日本小児看護学会誌
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22 巻, 3 号
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  • 高橋 泉
    原稿種別: 本文
    2013 年 22 巻 3 号 p. 1-8
    発行日: 2013/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、家族レジリエンスの概念を分析し、病気や障害を抱える子どもの家族支援におけるこの概念の有用性を検討することである。分析方法は、Rodgersの概念分析アプローチを用い、「Family Resilience」、「家族レジリエンス」をキーワードとして検索し、属性、先行要件、帰結に関する記述について内容を分析した。分析の結果、概念の属性は、「家族の相互理解の促進」、「家族内・家族外の人々との関係性の再組織化」、「家族の対処行動の変化」、「家族内・家族外の資源の活用」「家族の日常の維持」であった。先行要件は、「家族の危機的状況」、「永続的なストレス」であった。帰結は、「家族機能の新しいパターンの確立」、「家族の成長」であった。分析結果から、家族レジリエンスの概念の定義とモデルケースを提示し、病気や障害を抱える子どもの家族支援において有用な概念であることが明らかになった。
  • 前田 浩江, 添田 啓子
    原稿種別: 本文
    2013 年 22 巻 3 号 p. 9-16
    発行日: 2013/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、親子のかかわりから1型糖尿病をもつ子どもの療養行動が親から子ども主体に移行するプロセスを明らかにすることである。思春期・青年期の1型糖尿病をもつ子どもと親8組16名に半構成的面接を行い質的記述的に分析を行った。その結果、『1型糖尿病をもつ子どもの療養行動が親から子どもに移行し、子どもが病気と共に「ふつう」に生きることを獲得していくプロセス』が抽出された。親子は発達していく子どもの療養行動の力を感じ、お互いの力を認め合いながら【1期:子どもが発達に応じた力で療養行動に参加しながら親子で療養行動を行う時期】【2期:高血糖・低血糖時、日々の活動の変化時に親子で療養行動を相談し、子どもが療養法をわかる時期】【3期:「子ども主体の療養行動」を親が見守る時期】を経て【4期:すべて子どもの療養行動で、病気と共に「ふつう」に生きる時期】に到達していた。
  • 菅野 由美子
    原稿種別: 本文
    2013 年 22 巻 3 号 p. 17-24
    発行日: 2013/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究は、小児のがん化学療法に伴う悪心・嘔吐の症状に対して、子ども達自身が関心を持ち、看護師と共に症状を軽減するための方法を見つけ出し、症状マネジメントにおけるセルフケアを獲得できるように援助することで、子ども達の苦痛体験が軽減し、QOLが向上することを目的とした。そこで、成人で有用性が確認されている症状マネジメントの統合的アプローチ(IASM)のモデルを基に、4名の患者にリラクセーション技法を用いた介入研究を行った。その結果、子ども達は過去の体験から、自分なりの対処法で意図的に症状に対応していることが明らかになった。また、IASMモデルの小児における有用性についての示唆が得られた。しかし、IASMを小児に用いることに関しては、小児の発達段階を考慮し、親の位置づけを明確にした方法の検討が今後の課題である。
  • 二宮 啓子, 丸山 浩枝, 宮内 環, 庄司 靖枝
    原稿種別: 本文
    2013 年 22 巻 3 号 p. 25-33
    発行日: 2013/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究は、生活の自己管理技術を高める1年間の看護介入プログラムが学童の肥満度、自己効力感、ソーシャルサポート、生活習慣の認識・行動に及ぼす変化について明らかにすることを目的とした。対象者は小学1年生から6年生38名とその親であった。子どもにはプログラム前後に身長・体重測定、自己効力感とソーシャルサポートの質問紙調査、健康状態の認識、日常生活行動等に関する面接調査を行った。介入として面接調査時に自作のパンフレットを用いて生活改善の方法を指導した後、月1回放課後に2時間のプログラムを10回実施した。その結果、プログラム終了時に肥満児16名中9名(56.2%)に肥満度の改善が見られ、ソーシャルサポートの親の得点に有意な増加が見られた。また、学童の認識・行動に及ぼした変化として、(1)生活習慣の改善、(2)身体状況の改善、(3)自己管理能力の高まり、(4)自己効力感の高まり、(5)サポート感の高まりの5つのカテゴリーが抽出された。この介入プログラムは有効と言えよう。
  • 三村 博美, 竹本 三重子, 臼井 徳子
    原稿種別: 本文
    2013 年 22 巻 3 号 p. 34-41
    発行日: 2013/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、緊急入院において点滴処置を受ける年長幼児が心の準備をするための看護援助を明らかにすることである。看護師7名への参加観察と半構成的面接を実施し、質的帰納的に分析した。結果、5つのカテゴリーが生成された。看護師は、最初が肝心と【安心を伝えながら子どもの世界に入る準備をする】ことで信頼関係をつくり、点滴処置の説明では、【子どもの世界で今の体験とこれからのイメージをつなぐ】援助で子どもの遣る気を導いていた。その後【子どもの世界で遣る気の波を高める】手洗いを一緒に楽しみ、遣る気の波が高いままでいられる様に、【タイミングを合わせて安全確実な処置を行い、子どもの頑張りをほめる】援助で終結した。子どもが嫌がるときには、看護師の経験から得た方法で【拒否をしている子どもの気が向く方向を探る】援助をしていた。本研究では、緊急入院し、直後に点滴処置が行なわれる時間的制約のある中でも、看護師が子どもの世界で安心安全を伝え、即時即応しながら子どもの遣る気を助ける看護援助が明らかになった。
