土木学会論文集A1(構造・地震工学)
Online ISSN : 2185-4653
ISSN-L : 2185-4653
77 巻 , 4 号
選択された号の論文の63件中1~50を表示しています
地震工学論文集第40巻(論文)
  • 樫山 大樹, 銭 城, Miguel B. BRITO , 石垣 直光, 秋山 充良, 本田 利器
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_1-I_13
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     ダメージフリー橋梁の開発を目指し,著者らは摩擦振子型免震機構を有するRC橋脚を提案するとともに,その震動実験を行ってきた.提案構造は,橋脚中間部に滑り面を設けることで橋脚下部に伝達される地震時慣性力を大幅に低減することができる.特徴は3Dプリンターで製作したコンクリート型枠を用いることで,複雑な形状を有する滑り面を安価に製作できる点にある.本研究では,過去に用いた橋梁模型を大型化し,提案構造の地震応答に及ぼす寸法効果の影響を検討するための震動実験を実施し,提案構造で生じる応答加速度の低減効果や残留変位の大きさが供試体寸法に依存しないことを確認した.また,得られた実験結果に基づき,提案構造で生じる最大応答変位,および残留変位の予測式を提案した.

  • 竿本 英貴
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_14-I_23
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     地震時に活断層周辺で生じる地表変位を予測することは,変位が社会基盤施設に与える影響を考察する上で重要である.二つの横ずれ断層で挟まれる領域では,沈降場が生じるプルアパート構造がしばしば認められる.プルアパート構造についての個別事例報告は存在するが,その素過程については未解明な部分が多い.ここでは断層面配置および広域応力場を変化させ,プルアパート構造の沈降量や断層面上すべり量がどのように変化するのかを有限要素法により検討した.結果,断層面のオーバラップが沈降量に対して感度が高い事,地表での沈降様式に主応力方向は強くは関連しないこと,沈降量が最大となる断層面配置と広域応力場についての定量的な知見等,プルアパート構造形成の現象解明に資する情報を得た.

  • 小池 武, 渡邊 拓, 濱野 雅裕, 長谷川 延広, 大沼 博幹, 党 紀, 中川 信男
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_24-I_34
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     地上式配水池の多くが更新時期を迎えているが,既存配水池の耐震安全性能照査を手軽に実施できる照査方法が見当たらないため,現状は二次元構造モデルの動的応答解析に基づく照査手法が汎用されている.この問題の解決案として,3次元構造物で1自由度振動モデルが抽出できる構造系の耐震安全性能照査手法を提案する.

     さらに,本研究では,性能設計・耐震設計の国際ルールに適合した耐震安全性能照査法を提案するとともに,その簡便な評価手法をレベル2信頼性設計法に基づいて提示する.

  • 奥村 徹
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_35-I_46
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     連続高架橋に設置されたゴム支承の取付ボルトの橋軸方向の地震動作用下における力学挙動について数値解析をもとに検討を行った.解析では,超弾性の材料構成則をゴム層に適用した支承単体の詳細なFEモデルに対して,地震時における上部構造と橋脚の挙動を考慮した現実に即した境界条件を与えた.ゴム支承に生ずる純曲げモーメントは支承上下面の相対回転角のみならず,せん断変形と鉛直荷重により大きく変動することがわかった.FE解析の結果をもとに,設計で用いられる取付ボルトの応力算定法の妥当性について考察し,その問題点を指摘した.さらに,取付ボルトに初期引張軸力を導入することによるボルトの破断に対する安全性の向上効果について検討した.

  • 和田 一範, 坂井 公俊
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_47-I_60
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     構造物の等価固有周期や降伏震度といった振動特性の確率分布に応じた地震時応答の確率分布を簡易かつ適切に推定する方法を構築した.具体的には,ある地震動に対する非線形応答スペクトルを簡易に評価したうえで,そこに振動特性の確率分布を乗じることで応答塑性率の累積分布関数や確率密度関数を算定する手法を構築した.提案手法では,等価固有周期や降伏震度の違いに対する非線形応答の違いを陽な形で考慮しているため,従来から行われている点推定法に比べて,振幅特性,周期特性が異なる種々の地震動でも地震時応答の確率分布を安定的に推定可能である.また,モンテカルロシミュレーション等の多数の計算は不要であるため,多数の土木構造物群を対象とした地震時の損傷評価への活用が期待できる.

  • 北原 優, Matteo BROGGI , Michael BEER
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_61-I_70
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     免震支承の経年劣化や地震による損傷は橋梁全体系の耐震性能の低下につながる恐れもあり,大規模地震後の免震橋梁の残存耐震性能評価はその後の運用方針を決めるうえで重要な判断材料となる.本研究では,地震応答観測に基づくモデル更新によって免震橋梁の残存耐震性能評価を行うために,近似ベイズ計算による近似尤度関数を設定し,BUSと適応型クリギングモデルを組み合わせた効率的なベイズ推定手法を構築した.そのうえで,免震支承の経年劣化を考慮した免震橋梁の解析モデルを対象に,提案手法によって免震支承の2次剛性を含めた構造パラメータについて,経年劣化による変化を適切にとらえた妥当な事後分布を推定できることを明らかにした.さらに,モデル更新結果に基づく漸増動的解析を行い残存耐震性能評価の一例を示した.

