日本臨床免疫学会会誌
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11 巻, 3 号
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  • 井形 昭弘
    1988 年 11 巻 3 号 p. 203-208
    発行日: 1988/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 溝口 靖紘, 久保井 広志, 阪上 吉秀, 小林 絢三, 山本 祐夫, 森沢 成司
    1988 年 11 巻 3 号 p. 209-215
    発行日: 1988/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Propionibacterium acnes(P. acnes)加熱死菌をマウスに静注し, 7日後に少量のグラム陰性菌由来のlipopoly-saccharide (LPS)を静注すると,ほとんどのマウスは広範な肝壊死を起こして死亡する.しかし,このような実験的肝障害を誘導する際に,抗補体剤であるK 76を投与すると,マウスの生存率は高くなり,肝の組織的変化も著明に改善された.このK 76の肝障害抑制機構を明らかにするため,著者らは肝障害を誘導する肝粘着性細胞の活性化に及ぼすK 76の影響を検討するとともに,粘着性細胞由来の肝細胞障害因子に対するK 76の肝細胞防御作用を調べた.その結果, K 76は肝粘着性細胞の活性化を抑制して細胞障害因子の遊離を抑制するばかりでなく,肝細胞に直接作用して,肝細胞を障害因子の作用から防御することが明らかになった.
  • 宮地 清光, 鷹野 佐恵子, 松嶋 広, 樋渡 恒憲, 唐沢 英偉, 三木 亮
    1988 年 11 巻 3 号 p. 216-223
    発行日: 1988/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    原発性胆汁性肝硬変症(PBC)と慢性活動性肝炎(CAH)の定型的重複症例MMの血清中に未同定の自己抗体を発見し,本抗体をMM抗体と名付けた.本抗体はラット肝細胞質3分画を用いた二重免疫拡散(DID)法で検討するとミトコンドリア分画と反応せず,マイクロゾーム分画と強く反応した.抗ミトコンドリア抗体陰性でMM抗体陽性血清を用いた間接螢光抗体法で検索すると,ラット肝,腎の細胞質に特異螢光は確認されなかった. DID法ではMM抗体は抗Liver Kidney Microsome抗体と完全に交叉した.本抗体の陽性頻度は肝生検で確認されたPBC-CAH重複症例5/5, PBC 3/19, CAH 2/14に認められたが,非自己免疫性肝疾患,正常人には検出されなかった.本抗体は自己免疫性肝疾患,とくにPBC-CAH重複症例の診断に役立つものと思われる.
  • 2.慢性活動性Epstein-Barrウイルス感染症に対する効果
    脇口 宏, 藤枝 幹也, 松本 健治, 大原 雄二, 倉繁 隆信
    1988 年 11 巻 3 号 p. 224-230
    発行日: 1988/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    慢性活動性EBウイルス感染症児10例について, EBウイルス特異的キラーT細胞(EBV-CTL)活性,各種lymphokine賦活EBV-CTL活性を測定し,以下の結果を得た.
    患児のEBV-CTL活性の平均値は10.7%で,対照55例の22.9%に比して有意に低値であったが, 10例中9例は対照の-2SD内に含まれた. Interleukin 2 (IL-2)賦活EBV-CTL活性, interferon α (IFN-α)賦活EBV-CTL活性の平均値はそれぞれ21.4%, 14.1%で,いずれも対照の38.0%, 35.5%に比して有意に低値であった, IL-2, IFN-αで増強されたEBV-CTL活性の程度(net EBV-CTL)は患児の方が低値であったが,対照の40~50%で増強がみられず,患児2例でも10%以上の増強がみられた.
    患児のEBV-CTL活性は, IFN-γで2例, OK-432で1例が10%以上増強されたが, indomethacinでは増強されなかった.
    EBウイルス非接種効果細胞キラー活性, IL-2, IFN-α賦活キラー活性は患児と対照で差がなく, IL-2, IFN-αによる増強もみられなかった.
    以上のことから,慢性活動性EBウイルス感染症児のEBV-CTL活性は, IL-2, IFN-αによって増強され難いが,一部の例では増強されたことから,治療に応用できる可能性が示唆された.
  • 西間木 友衛, 平原 美孝, 大久保 義光, 船橋 裕司, 渡辺 一雄, 森藤 隆夫, 粕川 禮司
    1988 年 11 巻 3 号 p. 231-235
    発行日: 1988/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    膠原病患者の加齢による免疫能の変化を検討する目的で,膠原病老齢者と若年者および対照老齢者と若年者の4群で液性および細胞性免疫学的パラメーターを測定し比較した.
