土木学会論文集F1(トンネル工学)
Online ISSN : 2185-6575
ISSN-L : 2185-6575
72 巻, 1 号
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和文論文
  • 深沢 成年, 小林 寛明, 張 信一郎, 三谷 憲司, 保田 尚俊, 朝倉 俊弘
    2016 年 72 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル フリー
     長大海底トンネルである青函トンネルは,トンネル周辺地盤に注入を実施して形成した止水ゾーンにより,強大な水圧を覆工コンクリートに直接作用させないように設計されている.このような特殊な条件下にあるトンネルの長期的挙動の把握および今後の適切な維持管理のため,トンネル本坑の内空変位の長期計測,外観検査,覆工コンクリートの応力計測に基づき,覆工コンクリートの健全性を評価した.その結果,内空変位量は全体的に小さく,急激な変位の進行も認められないこと,また,一部の内空変位量が大きい箇所では,覆工コンクリートに設計基準強度相当の応力が生じているものの,当該箇所の圧縮強度よりも十分小さいこと,さらに,今後予想される覆工コンクリートの応力増加を考慮しても,その健全性が損なわれることはないことが明らかとなった.
  • 石井 裕泰, 木村 政俊, 中塚 健司, 北誥 昌樹
    2016 年 72 巻 1 号 p. 11-26
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル フリー
     ボスポラス海峡を横断する沈埋トンネル建設においては,海象・地形・地質条件,さらには耐震性に関する要求性能に基づき,沈埋トンネル基礎を形成する函底充填材として可塑性グラウトを用いた工法を初採用した.本論文では,同プロジェクト概要と函底充填に関する技術課題を整理した上で,その適用に向けた事前検討と実施工の結果を詳述する.材料の配合試験に際しては,函底充填に適した配合仕様を設定し,充填性確認実験,実規模実証実験を通してその妥当性を確認した.また,実際の施工に際して,これらの結果に基づき使用設備,施工・品質管理方法を定め,沈埋トンネル全11函の函底充填にあたった.充填材料の1,700mにおよぶ配管圧送を伴いながらも,効率性と確実性を確保しながら施工を完了し,沈埋函基礎としての機能を確保することができた.
  • 折原 佳帆, 津野 究, 赤木 寛一, 古田 勝
    2016 年 72 巻 1 号 p. 27-38
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
     地下鉄開削トンネルから伝播する列車走行時振動について,二次元FEMによる検討を行った.まず,地下鉄開削トンネルを対象に現場測定および二次元FEMによるシミュレーションを行い,両者が概ね対応することを確認した.そのうえで,均一地盤に設置された開削トンネルを対象に二次元FEMによるパラメトリックスタディを行い,地盤の剛性に相当するせん断波速度,ポアソン比,減衰に関する係数等が振動伝播性状に与える影響について調査するとともに,対数回帰式の係数やBornitzの計算式の内部減衰定数の傾向や範囲について把握した.さらに,トンネル構造に関する検討を行い,構築の部材厚さ,隅角部のハンチ,トンネル上部の埋戻し土の物性が振動伝播性状に及ぼす影響を把握した.
  • 中村 智哉, 富樫 陽太, 津野 究, 岡野 法之, 小山 幸則
    2016 年 72 巻 1 号 p. 39-52
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/20
    ジャーナル フリー
     非開削工法で建造された線路下横断構造物は,近年,低土被りの施工事例が多く,推進・けん引した角形鋼管を本設利用する方法や,鋼管を到達側に押出しボックスカルバートと置換する方法などがとられている.後者の場合,作業効率をあげるため鋼管をボルト締結するのが一般的で,軌道への影響を緩和するにはボルトのトルク管理を適正に行う必要があるが,効果的な方法が見当たらないのが現状である.本研究では,ボルト締結された実物大の角型鋼管の曲げ試験を行って締結鋼管の曲げ挙動を実験的に検討した.その結果,締結トルクを900Nm増加することで鋼管のたわみを最大30%抑制できることがわかった.さらに,締結鋼管の曲げ変形およびボルト軸力の変化を把握できるFEMによる解析アルゴリズムを開発した.
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