  • 山村 優, 鍬田 泰子
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_71-I_78
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     埋設管の耐震設計において管軸方向の管路と地盤との動的相互作用を表す地盤ばねの特性は,地震外力作用時の埋設管の応答特性を評価する上で重要である.設計指針では管軸方向の地盤ばね特性は,あるせん断応力を超えれば管と地盤との間ですべりが発生するバイリニア型でモデル化されている.しかし,埋設管には継手や接合部があり,管軸方向の摩擦にはその継手張り出し部による摩擦が含まれるが,それらによる摩擦の影響については十分検討されていない.本研究は,管と土粒子を二次元断面に置き換えた模型にせん断変位を与える実験を行い,張り出し部周辺の土粒子の動きを可視化してミクロ的に摩擦メカニズムを明らかにした.

  • 北居 祐馬, 野田 裕樹, 鍬田 泰子
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_79-I_87
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     地震時の断水被害軽減のため,水道施設・管路の耐震化が推進されている.橋梁添架部の管路には,耐久性に優れ,軽量な溶接鋼管が広く採用されてきた.しかし,現地溶接工法における専門的な溶接技術者の確保など施工面・品質管理面での課題があり,耐震性能に加え,漏水リスク無く,容易に施工可能な鋼管の接続方法が求められる.そこで,本研究は「溶接鋼管と同等以上の継手強度」を備え,作業者の溶接技量に依存すること無く,簡単且つ確実に接続可能なメカニカル形式の鋼管継手(以下,耐震性鋼管継手)を開発した.耐震性鋼管継手の設計検証及び検証試験を行い,耐震性鋼管継手で接続した鋼管が溶接鋼管以上の性能を有し,一体構造管として見なせることを確認した.

  • 大室 秀樹, 鍬田 泰子, 栗山 卓
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_88-I_95
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     水道,工業用水,農業用水等の流体輸送用ポリエチレン管路に対する耐震性能の評価手法として,一体構造管路の場合は応答変位法により求めた管軸方向に作用する地盤ひずみに対して管路の許容ひずみと比較することで照査している.本研究では当該ポリエチレン管に関して,地震動を模した管軸方向の加振試験を行うことで限界性能を評価した.その結果,過去に観測された地震から算出された等価繰返し回数に対して25~50倍程度の加振回数裕度を有することが明らかになった.またポリエチレン管は鋼管と比較して材料剛性が小さく,施工時や供用中の他工事で外面を損傷することが懸念されるため,傷が生じた場合の耐震性能も評価したが,内水圧を長期間負荷することを想定して設定された傷の許容値の範囲では耐震性能に影響しないことも確認できた.

  • 幸左 賢二, 鍋島 信幸, 佐藤 崇
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_96-I_106
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     倒壊したパル橋に対し現地調査および動的解析を実施した.その結果,地震動はパル橋付近で最大南北方向200Gal,応答加速度スペクトルは2〜5秒で500Galに達し,長周期地震動の特徴を有していた.また,P3橋脚では橋座部の押抜きせん断破壊が発生していた.そこで橋座式を用いた簡易解析を行い,設計を超える水平地震動により支承縁端部の押抜きせん断破壊耐力に近いせん断力が発生することが明らかとなった.また動的解析結果によると二方向の作用力により,隅角部のせん断破壊が発生した可能性が高いことが明らかとなった.

  • 堀田 渉, 鈴木 俊一, 堀 宗朗
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_107-I_116
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     大規模構造物の3次元有限要素解析では,ソリッド要素の他,厚板要素が用いられるが,面内変形と面外変形の構成則を独立に扱う通常の厚板要素には,面内変形と面外変形が連成する鉄筋コンクリートの非線形構成則を適用できない.本論文では,3次元テンソル形式のコンクリート構成則を使う非線形厚板要素の定式化を行った.2次元厚板要素でありながら,連続体力学との整合性を保つため,歪と応力の6成分を扱い,汎用性を高めた定式化としている.定式化に基づき,3次元テンソル形式コンクリート構成則を汎用の厚板要素に実装した.ソリッド要素および従前の厚板要素と比較することで,開発した厚板要素の有効性を検証するとともに,実験の再現解析を行い厚板要素の適用性を確認した.

  • 千田 知弘, 岩本 信太朗, 野本 淳也, 崔 準祜, 松井 友希, 村上 海翔
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_117-I_127
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     2016年4月に発生した熊本地震においては,崩落した阿蘇大橋,架け替えが決定した第一白川橋梁といった上路式鋼アーチ橋が甚大なる損傷を受けた.それらの損傷を与えた主要因として,地盤変動による支承部の滑動が挙げられている.一方で,地盤変動による影響や対策は,道路橋示方書を始め,NZコードを代表とする海外の示方書にも何ら示されておらず,検証データも少ない.

     そこで本研究では,アーチ支承と床版の滑動によって上路式鋼アーチ橋にどのような影響が生じるのかをFEM解析を用いて検証した.橋軸方向,橋軸直角方向,高さ方向,それらを組み合わせた複合方向に強制変位を与え,どの程度の変位がアーチリブに降伏応力が生じさせるのかを比較した.また,代表的な滑動例に対して弾塑性解析を行った結果を報告する.

  • 能島 暢呂, 横山 太郎
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_128-I_138
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     地震動波形の直交水平2成分を用いて定義される強震動指標には,2成分を統合した扱い(NS, EW),幾何平均(GM),大きい方の値(Larger),軸回転により得られる最大値(rot100)や中央値(rot50)などがある.本研究ではK-NETの加速度記録を用いて上記5指標を求め,rot50に対する各比率の分布をカーネル密度曲線で表現して確率論的に考察したものである.指標(NS, EW)に関しては一様・レイリー混合分布と称する確率分布を導出した.これに基づいて指標GMとLargerに関する確率分布を定式化した.指標rot100に関しては折れ線モデルを適用した.さらに5%減衰の線形一自由度系の絶対加速度応答・速度応答・変位応答波形を用いて各比率の周期依存の確率分布を求め,データとほぼ整合した結果が得られた.