  • 山下 麻実, 石舘 美弥子, 宍戸 路佳, 久保 恭子
    原稿種別: 本文
    2013 年 22 巻 3 号 p. 42-48
    発行日: 2013/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、乳幼児の転落事故における看護師と看護学生が認識するリスクファクターの違いを明らかにすることである。乳幼児が入院する医療機関に勤務する看護師205人と看護師養成機関で最終学年に在籍する看護学生447人を対象に、郵送による自記式質問紙を用いて調査を実施した。その結果、看護師群の方が患者要因におけるリスクファクターについて【患者の年齢】【患者の性別】【患者の環境の変化】【患者の薬剤の使用状況】の4項目を、環境要因におけるリスクファクターについて【不適切な施設物品】【ベッド上の環境不整備】【ベッド周囲の環境不整備】の3項目を学生群より、リスクとして高く認識していた。また、看護師要因におけるリスクファクターについて、統計学的に差は見られなかったが、学生群は看護師群より【健康管理の欠如】について、高く認識している傾向であった。
  • 下山 京子, 佐光 恵子, 下田 あい子, 都丸 八重子, 石橋 清子, 松崎 奈々子, 金泉 志保美
    原稿種別: 本文
    2013 年 22 巻 3 号 p. 49-56
    発行日: 2013/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    小児専門病院で勤務する保育士の入院中の子どもへの遊びに関する認識を明らかにすることを目的とし、小児専門病院の保育士7名を研究対象者とした。インタビュー内容は(1)保育士の遊びの効果についての認識、(2)遊びの場面で工夫していること、(3)保育士の属性等である。その結果、保育士が認識している遊びの効果は、【遊びによってより良い環境をもたらす】【遊びが子どもの病気の回復に影響する】であった。保育士の遊びの工夫は【年齢に合わせた遊びをする】【疾病による身体の治療状況に合わせる】【子どものニーズに合わせる】【日常生活に近づける】などであった。また、保育士は子どもの治療への恐怖や不安に対し心の準備をするという役割も認識していた。今後はさらに、病棟保育士が医療ケアチームの一員として、医師や看護師と連携・協働して遊びを提供することで、入院している子ども達の心理的な安定や治療効果を実証的に検証していく必要がある。
  • 小幡 善美, 楢木野 裕美
    原稿種別: 本文
    2013 年 22 巻 3 号 p. 57-62
    発行日: 2013/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、看護師がとらえる検査・処置を受ける幼児後期の子どものがんばる姿を明らかにすることである。小児看護経験3年以上の看護師16名に半構造化面接を行い、質的記述的に分析した。看護師は、子どもが検査・処置を受けたくない気持ちを自己主張して何とか検査・処置を受け入れて乗り越えようと自己調整能力を発揮したり、身近な大人の関わりによってもてる力を発揮する様子を子どものがんばる姿としてとらえていた。看護師が自己調整能力を発揮する子どもの姿を意図的にとらえて、子どもが検査・処置を自分のこととして取り組めるよう関わることが、子どものがんばりを支えるうえで必要である。また、検査・処置の場でも子どもが重要他者である親と可能な限り関われるように配慮することで、子どもが子どもなりにがんばって検査・処置に向かおうとすることを支援できる。
  • 宗村 弥生, 小川 純子, 日沼 千尋, 横山 奈緒実
    原稿種別: 本文
    2013 年 22 巻 3 号 p. 63-69
    発行日: 2013/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    心臓カテーテル検査を受ける子どもと家族への看護に関する研究の内容と動向を明らかにするために、国内文献の検討を行った。医学中央雑誌とJDream2を用いて2011までの過去30年間の文献を検索し38件が抽出された。これに1999年から2011年までの日本小児循環器学会看護セッション会議録31件を加えた69件を分析の対象とした。研究の動向は、クリニカルパスやプレパレーションの導入など発表年代ごとに内容の特徴があり、わが国の小児看護のトピックスを反映していた。子どもの心身の苦痛の軽減に向けた看護には、プレパレーションの工夫や、検査後安静時間の短縮、固定用具の開発などの研究があった。家族への援助にはパスや説明方法の工夫に関するものが多かった。いずれも会議録が殆どであり、今後はエビデンスの基となりうる研究を文章化していくこと、エビデンスに基づいた看護指針を明確にしていく必要があることが示唆された。
  • 中野 綾美
    原稿種別: 本文
    2013 年 22 巻 3 号 p. 70-75
    発行日: 2013/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2013 年 22 巻 3 号 p. App4-
    発行日: 2013/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
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