山岳トンネルにおいて坑内から実施する新たな切羽前方探査法として,トンネル先進ボーリングの削孔振動を用いる方法(T-SPD:Tunnel Seismic Probe Drilling)を開発した.T-SPDは,準備工としてトンネル側壁を削孔し,センサを設置するのみと手軽な上に,探査中も削孔振動を測定するだけであり,ボーリング作業を妨げない探査法である.これまで中尺程度(削孔長50~150m程度)での先進ボーリングを用いて,3地点のトンネルで検証実験を行い,有効性を確認してきた.今回は1,000mクラスの削孔能力を有する超長尺先進ボーリングマシンを用いた2回の検証実験を行った.切羽前方約500mのP波速度を求めることができ,不良地山の検出に有効であることがわかった.また,削孔検層との相互補完によって地山評価の精度向上が期待できることもわかった.
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