土木学会論文集A1(構造・地震工学)
Online ISSN : 2185-4653
ISSN-L : 2185-4653
76 巻 , 2 号
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和文論文
  • 清川 昇悟, 舘石 和雄, 判治 剛, 清水 優
    2020 年 76 巻 2 号 p. 212-222
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/20
    ジャーナル フリー

     鋼構造物の損傷対策である高力ボルトによる当て板補修において,既設部材との干渉などから,設計基準の規定よりも狭いボルト間隔や縁端距離でボルトを配置せざるを得ないケースがあるが,それによる力学的影響については不明である.本研究では,ボルト配置を現行の基準よりも狭い配置とすることが高力ボルト摩擦接合継手の疲労強度に与える影響を明らかにすることを目的として,疲労試験および有限要素解析を行った.

     疲労試験の結果,狭いボルト配置は疲労強度を1等級程度低下させること,特に,はしあきの影響が大きいことが明らかになった.解析では疲労き裂の発生位置近傍に最大の応力集中が確認され,この応力集中係数の比較により疲労強度への影響を相対的に評価できる可能性を示した.さらに,継手形状や材質が疲労強度に与える影響を分析した.

  • 川崎 佑磨, 田中 陽裕, 山田 悠二, 植田 健介, 伊津野 和行
    2020 年 76 巻 2 号 p. 229-238
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/20
    ジャーナル フリー

     筆者らは,非破壊試験法のアコースティック・エミッション(AE)法を利用したゴム支承の損傷評価に関する研究を進めてきた.さらに,ゴム内部を伝搬する弾性波の検出精度に関して,ゴム単体の確認実験を実施し,ゴム内部に鋼棒を挿入し先端のみを加硫接着して引抜くことで生じる剥離音の検出精度についてまとめた.本稿では,ゴム支承の構成に近づけるために,ゴム内部に挿入した鋼棒の上・下・上下それぞれに鋼板を配置した.鋼棒の剥離音によってゴム内部を伝播する弾性波の検出精度に鋼板が与える影響について実験した.解析では,3次元位置標定解析を行い,剥離箇所と位置標定箇所の相違を分析した.その結果,鋼板が配置された場合でもAE現象を検出することができた.また,位置標定精度が低くなったが,損傷の影響を検出できることが分かった.

  • 水谷 壮志, 石川 敏之, 秀熊 佑哉
    2020 年 76 巻 2 号 p. 239-254
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/20
    ジャーナル フリー

     損傷した鋼部材に軽量かつ強度の高い炭素繊維強化樹脂(CFRP)を接着して補修・補強する工法が適用され始めている.定着長が確保された接着接合部の耐力・強度は,エネルギー解放率を用いて算定することが「FRP接着による構造物の補修・補強指針(案)」で示されている.高弾性型のCFRP板やCFRPストランドシートは,輸送や施工の面から長さが制約されることがあり,CFRPに継目を設けて施工する場合がある.本研究では,軸力および等曲げモーメントが作用する条件において,継目および段差を有するCFRP接着鋼板のCFRPの継目位置およびCFRP端部のエネルギー解放率の式を導出した.また,理論解析およびFEM解析の結果より,本研究の対象モデルでは,CFRPの継目位置よりもCFRP端部のエネルギー解放率が大きくなることがわかった.

  • 田村 洋, 南 邦明, 吉岡 夏樹, 内田 大介, 茂呂 充, 濱 達矢, 平尾 賢生
    2020 年 76 巻 2 号 p. 255-274
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/20
    ジャーナル フリー

     現在,高力ボルト摩擦接合継手においては,継手ごとに統一された接触面仕様とすることが原則となっている.しかしながら,既設橋りょうの保全工事や耐候性鋼材を裸仕様で使用した箱桁の新設工事等においては,仕様の異なる接触面を含んだ摩擦接合継手を採用することで,施工の省力化・迅速化が図れる場合が多いものと考えられる.本研究では,仕様の異なる接触面を含んだ摩擦接合継手を異種接合面継手と呼び,11種類33体のボルト継手試験体を対象にリラクセーション試験とすべり耐力試験を実施した.そして,5種類の異種接合面継手について初期軸力導入後のボルト軸力の推移と引張荷重下でのすべり挙動を明らかにし,先行研究の結果も引用してすべり係数確保の観点からの異種接合面継手の適用性や設計で使用するすべり係数値を検討した.