  • 金井 勇介, 中瀬 仁, 富田 真之, 山田 理紗, 末広 俊夫
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_139-I_153
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     従来,液状化判定の対象とする土層は「沖積層である土層」や「地表面から20m以内の深さに存在する飽和土層」としている.近年,設計地震動の最大加速度の増大に伴い,一般的には液状化判定の対象にならない洪積砂層に関しても構造物の耐震性評価が求められることがある.しかし,洪積砂層のうち硬質なものを対象とした凍結サンプリング試料による液状化試験では,典型的な液状化(過剰間隙水圧の上昇に伴う,ひずみの進展・増大)とは異なる挙動を示している.そこで,硬質な洪積砂層の液状化強度特性を把握するために,セメント添加の模擬試料を作成し非排水繰返し中空ねじりせん断試験を実施した.そして,その試験結果に対して,個別要素法による再現解析を行った.その結果,切断された固結点が局所化するとせん断ひずみが増加することがわかった.

  • 杉浦 翔太, 野上 雄太, 丹羽 健友, 田中 浩平, 坂井 公俊
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_154-I_163
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     本検討では,表層地盤の固有周期と入力地震動の卓越周期の比,地震動の最大値と表層地盤の強度(地盤強度比Kf)の比をパラメータとした地震増幅率の簡易評価法を提案した.この時に対象とする地震動指標としては,地震被害に関連があると考えられる3つの指標(警報用最大加速度,計測震度,SI値)とした.提案法では,周期比を考慮することで地震動と地盤の共振,非共振を考慮しているとともに,強度の比を考慮することで地盤の非線形程度の大小も直接考慮している.そのため,これらの情報を無視した場合と比較して評価結果のばらつきの低減を実現しており,精度の高い地震増幅率の評価が可能である.

  • 末冨 岩雄, 石田 栄介, 水上 清二, 田村 健
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_164-I_173
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     東京ガスでは安全な都市ガス供給のため,首都圏で約4,000点の超高密度観測網を構築している.これまで都市ガスの供給停止判断基準に用いるSI値を対象として,観測点の揺れやすさ評価を行い,地質分類や表層地盤の平均S波速度との関係について検討を行ってきた.本研究では,震源特性やサイト増幅特性の影響をより的確に反映できるように,応答スペクトルの増幅率を回帰分析により算定し,地質分類ごとにパラメータをモデル化した.そして,2005年7月の千葉県中部の地震等の3地震での観測スペクトルを,提案モデルを用いて補間推定を行い,モデルの妥当性を確認した.

  • 宍倉 佳浩, 山本 悠人, 渡辺 和明, 小松 怜史, 横田 克哉
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_174-I_183
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     RC製地中構造物(ボックスカルバート)の耐震性能照査の高度化に関する研究の一環で,これまで実施例の少ない実大規模(部材厚1m以上)のRC製柱部材を対象とした水平二方向ベンチマーク実験が行われ,三次元非線形解析の精度向上検討のための基礎データが得られた.本研究では,このベンチマーク実験を対象に,汎用解析コードを用いたシミュレーション解析を実施した.初めに,水平二方向に繰り返し載荷を受けせん断破壊する実験の初期載荷について実験と解析の比較を行い,離散鉄筋を用いた三次元材料非線形解析手法の適用性を確認した.そして,様々な水平二方向の載荷が部材のせん断破壊挙動に与える影響を数値解析により検討した.また,解析で得られたひび割れ発生状況について,三次元的な進展,繰り返し載荷に伴う開口状況を分析した.

  • 楊 勇, 谷本 俊輔, 桐山 孝晴
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_184-I_195
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     本研究では,液状化層が厚い地盤条件で耐震補強対策の有無及びその工法を実験パラメータとして動的遠心模型実験を実施し,既設橋台杭基礎の各種耐震補強対策の効果を調べた.鋼管矢板壁による前面分離型の補強対策は,液状化地盤の流動を有効に抑制できることにより既設杭の作用土圧が低減されるため,橋台の変位・回転及び既設杭の断面力を大きく軽減することが確認できた.一方で,斜杭による側面一体型の補強対策は,増設杭による橋台の変位や回転への抑制効果が十分に発揮できなかった.また,鋼管矢板壁による側面一体型の補強対策は,橋台の変位や回転への抑制効果が見られたが,加振中に既設杭や増設杭ともに降伏モーメント以上の断面力が発生し,補強効果が限定的であったことが分かった.

  • 滝沢 聡, 野本 将太, 阿部 慶太, 中島 進, 竹谷 勉, 山本 忠
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_196-I_206
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     東北地方太平洋沖地震などの過去の大地震において,組積構造の盛土式乗降場が大きく変形して崩壊するなどの被害が発生している.そこで,組積構造の盛土式乗降場に対しても耐震補強が必要と考えており,効率的な耐震補強方法の開発を進めている.一方,近年は組積構造の盛土式乗降場にも可動式ホーム柵の設置が進んできているが,その耐震性能の確認はできていない.そのため,可動式ホーム柵が設置されている構造での耐震性能を確認する目的で,1G場における模型モデルを使用した振動台実験を行った.実験の結果,可動式ホーム柵が設置前の乗降場より,耐震性能の向上を確認できた.また,その挙動から簡易的な補強方法を提案し,確認実験を実施した結果,補強による耐震性能の向上を確認できた.

