土木学会論文集F1(トンネル工学)
Online ISSN : 2185-6575
ISSN-L : 2185-6575
67 巻, 3 号
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特集号
  • 久武 勝保, 大野 司郎, 大前 幸寛, 片山 達章, 鈴木 啓介
    2011 年 67 巻 3 号 p. I_1-I_8
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル フリー
     本研究はトンネル覆工の安定性に対するインバート工の効果について,遠心載荷模型実験により明らかにすることを目的としている.実験は一定の遠心載荷状態下において,地表面にゴム袋を介した空気圧を載荷して行なわれている.載荷荷重の増加に伴う覆工の変形特性,破壊形態,および周辺地盤のひずみの発達状況が,インバート工のある場合とない場合,およびトンネル周辺地盤が緩い場合と密な場合について計測されている.その結果,インバート工の存在はトンネルおよび周辺地盤の安定性に大きく寄与することが明らかになった.
  • 林 久資, 青木 一男, 吉岡 尚也, 柳川 磨彦, 鬼頭 夏樹
    2011 年 67 巻 3 号 p. I_9-I_24
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル フリー
     押出し性地山における切羽安定対策および断面の早期閉合を行った時のトンネル挙動を解明するために,三次元数値解析を行った.併せて,押出し性地山において管理基準値に基づき閉合時期・支保工規模の選定を行った七尾トンネルでの施工事例を分析するとともに,三次元数値解析を通じて七尾トンネルでの支保工規模・閉合時期の妥当性について検討した.その結果,切羽の安定性は長尺鏡ボルトを併用することで向上すること,そして断面を早期に閉合することでトンネル内空変位が抑制されることがわかった.また,七尾トンネルでは,地山状況に適した施工が行われて,かつ現場での施工事例と三次元数値解析結果が調和していることも判明した.
  • 西藤 潤, 丹生 和宏, 岸田 潔, 深沢 成年
    2011 年 67 巻 3 号 p. I_25-I_32
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル フリー
     現在,海底トンネルで坑内湧水量が減少する事例が報告されている.海底トンネルの坑内湧水量が減少することは維持管理の観点からすると好ましいことである.しかし,トンネルおよびその周辺地盤に対して作用する水圧状態などが変化することが考えられ,トンネルの健全性への影響について検討することが求められる.そこで本論文では,周辺地盤の透水性変化がトンネルに及ぼす影響についてモデル化を行い,数値計算による検討を行った.その結果,透水性の低下によって周辺地盤の間隙水圧分布の変化,塑性領域の拡大などが生じる場合があることを確認した.
  • 岩田 敏和, 中井 照夫, ホサイン シャヒン, 菊本 統, 石井 健嗣
    2011 年 67 巻 3 号 p. I_33-I_44
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル フリー
     双設トンネルの掘削に伴う周辺地盤とトンネルへの影響を予測することは重要である.しかしながら,従来の設計法や数値解析,モデル実験は地盤-構造物の相互作用を必ずしも適切に評価しているとはいえない.そこで,本研究では変位・応力混合制御型のトンネル掘削模型装置を2連用いた2次元モデル実験と有限要素解析の両面からトンネル-地盤の相互作用の解明を試みた.両トンネルの位置関係と距離を変化させた検討の結果から,後続トンネルを掘削する位置の違いによって先行トンネルに異なるモードの偏土圧が作用することや,掘削に伴う両トンネルの移動を確認できた.また,解析は実験の傾向をよく捉え,双設トンネル掘削時の挙動を予測する有効なツールとなると考えられる.
  • 白鷺 卓, 山本 拓治, 水戸 義忠, ASHRAF Mohd
    2011 年 67 巻 3 号 p. I_45-I_56
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル フリー
     山岳トンネル工事を安全かつ効率的に進めるためには,プロジェクトの各段階で得られるさまざまなデータを有効に活用して切羽前方の地質性状を高精度に予測し,当初の掘削計画や事前設計を合理的に適宜更新する,いわゆる情報化設計施工が必要不可欠である.施工中のパターン変更についてはこれまで,熟練技術者の知識や経験にもとづいた判断に頼ることが多かったが,少子高齢化による作業員不足や社会資本整備に対するコストダウンを要求する世論に対して,山岳トンネル工事をさらに合理化する必要がある.そこで筆者らは,これまでに構築してきた様々なトンネル切羽前方地質の予測手法を,施工段階での目的に応じて最適化し,統合させたシステムにした.本論文はそのシステムの概要と実際の現場における適用を通してその有用性を検証した結果を示したものである.
