土木学会論文集F1(トンネル工学)
Online ISSN : 2185-6575
ISSN-L : 2185-6575
69 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
特集号
  • 杉本 利英, 酒井 英男
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_1-I_9
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     トンネルを合理的かつ経済的に掘削するため, 事前に地山状態を的確に把握することが重要である. とくに, 広域に熱水変質を受けた地山の劣化状況把握には, 多大な労力とコストを要するため, 効果的に効率良く評価できる調査技術が必要である. 本研究は, 熱水による地山の劣化状態を把握するため空中磁気探査および最大土被り厚が150mあるトンネルズリを用いた岩石磁気調査を実施し地山状況と比較を行い磁気探査がトンネル地山調査に有効かを検討した. 調査の結果, 地山が熱水の影響を強く受けた区間の岩盤は, 強変質や弱変質に急激に変化しており, ズリの岩石磁気調査ではその急激な変化を捉えていた. 空中磁気探査は, 急激な岩盤の変質状況の把握は困難であったが, 磁化の強い新鮮な岩石と変質岩石の各区間の分布の概略はトンネル計画深度でも良く捉えていた.
  • 日下 敦, Ryan GARVEY, 砂金 伸治, Ugur OZBAY
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_11-I_19
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     極端に悪い地山条件におけるトンネル掘削では, 数値解析による検討が行われる場合が多い. この数値解析では, 地山の破壊を考慮した検討が必要不可欠であるが, 多くの地山がポストピーク特性においてひずみ軟化を伴った脆性的な挙動を示すにも関わらず, 完全塑性体と仮定した数値解析モデルが多用されているのが現状である. 本研究では, ポストピーク特性においてひずみ軟化を示す数値解析モデルを用いて, トンネル掘削における地山の挙動を検討した. その結果, トンネル掘削の影響による破壊領域は, 完全塑性モデルを使った場合と比較してひずみ軟化モデルを使用した場合の方が大きく, その広がりは地山の脆性度に依存することが分かった. また, 山はねのような不安定な破壊に関して, ひずみ軟化モデルを使用することでそのメカニズムが検討できる可能性があること等が分かった.
  • 大島 義信, 堀 壮大, 河野 広隆
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_21-I_30
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     本研究では, シールド工法における発進立坑の仮壁として提案された, 繊維補強発泡ウレタン材(Fiber reinforced Foamed Urethane: FFU)格子補強したコンクリート平板のせん断耐荷特性について実験的に明らかにした. まず, FFU補強した単純梁のせん断耐荷性状について検討した結果, せん断により生じた斜めひび割れの発生荷重は, RC梁のせん断耐力評価式で推定された荷重とほぼ同等の値を示すことが示された. 次に, FFU格子補強したコンクリート平板に対し分布荷重を作用させた結果, ディープビームとして計算したせん断耐力を大きく上回る耐荷力を有していることが明らかとなった. 以上より, RC壁中に埋設されたFFU格子補強コンクリート平板構造に対し, ディープビームとみなして評価すれば, 安全側にせん断耐力を評価できることがわかった.
  • 板場 建太, Bat-Erdene BOLOR, 岩波 基
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_31-I_41
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     都市部で大深度に構造物を構築するために必要となる大深度立坑は, その土留め壁には地下連続壁が採用され, 円形の形状である実績が多い. そして, そのような大深度円形立坑の地下連続壁を設計するのに用いる側圧には学術的な根拠に基づく裏付けがない. 岩波らは, 現場に設置された土圧計と水圧計, 鉄筋応力計の計測結果から, 大深度円形立坑の地下連続壁に偏側圧が作用し, その主たる原因が水圧の偏りによることを明らかにした. しかし, 最新の大深度円形立坑においても設計用水圧には静水圧か間隙水圧が採用されている. そこで, 本研究は, 3次元浸透流解析により設計用水圧を求めることの妥当性を計測結果と比較して確認し, その水圧分布を用いて設計用構造計算を行って設計荷重として適正を示し, 設計用水圧の設定方法を提案するものである.
  • 王 剣宏, 前田 正博, 堀地 紀行, 埴原 強, 中野 雅章
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_43-I_53
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     老朽下水道管きょの改修では, 既設管の内部に補強用の更生部材を構築し, 複合構造として外力に抵抗させているが, 既設管の老朽化と更生管の構造的な特殊性から一般の地下構造物の補強設計の考え方を適用出来ないことが多い. これに対して, 著者らは複合管の設計法として, 非線形FEM解析手法を用いて, 限界状態設計法の考え方に基づいた安全照査法を採用し実用化している. 本論文では, 現行の下水道管きょの補強工設計法とその検証実験を紹介するとともに, プレロードの影響を実験と数値解析により解明し, 現行補強設計法の有効性を確認した.
  • 川崎 元, 早瀬 幸知, 矢澤 修一, 玉井 達毅, 杉本 光隆
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_55-I_64
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     ニューマチックケーソン工法は掘削地盤の適用範囲が広く, 最終的な支持地盤を目視や平板載荷試験によって確認できる信頼性の高い工法であるが, 高気圧作業を伴うため, 施工可能深度に限界がある. この問題に対処するため, 近年ではヘリウム混合ガス併用無人掘削工法が開発され, 作業気圧0.7MPaまでの大深度の施工が可能になった. しかし, これからの都市のインフラ整備では, 地下水面下100mの「超大深度」に対応できる技術が求められるようになると考えられる. そこで, 本論文では, シールド工法に採用されているテール部の止水技術を応用したニューマチックケーソンの作業気圧低減方法を提案する.
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