  • 鍬田 泰子, 櫻井 敬己
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_207-I_214
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     2018年の大阪府北部の地震で大口径の水道管が複数管体破損をした事例を受けて,強度不足や劣化などの破損管固有の要因だけでなく,小口径管よりも大口径管の方が横断面の耐震性が劣る,いわゆる寸法効果があると考えられる.本研究では,管横断面の耐震性評価においてより精度の良い応答震度法を用いて,小口径から大口径までの水道管を対象にして地震応答への影響を評価し,横断面の耐震性に寸法効果があることを明らかにした.さらに,大阪府北部の地震で管体損傷があった口径900mmの被害要因について,種々の条件を変えて耐震性を比較した.その結果,実験結果に基づいて強度不足があることを前提として,地震時の動水圧の上昇よりも,腐食劣化によって管厚減肉する方が被害要因としての寄与が大きいことがわかった.

  • 志波 由紀夫
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_215-I_228
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     立坑構造物の耐震計算法の合理化を目指して,これまでに,従来の“はり・ばねモデル”応答変位法を改良した計算法を提示するとともに,その実務性能についても検証してきた.残る課題の中でも大きな問題は,この計算モデルの中で使う「地盤ばね」の合理的な設定方法である.本稿では「地盤ばね」の問題への対応の一つとして,“3D地盤・はりモデル”について検討する.これは,立坑をはり要素で,周囲の地盤を3次元ソリッド要素でモデル化した3D-FEMモデルであり,設定が難しいスプリング形式の「地盤ばね」に代えて,大容量とはなるが3次元連続媒体という地盤本来の形を組み込んだ解析モデルである.耐震計算は動的解析法または応答震度法により行う.いくつかの例題を設けて試算を行い,この解析モデルの有用性を確認した.

  • 森本 皓一, 宮島 昌克, 今川 暢人
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_229-I_242
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     国内で発生した大規模地盤変状は,埋設された水道管に大きな被害を及ぼしてきた.耐震継手ダクタイル鉄管は大規模な地盤変状を受けても管路機能を維持した実績があるが,事例数は限られる.地盤変状は液状化や盛土崩壊といったタイプ別に分類され,実施される埋設管の地盤変状対策もタイプ別に異なる.耐震継手ダクタイル鉄管であれば,複数継手が伸縮,屈曲し地盤変状に追従することが地盤変状後の管路挙動調査等により確認されているため,異なるタイプの地盤変状を受けても管路挙動は同様の傾向となる可能性が高い.ただし,管路挙動を基に地盤変状を比較した研究は数少ない.本研究では,数値解析により地盤変状を受けた管路の挙動を予測し,予測結果より従来は異なるタイプとして分類される地盤変状事例を同一の分類で扱うことが可能か検討した.

  • 中澤 博志, 石澤 友浩, 檀上 徹, 尾上 修浩
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_243-I_255
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     近年,地球温暖化に起因する気候変動や極端気象による各種災害が頻発している.一方,地震による大規模被害も多く生じており,これらが複合化した際には,被害の様相をより一層深刻化させている.本研究では,降雨と地震の複合化を念頭に,先行降雨による地盤の飽和度上昇後に地震が作用した場合と先行地震後の降雨浸透の場合を考え,降雨装置と振動台を併用し,単純な模型斜面対象とする実験を実施し,先行する事象・外力による損傷レベルによる最終的な被害様相の違いを確認した.その結果,先行して受けた外的要因によって,その後の耐震性やメカニズムが異なることを確認した.

  • 伊藤 公二, 坂井 公俊, 室野 剛隆
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_256-I_265
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     構造物の固有周期の変化を指標とした健全度判定手法の高度化に向けた基礎的な検討を行った.具体的には,構造物の損傷発生位置を模擬的に変化させた固有値解析を実施することで,高次モードまでを含んだ固有周期の変化と損傷発生位置の関係を解析的に把握した.その結果,今回対象とした杭基礎RC橋脚については,地上部材の損傷は1次モード固有周期への影響が相対的に大きい一方で,基礎部材の損傷は2次,3次モード固有周期への影響が相対的に大きくなることが確認された.本検討で得られた知見を一般化することで,高次モードを含む固有周期の変化から,より高精度な損傷発生位置の特定や,損傷程度の把握が実現される可能性がある.

  • 植村 佳大, 五島 健斗, 高橋 良和
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_266-I_283
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     橋梁の危機耐性実現に向けて,設計基準外事象に対しても最低限の性能を確保できる構造技術が求められている.本研究では,復旧時のセルフセンタリング機構と余震相当の地震力に抵抗するための復元力(0.2G水平力程度)を有するコンクリートヒンジ構造を開発し,その構造を内部に埋め込んだRC柱の正負交番載荷実験を行った.その結果,コンクリートヒンジを鋼管で拘束し,内部にアンボンド高強度芯材を配置することで,セルフセンタリング機構と0.2G水平力程度の復元力を有する構造が実現された.またその構造の復元力特性は,ファイバーモデルにより再現可能であることを示した.そしてその構造をRC柱内部に埋め込んだ場合,柱に多数のせん断ひび割れが発生するものの荷重低下は発生せず,内部のコンクリートヒンジの機能も維持されることを確認した.

