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_341-I_350
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     本研究では,橋台における地震時土圧の発現機構を確認するため,実物高さ8mの重力式橋台を想定した縮尺1/8(高さ1m)の模型を用いて,地震波(L1,L2地震動),および正弦波3Hzのステップ加振による振動台実験を行った.加振中は高速度カメラにより橋台,背面地盤の挙動を撮影し,背面地盤に設置した標点の変位を画像解析により求めた.実験結果から,地震時土圧の発現は,背面地盤の応答加速度だけではなく,橋台と背面地盤の間における微小な相対変位が影響していることを確認した.また,地震時土圧,背面地盤の応答加速度,および橋台と背面地盤の相対変位の相関関係は,橋台の高さ位置において異なり,それは橋台と背面地盤の相互の挙動が影響していることが分かった.
  • 平山 智章, 鍬田 泰子, 有野 治
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_351-I_360
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     サイホンは基幹管路の一構造物として重要な構造物であり,縦断方向の水路勾配が急であるために横断方向に合わせて縦断方向の耐震性を確保しておく必要がある.しかし,縦断方向の耐震設計法が確立されないまま建設されており,現在においてもサイホンの耐震性を対象とした研究事例は少ない.本研究では,サイホンの耐震性能照査手法を設定し,パラメータ解析によってサイホンの耐震上問題となる条件を整理した.さらに,耐震性能照査の第一段階として,複数のサイホンの中からより優先順位の高いサイホンを選定するための指標の提案を行った.サイホンの縦断方向の耐震性については,曲げに対する照査が重要であり,水路勾配が耐震性能に最も影響を与えることが示された.
  • 坂井 公俊, 井澤 淳, 石橋 利倫
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_361-I_368
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     橋梁・高架橋や地下構造物の地震応答値算定法として応答変位法が用いられることがある.この時に地盤変位を別途評価する必要があるが,これを地盤の固有周期Tgをパラメータとして推定する手法が存在する.しかしながら,比較的大きな地震動レベルを対象とした場合,地盤の非線形程度も重要な指標となると考えられる.
     そこで本検討では,地盤全体系の強度を表す指標(地盤強度比Kf)をパラメータとして加えた地盤変位の評価手法を提案するとともに,従来法からの精度向上を確認した.この地盤強度比Kfは,通常の地盤調査結果から比較的容易に推定することが可能である.そのため本手法は,応答変位法を適用する際の地盤変位量の評価法として実務的に有効な方法であると考えられる.
  • 古川 昭太, 丸山 喜久
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_369-I_380
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     本研究では国土数値情報と防災科学技術研究所の地すべり地形データベースなどを利用し,宮城県仙台市と熊本県における地形的特徴と地すべり,土砂崩壊発生地点の因果関係を,共分散構造分析と機械学習による分析を用いて評価した.それぞれの手法について被害推定式を構築し,地すべり地形評価図として既存の分布図との比較考察を行った.共分散構造分析では,地すべり発生の危険が高い地点が本来の地すべり発生地点に比べて過剰に抽出された.機械学習については,オーバーサンプリングによって不均衡データを整形することで,分類器の判別精度を向上させることができた.
  • 千田 知弘, 崔 準祜, 平川 泰之, 川崎 巧, 渡辺 浩
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_381-I_394
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     2016年4月に発生した熊本地震により崩落した阿蘇大橋に関し,一年以上経過した今現在も崩落の原因は明らかにされていない.当初,大規模土砂災害による崩土に巻き込まれて崩落した可能性が示唆されていたが,最近の調査では地盤変動によって崩落した可能性も示唆されるようになってきた.しかし,そのどちらについても崩落原因として明確な検証がなされていない.
     本研究では,阿蘇大橋周辺の地盤変動と斜面崩壊による崩土に着目し,阿蘇大橋崩落の可能性についてFEM解析を用いてそれぞれ検討した.地盤変動に関しては,航空レーザ測量を用いて阿蘇大橋周辺の震災前後の地盤変位量を推定し,その値を基に崩落の可能性を検討した.崩土に関しては,アーチ支間の1/4,1/2に到達したと仮定し,崩土を上載荷重とした解析により崩落の可能性を検討した.
