-
窪田 友也, 山田 正太郎, 松原 成志朗, 京谷 孝史
2021 年 2021 巻 p.
20210001
発行日: 2021/01/15
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
フリー
変形勾配の弾塑性乗算分解に基づくCam-clay modelを搭載した有限変形解析コードを開発した.Return-mappingアルゴリズムを用いた陰的応力更新法を構築するとともに,それに整合する接線係数を解析的に導出し,これらが高い精度と二次収束性を示した.また,Cam-clay modelは弾性的にも塑性的にも体積変化を生じうるモデルであるが,限界状態近傍ではほぼ非圧縮性を示すために体積ロッキング現象が生じうることを示した.さらに,この現象を回避するのに,等容変形による効果と体積変形による効果が連成する構成則にも適用可能なF-bar法が有効であることを実証した.
抄録全体を表示
-
加藤 幹大, 牛島 邦晴, 山川 誠
2021 年 2021 巻 p.
20210002
発行日: 2021/01/15
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
フリー
本研究は線形座屈荷重係数を用いたラティスサンドイッチパネルの破損荷重向上に関する研究である.我々の研究ではラティスサンドイッチパネルの剛性を担保しながら,寸法最適化により線形座屈荷重係数の向上を実現した.またその効果を確認するために弾塑性解析を行った.その結果サンドイッチパネルの体積制約が小さいときには本手法によりその破損荷重向上が見込まれるが,体積制約が大きい場合には本手法での破損荷重向上が見込めないことが明らかになった.
抄録全体を表示
-
亀谷 洋大, 梅景 俊彦
2021 年 2021 巻 p.
20210003
発行日: 2021/03/03
公開日: 2021/03/03
ジャーナル
フリー
多くの計算量を必要とするDEMシミュレーションのGPU実装における高速化とメモリ使用量の削減を行なった.既存研究で提案された近傍粒子リストのデータ構造を見直し性能の向上とメモリ容量の削減を同時に実現した.またステンシル計算の高速化で用いられてきた空間ブロッキングによる高速化手法を適用し接触粒子の参照におけるメモリアクセスを改善した.本研究で提案した手法を全て用いた場合,計算速度は平均して1.5倍以上,メモリ容量は35%程度の削減となった.最終的に2000万粒子,20万タイムステップのDEMシュミレーションを1枚のGPUで3.3時間以内に完了し,大規模なシュミレーションが低いコストで実現できることを示した.
抄録全体を表示
-
小川 竣, 山田 崇恭
2021 年 2021 巻 p.
20210004
発行日: 2021/03/18
公開日: 2021/03/18
ジャーナル
フリー
本研究は、過渡的に変化する外荷重に対して構造物の最大応力を低減するためのトポロジー最適化手法を提案する。任意の波形を持つ外荷重を取り扱うため,運動方程式の解法は、ニューマークのベータ法による逐次積分法を採用する。さらに、解析で対象としている全時刻で生じる最大ミーゼス応力を最小化するための新しい目的関数を定義する。随伴変数法と高い精度で感度が得られる Discretize then differential approach の考え方を適用した過渡応答問題の解析感度を定式化する。定式化した感度は,有限差分法をベンチマークとした精度検証を行うことによって理論の妥当性を示す。最後に、複数の最適化計算を示すことで、提案手法の有効性を確認する。
抄録全体を表示
-
小川 竣, 山田 崇恭
2021 年 2021 巻 p.
20210005
発行日: 2021/04/01
公開日: 2021/04/01
ジャーナル
フリー
本研究では、過渡的に変化する温度分布を制御する最適構造の創成を目的に非定常熱伝導問題のトポロジー最適化手法を提案する。非定常熱伝導問題における温度分布の履歴依存性を感度解析において考慮するため、最も汎用性が高く、解析条件によらず高い精度で感度を計算できるDiscretize then differential approachを応用し,感度の詳細な定式化を行う。さらに、物体領域の熱伝導性を担保しながら、任意の温度分布に制御できる構造を導出するため、熱コンプライアンスと目標温度との2乗誤差による重み付け総和関数による目的関数を新たに定義する。定式化した感度は、有限差分法をベンチマークとした精度検証を行うことによって理論の妥当性を示す。最後に、複数の最適化計算例を示すことで、提案手法の妥当性を示す。
抄録全体を表示
-
近藤 雅裕, 松本 純一
2021 年 2021 巻 p.