  • 坂井 公俊, 鈴木 聡, 土井 達也, 小島 謙一
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_284-I_295
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     延長の長い鉄道盛土の地震時性能を効率的に把握する手法を提案した.具体的には,予め多様な諸元の鉄道盛土に対して降伏震度等の情報を算出し,これをデータベースに保存する.実路線を対象とした評価を行う際には,高さ等の比較的容易に入手可能な情報を指標として,データベースから類似する結果を抽出することで,路線全体の盛土の降伏震度等の推定,地震時の滑動変位量を算定し,各盛土の耐震性能を判定する.提案手法によって設計計算の結果を適切に再現するとともに,盛土高さや降伏震度等の指標のみでは判定が困難であった耐震性能の差異を簡易かつ適切に把握可能であることを確認した.本手法を活用することで,延長の長い鉄道盛土全体を対象とした耐震診断,耐震補強の優先順位付け,地震後の点検箇所の選定等を簡易かつ適切に実施可能となる.

  • 山本 誠也, 古川 愛子, 清野 純史
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_296-I_308
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     我が国では明治から大正にかけて鉄道組積橋脚が普及した.今でもその多くは供用中だが,地震動への脆弱さが懸念される.近年,鋼板接着による耐震補強模型実験が行われているが,実存橋脚を対象とした研究はない.本研究では実存する鉄道組積橋脚の地震時安定性と鋼板接着補強効果を調べるため,改良版個別要素法による数値解析を行った.実存橋脚の解析に先行し,鋼板接着補強を施した組積橋脚模型の載荷実験の再現解析を行った.アンカー筋降伏までの荷重-変位関係とひび割れ状況を精度よく再現できることを確認した.実存橋脚の解析では,地震動レベルの増加により橋脚基部が破壊し天端に大きな変位が生じた.鋼板接着補強を施すと,基部の破壊と天端変位が抑制され一定の効果が確認されたが,補強時では広範囲で破壊が生じる可能性も示唆された.

  • 塩崎 禎郎, 大矢 陽介, 小濱 英司
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_309-I_320
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     港湾の鋼管杭式桟橋の設計条件は,載荷重や地震力の増大等の影響で厳しくなる傾向にあり,降伏応力450MPaの高強度鋼管杭を用いても設計が容易に成立しないことがある.そこで,さらに降伏応力が高い鋼管杭(降伏応力500MPa,700MPa)を,港湾構造物へ適用するための検討を行い,以下の結論を得た.1)鋼管杭の正負交番載荷実験を行い,想定通りの耐力と変形性能を保有していることを確認した.2)設計用の曲げモーメント-曲率関係と限界曲率は,降伏応力450MPa以下で設定された式を700MPaまで拡張できることをFEM解析で明らかにした.

  • 西村 武, 野口 竜也, 香川 敬生
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_321-I_336
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     2016年10月21日,鳥取県中部を震源とするMJMA 6.6の地震が発生し,倉吉市,北栄町,湯梨浜町で最大震度6弱を記録した.建物被害が限られた地域に集中していたため,被害地域周辺で微動探査を行い,既往研究成果と統合した地盤構造推定および地盤震動特性の把握を通じて被害との関連を検討した.微動解析よりVs=200m/s以下の低速度層が全地点で推定され,日本海沿岸の平野部から内陸部へと層厚が薄くなる傾向がみられた.地震動解析からVs=700m/s以上の深部地盤構造が北栄町西部と東部で大きく異なることがわかったが,これらに基づく1次元地盤増幅率では建物被害分布との関連が説明できない.被害は堆積層厚が急激に変化する領域で生じており,2次元あるいは3次元的な地盤構造の変化に起因することが示唆される.

  • 綾城 威歩生, 植村 佳大, 高橋 良和
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_337-I_347
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     本研究では,復元力低下領域における構造物の動的応答特性の基本的な理解に向けて,振動中心軸の移動(ドリフト)を伴う非線形一自由度系の動的安定性に関する理論的および解析的検討を行った.具体的には,外力振動数に対するドリフト量の応答倍率を導出し,数値解析によりその妥当性を検証した.この結果,応答倍率から算出される理論値を,解析により再現することができた.また,応答倍率から導かれるドリフト量-外力振動数関係上の特異点において,応答が急激に片側に発散する傾向が確認された.それにより,応答倍率における特異点のドリフト量が,構造物の動的安定性を考える上で重要な指標となり得る可能性が示された.

  • 西根 幸輝, 植村 佳大, 高橋 良和
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_348-I_359
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     橋梁構造の危機耐性実現に向けて,地震被害後の復旧性向上につながる構造技術が求められている.そこで本研究では,死荷重支持機能を有する鋼管拘束コンクリート柱を埋め込んだRC単柱を提案し,正負交番載荷実験により,その性能を検証した.その結果,鋼管底面とフーチング上面が一致するよう鋼管拘束コンクリート柱を配置することで,鋼管拘束コンクリート柱へ引張力が伝達されず,RC柱変形時の鋼管拘束コンクリート柱の損傷が軽減されることがわかった.また提案構造は,通常のRC柱と類似した復元力特性および終局モードを示すことがわかった.そして実験終了後,RC柱の軸方向鉄筋および鋼管周囲のコンクリートを撤去した結果,鋼管拘束コンクリ―ト柱のみで作用軸力を支持できることが確認でき,復旧性の高い構造であることがわかった.

  • 大住 道生, 中尾 尚史, 石崎 覚史, 庄司 学
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_360-I_372
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     本論では,設計地震動を上回る地震動が発生する可能性を考慮して,従来の道路橋の耐震設計を通じて確保されてきた耐震性能は確保しつつ,超過地震動に対しても,できるだけその機能が損なわれない,或いは仮に損われても速やかに機能回復できる構造を実現する方法として,崩壊シナリオデザイン設計法を提案した.崩壊シナリオデザイン設計法によれば,従来の耐震設計に用いる作用を超えた場合においても,作用レベルに応じた橋の損傷モードを示して,より望ましいシナリオを選択できる.橋の構造要素の様々な耐力のばらつきも考慮した上で,超過地震動に対して橋の崩壊までの過程における破壊尤度を制御した設計法の実現方法を示した.