  • 岩田 眞, 戸崎 隆之, 安原 真人, 池田 学, 仁平 達也
    2020 年 76 巻 2 号 p. 275-291
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/20
    ジャーナル フリー

     土地の高度利用のため,既設ビルまたは鉄道などのインフラを受ける地下函体を主な対象とし,構真柱と床版の接合構造を提案した.高軸力を受ける構真柱はコンクリート充填鋼管(以下,CFT)を採用し,函体の縦断方向はCFT柱と縦方向梁の鉄筋を接続し,横断方向は,梁を設けず,縦方向梁との配筋の取合いからRC床版の主鉄筋を非接続とした接合構造である.本研究では,提案する接合構造の耐荷機構を把握することを目的に,模型試験体による交番載荷実験を実施し,接合部が所要の耐力を有していることを確認し,荷重伝達機構を明らかにした.さらに,荷重伝達要素の寄与度を検討し,CFT柱側面の支圧・摩擦による抵抗が全体の40%程度と最も大きい等,設計照査に必要となる荷重分担率を定量的に推定した.

  • 藤井 美久, 藤野 陽三, シリンゴリンゴ ディオンシウス , 並川 賢治, 矢部 正明, 沈 赤
    2020 年 76 巻 2 号 p. 292-311
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/20
    ジャーナル フリー

     1978年に完成した荒川湾岸橋(首都高速道路湾岸線)は,2011.3.11東北地方太平洋沖地震でトラス橋の接合部を構成するガセットプレートに破断や大きな変形が生じた.本論文では,荒川湾岸橋を対象に,梁要素による橋梁全体系モデルとシェル要素による接合部に着目した部分詳細モデルを用いて,接合部損傷の再現性を検討した.橋梁全体系モデルでは,実際に生じた損傷箇所と応力度が大きくなる部材が概ね一致していた.部分詳細モデルでは,接合部に生じた大きな変形や破断が生じた部位を再現することができた.このように,接合部の損傷が力学的に説明できることは,設計では部材同士の結合条件でモデル化されるため損傷判定の対象外とされてきた鋼トラス橋の接合部の照査を,耐震設計では適宜行う必要があることを示唆している.

  • 鈴木 祐輔, 飯山 かほり, 盛川 仁, 坂井 公俊, 荒木 豪
    2020 年 76 巻 2 号 p. 312-319
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/20
    ジャーナル フリー

     堆積盆地や埋積谷のような不整形地盤ではその基盤形状を反映した堆積層の振動モードが形成されることが知られている.このことは観測記録等から堆積層の振動モードを同定できればその基盤形状をも推定できる可能性を示唆している.しかし,小規模な埋積谷では狭い周波数帯に振動モードが多数含まれる上ノイズも混在するため,モード同定そのものが難しいことが予想される.本研究では小規模な埋積谷の振動モード特性同定に関する基礎研究として,詳細な工学的基盤形状が既知の埋積谷を対象に多点常時微動観測を行い,FDD(Frequency Domain Decomposition)法を適用した.FDD法理論に基づく考察と数値実験を併用した比較検討から小規模な埋積谷の振動モード特性同定の可否を論じ,その方法論について提案した.

  • 小畑 誠, 海老澤 健正, 後藤 芳顯
    2020 年 76 巻 2 号 p. 320-330
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/20
    ジャーナル フリー

     ゴム支承は橋の耐震設計において重要な役割を果たすため,その変形特性と破壊特性を正確に評価することが必要である.ゴム支承のゴム材料は,破壊するまで数百%もの巨大なせん断変形を受け,超弾性,可塑性,粘性などのゴム材料に固有の材料特性を持っているため,必然的に大変形問題と複雑な応力ひずみの関係を考慮する必要がある.そのため,ゴム支承の挙動の正確な数値シミュレーションについての多くの研究がなされている.本研究では,充填ゴムに特有のMullins効果およびこれまで深く論じられることが少なかったゴム材料の塑性挙動に注目する.そしてこれらの定式化に必要かつ合理的な改善を加え,実験結果をよりよく再現できることを示した.

