日本臨床免疫学会会誌
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10 巻, 4 号
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  • 辻 孝夫
    1987 年 10 巻 4 号 p. 331-338
    発行日: 1987/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 中島 一格
    1987 年 10 巻 4 号 p. 339-347
    発行日: 1987/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    SLE患者血清中のリンパ球結合性免疫グロブリン(LAIg)を酵素抗体法を用いて定量的に測定する方法を考案し, LAIgとSLEの疾患活動性との関係を検討した.その結果, (1)LAIgGはSLE未治療群では治療群より有意に高値を示したがLAIgMでは両群に差がなかった. (2)血清補体値(CH50)とLAIgGは強い逆相関がみられたが, CH50とLAIgMとは相関がなかった. (3)非働化していない血清中のLAIgGと免疫複合体(IC)とは有意の相関があった.しかし非働化した血清ではLAIgGとCH50とは有意の逆相関を示したが, LAIgGとICとは相関がなくなった. (4)cytotoxicity testの結果とLAIgとは相関が認められなかった.これらから酵素抗体法で検出されるLAIgはcytotoxicity testで検出される抗リンパ球抗体(ALA)とは異なるALAを含み, LAIgGはSLEの疾患活動性と強い関係があることがわかった. LAIgGはSLEの疾患活動性の指標となり得るし,何らかの病因的意義が考えられる.
  • 細野 治
    1987 年 10 巻 4 号 p. 348-357
    発行日: 1987/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデスにおける抗nRNP抗体産生機序を調節性T細胞の面より検討した.培養上清中の微量の抗nRNP抗体は抗原特異的radioimmunoassayを用いて測定した.
    免疫拡散法にて抗nRNP抗体陽性患者では,無刺激in vitro抗nRNP抗体産生が全例に認められ対照に比して有意に高値を示した.活動期と非活動期における抗nRNP抗体産生に有意差は認められなかった.抗原刺激抗nRNP抗体産生系を確立し細胞間相互作用を検討すると,無刺激および抗原刺激時ともにB細胞のみでは抗体産生がみられず, B細胞とT細胞の協同作用が必要であった. nRNP抗原はT細胞依存性抗原であった. nRNP抗原刺激抗nRNP抗体産生系に対するT8細胞の抑制活性は正常であった. T4細胞の補助能を検討すると,補助能の亢進が認められた.従って,抗nRNP抗体産生機序のリンパ球レベルでの異常は, helper T細胞の異常であった.
  • 関川 巖
    1987 年 10 巻 4 号 p. 358-367
    発行日: 1987/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    SLE (全身性エリテマトーデス)のモデルマウスであるNZB×NZW (B/W) F1マウスを用いて抗DNA抗体産生におけるT細胞統御系につき検討した.このような統御系についてin vitroの系で検討を行なうには, in vivoにおいて既に活性化されているB細胞が混在する条件は不適当である.我々は,こうした活性化B細胞の多くがSephadex G 10カラムにより除去されることを明らかにするとともに, G 10通過B細胞とT細胞の混合培養系を確立して,抗DNA抗体産生に対するT細胞統御系につき検討することを可能にした.
    その結果, IgGおよびIgMクラスの抗DNA抗体産生が,各々異なるクラス特異的L3T4+ T細胞補助効果に依存していることを明らかにした.しかも, IgG抗DNA抗体産生に対し補助的に作用するL3T4+ T細胞機能は,加齢とともに増強するのに対し, IgM抗DNA抗体産生に対する補助機能は,若齢期に強く,加齢によりむしろ減弱することがわかった.一方, IgGおよびIgM抗DNA抗体産生に対し抑制的に作用するクラス特異的Ly2+ T細胞の存在も明らかとなった. IgG抗DNA抗体産生に対し抑制的に作用するLy2+ T細胞機能は,若齢期に強く加齢により減弱するのに対し, IgM抗DNA抗体産生に対する抑制的T細胞機能は,加齢とともに増強した.
    従来から, SLEにおける自己抗体産生機構に多クローン性B細胞活性化をはじめとするB細胞機能の異常が強調されていたが,今回の我々の研究によって,抗DNA抗体の産生には明らかにクラス特異的統御系T細胞が関与しており,しかもその加齢変化がSLEの発症と密接な相関を示すIgG抗DNA抗体産生に重要な要因となっていることが示された.
