土木学会論文集F1(トンネル工学)
Online ISSN : 2185-6575
68 巻 , 3 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
特集号
  • 多宝 徹, 鈴木 雅行, 五反田 信幸, 菅原 健太郎, 北村 良介
    2012 年 68 巻 3 号 p. I_1-I_15
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/29
    ジャーナル フリー
     南九州には,火砕流堆積物の非溶結部分であるしらすが広く分布している.しらすは,一軸圧縮強度が,qu=50kN/m2程度と軟質な未固結地山であるが,トンネル掘削時の支保工および周辺地山の安定性が比較的,高いことが知られている.これについては,しらす地山の破壊前の非線形性に着目した応力依存剛性変化モデルによる三次元解析を用いることで,一定の力学的根拠を与えることができる.
     本論文では,この手法を側壁導坑先進工法により掘削を行った超大断面トンネル(掘削断面積378m2)に適用し,実際のトンネル施工時の計測結果と比較することにより,解析モデルの汎用性を検証した.さらに,解析結果から,しらす地山における超大断面トンネル掘削時のトンネルおよび周辺地山の挙動について分析を行った.
  • 亀谷 英樹
    2012 年 68 巻 3 号 p. I_17-I_26
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/29
    ジャーナル フリー
     トンネル建設工事における情報化施工の一つとして数値解析を用いた逆解析がある.逆解析は,地山や支保部材の挙動を,詳細かつ定量的に表現することができるため,メカニズムの把握,対策工や施工方法の検討において強力な設計ツールとなる.
     本研究では,粒子群最適化(Particle Swarm Optimization:PSO)による最適化手法と有限差分法を組み合わせた比較的簡易な逆解析手法によって,非線形構成則の地山物性値や地山初期応力に関する複数のパラメータを同時に推定することを試みた.
     本稿は,その初期段階として,数値シミュレーションによる本解析手法の妥当性確認と問題点について報告するものである.
  • 崔 瑛, 野々村 政一, 井浦 智実, 岸田 潔, 木村 亮
    2012 年 68 巻 3 号 p. I_27-I_37
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/29
    ジャーナル フリー
     東北新幹線・北陸新幹線の沿線工事では未固結地山において小土被りトンネルが多数建設された.トンネル天端と切羽の安定性確保や地山の変形抑制を目的として,地上部の制約が少ない区間では,地上からトンネル周辺地盤を改良する事前地山改良工を施してから,NATMで掘削を行った.本研究では実際の施工条件を取り入れ,トンネルの掘削過程をシミュレートし,実現場で採用された様々な改良パターンの効果と,改良地山の強度と範囲がその効果に及ぼす影響について検討した.その結果,事前地山改良工を施すことにより,地山補強効果・せん断補強効果・荷重再配分効果が得られ,結果的に地盤とトンネルの沈下を抑制できるという知見が得られた.さらに,改良幅を広くするほど,改良強度を高くするほどより高い沈下抑制効果が得られることが確認できた.
  • 松尾 知明, 嶋本 敬介, 朝倉 俊弘, 内藤 繁, 田川 謙一
    2012 年 68 巻 3 号 p. I_39-I_49
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/29
    ジャーナル フリー
     我が国には覆工背面に空隙を有する山岳トンネルが多く存在する.そのようなトンネルの補強方法としては裏込め注入が有効であるが,空隙範囲および巻厚不足が覆工耐力に与える影響や,裏込め注入において注入圧が覆工背面に作用することによる覆工への影響について検討した事例は少ない.本論文では,まず背面空隙の存在範囲と巻厚不足が地震時に覆工耐力に与える影響について数値解析により検討した.次に,実験により覆工に作用する注入圧の検証を行い,その結果を用いた数値解析により適切な注入方法について検討を行った.その結果,巻厚が不足している箇所に裏込め注入を施工する際は,注入圧が覆工背面に作用することで覆工に破壊が生じる可能性があるが,注入管の配置ピッチを短くすることで,覆工に作用する注入圧を下げることが可能であることが分かった.
  • 横田 泰宏, 山本 拓治, 伊達 健介, 森 孝之
    2012 年 68 巻 3 号 p. I_51-I_64
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/29
    ジャーナル フリー
     近年,トンネル支保技術や補助工法技術の高度化に伴って,大断面トンネルや膨張性を示すような特殊地山,さらには都市部の軟弱地山であっても,山岳トンネル工法が採用されるようになった.そのため,トンネル支保部材の果たす役割は益々重要となっている.筆者らは支保部材の1つであるロックボルト工に着目し,その品質を向上させるために,定着材式ロックボルトの充填性評価技術,付着強度を高めた高摩擦式の鋼管膨張型ロックボルト現場でリアルタイム評価が可能なロックボルト軸力計測手法を開発した.実施した室内試験や現場試験より,ロックボルト施工の品質向上に貢献できる技術であることを確認できた.