  • 坂井 公俊, 松本 星斗
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_373-I_383
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     地震発生後に鉄道橋梁・高架橋の被害発生確率を即時的に評価することで,地震後の鉄道の運行再開判断に資する情報を提供する手法を構築した.具体的には,過去に提案されている土木構造物の地震被害推定ノモグラムを拡張することで,各構造物の被害発生確率等を即時推定可能な手法を提案した.提案手法では,地震動の卓越周期と構造物の固有周期の比率を指標とすることで,地震動と構造物の共振・非共振といった現象を反映した応答予測を実現しており,従来の単一指標に基づく構造物被害予測よりも信頼性が高い.さらに,各構造物の降伏震度,変形性能の違いを陽な形で考慮することが可能であるため,建設年代の違いや耐震補強の効果を運行再開判定に直接関連付けることもできる.

  • 柾 丹人, 酒井 久和, 梶谷 義雄
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_384-I_393
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     我が国では,豪雨や地震による斜面災害が多く発生しているが,斜面災害は周辺家屋等への直接被害だけでなく,インフラの断絶,孤立地域の出現といった二次災害の誘因となっている.本研究では,平成16年新潟県中越地震,平成19年新潟県中越沖地震で被災した新潟県を対象として,県管理の斜面カルテに加え,地震動強度指標データ,降水量,地質図,土壌図,植生図等の空間情報データの収集を行い,地質学,統計学の両観点から斜面崩壊の特徴を掴んだ.複数の説明変数の共分散構造分析から得られた潜在変数を用い,斜面崩壊の観測値に対して説明力の高いロジスティックモデルを作成した.得られたモデルを他地震に適用し,より汎用的なモデルの構築には,利用する変数や適用可能なハザードの大きさ等の条件を考慮する必要があることを明らかにした.

  • 伊藤 公人, 和仁 雅明, 齋藤 政治, 鈴木 峻, 寺田 賢二郎
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_394-I_405
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     本研究では,互層岩盤の堆積構造に起因する直交異方性の力学特性を再現可能な,ミクロおよびマクロスケールの弾塑性構成則を採用して,均質化法に基づく分離型マルチスケール解析のスキームを活用した地震応答解析手法を開発する.本手法では,微視的には岩石の等方性を仮定し,巨視的には堆積構造による直交異方性を表現するため,ミクロおよびマクロ材料構成則に,標準的なvon-Misesの等方弾塑性モデル,Hillの直交異方性弾塑性モデルをそれぞれ用いる.採用した材料構成則による数値材料試験の結果をもとにマクロ構成則の材料パラメータを同定し,仮想的な岩盤トンネルを事例に地震応答解析を実施する.その結果を,一般的な逐次非線形解析法に基づく地震応答解析と比較することにより,開発手法の妥当性および適用性を検証する.

  • 前田 裕紀, 小野 祐輔, Rusnardi Rahmat PUTRA
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_406-I_413
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     スマトラ島の西方沖およそ120kmに浮かぶメンタワイ諸島は,M9クラスの地震を引き起こすスンダ海溝に隣接しており,地震の揺れだけでなく津波に襲われることが危惧されている.津波の発生源が近いため,住民が津波からの避難に使える時間は極めて限られている.そこで,メンタワイ諸島において,個人の主要な交通手段であるバイクを避難に活用することが考えられる.本研究では,バイクによる避難者と徒歩による避難者と出会った場合,同乗してバイクで避難するという行動をモデル化したマルチエージェント避難シミュレーションモデルを開発した.開発したマルチエージェント避難シミュレーションモデルを用いて,メンタワイ諸島の中の一つの島であるシポラ島のTuapejatを対象としたケーススタディを実施し,避難におけるバイクの有効性を検討した.

  • 大藪 宏文, 藤倉 修一, 高橋 健太郎, Nguyen Minh Hai , 中島 章典
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_414-I_423
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     橋梁の免震化において積層ゴム支承が一般的に用いられているが,近年発生した東北地方太平洋沖地震および熊本地震において積層ゴム支承に損傷が生じており,積層ゴム支承以外の免震支承の開発は重要である.球面すべり支承は振り子の原理を用いた免震支承で,我が国では建築分野での採用実績はあるが,橋梁分野では採用されていない.本研究では球面すべり支承の橋梁への適用を目的として,球面すべり支承で支持された橋梁模型桁に対して振動台実験を行った.特に,上部構造の応答およびその応答が下部構造に及ぼす影響に着目し,球面すべり支承で支持された橋梁の地震時挙動を調べた.その結果,支承の設置状況によっては,スライダーの摺動に伴って生じる上部構造からのP-δ効果が原因で,下部構造に付加的な曲げモーメントが作用することが確認された.

  • 林 学, 植村 佳大, 高橋 良和
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_424-I_435
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     世界有数の地震大国である我が国では,大地震の発生によって被災した橋脚の耐震性能を回復する補修工事や耐震設計に係わる技術基準の改定に伴って耐震性能を向上させる耐震補強工事が行われてきた.地震という不確定な事象が対象であることを考慮すると,将来の技術基準に適応することができる新陳代謝の機能を有するメタボリズム耐震橋脚構造の開発が望まれる.

     本研究では早期復旧や省力化の観点から塑性ヒンジ部の取り替えにプレキャスト鉄筋コンクリートを採用するとともに,水平方向の接合部に埋込継手構造を用いることにより耐震性能の回復が可能であることを検証した.

