土木学会論文集F1(トンネル工学)
Online ISSN : 2185-6575
ISSN-L : 2185-6575
73 巻, 2 号
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和文論文
  • 玉井 達毅, 杉本 光隆, 黒橋 群
    2017 年 73 巻 2 号 p. 14-31
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
     シールドを用いた場所打ち支保システム(以下,SENSと呼ぶ)の一次覆工は,シールド工法とは異なり,内型枠と地山の間にコンクリートを打設し,その硬化後に内型枠を脱型することにより構築される.そこで,このような特殊な施工過程を有するSENSの一次覆工の挙動を解明するため,主働側の有効土圧と三次元で施工過程を考慮できる,SENSにおける時系列三次元解析手法を開発した.本解析手法を用いて,パラメータスタディを実施し,地盤条件および施工条件が一次覆工の変位と断面力に及ぼす影響について検討するとともに,得られた解析値を計測値と比較した.その結果,本解析手法でSENSの内型枠および一次覆工の時系列の変位と断面力を表現できること,地盤条件および施工条件が一次覆工の挙動に与える影響が明らかとなった.
  • 坂井 一雄, 谷 卓也, 青木 智幸, 工藤 直矢
    2017 年 73 巻 2 号 p. 32-46
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
     著者らは,山岳トンネルの掘削時において,切羽近傍のトンネル天端部で傾斜角度を計測することによって,切羽前方の地山状況を予測する手法を開発した.本手法は,先進ボーリングや発破・打撃等の探査作業を伴わないため,切羽前方地山予測を簡易かつ迅速に実施できるという点で有利である.本論文では,開発した予測手法の詳細,計測機器の概要および現場実証試験の結果について体系的に詳述した.その中で数値解析を実施して,理論的には開発した手法がこれまでに実施されてきた坑内変位の計測結果を用いた予測手法に対して,予測感度の点で優れた手法であることを示した.
  • 長尾 達児, 小泉 淳, 石橋 忠良, 栗栖 基彰, 岩瀬 隆
    2017 年 73 巻 2 号 p. 47-58
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/20
    ジャーナル フリー
     鉄道や道路の下にアンダーパスを建設する際,上部交通への影響を極力与えない工法として,多くの非開削工法が開発され用いられている.このうち,継手を有する鋼製角形エレメントを掘進し,ボックスカルバートを構築する工法がある.この工法は,営業する鉄道や道路の下を低土かぶりで掘進しエレメントを設置するため,地表面への影響を極限まで小さくすることが求められる.
     本研究では,すでに開発され実用化されている既存技術のエレメント掘進工法を改良するにあたり,エレメント掘進の精度向上,および地表面への影響低減を図る方法を提案し,その有効性について,実物大のエレメント掘進試験により確認したので,ここに報告する.
  • 王 剣宏, 小泉 淳, 中野 雅章, 杉山 仁實, 田中 弘
    2017 年 73 巻 2 号 p. 59-70
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/20
    ジャーナル フリー
     充填式導水管路は,流下能力の向上や漏水の防止および覆工の保護などのために,トンネル内に金属管や樹脂管などを内挿管として挿入した後,両管の間にモルタルなどを充填して一体構造化したものが多く採用されているが,近年,この内挿管の座屈事故が発生している.本研究は室内座屈実験により内挿管の座屈メカニズムを解明し,現行の座屈設計手法を見直すことを目的としたものである.実験に用いた15本の模型管は,現場における施工状況を模して作成したものであり,載荷水圧の作用状況,充填材の物性および充填不良による拘束効果の違いなどが,限界座屈圧力にどのように影響するかなどを検討した.これらの実験結果から座屈のメカニズムを分析し,現行の座屈設計式の有効性と課題を明確にするとともに,新たな修正座屈設計手法を提案した.
  • 浅野 均, 下坂 賢二, 赤木 寛一, 近藤 義正
    2017 年 73 巻 2 号 p. 71-87
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー
     高吸水性ポリマー材は,1960年代以降,土木建設を含む幅広い分野で利用されてきた.本研究では,初期体積の500倍前後に吸水膨張させた粘性を有する高吸水性ポリマー安定液が,従来のベントナイト系安定液に比べて,掘削地盤の安定性を向上させるとともに,場所打ちコンクリート構造物の品質向上,安定液掘削工法で発生する産廃処分量の減量化,施工の合理化が図れる優れた地盤掘削安定液であることを実験により確認した.この安定液を2種類の場所打ち杭工法現場に適用し,その管理手法を考案するとともに,高吸水性ポリマー安定液の性能と適用範囲を実証した.
  • 神山 守, 小泉 淳, 磯部 隆寿, 田中 雅彦, 志村 洋平
    2017 年 73 巻 2 号 p. 88-99
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー
     本工法は,シールド工法等の掘進機に二液混合噴流を用いた超高圧噴射システムを搭載し,地中支障物の切断・除去や地盤改良などを行う工法として多くの施工実績がある.一方,噴流による周辺地盤への影響は,実験的研究で確認しているものの,近接構造物への影響を明示するには至っていない.
     本論文は,二液混合噴流の地盤掘削特性を,噴流の動圧の測定,模擬地盤の掘削過程の観測およびFVM解析により明らかにし,その影響範囲について数値的な根拠を示したものである.本研究の結果,噴流の動圧はノズルからの噴出直後で近接構造物を損傷する恐れがないこと,FVM解析によって地盤の掘削過程および掘削領域内の流動特性をよい精度でシミュレートできることなどが分かった.
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