20210006
発行日: 2021/04/02
公開日: 2021/04/02
ジャーナル
フリー
本研究では、空間離散化して得られた粒子系が物理的健全性を有する微圧縮粒子法を開発した。熱力学第二法則や質量保存則のような基本的な物理法則を満たす支配方程式を用いた場合であっても、空間離散化後にはこれらの物理法則が満たされるとは限らない。しかし、離散化後の系も物理的健全性を有することは物理的に妥当な計算結果を得る上で重要である。本研究では、先行して開発された物理的健全性を有する非圧縮粒子法を踏襲し、僅かな圧縮性を許容することで、計算効率を改善した微圧縮粒子法を開発した。離散的な粒子系と拡張ラグランジュ方程式を対応づけることで物理的健全性を示すとともに、ビリアル定理に基づく圧力の評価方法を提案した。また、静水圧、液滴伸長、ダム崩壊の計算により手法の検証および妥当性確認を行なった。
抄録全体を表示
-
丸山 峻, 山﨑 慎太郎, 野村 勝也, 矢地 謙太郎, 藤田 喜久雄
2021 年 2021 巻 p.
20210007
発行日: 2021/04/02
公開日: 2021/04/02
ジャーナル
フリー
本論文では,ノイズフィルタの回路素子の配置,および導体パターンを統合的に考慮した最適レイアウト設計法を提案する.先行研究ではトポロジー最適化法に基づく導体パターン設計法が提案されているが,素子の配置を与条件としていたため,ノイズフィルタ全体の最適性という観点からは部分最適解しか得られていなかった.本研究では,それら両方を考慮した最適化を行うために,メタモデリングによる構造形態と外部変数の統合最適化の枠組みをノイズフィルタ設計問題へと拡張する.このために,実験計画法およびサンプル点の逐次的追加を援用することで,外部変数の数が多くなる状況下でも効率的にメタモデリングを行う方法を提案する.2つの数値例題へ提案法を適用し,素子の配置をも考慮してレイアウト最適化を行うことにより,大幅な性能向上が実現することを確認した.
抄録全体を表示
-
金澤 凌平, 新宅 勇一, 寺田 賢二郎
2021 年 2021 巻 p.
20210008
発行日: 2021/04/22
公開日: 2021/04/22
ジャーナル
フリー
本研究の目的は,結合力埋込型損傷構成則を非局所アプローチの枠組みで再定式化したうえで,き裂進展問題におけるメッシュ分割の方向依存性を回避するためにPetrov-Galerkin法を提案する.従来の局所理論に基づく結合力埋込型損傷構成則を非局所アプローチへ拡張するために,応力と結合力の釣り合い式の弱定式化を導入する.加えて,形状関数のC0連続性に起因するメッシュ分割の方向依存性を回避するために,応力と結合力の釣り合い式の重み関数に対してPetrov-Galerkin法を採用する.具体的には,有限要素間でのき裂面の連続性を考慮するために,重み関数を従来の試行関数の一階微分の関数から,見かけ上のひずみを差分近似した試行関数と同次の関数へとき裂進展に伴って変化させる.数値解析例として,1要素および多要素を用いた有限要素法による検証を通して,本提案手法の妥当性および特徴を示す.その後に,従来の局所理論に基づく結合力埋込型損傷構成則および本提案手法のメッシュ分割の方向依存性について検証を実施する.ただし,メッシュ分割の方向依存性の検証に際しては,有限要素法および基底関数の高次化が可能なIsogeometric解析を採用する.
抄録全体を表示
-
村井 直樹, 野口 悠暉, 山田 崇恭
2021 年 2021 巻 p.
20210009
発行日: 2021/05/21
公開日: 2021/05/21
ジャーナル
フリー
本論文では,高材料定数比均質化法とレベルセット法に基づくトポロジー最適化法を組み合わせた方法論を提案し,電磁メタマテリアルのユニットセル構造の最適設計を行う.高材料定数比均質化法は,メタマテリアル内を伝搬する波動の振る舞いを厳密に評価可能な手法であり,広い周波数帯で有効である上に従来の均質化法では困難であった局所共振現象の評価が可能である点を特長とする.まず,高材料定数比均質化法について概説した上で,ユニットセル構造を設計変数とし,均質化係数を目的関数とする最適化問題を定式化する.次に感度解析を行い,最適化に必要な設計感度を形状感度とトポロジー導関数の概念に基づき導出する.数値解析例では,負の透磁率を示すユニットセル構造の最適化例を示す.さらに,得られた最適構造を周期的に配列させたメタマテリアルに対してヘルムホルツ方程式によるマクロ応答の解析を行い,提案手法の妥当性を示す.
抄録全体を表示
-
矢敷 達朗, 奥田 洋司
2021 年 2021 巻 p.
