日本計算工学会論文集
Online ISSN : 1347-8826
ISSN-L : 1344-9443
2012 巻
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • 丸岡 晃, 山田 貴博
    2012 年 2012 巻 p. 20120001
    発行日: 2012/02/14
    公開日: 2012/02/14
    ジャーナル フリー
    一般的な有限要素法では, ラグランジュ補間多項式に基づく要素 (ラグランジュ要素) が用いられ, 高次の補間次数を用いることによって高精度化を図ることができる. しかしながら, 近年, 波動方程式や移流拡散方程式ではラグランジュ要素の高次化が必ずしも高精度化につながらないことが指摘されている. この要因の一つには, 高次ラグランジュ要素を用いても要素境界での導関数が連続にならないことが挙げられる. これに対し, 要素境界で1階導関数が連続になる3次エルミート要素, また, p次の区分多項式により構成され, p-1階導関数まで連続にできるBスプラインやNURBS (Non-Uniform Rational B-spline) の基底関数を用いた手法が提案され, 高次ラグランジュ要素に対する優位性が示されている. さらに, Hughesらによって提案されたアイソジオメトリック解析は, CADの形状表現によく用いられるNURBSを数値解析に直接適用するという点においてCADとの融合を目指した手法としても注目されている.
    移流の卓越するような流れに対する解析手法は, 大きく風上法と特性法に分けられ, 導関数が連続となる基底関数を用いた手法として, これまで両方に基づく手法が提案されている. 風上法に基づく手法では, NURBSを用いたHughesらによる研究がある. 最初の論文でSUPG法による定常移流拡散問題の解析例が紹介され, さらに, 安定化法, VMS法による乱流解析, 流体・構造連成解析等, 多数の応用的な研究が行われている. 一方で, 特性法に基づく手法の研究例は少ないが, 3次エルミート型要素やBスプラインを用いた特性ガラーキン法が提案されている. 特性ガラーキン法は, 安定化のための人工的なパラメータを必要としないことや連立一次方程式の係数行列が対称になるという特徴がある. また, Bスプラインを用いた手法に関しては, 増幅誤差および位相誤差に関する数値特性の評価が行われ, 高次精度の上流差分法と類似の特性を持ち, ガラーキン法の枠組みで高精度な上流化手法を構築できることが示されている. しかしながら, 風上法に基づく手法については, 基本的な非定常移流拡散問題の解析例はあまり報告されていない. また, 特性法に基づく手法についても実際の解析や誤差評価を行った研究は行われていないのが現状である.
    そこで本研究では, Bスプライン基底関数を用いた特性ガラーキン法に着目し, 流れ解析において最も基本的な移流拡散方程式に対してこの手法による定式化を示し, 厳密解の明かな2次元の非定常移流拡散問題の解析を行う. また, 比較のために同様の基底関数を用いたSUPG法による解析も行う. さらに, それぞれの解析に対する誤差評価を行うことによって, それぞれの手法の有する数値特性を把握する.
  • 高井 陽介, 永井 学志
    2012 年 2012 巻 p. 20120002
    発行日: 2012/02/23
    公開日: 2012/02/23
    ジャーナル フリー
    本論文では, 複合材料の2スケール応力解析をボクセル有限要素解析にて省力的・効率的に行うため, GPUを用いることでさらに高速化しうる実装法を提案する. まず複合材料の2スケール応力解析について述べてから, 連立1次方程式の反復解法である前処理付き共役勾配法 (PCG) アルゴリズムの, 本問題への特化について概説する. 続いて, Nvidia社Fermi世代GPUへの具体的な実装法を詳述する. その後, GeForce GTX580を用いた数値実験結果を示す. すなわち, PCG全体の演算速度として75±20GFLOPS程度 (理論値の約1割) を得た. これは, Core i9 950 (Intel社Nehalem世代CPU) 搭載のPCと比較して, 4~5倍の高速化である. その結果, 実装したGPUコードを基にして, ある硬化セメントペーストの非線形損傷進展解析1) を2003要素分割で行ったところ, PCでは約1週間を要していたものが, GPUでは約1日に短縮されるようになった.
  • 西川 幸成, 桝谷 浩, 森口 優子
    2012 年 2012 巻 p. 20120003
    発行日: 2012/02/23
    公開日: 2012/02/23
    ジャーナル フリー
    落石, 土石流, 雪崩, 津波などの動的な自然作用に対する安全性を合理的に評価し, 構造物を要求される性能にあわせた設計を行ういわゆる性能設計が求められている. このような自然作用を受ける構造物では, 当然非常に高いリスクは避けるべきと考えるが, 一般に零ではないあるリスク以下は許容可能とする設計が考えられる.
