土木学会論文集F1(トンネル工学)
Online ISSN : 2185-6575
ISSN-L : 2185-6575
70 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
特集号
  • 中村 明彦, 國近 光生, 亀谷 英樹, 中村 秀明
    2015 年 70 巻 3 号 p. I_1-I_16
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/21
    ジャーナル フリー
     トンネル覆工コンクリ-トに生じる初期ひびわれを予測するには,温度解析や湿気移動解析を行い,その結果をもとに応力解析を行うことが望ましい.しかし,これらの数値解析の精度は,入力する材料特性値によるところが大きく,正確な材料特性値を入力しなければ,精度良い解析結果は得られない.そこで本研究では,粒子群最適化(Particle Swarm Optimization (PSO) )を用いて,現場での温度計測結果から熱特性値を推定する熱伝導逆解析手法を提案した.さらに,ここで同定した熱特性値を用いて,初期コンクリートのひびわれのおもな要因として考えられる温度応力,乾燥収縮および若材齢時での早期脱枠等の各要因や,トンネル断面形状の扁平程度が初期ひびわれに与える影響について数値解析により検証した.
  • 玉井 達毅, 阿部 広明, 杉本 光隆, 田中 淳寛, 水原 勝由
    2015 年 70 巻 3 号 p. I_17-I_28
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/21
    ジャーナル フリー
     近年,トンネルを安全に経済的に構築する工法として,シールドを用いた場所打ち支保システム(以下,SENS)が新しく開発された.SENSの施工では,内型枠は未固結な一次覆工コンクリート(以下,一次覆工)による浮力によって上方に剛体変位し,一次覆工は内型枠が浮き上がった状態で硬化した後に,地山から有効土圧を受ける.この有効土圧は,切羽面やトンネル掘削面がトンネル内側に変位することにより減少したり,地山が自立し0となっていることも考えられるが,現行の解析法ではこうした現象を表現できない.そこで本論文では,内型枠の剛体変位,一次覆工の硬化過程および主働側の土圧や地山の自立が表現可能な三次元逐次解析モデルを開発し,実トンネルの現場計測データを用いて同手法の妥当性を検証した.
  • 真下 英人, 日下 敦, 河田 皓介
    2015 年 70 巻 3 号 p. I_29-I_42
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/21
    ジャーナル フリー
     併設トンネルの離隔距離をほとんど確保しない超近接トンネルを無導坑で掘削した時の挙動を明らかにするため,これまでに得られている施工時の計測結果の分析を行った.さらに,数値解析により後進坑の切羽通過時における中間地山の応力変化と先進坑の挙動との関係,土被り,離隔距離,地山の変形係数が支保工に作用する荷重に及ぼす影響について検討を行った.その結果,後進坑の掘削による影響は,先進坑の中間地山側の側壁部に大きく現れること,後進坑の切羽通過時には中間地山の応力が急激に変化し,先進坑の断面力が大きく増加すること.中間地山側の支保工に作用する荷重は,土被り,離隔距離,地山の変形係数の影響を大きく受け,支保工に全土被り荷重が作用する場合があることが明らかとなった.
  • 中岡 健一, 畑 浩二, 蒋 宇静
    2015 年 70 巻 3 号 p. I_43-I_56
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/21
    ジャーナル フリー
     本研究では膨張性地山の挙動を予測するため,ひずみ軟化とクリープを区別なく扱うことができる数値モデルを開発した.この数値モデルは,時間ステップ内におけるせん断応力の低下,即ち,リラクゼーションを計算するもので,応力を修正するルーチンとして有限差分法のコードに書き加えた.次に,クリープ試験と一定ひずみ速度の単調載荷試験のシミュレーションを行い,よく知られている一次~三次クリープとひずみ硬化,軟化挙動を同時に評価できることを確認した.ここではシミュレーションの対象として,同じ材料を用いた試験により,特徴的なクリープとひずみ硬化,軟化挙動が示されている公表された試験を例として選んだ.さらに,仮想したトンネル断面を用いて掘削解析を行い,トンネル掘削後における周辺岩盤の経時的なクリープとひずみ軟化挙動を評価できることも確認した.