  • 菊本 統, 中井 照夫, ホサイン シャヒン, 石井 健嗣, 岩田 敏和
    2011 年 67 巻 3 号 p. I_57-I_65
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル フリー
     従来,トンネル掘削時の地山挙動は内空変位を与える変位境界型の実験と掘削面の内圧を制御する応力境界型の実験により検討されてきた.これに対して本研究では,より現実に近い応力と変位の混合型境界条件を掘削面に課すことで地山条件に応じて内空変位量と周面土圧分布が決まる新しいトンネル掘削モデル実験を実施した.また,同実験の非線形有限要素解析を実施するとともに,過去の変位境界型および応力境界型の実験との比較を行い,浅層トンネル掘削時の地山挙動について詳細な考察を行った.その結果,実問題に近い混合型境界条件を掘削面に与えた実験と解析では,天端付近が顕著に変位してインバート付近はほとんど変位しない応力境界型の実験に近いモードの内空変位を生じる一方で,周面土圧は偏土圧が緩和された変位境界型と応力境界型の中間的な分布になることがわかった。
  • 横田 泰宏, 山本 拓治, 伊達 健介
    2011 年 67 巻 3 号 p. I_67-I_79
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル フリー
     近年,トンネル補助工法技術の高度化に伴い,膨張性を示すような特殊地山であっても,全断面掘削を行って,早期閉合することにより最終変位を抑制している事例が多く報告されている.全断面掘削を行うためには,長尺先受け工に加え,長尺切羽補強工を用いて,切羽を安定させることが重要となる.本論文では,遠心模型実験結果から切羽補強部材の付着特性の重要性を指摘し,従来用いられてきた長尺切羽補強工の問題点を明らかにした.さらに,摩擦抵抗を向上させた新しい補強部材を開発し,室内引張試験,数値解析検討,原位置引抜試験を行って従来工法に対する優位性を実証した.新工法の適用実績とともに得られた知見を報告する.
  • 石田 滋樹, 柿木 寛也, 進士 正人
    2011 年 67 巻 3 号 p. I_81-I_86
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル フリー
     施工中のトンネル坑口部に設置される防音扉の騒音低減効果は,SEA法を用いた騒音振動連成数値解析によって防音扉の周波数ごとの音圧低減効果を実用的に解析できる.しかし,数値解析の入力値として発破音の音圧スペクトルレベルが必要となるため,SEA法による数値解析は施工段階での適用に限られ,計画段階での騒音低減解析ができない課題があった.本研究では,山岳トンネルの建設現場において,トンネル縦断方向の発破音の音圧伝達状況を連続測定した.そして,総火薬量とトンネル坑内の発破音圧レベル減衰の周波数特性を分析し,この結果に基づき,発破音の音圧スペクトルレベル予測式を新たに提案し,その適用性を検証する.
  • 千代 啓三, 井浦 智実, 西藤 潤
    2011 年 67 巻 3 号 p. I_87-I_94
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル フリー
     低土被り部で場所打ちライニング工法による施工を行った場合,テール通過時に地表面の隆起が確認された.しかし,同様の施工条件でシールド工法により施工を行った事例では大きな地盤の隆起は確認できない.本研究では場所打ちライニング工法とシールド工法の充填材料の凝結時間の違いに注目し,両者の地盤の隆起に対する影響について検討する.
     さらに,圧力が作用する影響範囲を設定することにより,Terzaghiの土圧理論で考慮しているせん断応力を側面だけでなく,正面と背面を含めた4面に作用するものと考えて沈下・隆起限界圧を計算する.計算結果から,シールド工法や場所打ちライニング工法で生じる地盤変位への施工時荷重の影響を検討する.
  • 阿部 広明, 板場 建太, 岩波 基
    2011 年 67 巻 3 号 p. I_95-I_108
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル フリー
     大深度円形立坑地中連続壁の設計方法は中浅深度における円形立坑に対するものを踏襲しており,その設計荷重は合理的かつ学術的な根拠が希薄なまま決定されているのが現状である.また,大深度円形立坑に設置した土圧計の計測結果から,軸対称側圧は設計値よりも小さいが,軸対称ではない側圧は設計値より大きいというケースが報告されている.一方,土圧計の値は,その設置時に設定する初期値の影響が大きく,地中連続壁に作用する真の側圧として評価することには疑問が残る.
     そこで,本論文は,5つの大深度円形立坑の地中連続壁で計測された水平方向の断面力から連壁に作用する側圧を逆算して設計側圧と比較し,考察を加えたものである.
  • 焼田 真司, 仲山 貴司, 小西 真治, 赤木 寛一
    2011 年 67 巻 3 号 p. I_109-I_116
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル フリー
     軟弱な粘性土地盤中に建設されたシールドトンネルには,長期的な圧密作用で内空変位やひび割れ・継手目開きが生じる場合があることが知られている.しかし,多岐の要因で生じるひび割れ・継手目開きから,圧密に起因するものを特定することは困難であることから,トンネルが経験した環境履歴に応じたひび割れ・継手目開きの進展過程を再現する計算法が必要である.そこで本研究では,実トンネルのシミュレーションを通して,このようなひび割れ・継手目開きを再現できる数値解析法を提案する.
  • 岩波 基, 定藤 誠一郎, 五十嵐 祐貴
    2011 年 67 巻 3 号 p. I_117-I_126
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル フリー
     大規模な開削トンネルの側壁に生じる温度応力ひび割れはトンネルの耐久性を損なう.そこで温度応力ひび割れを抑えるために温度応力解析が行われることが多い.しかし,その解析の条件設定には課題が多い.
     そこで,本論文は,大規模な開削トンネルの厚さ1.0m程度の側壁に着目し,まず,乾燥収縮ひずみを考慮すること,次に,コンクリート標準示方書設計編の図を用いる方法,最後に,湿気移動による乾燥収縮を考慮した3次元温度応力解析を実施する方法,これらの3種類の方法を試み,温度応力解析の精度の向上を試み,その結果,解析精度が向上することをまとめたものである.
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