  • 佐々木 智大, 樋口 俊一
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_395-I_406
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     近年,断層変位によって構造物に重大な損傷が生じた事例の報告が増えつつある.断層変位を受ける構造物に作用する力に関しての研究は盛んに行われているが,大きな荷重が作用した結果起こる被害についての検討は不十分である.本研究では,土被り厚をパラメータとして設計した3種類のRCボックスカルバートを対象に,断層変位を与える2次元有限要素解析を実施し,断層によって強制変位を受けた構造物がどのように損傷していくかについて検討した.解析の結果,土被りが大きいケースでは,側壁に作用する土圧が大きくなる結果,側壁が斜め引張破壊するのに対し,土被りが小さいケースでは,側壁下部においてせん断すべり破壊により損傷しており,側壁に作用するせん断力によって異なる破壊形態が生じることを明らかにした.
  • 鈴木 崇伸, 田中 宏司, 奥津 大
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_407-I_416
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     この研究は2地点間の固有周期差が地震時に相対変位を大きくすることに注目して,益城町の通信管路被害の分析を行っている.微動計測によりマンホール位置の揺れ特性を明確にし,地震観測データに基づいて各地点の相対変位を計算する方法を提案している.相対変位が生じる原因は各地点の表層地盤の増幅特性の違いであると考え,微動計測によりマンホール位置の卓越周期を計測し,基盤波を入力することにより揺れの大きさを再現した.益城町内の注目した地区の微動計測の結果は概ね一様な振動特性であり,0.3sから0.5s程度の周期となっていた.地盤条件のわかっているKiK-net観測点の揺れに基づき,各地点の相対変位の評価を行い通信管路被害と結果を報告している.
  • 吉田 昌平, 香川 敬生, 野口 竜也
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_417-I_428
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     2016年10月21日に鳥取県中部を震源としてMJ 6.6の地震が発生した.この地震により鳥取県内の3観測点で最大震度6弱を記録した.この地震による建物家屋の被害は局所的であり,被害要因を解明するために,本震発生後に建物被害集中域を中心として計9点の臨時余震観測点を配置した.本研究では,臨時余震観測点で得られた地震記録を用いた経験的グリーン関数法による強震動シミュレーションから,臨時余震観測点での本震波形の再現を試みた.その結果,建物被害が集中する地域は,地震動の振幅および応答スペクトルの周期1.0秒以下の建物家屋に影響する周期帯が大きくなり,被害状況と概ね対応する結果となった.一部の観測点では,地盤の非線形挙動の影響を受けている可能性が示唆され,地盤構造を含めた詳細な検討が今後の課題である.
  • 小山 天城, 丸山 喜久
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_429-I_440
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     本研究では,津波発生時に自動車運転者に対し,避難情報を効果的に伝達する方法を検討することを目的に走行模擬実験を行った.実験内容は,ドライビングシミュレータを用いてバーチャルリアリティ空間内を自動車で走行し,津波から避難できるか否かを検討することである.実験時の被験者の行動や視線の動きなどから,津波避難時におけるカーナビから提供される渋滞情報とハザードマップの有用性を検討した.実験の結果,渋滞情報を表示するだけでは避難率向上の効果は大きくなかった.しかし,ハザードマップを表示したところ,多くの被験者がハザードマップに注意を向けながら避難ルートを選定しており,避難率も向上した.
  • 中澤 博志, 原 忠, 末次 大輔, 栗林 健太郎, 西 剛整, 三好 克明, 田所 佑理佳, 臼倉 和也
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_441-I_451
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     本研究では,蛇籠擁壁の耐震性能評価及び地震時被災形態の要因を解明するため,実大規模振動台実験を実施した.本実験では,2015年4月25日に発生したネパール地震において,道路閉塞が多発したアラニコ・ハイウエイにおける蛇籠構造物の調査結果に基づき,孕み出しや傾斜等の変形が多く確認された直立3段積みの蛇籠擁壁を大型土槽内に再現し,加振実験を実施した.その結果,加振時には擁壁に位相差が生じる等,複雑な動的挙動が確認された.また,加振後には,蛇籠擁壁全面に大きな傾斜が生じ背後地盤に崩壊が見られたが,擁壁が自立してた.このことから,蛇籠擁壁は柔構造ではあるために,背後地盤の変形に拘わらず,転倒・破壊には至らないことが確認された.