  • 嶋本 敬介, 野城 一栄, 小島 芳之, 塚田 和彦, 朝倉 俊弘
    2012 年 68 巻 3 号 p. I_65-I_79
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/29
    ジャーナル フリー
     山岳トンネルにおいて,供用開始後路盤隆起が発生し,対策が必要となることがあるが,対策工の選定は経験に頼ることが多く,合理的な対策工の設計は重要な課題となっている.そこで本研究では路盤隆起のメカニズムとしてとくに路盤下地山の吸水膨張に着目し,模型実験および数値解析を実施した.その結果,実トンネルで計測される事例と同様に,時間とともに進行する路盤隆起現象を再現することができた.また,路盤隆起対策工としての下向きロックボルトは,インバートの剛性を向上させる効果を発揮していることを確認した.さらに下向きロックボルトの本数,径,長さ,プレストレスといった設計諸元が路盤隆起の抑制効果に与える影響を定量的に評価した.
  • 高村 浩彰, 石田 能康, 若月 和人, 三宅 拓也, 小林 真人
    2012 年 68 巻 3 号 p. I_81-I_89
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/29
    ジャーナル フリー
     本報告では,発破振動に起因する居室内ならびに坑外(野外)での固体伝搬音に関する予測式を構築した結果について報告する.さらに,複数のNATMトンネル現場における測定結果と比較することで,固体伝搬音の特性を把握した.
     検討の結果,小土被りなど切羽から地表面までの距離が短く,地表面までの振動伝搬経路において硬質な地盤かつ不連続面が少ないと想定できる場合は,発破振動に起因した固体伝搬音の発生が危惧されることを把握した.ただし,発破振動の卓越周波数帯が低い場合には,体感振動(振動レベル)だけが問題となることもわかった.さらに,発破振動に起因した固体伝搬音の管理方法等について検討した.
  • 須藤 敦史, 佐藤 京, 西 弘明
    2012 年 68 巻 3 号 p. I_91-I_98
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/29
    ジャーナル フリー
     本研究は,性能規定に基づいた寒冷地における矢板工法のトンネル覆工に対する性能照査区分(判定区分)予測のためのマルコフ遷移確率行列をモニタリング(点検)データから同定する方法を提案する.一般的なLCM(ライフ・サイクル・マネジメント)における劣化予測モデルは,モニタリングデータから得られる連続的な性能代替指標が用いられているが,実際のトンネルにおける維持管理ではレイティングされた性能照査区分が用いられている.そこで本研究では技術者へのアンケート調査結果とAHP解析により,レイティングされた性能照査区分に対するトンネル点検で得られる覆工の連続的な性能代替指標の範囲を求めている.同時に覆工劣化の時間的な遷移予測のためのマルコフ遷移確率行列を同定する方法を提案し,実際のモニタリングデータで提案手法の有用性を示している.
  • 瀬下 雄一, 津野 究, 加藤 拓也, 小島 芳之, 杉山 俊幸
    2012 年 68 巻 3 号 p. I_99-I_109
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/29
    ジャーナル フリー
     鉄道トンネルでは,トンネル覆工のはく落防止が重要な維持管理項目となっている.覆工に浮きやひびわれがあり,はく落のおそれがあるものは叩き落とし等の措置を行うか重点監視をすることになる.この場合,覆工のひずみや変位,ひびわれ幅等を自動計測して変状を定量的に監視することが考えられる.しかし,これらの方法では,センサ設置個所以外で変状が進行した場合や,変状が覆工の深部で潜在的に進展した場合は,変状の進展を評価することが困難となる.そこで,本論文では,列車走行時の振動を活用し,トンネル覆工での振動特性の変化に着目した変状進展評価方法の適用性について検討した.実トンネルにおける振動計測と覆工の変状を模擬した梁試験体による振動計測を行い,列車振動がトンネル覆工の維持管理に活用できることを示した.