    落石対策においても, 発生源における落石の危険度評価とともに, 落石がどのような経路で, どのような運動形態を示しながら, どれくらいの速度で到達してくるかを把握することが, 住民と公共構造物の安全性を考える上で必要である.
    実際の落石現象は, 地表面の形状や地質条件, 落石の形状や樹木の有無などの影響により複雑であるため, 実務においては, 落石の発生予測をはじめ落石の運動形態や考慮すべき落石の運動エネルギーなどの設計条件は, 落石対策便覧を参考に経験的に設定されることが多い. しかしながら, 落石対策便覧に示された経験則を適用することが適切でない場合も多いことから, 落石の運動挙動を予測し, リスクを評価するための落石シミュレーション手法が開発・提案されている.
    これまでに提案されている落石の運動シミュレーションは, 既往の実験結果を参考に, 2次元斜面を用いたシミュレーションが試みられる場合がほとんどであるが, 既往の落石実験は, 切土法面や樹木が伐採された斜面, 採石場などといった裸地に近い斜面で行われており, また, 斜面傾斜は30° ~60° 程度と急で, 斜面高さも20~80m程度であるため, これとは異なる斜面, 特に樹木が植生している斜面や30°以下の緩斜面, 長大斜面などに対しては十分に落石の運動を予測できるとはいえないのが現状である. このため, 実際の斜面上の落石挙動を合理的に推定できる方法が必要となっている.
    このような現状より著者らはより実用的なシミュレーション手法の確立をめざし, 3次元斜面における落石運動機構の解析手法の開発を行っている.
    本論文では, さらに実斜面に近い状態を再現するために, 斜面表面の3次元の凹凸を考慮する解析手法について定式化を含めその詳細について述べ, 簡単な斜面上の落石挙動解析に適用した数値解析結果により本手法の有用性について検討した.
    その結果, 斜面の凹凸を落石が斜面に衝突した瞬間にモデル化した三角形平面の法線ベクトルにあるランダムな傾斜を与えて表現することにより複雑な落石の衝突挙動を3次元シミュレーションで再現することができ, 本手法の有用性を示すことができた.
  • 笹川 崇, 高橋 健, 寺田 賢二郎, 川田 達也
    2012 年 2012 巻 p. 20120004
    発行日: 2012/04/09
    公開日: 2012/04/09
    ジャーナル フリー
    The present study addresses a numerical method for estimating macroscopic material properties by predicting the time variation of a three-phase porous microstructure, composed of Nickel (Ni) and Gadolinium doped ceria (GDC), due to sintering. The phase-field method (PFM) is applied for simulating the sintering process and the effect of creep deformation of the constituent materials is taken into account by introducing the strain energy to the PF free energy functional. The numerical results show that the temporal changes by sintering of the microstructure decrease the total length of triple phase boundaries and that the strain energy deteriorates the wettability between Ni and GDC more than a little.
  • 柴田 修作, 藤野 清次
    2012 年 2012 巻 p. 20120005
    発行日: 2012/04/25
    公開日: 2012/04/25
    ジャーナル フリー
    本研究では, 前処理付き反復法の計算量削減手法であるEisenstat技法の考え方を応用し, GEbE-GS型前処理付き反復法の計算量削減手法としてGEbE-Eisenstat技法を提案する. そして, 提案手法の計算量削減効果を検証し, その有効性を明らかにする.
  • 山田 崇恭, 鈴木 皓久, 松本 敏郎, 高橋 徹
    2012 年 2012 巻 p. 20120006
    発行日: 2012/04/27
    公開日: 2012/04/27
    ジャーナル フリー
    This paper proposes a new topology optimization method using a three-dimensional mesh generator based on the level set method. Basic details of the level set-based topology optimization method are briefly discussed. A topology optimization of the linear elastic problem is formulated using the level set method. Based on the formulation, the design sensitivities are derived using the adjoint variable method. Using the derived sensitivities, topology optimization algorithm is constructed where the Finite Element Method (FEM) is used to solve the equilibrium equations and to update the level set function. A numerical implementation for generating finite element mesh based on the level set method is proposed. Three-dimensional examples are provided to confirm the validity and utility of the proposed topology optimization method.