20210010
発行日: 2021/07/08
公開日: 2021/07/08
ジャーナル
フリー
Galerkin Projectionに基づく縮約モデルを高レイノルズ数条件の2次元キャビティー流れ,配管内旋回流れ解析に適用し,縮約モデルを用いた流れ解析の計算精度,計算時間短縮の効果を検討した.(1) レイノルズ数10e5の条件での2次元キャビティー流れに対して,基底数40で構築した縮約モデルの計算精度は2.64%であり,3次元流体解析に対して87倍高速化された.(2) レイノルズ数10e4の条件での模擬配管流れに対して, 基底数6で構築した縮約モデルの計算精度は0.43%であり,3次元流体解析に対して38倍高速化された
抄録全体を表示
-
大村 浩之, 三目 直登, 浅井 光輝, 磯部 大吾郎
2021 年 2021 巻 p.
20210011
発行日: 2021/07/15
公開日: 2021/07/15
ジャーナル
フリー
本稿では,壁領域の角を考慮し,Incompressible Smoothed Particle Hydrodynamics (ISPH) 法のような半陰解法の粒子法に適したポリゴン壁境界モデルを開発した.基本的な理論はExplicitly Represented Polygon (ERP) 壁境界モデルを踏襲しつつ,オリジナルのERPモデルで定義されている平面ポリゴンに対する壁面寄与計算を角に対しても拡張した.そのうえで,角に対して表現された壁領域の体積を角の平面角度および立体角度に基づく近似式で補正することで,計算効率を維持しながら精度の向上を図った.開発したモデルを改良ERP壁境界モデルとし,ISPH法へ導入した.開発したモデルの妥当性を検証するため,3次元の静水圧問題およびダムブレイク問題を解いた.計算結果から,改良ERPモデルを用いた場合,従来のERPモデルと比べて理論値もしくは実験値に近く,かつ滑らかな圧力分布が得られることが確認された.
抄録全体を表示
-
佐藤 潤一, 志村 裕毅, 福留 功二, 江尻 光良, 山本 誠
2021 年 2021 巻 p.
20210012
発行日: 2021/08/19
公開日: 2021/08/19
ジャーナル
フリー
In the viewpoint of design efficiency in the development of an oil jet-cooling electric vehicle motor, the simulation technology of the particle-based method, which is suitable for free-surface flows with moving walls, is desired. However, it is not so easy to simulate the heat transfer with high accuracy and short computing time, so that it is especially difficult to apply it to impinging-jet cooling engineering design. Therefore, in the present study, a heat transfer model for an impinging jet flow is developed, based on the flow field obtained with the particle-based method. The analogy between the heat and momentum transfers is assumed in the model, and the impinging jet velocity, and the characteristic length scales of Reynolds and Nusselt numbers in the stagnation region. The model is constructed through comparing with the impinging jet flow experimental correlation expression formula. The model validity by comparing with the oil-cooling rotor experimental results is confirmed. It is found that the model-implemented simulations agree well with the correlation expression formula and the experimental results.
抄録全体を表示
-
宮城 充宏, 山本 肇, 飯塚 幹夫, 小野 謙二
2021 年 2021 巻 p.
20210013
発行日: 2021/08/25
公開日: 2021/08/25
ジャーナル
フリー
近年,数十万を超える多数のCPUを搭載した超並列計算機が実用化され広く用いられている。このような超並列計算機を効率よく使用するために,演算を各プロセスで並列処理する並列計算手法の研究開発がすすめられてきた.大規模な数値シミュレーションでは,空間領域をプロセス毎に分割し処理する空間領域分割法が適用されることが多い.一方で,比較的中~小規模の問題(例えば,数十万~数百万自由度)を多くの時間ステップで解くニーズも存在する.超並列計算機の多数のCPUをより効率的に使用するために,空間領域分割法に加えて時間方向にも並列化する時間並列計算手法が提案されている.しかし,時間並列計算手法の既存アプリケーションへの適用事例はほとんど見られない.そこで本研究では,汎用地下水解析コードとして広く用いられているTOUGH2にParareal法を実装したTOUGH2-PinT(TOUGH2 Parallel in Time)を開発し,多くの時間ステップを要する問題に適用した.その結果,Parareal法の適用によりシミュレーション時間を約10倍高速化できることがわかった.
抄録全体を表示
-
韓 霽珂, 松原 成志朗, 西 紳之介, 高田 賢治, 村松 眞由, 大宮 正毅, 小川 賢介, 生出 佳, 小林 卓哉, 村田 真伸, 森 ...
2021 年 2021 巻 p.