  • Yujing JIANG, Yang GAO, Bo LI, Yoshikatsu OGAWA, Lei YANG
    2012 年 68 巻 3 号 p. I_111-I_118
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/29
    ジャーナル フリー
     A large number of tunnels in the world have been in service for several decades, and their health conditions deteriorate with the increasing service ages. Therefore, effective inspection methods are essential to accurately assess the health conditions of tunnels. Visual inspection method has been commonly utilized to investigate the integrity of lining concrete, however, this method is incapable of providing sufficient information about the inner state of the lining concrete, such as the existence of cracks and cavities. Since the microtremor characteristics of a concrete structure are significantly affected by its damage degree, this feature may serve as an effective method to investigate the health condition of a lining concrete. In this study, in-situ microtremor measurements were conducted on three spans of a road tunnel with varying damage degrees, and the power spectra density of the microtremors were analyzed. Then the microtremor behavior of the tunnel lining was simulated by using the two-dimensional finite difference code of FLAC. The results of both field measurements and numerical simulations indicate that the ratio of power spectrum density(RPSD) in the range of 0-110 Hz, can be used as a indicator for the damage location, type and degree. For the damaged lining where voids exist, the RPSD values are smaller than 0; for the circumferential cracks, the RPSD values are larger than 0. Therefore, as an initial step, this study gives clear evidence that the microtremor intensity characteristics have strong relation with the health conditions of lining concrete, which has the potential to be used in engineering practices.
  • 花輪 高史, 吉本 正浩, 増子 雅洋, 中村 智史
    2012 年 68 巻 3 号 p. I_119-I_131
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/29
    ジャーナル フリー
     施工時荷重であるジャッキ推力が作用する鉄鋼製セグメントの部材設計は,軸方向力としてジャッキ推力,曲げとしてジャッキの偏心量10mmを考慮して設計してきた.近年のシールド工事では曲率半径30m以下の急曲線施工が頻繁に行われている.この施工条件の場合,ジャッキの偏心量は10mmを大きく超える場合があり,座屈に対する十分な注意と対策が必要である.
     本報告は,急曲線施工時におけるセグメント部材の検討として,ジャッキ推力試験及び偏心量計測に基づいた安全性の確認方法の提案ならびに妥当性の確認を行ったものである.
  • 大島 義信, 神田 亨, 深井 直光, 堀 壮大, 小山 幸則
    2012 年 68 巻 3 号 p. I_133-I_142
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/29
    ジャーナル フリー
     本研究では,シールド工法における発進立坑の仮壁として,繊維補強発泡ウレタン材(Fiber reinforced Foamed Urethane:FFU)格子補強したコンクリート壁を提案し,その耐荷性状を実験的に明らかにした.まず,FFU補強した単純梁の曲げ耐荷性状について検討した結果,FFUとコンクリートとの付着が確保できた場合,断面計算した計算値と実験値がほぼ同等であることが示された.次に,FFU格子補強したコンクリート平板に対し,分布荷重を作用させた結果,耐荷力はコンクリートのひび割れに伴う運動機構に依存すること,および格子補強による拘束効果により耐力上昇があることを確認した.以上より,RC壁中に埋設されたFFU格子補強コンクリート平板構造は,平板理論および降伏線理論を超える耐荷力を有することが明らかとなった.
  • 岩波 基, 板場 健太
    2012 年 68 巻 3 号 p. I_143-I_154
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/29
    ジャーナル フリー
     新たな大深度地下構造物において立坑の建設費用がプロジェクト全体に占める割合も高まってきている.しかし,そのような円形立坑の仮設用地中連続壁の設計方法は,中浅深度のものを踏襲しており,とくに設計荷重については学術的な根拠に基づく裏付けがないまま設定が行われている.そこで,本研究は,計測データに基づき算定した地中連続壁の水平断面方向の断面力から地中連続壁に作用する有効土圧を推定した上で,連壁において断面力が発生する前に生じる変位を考慮したFEM解析にてその有効土圧を再現した結果,硬質な砂質土地盤では大深度における実際の土圧係数が0.2以下であることと,N値に応じた設計用の土圧係数を算出した結果についてまとめたものである.
  • 浦野 和彦, 西村 毅, 足立 有史, 河邑 眞
    2012 年 68 巻 3 号 p. I_155-I_164
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/29
    ジャーナル フリー
     近年では地中構造物の耐震補強として,構造物周辺地盤を固化改良する方法が検討されている.しかし,固化改良体を設計する場合には通常弾性体として取り扱っており,レベル2地震動を想定した場合には,引張応力による損傷などを考慮した方が合理的な設計が可能である.そのため,改良土の強度が小さい粘性土地盤を対象とした土槽載荷試験を実施し,地盤との相互作用を考慮した場合の改良体の補強効果や破壊挙動について明らかにした.また,固化改良体の引張軟化特性を考慮した弾塑性FEM解析により,土槽載荷試験における地盤,改良体および構造物の変形挙動を再現できることを示し,より合理的な設計方法に用いるべき解析手法を示した.さらに,この引張軟化特性を考慮した弾塑性FEM解析を用いた地震応答解析を実大構造物に対して実施し,実大レベルでの改良体による耐震補強効果について検討を行った.
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