  • 片岡 俊二, 南 さつき, 河合 浩志, 吉村 忍
    2012 年 2012 巻 p. 20120007
    発行日: 2012/04/27
    公開日: 2012/04/27
    ジャーナル フリー
    Dynamic response considering fluid structure interaction (FSI) is crucial in many engineering fields and some of the FSI phenomena are treated as an acoustic fluid and structure interaction (AFSI) problem. This paper describes a new parallel simulation system for the solution of large-scale AFSI problems using partitioned iterative coupling methods. Here, a new parallel coupling technique with partitioned iterative methods is developed, while employing existing parallel solvers of the ADVENTURE system, i.s. parallel structural solver, ADVENTURE Solid and parallel Poisson solver, ADVENTURE Thermal. The developed system runs efficiently in parallel computing environments and shows accurate and robust performance in solving large scale AFSI problems.
  • 瀬良 雅也, 松本 龍介, 宮崎 則幸
    2012 年 2012 巻 p. 20120008
    発行日: 2012/05/08
    公開日: 2012/05/08
    ジャーナル フリー
    金ナノワイヤーを応用利用するにあたり, その力学特性を知ることが重要である. 分子動力学(MD)シミュレーションでは原子スケールの動的な構造変化を取り扱うことができるが, 解析のタイムスケールが厳しく制限されている. 本論文では, より小さいひずみ速度での金ナノワイヤーの力学特性を明らかにするために, 解析時間スケールを延ばすことができるParallel Replica(PR)法を用いた. MDとPR法を用いることで, 広いひずみ速度範囲(1.0×105-1.0×10121/s)で引張変形のシミュレーションを実施し, 変形挙動がひずみ速度に依存して変化することを示した.さらに,遷移状態理論に基づく方法により, 実際的なひずみ速度での降伏ひずみを予測した.
  • 野中 紀彦, 岩崎 富生
    2012 年 2012 巻 p. 20120009
    発行日: 2012/05/30
    公開日: 2012/05/30
    ジャーナル フリー
    グローバル事業を展開していくためには, 市場の要求に素早く対応できるスピードと品質が設計開発に要求されている. これを実現するためには, 解析主導設計の徹底活用が急務である. 設計開発期間の短縮化に大きく寄与するシミュレーションを活用した設計探査, 最適設計技術は極めて重要となっている. このため, 機械構造物を対象とした最適化手法は数多く提案されている. 一方, 材料探索において, 分子動力学的シミュレーション技術の発達により, 材料の拡散係数などの物性値を予測することが可能になっている. しかし, 材料の決定のために全ての材料のシミュレーションを実施するため, 非常に多くの時間を費やしていた. このため, 材料選定期間の短縮化が必要である. そこで本研究では, 短時間で材料選定を行うことを目的として, 応答曲面法を利用した材料探索技術を開発した. 本報では, 本技術の概要と共に適用例を報告する.
    材料探索とは, 与えられた材料の中から拡散係数などの指標となる物性値が小さい材料を選定することである. このため, 最適化技術を適用することにより, 所望の材料を効率的に見出すことができると考えられる. 最適化計算では, 繰返し計算を行うため, 最適化時間の短縮化が課題であり, その解決方法として応答曲面法を利用した最適化手法が提案されている. 応答曲面法は, 設計空間内を補間関数により近似し, 通常のシミュレーションに代替して, 補間関数により短時間で応答値を得るものである. そこで本研究では, 応答曲面法の材料探索への適用を検討した. 応答曲面法は連続関数を仮定している. しかし, アルミニウム, 銅などの材料の物性値は, 原子番号表から離散的である. ここでは材料間の物性値は連続的変化すると仮定し, 応答曲面法を適用した. 応答曲面モデルは, 2次関数近似モデルや, ニューラルネットワークの一種であるRBF(Rational Basis Function)モデルなど数多く存在する. ここでは, 近年注目されているKriging Modelを利用し, 少ないサンプリング点で設計空間を近似することで, 目的関数が最小となる材料を探索する.
    表面弾性波フィルタのコンデンサ構造において, 強誘電体膜LiNbO3に接触して形成する電極膜の選定問題へ適用する. 電極膜は, マイグレーションという拡散起因の気泡が発生しないように界面での自己拡散係数ができるだけ小さい材料を選ぶ必要がある. そこで, 自己拡散係数が最小となる材料を選定する. このとき, 探索対象の材料として31種類の元素を選んだ. 設計変数は, 元素の主な材料物性値である短辺, 長辺の格子定数, 融点, 凝集エネルギーであり, 目的関数は自己拡散係数である. 31種類の材料に対して, 材料探索を実施した. 従来全ての材料において分子動力学的シミュレーションを実施して材料選定をしていたが, 本手法により10ケースの計算で選定できることを確認した. これにより, 材料探索時間を1/3に短縮化できることを確認した.