  • Karina A. SUJATMIKO, Koji ICHII
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_436-I_445
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     On September 28, 2018, a 7.5 earthquake in Palu, Indonesia, triggered multiple phenomena including liquefaction, landslides, and tsunamis. A video recorded the landslide in Jono-Oge, located near Palu Valley, and was captured by a local citizen from his home, which was carried along by a debris flow. The video shows that the land moved like water, carrying buildings, and trees, whereas some other structures remained. The moving camera raises difficulties in the analysis because it operates with various degrees of movement. However, a velocity estimation is possible by applying two types of camera-angle analysis using non-moving buildings captured on the video as a point of reference. In this case, a red roof house and a steel tower were used. We identified that the camera moved from east to west and started at an elevation of 70 m, located 1000 m from the top of the Jono-Oge landslide at the irrigation canal. At an elevation of 68 m, the landslide velocity was 5.1 m/s and slowed down to 4 m/s after moving 200 m to an elevation of 62 m. This deceleration might correspond to a decrease in the slope inclination, from 3% to a gentler slope of only 1%. This result will be informative for the parameters used in landslides and landslide-induced tsunami simulations.

  • 西川 隼人, 野口 竜也
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_446-I_456
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     本研究では2018年に発生した北海道胆振東部地震を対象に,震源域やその周辺の地震観測点を対象として,スペクトルインバージョン解析を行い,震源特性,伝播経路特性,サイト増幅特性を評価するとともに,距離減衰式の解析結果から地盤増幅度を評価した.また,既往研究で十分に評価されていない地盤条件とサイト特性の関係を調べた.その結果,表層30mの平均S波速度とサイト増幅特性の相関は2Hz付近で最も高く,地盤増幅度は最大地動速度が最大地動加速度に比べて高い相関が見られた.また,3つの地震観測点を対象に,微動観測に基づく理論伝達関数とサイト増幅特性を比較した結果,K-NET鵡川は工学的基盤相当の層までの速度構造がサイト増幅特性の形状に大きく影響していることが明らかになった.

  • 服部 匡洋, 大石 秀雄, 中村 真貴, 馬越 一也, 伊佐 政晃, 茂呂 拓実
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_457-I_466
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     阪神高速道路では,今後発生が予想される巨大地震に備えるため,広域道路ネットワークの地震被害シミュレーションに関する研究を進めてきた.1995年兵庫県南部地震の再現シミュレーションを行い,震災当時に観測された地表面加速度や橋脚の被災度を一定の精度で再現できることを明らかにした.また,様々な震源域を想定した地震被害シミュレーションを実施することで,損傷の生じやすい橋脚や地震直後の路面の段差が生じやすい箇所を抽出できることを示した.本稿は,地震被害シミュレーションの更なる精度検証のため,兵庫県南部地震の震源モデルや震災当時の構造条件との違いに着目した兵庫県南部地震の再現シミュレーションを行うとともに,全路線モデルの実務での活用について示したものである.

  • 加藤 宏紀, 能島 暢呂, 焦 禹禹
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_467-I_478
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     大規模災害発生後には網羅的な情報収集が困難となる事態も予想されるため,限られた情報に基づいてライフラインの復旧見込みを示す手段も必要である.本研究では復旧予測の逐次更新による復旧見込みの提示に向けて停電を対象として基礎的検討を行った.まず災害時における停電の解消過程のペースの変化を検証するため,停電の解消過程を短期・長期に分けて混合指数分布でモデル化した.次に復旧ペースの変化をより詳細に分析するため,任意の時点までの停電の解消過程の傾向変動に対し区分的・連続的に指数関数を適用した.これに基づき停電が80,90,95%解消されるまでの所要時間を求め予測値と実測値を比較した.以上の結果から復旧予測の逐次更新を迅速かつ安定的に行うためには傾向変動の分析対象区間を適切に設定する必要があることを明らかにした.

  • 森 伸一郎, 佐古 昇大
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_479-I_489
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     岩盤斜面の脆弱性評価は踏査や目視などの主観的で定性的な評価が主であるが,客観的で定量的な評価手法が求められている.著者らは,走行車両を振動源とした振動測定を実施し,この調査法の成立性を検討している.本研究では,ある岩盤斜面に6測線を設け,それぞれの測線で道路面と斜面上の2点で車両走行振動を測定した.その結果,測線ごとに斜面上の振動の発現状況が異なり,道路面の測定点で1つの波群が観測されるのに対し,斜面上では複数の波群が観測された.車両の走行方向が逆の場合,複数波群の発現順序が逆転した.斜面上測定点の最接近点以外に振動発生地点もしくは波動が伝播しやすい狭域があることがわかった.複数波群のフーリエスペクトル形状の再現性と道路面に対する斜面上の波群のフーリエスペクトル比に安定性がある.

  • 森 伸一郎, 小林 巧
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_490-I_502
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     2018年6月18日に大阪府北部の地震(Mj6.1)が発生した.発災直後に気象庁などから面的推定震度分布が公開され,それによると茨木市と高槻市の広範囲で震度6弱が推定された.一方,墓石により推定された震度では茨木市内で震度5弱-6強とばらつき,高槻市は震度5弱以下であった.また,これら地域では全半壊はほぼ無く,屋根被害などの一部損壊が多く報告された.そこで本論文では,茨木市内の墓石による震度がばらついた地域を中心に,その地域の地盤振動特性を明らかにする目的で,詳細な単点微動測定を実施した結果を報告する.その結果,墓石震度6強相当の地域では約0.1-0.2秒,6弱相当の地域では0.07-0.1秒,5強相当の地域では約0.2秒が卓越する地盤であった.