20210014
発行日: 2021/08/31
公開日: 2021/08/31
ジャーナル
フリー
本研究では,弾塑性材料の破壊挙動の現象論的理解に基づく新たな低減破壊エネルギーを導入したphase-field延性損傷モデルを提案する.提案モデルの自由エネルギーは弾性・塑性・損傷の3成分の和として構成され,支配方程式は連続体熱力学理論に基づくローカル・グローバルエネルギー最適化問題の停留条件として導出される.その際,塑性変形及び負の静水圧によって起こされる微小欠陥やそれらの結合を反映した低減破壊エネルギーを導入する.このおかげで,提案モデルは材料剛性および破壊エネルギーの低減を実現し,弾塑性材料の破壊挙動をシミュレート可能となる.2つの数値計算例を通して,典型的な延性損傷を再現し,提案モデルの性能を例証する.
抄録全体を表示
-
若松 裕紀
2021 年 2021 巻 p.
20210015
発行日: 2021/09/14
公開日: 2021/09/14
ジャーナル
フリー
コンパクトスキームと境界コンパクトスキームは非周期境界条件の下で壁面近傍の流れを計算するために組み合わされて用いられます。コンパクトスキームは陰的解法であるため、数値計算結果は境界コンパクトスキームの選択に影響を受けます。そのため、コンパクトスキームと境界コンパクトスキームの組み合わせの格子収束性は考慮すべきです。本研究によって、境界近傍を除くすべてのノードに同じコンパクトスキームが用いられた場合、境界コンパクトスキームの選択は、境界から数十ノードの格子間隔と計算誤差との関係に重大な影響を及ぼすことを明らかにしました。さらに、本研究は、高次精度陽的差分スキームをコンパクトスキームと境界コンパクトスキームに組み合わせることが格子収束性を向上させることを明らかにしました。
抄録全体を表示
-
近藤 雅裕, 松本 純一
2021 年 2021 巻 p.
20210016
発行日: 2021/10/14
公開日: 2021/10/14
ジャーナル
フリー
本研究では、離散式が物理的健全性を持つ高粘性非圧縮粒子法(MPH-I法)を高速化する新しい陰的解法を提案した。MPH-I法は、成形シミュレーションなど高圧下でも圧縮を抑えて計算する必要がある問題で有用である。ここでは、圧力方程式を運動方程式に代入することで、MPH-I法の行列方程式の未知数を減らすとともに、係数行列を正定値対称化することで、数学的に同一な計算を効率よく実行できるようにした。計算時間を、既存のMPH法である微圧縮粒子法などと比較し、粘性に関する拡散係数が大きい場合に提案手法が有効であることを示した。また、成形プロセスを模擬した計算により、高圧が負荷される場合であっても圧縮を抑えて計算できることを示した。
抄録全体を表示
-
松本 久也, 井元 佑介, 浅井 光輝, 三目 直登
2021 年 2021 巻 p.
20210017
発行日: 2021/10/29
公開日: 2021/10/29
ジャーナル
フリー
粘性流れ問題に対し海底面形状に適合した座標変換を適用した,底面境界適合型 moving particle semi-implicit/simulation (MPS) 法を提案する.また,この座標変換の際に出現する混合偏微分の計算モデルを提案する.この混合偏微分モデルは,MPS 法の既存の微分作用素モデルを包括する形で導出する.提案手法の精度検証として,混合偏微分モデルおよび曲線座標系におけるラプラシアンモデルの収束性の評価を行う.加えて,底面が曲線的な容器内の静水圧問題を解析し,底面境界適合型 MPS 法の精度を検証するとともに,三角形状障害物を有するダムブレイク問題を解析し,動的な問題への適用性を議論する.
抄録全体を表示
-
酒井 虹太, 野口 悠暉, 山田 崇恭
2021 年 2021 巻 p.
20210018
発行日: 2021/11/01
公開日: 2021/11/01
ジャーナル
フリー
本研究では,幾何学的特徴量に対する偏微分方程式を用いて,型による成形製造の可否を判定する数理モデルを提案する.さらには,提案するモデルとレベルセット法に基づくトポロジー最適化を用いて,型による成形製造を前提としたトポロジー最適化法を提案する.最初に,型による成形製造において要求される幾何学的制約条件を明確化する.次に,法線ベクトルを仮想的な物理モデルによる定式化を行う.さらには,製造性に関する幾何学的制約条件を具体的に定式化する.また,有限要素法を用いたトポロジー最適化の具体的な数値解析アルゴリズムを提案する.最後に,二次元及び三次元の数値解析例を示し,本提案手法の有効性と妥当性の検証を行う.