  • 大鹿 幸信
    1987 年 10 巻 4 号 p. 368-375
    発行日: 1987/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    我々は,担癌患者の単球-マクロファージ系細胞(Mφ)の免疫調節機能にっいて検討するため,それより産生放出されるInterleukin-1 (IL-1)およびProstaglandin E (PGE)を定量するin vitroのassay系を作成した.このassay系を用いて,癌の進展に伴うMφ機能の変遷につき観察するとともに,活性化Mφの指標とされるMφ膜表面Ia抗原陽性率(Ia率)についても検討を加えた.その結果,健常人Mφは培養3日目でIL-1, PGE産生量およびIa率のpeakを示すことから,その活性化に伴い, IL-1とともにPGEも同時に放出されることが判明した.また,癌の進展に伴いIL-1産生量およびIa率は低下を示した.しかし, PGE産生量は初期癌症例では健常人に比較して,むしろ低下傾向を示し,進行癌症例では著明に上昇した.このことから,初期癌症例群MφのT cell活性化能は比較的保たれているが,進行癌症例群Mφのそれはきわめて低下していることが判明した.さらに,癌患者血清のMφ機能に及ぼす影響を観察するため,健常人Mφを進行癌患者血清にてpreincubationしたところ, IL-1産生量およびIa率の低下をきたし, PGE産生量はきわめて上昇した.このことから,癌患者血清中の免疫抑制因子がMφ膜表面のIa抗原の発現を抑制し,その機能障害を引き起こす機序が推察された.
    以上の検討から,担癌患者の免疫不全状態の一面が明らかとなり,非特異的免疫療法を考える場合, MφのIL-1産生量の増加とともにPGE分泌の抑制も考慮すべきであると考えられた.
  • 黒沢 元博
    1987 年 10 巻 4 号 p. 376-383
    発行日: 1987/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ラット肥満細胞顆粒をDFPおよびPMSFと反応させた後,ラット白血病細胞RBL-1 cell由来protein kinase C共存下にMg2+,〔γ 32P〕ATPと反応させ,反応停止後SDS/PAG electrophoresisおよびautoradiographyを行い,肥満細胞顆粒のみ,あるいはprotein kinase Cのみの場合と比較検討した.
    protein kinase C共存下に顆粒をMg2+,〔γ 32P〕ATPと反応させると,分子量28,000に顆粒のみ,あるいはprotein kinase Cのみでは認められない明らかな32P標識bandが認められ,この332P活性はTCA, acetone処理を行っても明らかに存在した.
    ヨード化protein kinase Cを顆粒と反応させ,顆粒非共存下の場合と比較検討したが, 125I標識protein kinase C蛋白band数およびそのパターンに変化はみられなかった.
    以上より,分子量28,000の肥満細胞顆粒膜蛋白はprotein kinase Cの基質蛋白となることが示唆された.
  • 前田 裕弘, 堀内 房成, 濱崎 浩之, 小山 敦子, 藤本 卓也, 入交 清博, 堀内 篤
    1987 年 10 巻 4 号 p. 384-391
    発行日: 1987/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス(SLE)の多クローン性B細胞活性化に関連するB細胞由来のB cell stimulatory factor (BSF)について検討した. B細胞をSACで刺激培養した上清中のBCGF様活性は活動性SLE群,非活動性SLE群および健常人群の3群間には有意の差はみられなかった.しかし, BCDF様活性は活動性SLE群において亢進していた.さらに, IL-1活性を測定したところ,活動性SLE群において他の2群よりも高値を示した.同上清を抗IL-1抗体で処理後のBCDF様活性は活動性SLE群において他の2群よりも抑制率が高かった.このことより,活動性SLE群における同上清中のBCDF様活性の亢進はIL-1の抗体産生作用によるものと思われた.また,活動性SLE群のなかにはB細胞を無刺激で培養しても,その上清中には高力価のBCGF様活性, BCDF様活性およびIL-1活性を含有する症例があり, in vivoでの著明な活性化が考えられた.
  • 川内 喜代隆
    1987 年 10 巻 4 号 p. 392-400
    発行日: 1987/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ヒトのNK細胞活性に及ぼすカルシウム拮抗剤(niphedipine)の影響を検討した.方法は, NK活性測定時にniphedipineを添加した際のNK活性の変動を調べた.
    NK活性は添加したniphedipine濃度に依存して抑制されたが(3.6×103 ng/mlの濃度で著明に抑制された),エフェクター細胞の前処置によっては抑制されなかった.また, niphedipineのkinetic studyを施行したところ, niphe-dipineはNK活性の初期過程を抑制することが示された.
    inteferOn-α (IFN-α)のエフェクター細胞前処置によりNK活性は増強するが,この過程はniphedipineの影響を全く受けなかった. NK活性測定時にIFN-αとniphedipineを同時添加した場合は, niphedipineの単独添加時に比較してNK活性の抑制は軽度であった.
    以上のことは, NK細胞の標的細胞障害過程にCa2+も重要な役割を演じていることを示しているが, IFN-αのNK活性増強作用の一部はCa2+を介さないで発現することを示唆している.
  • 岡山 吉道, 黒沢 元博
    1987 年 10 巻 4 号 p. 401-407
    発行日: 1987/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は46歳,男性.下痢,血便を主訴に入院した.注腸X線検査所見,大腸内視鏡検査所見,および直腸生検の組織像などより潰瘍性大腸炎と診断した.肝機能異常,特に胆道系酵素の著明な高値を認め,胆道造影所見などから原発性硬化性胆管炎の合併例と診断した.血清IgG, IgMの増加,抗平滑筋抗体陽性, natural killer細胞活性の低下,リンパ球幼若化検査の低下が認められた.ステロイド剤,サラゾピリンの併用により消化器症状および肝機能異常は改善傾向を示し,抗平滑筋抗体も陰性化した.