    膠原病老齢者は多くの点で膠原病若年者にみられる免疫異常を継続していた.しかし,膠原病若年者でみられたCD4細胞比率の減少やCD8細胞比率の増加,すなわちCD4/CT8比の低下は膠原病老齢者では対照老齢者と同じ値に改善し,またリンパ球数や単球数およびC4値の異常も改善傾向を示した.
    一方,膠原病若年者は対照若年者に比較し, IgGとIgMが増加しIgAが減少していたが,これら免疫グロブリン異常は膠原病老齢者と対照老齢者の間でより顕著な差があった.この原因として,加齢によるBSF産生能の亢進が知られており,膠原病老齢者のBSF産生能が対照老齢者に比べより亢進されているためと考えられた.
  • 井上 孝利, 石橋 大海, 工藤 二郎, 白浜 正文, 仁保 喜之, 大久保 英雄
    1988 年 11 巻 3 号 p. 236-243
    発行日: 1988/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    10例の選択的IgM欠損症について,リンパ球表面の免疫グロブリン, Eロゼット形成細胞数,モノクローナル抗体による表面マーカーの検索と合わせて, in vitroにおける免疫グロブリン産生能を検索した,血清IgM濃度は全例25mg/dl以下であり,他の免疫グロブリン濃度は正常範囲であった.基礎疾患としては,これらの患者は呼吸器または尿路感染症を発症しており, 3例に全身性エリテマトーデス(SLE), 1例に慢性関節リウマチ(RA)がみられた.リンパ球表面免疫グロブリンのうち, IgA, IgD, IgG, IgMは2例を除いて正常範囲にあり,この2例はすべてのリンパ球表面免疫グロブリンが減少していた. Eロゼット形成率はすべて正常であった,モノクローナル抗体による表面マーカーの検索では, OKT4が2例に低く, OKT8が3例に高く,全体としてOKT4/OKT8比が低値であった. in vitroでの免疫グロブリン合成は,全例IgA, IgG産生は正常でIgM産生のみ著明に低下していた.患者と健常者のT, B細胞を組み合わせて免疫グロブリン産生を検討した成績では,患者のB細胞およびhelper T細胞異常はなく, IgM特異的suppressor T細胞の活性上昇が証明された.これら10例のIgM欠損は, IgM特異的サプレッサーT細胞の機能亢進によることが示唆される.
  • 松井 英, 吉村 了勇, 岡 隆宏
    1988 年 11 巻 3 号 p. 244-251
    発行日: 1988/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    妊娠維持における脱落膜細胞の働きを証明するために,脱落膜細胞培養上清の免疫抑制活性を検討した.妊娠初期の脱落膜組織から酵素分解およびPercollを用いた非連続濃度勾配法により精製した脱落膜細胞1×106/mlの48時間培養上清は,添加濃度50%でPHAによる幼若化反応,リンパ球混合培養試験,キラーT細胞誘導反応をそれぞれ29.6%, 40%, 53.3%抑制した.さらに,培養上清はPHAにより刺激した末梢血リンパ球のIL-2産生系ではコントロールが9.4u/mlであったのに対し1.9u/ml, IL-2R発現ではコントロールが48.1%の発現率であったのに対し35.6%と抑制するとともに, PWMにより刺激したB細胞のimmunoglobulinの産生をも抑制した.以上の結果から,脱落膜細胞は, IL-2産生を抑制し, IL-2R発現を抑制する免疫抑制物質を分泌し,母体の局所の免疫反応を抑制することで,妊娠維持に必要な1つの因子となっていると考えられる.
  • LAK活性誘導におけるγ-Interferon (γ-IFN)の関与について
    松浦 靖, 西原 利治, 大西 三朗, 山本 泰猛
    1988 年 11 巻 3 号 p. 253-262
    発行日: 1988/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌患者(HCC)のlymphokine activated killer細胞活性(LAK活性)正常群, LAK活性低値群,および健常者を対象に末梢血単核球から誘導されるLAK活性の発現に関与する因子を検討し, HCCにおけるLAK活性低下の機序を検討した. 1)健常者およびHCCのLAK活性の誘導は抗gamma interferon (γ-IFN)抗体添加により抑制された. HCCのLAK活性誘導時のγ-IFN産生能は低下しており, γ-IFN添加によりLAK活性の増強を認めた.したがって, LAK活性誘導にγ-IFNの関与が示唆された. 2)HCC末梢血単核球亜分画は健常者と比べ有意の変動を示さなかった.健常者,およびLAK活性正常HCC群において, Leu 7あるいはLeu 11b分画除去によりLAK活性および培養上清中γ-IFN濃度は低下するが, LAK活性低値HCC群に比しLAK活性は依然高い活性を示した.また,その分画除去により低下したLAK活性はγ-IFN添加により有意の増強が認められなかった.以上の成績より, HCCのLAK活性低下はγ-IFN産生障害のみでなく, LAK前駆細胞としての広範な単核球系の異常の関与が推察された.