  • 佐藤 忠信
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_452-I_463
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     地震動加速度時刻歴を対象として,そのフーリエ変換が円振動数に対する確率過程として取り扱えるとことを前提として,確率過程を規定する確率特性を明確にする.その上で,加速度時刻歴のフーリエ変換に内在する微分不可能性の本質的特性を解明する.まず,フーリエ位相ならびに振幅の円振動数に関する平均勾配の確率密度関数がレヴィフライト分布関数で表現できることを誘導し,それらが自己アフィン相似性を有する確率過程として表現できることを明らかにする.さらに,フーリエ変換の実数部と虚数部の円振動数に関する微係数を確率過程とすると,それらの確率特性が同一のレヴィフライト分布に従うことを明らかにする.レヴィフライト分布関数の分散値は定義できないので,実数部と虚数部が円振動数に関して微分不可能な確率過程となることを示す.
  • 内藤 昌平, 門馬 直一, 中村 洋光, 藤原 広行, 下村 博之, 山田 哲也
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_464-I_480
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     2016年熊本地震の本震発生後3日間に取得された航空写真を用いて目視判読により建物被害を4段階に区分するとともに,国土地理院が公開する国土画像情報との対比により建築年代を2段階に分類した上で,建物の形状から木造,非木造に区分し,これらのデータを国土地理院の基盤地図情報と突合することにより約32万棟分のGISデータを作成した.また,別途実施した地表からの外観目視による建物被害調査結果との比較を行い,航空写真を用いた建物被害判読の精度について検証した.さらに,本震により生じた建物被害率と地震動強さとの関係について検討した.一方,益城町においては前震直後の4月15日に取得された航空写真の目視判読により建物被害を把握し,前震のみの影響による建物被害率と地震動強さとの関係について検討した.
  • 田中 陽裕, 川崎 佑磨, 植田 健介, 伊津野 和行
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_481-I_489
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     1995年の兵庫県南部地震以降,ゴム支承の採用事例が増えた.しかし,それから20年以上経過した近年,ゴム支承の経年劣化の顕在化や大地震によるゴム支承の破断が報告されている.しかし,現在までにゴム支承の損傷度を評価できる手法は明確にされていない.著者らは,非破壊試験法の一つであるAcoustic Emission(AE)法を用いて,損傷したゴム支承の損傷評価に取り組んできた.その既往の研究成果から,せん断載荷を受けたゴム支承に対してAE計測を行い,特徴的なAE現象が確認された.しかし,せん断試験前にAE計測を実施しておらず,それらのAE現象がせん断載荷に伴う損傷によるものか確認していなかった.本稿では,せん断試験前後で繰返し圧縮載荷試験を行いAEモニタリングを実施した.その結果,せん断試験前と後で異なるAE特性が確認された.
  • 康田 雄太, 櫻井 裕隆, 川崎 佑磨, 伊津野 和行
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_490-I_496
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     1995年に発生した兵庫県南部地震で,多くの橋梁が損傷・倒壊するなど甚大な被害を受けた.損傷を受けた橋脚の大規模な耐震補強として採用実績が多い耐震補強工法が,鋼板巻立て工法である.しかし,補強後に経年劣化や地震動などの影響により鋼板とコンクリートの間で剥離が生じた場合,その内部状態を外観から把握することは困難であるのが現状である.そこで本研究では,コンクリート部材を鋼板巻立て工法で補強して,衝撃弾性波法を用いて鋼板とコンクリートの間の剥離箇所の評価の可能性について検証した.その結果,各計測点での最大振幅値に違いが見られた.完全に接着補強した供試体では最大振幅値が0.3V以下に対して,剥離を模擬した供試体では0.5~0.6Vであった.このことから,両者の検出波形の相違を確認できた.
  • 池田 隆明, 染井 一寛, 倉橋 奨, 宮腰 研, 釜江 克宏, 高瀬 裕也, 小島 由記子
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_497-I_507
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     2016年10月21日に鳥取県中部でMj6.6の地震が発生し,震源近傍では強い地震動が生じ多くの住家被害が発生した,この地震は従来活断層が確認されていなかった場所で発生したものであり,強震動予測においては「震源を事前に特定できない地震」のタイプに分類される.我が国にはこのようなタイプの地震が発生する可能性が高く,震源のモデル化を含めた強震動予測技術の精度の向上が求められる.そこで,経験的グリーン関数法を用いたフォワードモデリングにより鳥取県中部の地震の震源モデルを構築し,既往の震源のモデル化手法との比較を行った.