  • 筒井 康平, 南 邦明, 横山 秀喜, 天野 貴文, 田村 洋
    2020 年 76 巻 2 号 p. 331-342
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/20
    ジャーナル フリー

     高力ボルト摩擦接合継手において,表面と裏面(例えば,箱桁の外面と内面)で摩擦面の仕様が異なる異種継手を用いることがあるが,同継手のすべり挙動は明確でなかった.本研究は,異種継手のすべり挙動およびすべり耐力を明確にすることを目的とした実験的研究である.本実験では,表面に溶射,裏面に無機ジンクリッチペイントを施した高力ボルト摩擦接合継手試験体を製作し,これらを用いてリラクセーション試験およびすべり耐力試験を実施した.すべり耐力試験の際,表面と裏面にそれぞれ変位計を設置してすべり時の挙動を計測し,異種継手のすべり時の挙動を明確にした.また,同継手のすべり耐力を明確にし,異種継手の適用性についても示した.

  • 頭井 洋, 田中 賢太郎, 松村 政秀, 姫野 岳彦
    2020 年 76 巻 2 号 p. 343-355
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/20
    ジャーナル フリー

     鋼桁橋の橋軸直角方向変位を制限するサイドブロックや下沓突起部材等の支承変位固定部材を対象に,固定部材の塑性変形が橋の動的挙動に及ぼす影響についてFEM静的解析および地震応答解析より検討した.レベル2地震動に対し弾性域を超えない範囲内に留まるように設計される現行設計による基本モデルと降伏耐力を低減させたモデルを用いて,上沓と変位固定部材間のクリアランス差,変位固定部材の降伏耐力,入力地震波をパラメーターとして,これらが,変位固定部材に生じる変形や作用荷重に及ぼす影響を調べた.その結果,固定部材に生じる塑性変形は,クリアランス差や地震波の不確定性などによる影響を緩和でき,設計で想定した状態を超える事態に対し有効となりえることを示した.

  • 加藤 宗, 長山 智則, 王 浩祺, 蘇 迪, 西尾 真由子
    2020 年 76 巻 2 号 p. 356-375
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/20
    ジャーナル フリー

     実働活荷重把握手法であるBridge Weigh-In-Motion(BWIM)を加速度計測に基づいて実現できればコストや労力の観点から有用である.本研究では,データ同化手法の一つであるカルマンフィルタを無線加速度計測データに適用して橋梁たわみを推定し,複数車両の同時走行にも適用できる重量推定法を提案した.さらに本手法により,車両速度変化や入退出時刻推定誤差の影響を軽減して車重を推定可能とした.次に桁端部応答をニューラルネットワークにより処理し,車両入退出時刻,走行車線を自動判定する車両検知手法を提案した.これらを組み合わせたBWIMを一般道のある連続鋼箱桁橋へ適用したところ,精度約10%で車両重量を推定できることが示された.さらに,11日間の連続計測データから,重車両の通行台数を含めた交通荷重特性が明らかとなった.

  • 徳永 宗正, 成田 顕次, 後藤 恵一
    2020 年 76 巻 2 号 p. 376-394
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/20
    ジャーナル フリー

     本研究では,大規模地震時や降伏震度の低い既設構造物を対象とした場合の鉄道車両の地震時走行安全性の弱点箇所の効率的な判定を目的として,構造物の非線形挙動が車両の脱線限界に及ぼす影響度を定量化し,構造物の振動加速度と構造物境界の不同変位を同時に考慮した地震時走行安全性の簡易評価手法を提案した.提案手法は,構造物の天端加速度と構造物境界の角折れといった構造物の応答のみから脱線の発生を判定することができる一般性の高い手法である.従来は独立に照査していた振動変位と不同変位を連続した関数により評価でき,これにより弱点特性に応じた効果的な対策工の選定が可能となった.また,その妥当性は車両/構造物の非線形動的相互作用解析に基づき算出された脱線が発生する地震動規模および位置との比較により検討した.