抄録全体を表示
-
和田 有司, 嶋田 宗将, 西口 浩司, 岡澤 重信, 坪倉 誠
2021 年 2021 巻 p.
20210019
発行日: 2021/11/05
公開日: 2021/11/05
ジャーナル
フリー
大領域の金属ブロックから自動車フレームの概念構造をトポロジー最適化で得るには、1%以下の体積制約と十分な要素解像度を要する。階層直交格子を利用した有限体積法ソルバであるCUBEフレームワークを、コネクティビティつき直交格子のボクセル有限要素法ソルバとして利用することで、超並列環境でトポロジー最適化の反復解析を実行する。車体フレームを意図した数億要素のトポロジー最適化を実施し、その並列化性能を測定した。
抄録全体を表示
-
車谷 麻緒, 坂 敏秀, 山本 佳士, 上田 尚史, 岡崎 慎一郎, 小倉 大季
2021 年 2021 巻 p.
20210020
発行日: 2021/11/17
公開日: 2021/11/17
ジャーナル
フリー
コンクリート構造物のV&Vにおけるボトルネックは,非線形性の強いコンクリートの力学特性にある.その力学挙動を数値解析で再現するのは簡単ではないため,コンクリート構造物のV&Vに関する既往の研究としては,V&Vのうち,妥当性確認に焦点を当てた事例が多い.一方で,妥当性確認の前に実施されなければいけない「検証」については,具体的な手順や方法が存在しないか,または確立されていないため,これまでにコンクリートを対象とした目立った研究は行われておらず,手付かずの状態に近い.その主な原因は,非線形性の強いコンクリート構造物において,数値誤差のない理論解や解析解のような参照解が存在しないことにある.
そこで本論文では,コンクリート構造物のなかで,力学挙動が比較的単純な曲げ破壊型のRCはりを対象に,オイラー・ベルヌーイのはり理論に基づく非線形計算モデルを提案する.提案モデルの特徴は,有限要素法などの離散化解析を用いずに,はり理論から導出される支配方程式を解析的に解くことで,理論解(解析解)に限りなく近いRCはりの非線形力学挙動を再現できることである.
第2節では,オイラー・ベルヌーイのはり理論に基づいて,RCはりの曲げ破壊を再現するための非線形計算モデルの定式化を示し,RCはりの非線形力学挙動を解析的に求める方法について説明する.第3節では提案モデルの検証を,第4節では提案モデルの妥当性確認を行う.第5節では,本論文の成果をまとめるとともに,コンクリート構造物のモデルV&Vに向けた今後の展望について述べる.
抄録全体を表示
-
山本 剛大, 山田 貴博, 松井 和己
2021 年 2021 巻 p.
20210021
発行日: 2021/11/19
公開日: 2021/11/19
ジャーナル
フリー
筆者らは,つりあい方程式と降伏条件式の連成問題を定義し,Block Newton法に基づく数値計算手法を開発した.本研究では,その手法を平面応力弾塑性問題に応用し,つりあい方程式・降伏条件式・平面応力条件式の連成問題を定義し,それらを同時に線形化することで内部反復のない数値計算手法を提案する.提案手法は定義した連成問題から内部変数を消去することで接線係数が代数的に得られ,内部変数も代数的に更新される.さらに,降伏条件式と平面応力条件式に対する残差が変位を自由度とした非線形有限要素解析の残差項に組み込まれるため,全体反復によって連成問題の残差が同時に減少することになる.数値計算例では,新たに提案するBlock Newton法に基づくアルゴリズムの計算結果を従来の標準的な解析手法であるreturn mappingアルゴリズムと平面応力条件により2重の内部反復となるアルゴリズムの計算結果と比較し,提案手法の妥当性と有効性を示す.
抄録全体を表示
-
菅井 理一, 山口 裕矢, 森口 周二, 寺田 賢二郎
2021 年 2021 巻 p.
20210022
発行日: 2021/12/08
公開日: 2021/12/08
ジャーナル
フリー
Extended B-spline-based implicit material point method(EBS-MPM)の弾塑性問題への適用性と表現性能を精度や数値安定性の観点から調査する.解析精度や塑性非圧縮性に起因する体積ロッキングおよび圧力振動等の数値不安定性をどの程度抑制する性能を有しているか検証するために,複数の準静的解析を実施する.解析では基底関数に1次から3次までの多項式を適用し,得られた解析結果を有限要素法による結果と比較することでEBS-MPMの弾塑性問題への適用性と表現性能について例証する.なお,本研究における検証解析は,任意の変位境界条件を課すことができなければ実行できない類のものであったが,Nitscheの方法の採用がこれを可能にした.
抄録全体を表示