  • 繁田 健嗣, 能島 暢呂, 永井 小雪里, 加藤 宏紀
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_508-I_521
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     地震災害による避難者の予測は,地震防災対策を策定するうえで重要課題である.本研究ではその基礎的検討として,2016年熊本地震で被災した5市町村(益城町・西原村・南阿蘇村・御船町・熊本市)における避難者の発生とその解消過程について,家屋被害,停電・断水,余震,仮設住宅の整備等に関する状況とあわせて時系列的整理を行った.建物の全半壊人口,停電・断水人口に加えて,社会的回復力を表すレジリエンス関数を導入して,避難者数の推移を記述するモデルを構築した(モデル 1).また避難者数のピーク後の解消過程に関するモデルを検討し,短・中・長期に対応した混合数3の混合指数分布でモデル化した(モデル 2).モデル係数の比較により,避難者数の推移の特徴を明らかにした.
  • 橋本 隆雄, 松下 一樹
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_522-I_533
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     2016年熊本地震では,震度7が2回,震度6弱以上が7回発生し,熊本市,益城町,西原村,南阿蘇村等の宅地擁壁の被害が広範囲に数多く発生した.そこで,延べ2,870人被災宅地危険度判定士が熊本県内の被災した12の市町村において43日間で20,022件の判定を行った.本論文では,各市町村の宅地被害状況について被害項目ごとに分析し,既往地震と2016年熊本地震の比較を行った.その結果,熊本地震による宅地擁壁の被害は,空石積擁壁が29%(約1/3)を占め,傾斜・倒壊及び崩壊の被害が非常に多くなっている.宅地地盤の被害は陥没17%,沈下24%,段差15%が非常に大きく,のり面・自然斜面の被害は滑落・崩壊87%が非常に大きく,既往地震と比較すると被害割合・量ともに非常に大きいことが明らかとなった.
  • 蔡 飛, 狩野 圭喬, 佐藤 靖彦, 今村 眞一郎, 土屋 光弘, 小宮 隆之, 平野 孝行, 齋藤 禎二郎
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_534-I_545
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     東北地方太平洋沖地震により関東地方でも広範囲で液状化現象が発生し,戸建て住宅や公共施設に被害が生じ,生活に支障をきたす状況に陥った.本研究では,市街地や既設構造物にも適用可能な大間隔格子状改良および排水材併用工法による液状化対策効果について,液状化しやすい地層の深さが異なる2種類の地盤を対象とした数値解析的検討結果を報告する.本研究の解析条件では,加振平行方向の格子壁に生じたせん断応力は加振直角方向の格子壁に生じたせん断応力より約2倍大きいことがわかった.
  • 劉 厳, 葛 漢彬, 康 瀾
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_546-I_557
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     本研究ではノッチを有する試験片の単調引張実験と解析を行い,軟化域における応力三軸度の影響を考慮することにより延性破壊モデルの改良を試みている.一連の実験と解析によって要素破壊時の塑性変位と不均一比(ノッチ先端と試験片の中心における応力三軸度の平均値の比)の関係を解明した.また,応力三軸度の影響を考慮した要素破壊時の塑性変位を適用した延性破壊モデルにより,メッシュ分割による影響を概ね解消するとともに,高応力三軸度下における鋼材の延性破壊挙動を精度良く予測することができた.
  • 宍倉 佳浩, 鈴木 猛康
    2018 年 74 巻 4 号 p. I_558-I_567
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー
     線状地下構造物の地震対策の一つであるトンネル免震構造の特徴は,地盤ひずみのトンネルへの伝達を免震区間におけるトンネルひずみの平滑化により低減させることである.そのため,十分な免震区間長を必要とする.これに対して本論文では,免震区間長を短縮させる試みとして,滑り型免震構造の両端に比較的小規模な可撓継手を配置した新たな免震構造であるSaS免震構造を提案している.このSaS免震構造を硬軟地盤境界部と基盤不整形表層地盤中のシールドトンネルへ適用し,地震時トンネル軸ひずみを算定して従来の滑り型免震構造適用ケースと比較,SaS免震構造が従来の免震構造よりも優れた免震効果を有することを示した.また,パラメトリックスタディを通し,免震構造を配置すべき区間,必要とされる免震区間長について,免震設計の観点から検討した.
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