  • 高井 俊和, 中村 悠紀
    2020 年 76 巻 2 号 p. 401-410
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/20
    ジャーナル フリー

     高力ボルト摩擦接合継手の母材の引張降伏荷重は,母材純断面の降伏荷重に加えて,純断面に至る前の接触面の摩擦による荷重伝達も期待される.降伏に対する設計では,この摩擦伝達を見込むことで継手の降伏荷重が最大限活用可能となる.すべりが生じると静止摩擦から動摩擦となり摩擦係数が低下し,純断面力と摩擦力の関係が変化することが考えられる.しかし,すべり後にその関係がどのように変化するかは必ずしも十分に明らかとはなっていない.そこで,高力ボルト摩擦接合継手の母材の降伏挙動に着目し,すべり前後の挙動の違いを明らかにすることを目的に継手のFEM解析を実施した.その結果,すべり前では,母材純断面に至る前の摩擦力が純断面降伏荷重の10%以上期待される一方で,すべり後は10%以下となる場合があることが明らかとなった.

  • 田中 浩平
    2020 年 76 巻 2 号 p. 411-423
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/20
    ジャーナル フリー

     将来的に自然災害が発生する可能性が高い箇所を地図上に表示したものにハザードマップがある.マップの作成にあたっては,その地点周辺の地形が影響の大きい因子として挙げられる.この地形的要因に対しては,専門家が災害発生との因果関係を整理することでルールベースによる特徴抽出が行われてきた.しかしながら,地形情報の複雑さを考えるとこれらの関係が必ずしもルールとして記述できるとは限らない.このような状況から,地形情報を入力とするモデリングにおいて,入出力データからその関係性を自動的にモデル化する機械学習によるアプローチが有効となる可能性がある.そこで,本検討では,1例として地形情報から工学的基盤深度を推定するという問題を設定し,機械学習モデルの有効性を確認した.

和文報告
  • 杉崎 光一, 阿部 雅人, 全 邦釘, 宮本 崇, 河村 圭
    2020 年 76 巻 2 号 p. 197-211
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/20
    ジャーナル フリー

     インフラ維持管理のニーズが高まり,負担軽減や高度化が求められる中,IoTやAIなどの新技術を利用したメンテナンスのイノベーションが期待されている.メンテナンスは,点検や施工など,現場を主体とした労働集約的な業務が多く,また,点検結果の整理や施工の準備工や事前協議など,内業においても労働集約的な業務が多い.新技術をメンテナンスに活用していく検討は,個々の課題に対して場当たり的に行われている現状があり,インフラメンテナンスサイクルを改善するような戦略的な活用方法の検討が必要となっている.本研究では,インフラメンテナンスの特徴を整理し,新技術を利用したメンテナンスの生産性向上について課題を整理した.また,AIを利用したインフラメンテナンスの生産性を向上するためのAI技術利活用のユースケースを整理した.

和文ノート
  • 伊津野 和行, 杉戸 真太
    2020 年 76 巻 2 号 p. 223-228
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/20
    ジャーナル フリー

     構造物の非線形応答に強震動継続時間が及ぼす影響について,数値解析的な検討を行った.強震観測網K-NETで観測された約4万の波形を,ほぼ同じ加速度応答スペクトルを持つよう修正した上で1自由度系に入力し,平均的な応答とばらつきを計算した.降伏震度0.6の完全弾塑性型骨格曲線を仮定した場合,履歴復元力特性がバイリニア型であっても剛性劣化型であっても,加速度応答スペクトルには継続時間の影響が見られなかった.一方,変位応答スペクトルには継続時間の長短によって平均的な応答に違いが見られたが,個々の波形による最大応答値が大きくばらつき,継続時間の影響が大きいとは言えなかった.ただし,履歴吸収エネルギー量は地震動の継続時間が長いほど多くなった.

  • 玉川 新悟, 清水 紗希, 及川 祐也, 山本 智之
    2020 年 76 巻 2 号 p. 395-400
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/20
    ジャーナル フリー

     本研究では,分岐器の保守省力化の実現を最終目標とする検討の一環として,トングレールの制御とモニタリングを両立させた新しい転換装置を開発することを目的とした.まず,転換機構に電動油圧アクチュエータを採用し,分岐まくらぎに内蔵が可能なうえ,トングレールの位置と転換力の制御およびモニタリングが可能な転換装置を製作した.つぎに,製作した転換装置を試験用分岐器のポイント部に敷設し,転換装置に設置した変位計と圧力計の出力値を確認するとともに,1万回以上の転換動作を確認した.さらに,製作した転換装置に防水性を付加する改良を行い,時雨量100mmで2時間の散水試験を行った結果,改良した転換装置は,まくらぎの凹部が浸水した状態でも異常なく動作することを確認した.

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