  • Atsushi SUTOH, Keishi MATSUMOTO
    2015 年 70 巻 3 号 p. I_57-I_64
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/21
    ジャーナル フリー
     In Japan, it is necessary to excavate many hard rock tunnels using a heavy weight (200-300kW class) axial and transverse cutter head type roadheaders, which has reason for various conditions of saving the environment from the construction site and so on. And the performance of a heavy weight axial and transverse cutter head type roadheaders is a critical issue in assessing technical and economic feasibility of its application in many tunneling projects.
     Therefore, we has established a database of heavy weight axial and transverse cutter head type road-headers performance, which based on the interview for engineer's of many tunnel construction projects. This database contains field data from the civil construction operations all over Japan, includes a variety of heavy weight roadheaders of different geotechnical conditions and different cutter head type. And, this database refers to accurate estimation of the production rate, machine utilization and picks consumption for different geological units to be encountered on the tunnel project planning.
     This paper presents and discusses the performance estimation model of instantaneous cutting rate (ICR) and pick consumption which was introduced rock quality designation index (RQD) from this database. Especially this database established form hard rock tunnel excavated data using heavy weight (200-300kW class), axial and transverse cutter head type road headers.
  • 文村 賢一, 樋渡 潔, 国分 茂夫, 佐藤 大樹, 中原 史晴
    2015 年 70 巻 3 号 p. I_65-I_74
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/21
    ジャーナル フリー
     山岳トンネル切羽付近では,岩盤穿孔や吹付コンクリート,発破後ガスなど,空気質を悪化させる様々な汚染物質を発生させながら施工を進めざるをえない.この環境を改善するため,様々な換気システムが適用されているが,切羽付近の空気質改善効果が高いとされる送気,吸引捕集方式を採用する事例が多い.
     しかしながら,本方式は送気風管先端から吐出する風速が速いと,切羽で発生する粉じんを拡散させてしまい, 排気風管に効率的に捕集されないことが指摘されている.
     本報では,送気,吸引捕集方式をベースに,2種類の新たな換気システム(並列円筒面送気口方式および直列送気口方式)を提案し,CFD解析を用いて,その有効性を確認した.2種類の換気システムは,いずれも,従来の送気,吸引捕集方式に対して,発生粉じんの捕集率で比較すると約30%~35%性能が向上した.
  • 武藤 義彦, 小西 真治, 諸橋 由治, 仲山 貴司, 牛田 貴士
    2015 年 70 巻 3 号 p. I_75-I_82
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/21
    ジャーナル フリー
     地下鉄トンネルの経年劣化の主な原因の一つである塩害について,東京地下鉄では躯体調査と対策工の検討を進めてきた.最近のこの調査結果から,塩害は塩化物を含む漏水箇所の近傍で局所的に生じる場合が多いことがわかっている.そこで,本研究では,塩化物の供給源となりうる河川等と塩分濃度の高い漏水箇所の位置関係を調査することにより,塩害が生じる可能性がある範囲を調べた.この結果,感潮河川の直下および河川端からおおよそ50mの範囲が要注意範囲であることがわかった.また,この結果が地下水中における塩化物の移流拡散の観点から妥当であるかどうか,地下密度流解析で検証した.
  • 津野 究, 古田 勝, 折原 佳帆, 赤木 寛一
    2015 年 70 巻 3 号 p. I_83-I_91
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/21
    ジャーナル フリー
     地下鉄開削トンネルから伝播する列車走行時振動について,固体伝播音予測や振動対策検討時の基礎資料の提供を行うことを目的に,地盤内の減衰特性について検討を行った.まず,東京都内および近郊の複数地点において,開削トンネル内および地表部の振動加速度を測定し,1/3オクターブバンド分析を行った.これをもとに,振動加速度の分布状況や周波数ごとの減衰傾向を把握するとともに,シールドトンネルの例と比較した.また,Bornitzの計算式を適用した各周波数バンドごとの内部減衰定数の算出などを行い,周波数と内部減衰定数の関係を示した.これより,Bornitzの計算式を基本式として用いて,1/3オクターブバンドごとに地盤内の減衰を計算することが可能となった.
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