  • 赤塚 順一, 宮川 三平, 藤沢 康司, 中村 弘典, 野崎 秀次, 赤沢 晃
    1987 年 10 巻 4 号 p. 408-414
    発行日: 1987/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    1歳2ヵ月に発症し,その後数年間にわたって再燃,再発をくり返した溶血性尿毒症症候群の女児に対し,新鮮凍結血漿を輸注した時の効果について報告した.
    再燃時の彼女の血小板減少は, Fc intactの免疫グロブリン大量静注療法に有意に反応して増加した.
    後者の有効性は溶血性尿毒症症候群に対する血漿輸注療法の有効性の説明として,興味ある示唆を与えるものと思われる.
    さらに患児の血小板機能,抗トロンビンIII,補体成分,プロスタグランヂン代謝についても報告した.
  • 津田 浩子, 奥村 雄三, 木村 治道, 田中 毅, 宮永 修, 石橋 大海, 仁保 喜之
    1987 年 10 巻 4 号 p. 415-419
    発行日: 1987/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    我々は, EBウイルス感染症すなわち伝染性単核球症(IM)の回復期に亜急性壊死性リンパ節炎(SNL)様症状を呈した1例を経験した.組織学的確診は得られていないものの,臨床的にはSNLに一致した. SNLの病因が明らかにされていない現在,その1つとしてEBウイルスの関与が示唆される症例であるため報告する.
    症例は26歳,女性.発熱,咽頭痛,全身性リンパ節腫脹,肝脾腫を認め,異型リンパ球の増多を伴ったリンパ球数の増加, EB VCA-lgMの上昇を認めたためIMと診断された. IM発症約2ヵ月後,高熱と左下顎領域の圧痛を伴うリンパ節腫脹を認めた.白血球数は減少,投薬なしで良好な経過をとり,臨床的にSNLと診断された.血清学的には, IMの回復期であった.免疫学的検査では, OKT4陽性細胞の低下, OKT8陽性細胞の増加, 4/8比の低下と, NK活性の低下がみられた.
  • 窪田 哲朗, 宮坂 信之, 山岡 國士, 佐藤 和人, 山田 隆, 西戸 孝昭, 奥田 正治
    1987 年 10 巻 4 号 p. 420-425
    発行日: 1987/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    35歳の女性が四肢の脱力発作と口腔内乾燥感を主訴として入院した.代謝性アシドーシス,低カリウム血症が認められ,乾燥性角結膜炎および慢性唾液腺炎の存在も証明されたため,尿細管性アシドーシス(以下RTAと略す)を伴ったシェーグレン症候群(以下SjSと略す)と診断した.本症例ではレントゲン写真上,両側腎の著明な石灰化が認められたが, SjSにおいてこのような石灰化を呈する症例はきわめて稀であると考えられる. SjSは外分泌腺の系統的疾患であり,その1分症として慢性間質性腎炎が起こり, RTAをきたし,さらに腎石灰化症に至るものと推測される.本例では進行すれば腎不全に至る可能性も考慮されたためprednisolone 30mg/dayの投与を開始したところ,著しい代謝性アシドーシスの改善が認められた.このようなextraglandular typeのSjSに対しては積極的なステロイド剤の投与が考慮されるべきものと考えられる.
  • 症例報告と文献的考察
    小林 茂人, 谷口 修, 岡田 孝男, 橋本 博史, 廣瀬 俊一
    1987 年 10 巻 4 号 p. 426-432
    発行日: 1987/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    D-ペニシラミンによる重症筋無力症を合併した慢性関節リウマチの1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.症例は26歳,女性で,約15年前より慢性関節リウマチと診断され, 1984年1月より約2年間, D-ペニシラミン(D-Pc) 150~250 mg/日の投与を受けていた. 1986年2月より,全身倦怠感,両眼瞼下垂,四肢脱力のため,近医を受診しD-Pcによる重症筋無力症(MG)と診断され(テンシロン・テスト陽性), 1986年5月本院に入院となった.入院時MGの症状は左眼瞼下垂,上肢脱力感のみに軽快していたが,抗アセチルコリン・リセプター(AchR)抗体が陽性であった.胸部CT上胸腺腫は存在せず, D-Pc内服後に抗核抗体の陽性化,入院時抗DNA抗体の上昇,補体価の低下,またBリンパ球の減少, Leu 3a/2a比の低下がみられたが,経過中に改善を示した.関節炎はD-Pc中止後約3ヵ月頃より再燃し, MG症状は約6ヵ月後に消失した.本例は重症筋無力症に加えて興味ある血清・免疫学的所見を経過中に示し, D-Pcの免疫・薬理学的作用機序から考えて興味深い症例と思われた.
  • 1987 年 10 巻 4 号 p. e1
    発行日: 1987年
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
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