  • 鈴木 智也, 肖 鋒
    2012 年 2012 巻 p. 20120010
    発行日: 2012/06/22
    公開日: 2012/06/22
    ジャーナル フリー
    本研究では, 遺伝的アルゴリズムに基づくウィンドファームレイアウト最適化システムの風況評価に直接CFD計算を試みた. 従来不可能と思われた大量な三次元CFDサンプリング解析はGPU加速によって実現した. CFD直接計算は, 既存の後流モデルに比べ, 風況の解析精度を大きく改善しただけではなく, 地形などを含む従来の後流モデルが対応できない複雑な環境に対する評価も可能にした. また, 遺伝的アルゴリズムとGPUで加速されたCFDの組み合わせを提案することで, GPU間のデータ通信を極力避けることができ, GPU大規模利用に非常に適したアプリケーションとしての新しい可能性を提言するものにもなる.
  • 中山 茂
    2012 年 2012 巻 p. 20120011
    発行日: 2012/07/05
    公開日: 2012/07/05
    ジャーナル フリー
    初めての量子アルゴリスムとして登場したドイチ問題を断熱量子計算で解く試みが行われているが, ここでは, 断熱量子計算を改良し, もっと探索コストが少ない方法を提案する. 断熱量子計算を手計算でも十分に出来る程度に, 断熱量子計算の具体的な確率振幅変化を提示し, エネルギー・ギャップの意味するところを明確にし, なぜ観測確率を高くして断熱量子計算がドイチ問題に適用できるかを詳細に考察した.
  • 室谷 浩平, 大地 雅俊, 藤澤 智光, 越塚 誠一, 吉村 忍
    2012 年 2012 巻 p. 20120012
    発行日: 2012/07/11
    公開日: 2012/07/11
    ジャーナル フリー
    In this research, a new distributed memory parallel algorithm of the explicit MPS (Moving Particle Simulation) method is presented. The analysis region is divided for a distributed memory parallel computation using ParMETIS. Two communication techniques of an overlapping method and a non-overlapping method are estimated by parallel scalability tests. Since we find that load balance is most important for the distributed memory parallel algorithm of the explicit MPS method, we find that the non-overlapping method is more effective than the overlapping method. As a result, we have been able to do the MPS analysis of 268 million particles in 38 seconds per one time step. Performance during large scale simulation is examined by computing tsunami wave run-up on a virtual gulf area using up to 58 million particles.
  • 邵 陽, 伊藤 広貴, 柴田 和也, 越塚 誠一
    2012 年 2012 巻 p. 20120013
    発行日: 2012/07/19
    公開日: 2012/07/19
    ジャーナル フリー
    自動車や飛行機, 船舶などにおいてはシェルの部品を多く含んでいる. また, 映像の分野においても, 服, 紙, 布などシェルのシミュレーション技術が必要である. 本研究はHamiltonian MPS法を用いてReissner-Mindlinシェルの解析モデルを開発した. 厚肉シェルにも対応できるうえで,, Hamiltonianによるの離散化手法なので, 線形運動量, 角運動量とともに全力学的エネルギーは保存できた. 3次元計算モデルと比較すると, 計算時間は解像度の3乗から2乗に減らすことができた.
