ボスポラス海峡を横断する沈埋トンネル建設においては,海象・地形・地質条件,さらには耐震性に関する要求性能に基づき,沈埋トンネル基礎を形成する函底充填材として可塑性グラウトを用いた工法を初採用した.本論文では,同プロジェクト概要と函底充填に関する技術課題を整理した上で,その適用に向けた事前検討と実施工の結果を詳述する.材料の配合試験に際しては,函底充填に適した配合仕様を設定し,充填性確認実験,実規模実証実験を通してその妥当性を確認した.また,実際の施工に際して,これらの結果に基づき使用設備,施工・品質管理方法を定め,沈埋トンネル全11函の函底充填にあたった.充填材料の1,700mにおよぶ配管圧送を伴いながらも,効率性と確実性を確保しながら施工を完了し,沈埋函基礎としての機能を確保することができた.
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