  • SHAO Peilun , 渡邊 学歩, 幸左 賢二
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_503-I_518
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     鉄筋コンクリート柱構造の曲げ変形挙動は,軸方向鉄筋のフーチングからの伸び出しに大きく支配される.本研究では鉄筋コンクリート柱模型を用いた正負交番載荷実験を行い,軸方向鉄筋のひずみ履歴,柱の変形および各部の損傷を詳細に分析するとともに,非線形有限要素解析に基づく構造解析により実験結果の再現を試みた.実験では,両側の軸方向鉄筋の荷重~ひずみ履歴に顕著な差異がみられた.また,ポストピークでは軸方向鉄筋のはらみだしに伴い水平耐力の低下現象が確認された.非線形有限要素解析では,軸方向鉄筋の付着すべり特性を適切にモデル化することで,実験で得られた荷重変位関係や載荷時の水平荷重~ひずみ履歴の傾向を概ね捉えた.本論文では,軸方向鉄筋の付着すべり特性がRC柱構造の曲げ変形挙動に及ぼす影響について報告する.

  • 森田 大成, 大塚 鎮, 酒井 久和, 小野 祐輔
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_519-I_532
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     2016年熊本地震では熊本城の石垣や櫓は崩落を含む甚大な損傷を受けた.熊本市は地震に対する補強も考慮しているが,対策工を適用した場合の耐震補強効果を示す根拠が不足している.補強効果を定量的に示す方法としてDEMを用いる事例はあるが,石垣や櫓のように3次元効果を考慮すべき構造物に対して対策工を適用した場合の3次元解析はほとんど行われていないのが現状である.本研究では3次元DEM解析ソフトYADEを用いて,石垣構造物に対する解析の妥当性を検討した.まず,解析対象として傾斜実験・振動実験・安息角試験を実施した.次に各実験に対して多面体モデルと球形要素の集合体であるクランプモデルによる数値シミュレーションを行い,実験結果との比較を行った.結果,多面体モデルとクランプモデルとも各実験を整合する解析結果が得られた.

  • 松丸 貴樹, 海野 寿康, 緑川 雄介
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_533-I_543
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     本論文では,2018年北海道胆振東部地震で被害を受けた火山灰質土(Spfa-1およびEn-a)を用いて実施された不飽和液状化試験(繰返し三軸試験)を対象として,数値シミュレーションによる再現を試みた.三相系多孔質体理論に基づいた解析手法により,飽和土の構成式をそのまま不飽和状態での解析に活用すると液状化強度を過小に評価することを確認した.そこで,不飽和液状化試験で特徴的な間隙比の変化に着目し,ダイレイタンシー挙動を間隙比変化に応じて変化させる発展則を導入した.提案手法を用いた解析を行ったところ,両火山灰質土の繰返し載荷前のサクション・飽和度に応じた実験挙動を再現できることを確認した.

  • 倉本 龍, 渡辺 高志, 吉岡 健, 三好 俊康
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_544-I_556
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     洋上風力設備のレベル2(L2)地震時の転倒照査において,従来の検討では静的な転倒安全率を用いて評価を行っており,地震時の動的作用や海水による抵抗を考慮していないため,過大な設計となる可能性がある.

     本研究では,既往研究で実施された洋上風力重力式基礎の振動台実験を対象として,粒子法(SPH法)と個別要素法を用いた再現解析を行い,海水や基礎マウンドが転倒安定性に及ぼす影響について検討した.解析結果からタワーや基礎に作用する動水圧が転倒安定性に及ぼす影響は小さいことを確認した.一方で,地震波の入力レベルを大きくすることによって,基礎マウンド層による減衰の効果が強くなることが分かった.

  • 志賀 正崇, 清田 隆, 片桐 俊彦
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_557-I_563
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     形成年代の古い更新統の砂質土は,完新統の砂質土と比較して安定化の作用を受けているが,その作用が液状化にもたらす影響の定量的評価に関する検討は少なく,現行の液状化判定では通常の砂質土の枠内で評価が行われている.本研究では,せん断波速度による土粒子構造の差異を評価する既往手法を,人為的にセメンテーションを付加した供試体に適用し,圧密時におけるせん断波速度の変化に対して考察を行った.また非排水繰り返し載荷試験を実施し,応力経路や応力ひずみ関係,正規化損失エネルギーに対する考察を行った.

地震工学論文集第40巻(報告)
  • 柳原 純夫, 仲村 成貴, 後藤 洋三, 山本 幸, 柿本 竜治
    2021 年 77 巻 4 号 p. I_564-I_574
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/22
    ジャーナル 認証あり

     熊本地震直後の社会基盤設備の応急復旧での地元建設会社の初動対応の実態把握と課題抽出を目的とし,ヒアリング及びアンケート調査を実施した.調査結果と課題は次の通り.(1) 地震後の初動対応に遅れや混乱が発生した.協定内容の改善が必要である.(2) 対応工事の必要資源の不足が発生した.防災計画等での考慮が必要である.(3) 建設会社が実施した応急復旧工事における,費用清算面の問題はなかったが,施工数量の確定や支払処理の円滑化が課題として残った.(4) 応急復旧作業時は作業安全レベルが低下していた.地震後の工事を対象とした安全教育システムの確立が急務である.(5) 事故発生時には「公務災害補償」と同等の補償の適用を望む回答が大半を占めた.法律面を含めた補償制度面の対応が必要である.

feedback
Top