  • 石田 智広, 渋谷 慎兵, 加藤 準治, 寺田 賢二郎, 京谷 孝史, 安藤 大輔, 小池 淳一
    2012 年 2012 巻 p. 20120014
    発行日: 2012/09/14
    公開日: 2012/09/14
    ジャーナル フリー
    結晶塑性・変形双晶の構成モデルを構築する. 具体的には, 変形勾配の弾塑性乗算分解に対して変形双晶の無応力ひずみに対応する変形勾配(双晶変形勾配)を乗算形式で導入し, 内部変数を用いる熱力学に基づく古典的定式化を採用する. この内部変数には, 各変形双晶パターンの存在率(すなわち, 体積分率)を選び, 双晶変形勾配はこれの連続関数として表現する. また, 自由エネルギーには, 通常の弾性および結晶すべりのひずみ硬化に関する項に加えて, 母相および変形双晶相の化学的エネルギーと双晶界面エネルギーをこの内部変数の関数として導入する. そして, この内部変数(変形双晶相の体積分率)がある閾値を超えた際に格子再配向が行われるものと仮定する. このようなモデル化により, 変形双晶を擬似的なすべり面における分解せん断応力によるのではなく, 熱力学的な駆動力による形成判定が可能となる. また, 双晶変形勾配の定義式において, 各双晶種別の無応力ひずみパターンは材料パラメータであり, 格子再配向の判定に必要な体積分率は各パターンの係数であるので, 変形双晶の構成モデルで考慮すべき前術の3点が同一の内部変数で関連づけられることなる. 加えて, 提案するモデルにおける変形勾配の乗算分解と自由エネルギーの定義において, 結晶すべりと変形双晶が関連づけられるため, それらの相互作用を適切に捉えることができるものと期待される.
  • 塚本 翔太, 泉井 一浩, 乙守 正樹, 大門 真, 野村 壮史, 西脇 眞二
    2012 年 2012 巻 p. 20120015
    発行日: 2012/10/31
    公開日: 2012/10/31
    ジャーナル フリー
    パッチアンテナは, 誘電体ブロックと, そのブロックを挟み込むように貼り付けられたグランドプレーンと金属パッチの2枚の金属で構成されるマイクロストリップアンテナで, 軽量, 狭い受信周波数帯域, 広い指向性から, 携帯電話や全地球測位システムなど様々な電磁波デバイスのアンテナとして活用されている.
    パッチアンテナの性能は, 構成部品たる誘電体ブロックと金属パッチの形状に大きく左右され, 高性能なアンテナを設計するためには, それらの形状設計の充実が極めて重要である. しかし, 現状の開発では, 設計者の試行錯誤による設計が行われており, 必ずしも高性能な設計案が得られていない.
    このような問題を解決する方法として, 構造最適化の適用が考えられる. 構造最適化は, 物理的数値モデルと数学的最適化手法に基づき, 最適な構造を得る方法である. 特に, トポロジー最適化は, 構造の形状と形態の変更を可能とする最も自由度の高い方法で, この方法の適用により, 抜本的な設計案の改善を図ることも可能になる.
    トポロジー最適化は, 1988年にBendsoeとKikuchiが最初に基本的な工学的アプローチを提案して以来, 性能の抜本的な改善が期待できる手法として広く研究されている. この方法は, 主に剛性最大化問題や, 固有振動数最大化問題などの構造設計問題に適用されてきたが, 近年では, 導波管, 周波数選択構造やメタマテリアルの設計など様々な電磁波デバイスの構造設計に適用されつつある. しかしながら, 設計対象としている材料は主に誘電体材料で, 直接金属を設計対象とした事例は皆無である.
    パッチアンテナの構造設計問題に対しても, 誘電体ブロックを設計対象とした事例が報告されているが, この事例でも, アンテナ性能に最も寄与する金属パッチを設計対象としておらず, 必ずしも高性能な構造設計案が得られていない.
    高周波を対象としたアンテナの構造設計問題において, 金属を解析対象として取り扱うためには, 表皮効果を適切に表現する方法を必要とする. 表皮効果とは, 比較的高い周波数の電磁波が導体材料の表面からごく僅かな距離だけ浸透する効果で, この効果を直接解析モデルに反映することは極めて難しく, 何らかの近似法を導入しなければならない.
    この問題を解決する方法として, 金属パッチの構造設計を, 誘電体ブロックとは別に, 遺伝的アルゴリズムを用いて行う方法が提案されている. この方法では, 実測値を参照した条件を与えることで, 実測値と電磁波解析の誤差を修正し, それにより最適構造を得ている. しかしこの方法では, 最適設計を実行するにあたって常に実測値を必要とするうえ, 最適性に関する数学的な裏付けがなく, さらに最適化計算に膨大な時間を要する欠点をもつ.
    そこで, 本研究では, パッチアンテナの構造設計を対象として, 表皮効果の影響を表現可能な新たな数学的近似法を導入し, その方法をもとにパッチアンテナの基本的性能を決定する金属板の構造設計を可能とするトポロジー最適設計法を構築した.
    まず, パッチアンテナの設計時の性能評価法を明確化し, その性能評価法に基づく目的関数を定式化した. さらに, ロビン境界条件により, 表皮効果を考慮可能な新しい近似解析手法を提案した. そして, 表面インピーダンスの値を体積密度の関数として表現することで, 導体の材料分布を密度法により表現可能なトポロジー最適化の定式化を行った.
    最後に, 提案した最適設計法を複数の数値例に適用し, 所望の特性を持ったパッチアンテナの最適構造が得られることを示した.特に, 本手法により, 指定周波数での広帯域アンテナや, 複数周波数で通信可能なアンテナの設計が可能であることを示し, 本手法の高い有用性を提示することができた.
  • 松原 仁, 江戸 孝昭, 原 久夫, 伊良波 繁雄
    2012 年 2012 巻 p. 20120016
    発行日: 2012/11/06
    公開日: 2012/11/06
    ジャーナル フリー
    環状切欠きを有する丸棒に繰り返し捩り外力を与えた場合, 力学的に特異な破壊挙動を示す場合がある. ファクトリールーフ状き裂の発生がその一例である. 線形破壊力学によれば, 切欠きを有する部材に捩り外力が作用した場合はモードIIIが卓越することから, き裂の進展方向はモードIと同じ方向になり, モードIIの方向へのき裂進展はあり得ない. したがって, 純捩り荷重を与えた際に生じる, ファクトリールーフ状のき裂破断面は理論的にも極めて特異なものとして扱われることになる. 本研究では, 有限要素法をベースとしたSmeared crack modelを環状切欠きを有する丸棒のき裂進展問題に適用し, 実験において観察されるファクトリールーフ状き裂の形成過程について数値解析的な観点から検討している. その結果, 比較的緩やかな切欠き勾配を有する試験体ではクロス状のき裂が発生し, 急な切欠き勾配を有する試験体ではファクトリールーフ状のき裂が観察され, 捩り外力を受ける環状切欠き丸棒のき裂進展パターンは, 試験体の形状, 特に切欠き勾配に大きく影響を受けることが数値解析的に明らかとなった.
  • 松原 仁, 江戸 孝昭, 原 久夫
    2012 年 2012 巻 p. 20120017
    発行日: 2012/12/07
    公開日: 2012/12/07
    ジャーナル フリー
    岩盤中には多数の先在き裂がランダムに存在しており, 岩盤自体の力学特性や水理学特性に多大な影響を与える. しかしながら, 岩盤特有の多数の先在き裂を直接的に考慮し, かつ, 弾性変形から破壊(剛体移動を含む)に至るまでの過程を高精度に解析できる手法については未だ確立されていないのが現状である. 本研究では, 岩盤中に先在するき裂群をき裂ネットワークモデルでモデル化し, 複雑な先在き裂パターンを三角形メッシュの境界で直接的に考慮する. そして, き裂の不連続性に関しては移動最小自乗法を用いた近似解法にて考慮する, という新たな数値計算手法を提案する. 本手法では, 三角形が健全な状態にある場合は弾性状態を仮定し, 高精度な解を得ることが可能な回転自由度を有する一般化有限要素が適用される. すなわち, き裂ネットワークで定義された岩盤モデルに対して, 弾性状態から破壊, 剛体移動に至る過程を高精度かつロバストに解析できる手法の確立を目的としている. 数値解析例の結果より, 本手法によって得られるき裂進展パターンは, 既存の実験結果と高い精度で一致することが分かった. また, き裂ネットワークを考慮したき裂進展解析の結果, 得られるき裂パターンはき裂ネットワークに極めて依存した形で現れ, 局所的な破壊面を形成することが分かった.
  • 西川 憲明
    2012 年 2012 巻 p. 20120018
    発行日: 2012/12/18
    公開日: 2012/12/18
    ジャーナル フリー
    An immersed boundary method for simulating compressible viscous flows is presented. The boundary conditions on the immersed boundaries are imposed by a ghost point treatment. The immersed boundaries are represented as a sharp interface. An adaptive selection technique of interpolating polynomials is used to evaluate the values at the ghost points. The present approach effectively avoids numerical instabilities caused by matrix inversion and leads to a robust means of interpolation in the vicinity of the boundaries. The immersed boundary method is implemented in a finite-difference solver for the direct numerical simulation of the compressible Navier-Stokes equations on non-staggered Cartesian grids. The accuracy and fidelity of the solver are examined by the three-dimensional numerical simulation of the thermal convection in a rotating spherical shell. The numerical results are compared with a well-resolved simulation on the spherical coordinate grids.
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