  • 井上 雅広, 清 美達, 新宮 世三, 柏木 征三郎, J. George Bekesi, 横山 三男
    1988 年 11 巻 3 号 p. 263-267
    発行日: 1988/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    宮崎県日南市で調査したHTLV-1キャリァー72名と同地区での年齢および性別のマッチした健常人61名のコントロール血清中のHIV-1に対する中和抗体(NAb)ならびにHIV-1逆転写酵素に対する抑制抗体(RTIAb)について検索した.キャリアーのなかの1例は,血友病患者でHIV抗体が陽性であった(HTLV-1とHIV-1の混合感染例).健常人コントロール血清はすべてHIV-1抗体が陰性であった. HTLV-1キャリアー72名のうちの2例および混合感染していた血友病患者の血清中には高力価のRTIAbが検出された.すべてのコントロール血清RTIAbが陰性であった.さらに,この血友病患者の血清中には高力価のNAbが検出されたが,他のHTLV-1キャリアー(HIV-1抗体は陰性)71名では検出されなかった.これらの結果から, HIV-1のRTの酵素活性を左右する抗原決定基には抗HTLV-1抗体と弱く交叉反応する部分があると考えられる.しかしながら, RTIAbが陽性の血清にはHIV-1に対するNAbの活性がないことから, HIV-RTIAbは, invivoでHIV-1を中和する能力はないと思われる.また,これらの結果は, HTLV-1の感染は, HIV-1感染者に存在するHIV-1中和抗体の産生を誘導しないと考えられた.
  • 松本 満
    1988 年 11 巻 3 号 p. 268-275
    発行日: 1988/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Epstein-Barrvirus (EBV) transformation法を用いて,特発性血小板減少性紫斑病(ITP)患者から, 9系統のヒトモノクローナル抗血小板抗体産生細胞株を樹立した.酵素免疫測定法(ELISA法)を用いた検討から,それらのうち3系統では1本鎖DNAとの交差反応性が認められ,さらにそのうちの1系統はpoly (dT), poly (I)とも強い反応性を示した.また,これらのうちの1系統を選んで, EBV-ハイブリドーマ法により,マウス骨髄腫細胞株P3X63Ag8.653との融合細胞を作製した.得られたマウスーヒト・ヘテロハイブリドーマはヌードマウス腹腔内への移植が可能で,それにより,高濃度のヒトモノクローナル抗体が得られることが明らかになった.
  • 向井 正也, 佐川 昭, 酒井 勲, 渡部 一郎, 安田 泉, 大西 勝憲, 藤咲 淳, 中川 昌一
    1988 年 11 巻 3 号 p. 276-282
    発行日: 1988/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    赤血球ghost蛋白を用いたenzyme linked immunosorbent assay (RBC-ghost ELISA)を開発し,各種疾患で間接クームス陽性患者血清と,直接クームス陽性患者の赤血球抗体解離液を対象として測定した.抗原の付着法は, 0.05M carbonate buffer pH9.6を用いた.患者血清は正常血清と比較して有意に(p<0.01)高値をとり,赤血球抗体解離液も反応し,この方法で抗赤血球抗体を測定できると考えられた.本法はクームス試験よりも明らかに感度が高く,操作も簡便である.しかし,患者血清や赤血球抗体解離液の中にはまったく反応しないものがあり,一部の赤血球抗原はプレートには付着しないと考えられ,血液型特異性のない免疫性溶血性貧血では,その対応抗原は患者により異なっている可能性が考えられた.
  • 加来 秀彦
    1988 年 11 巻 3 号 p. 283-292
    発行日: 1988/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Dipeptidyl aminopeptidase IV (DAP IV)はhelper T細胞に存在することから免疫機能との関連が考えられ, PHA, Con A, PWM刺激によるリンパ球活性化時のDAP IVの変化と,遊離IL-2レセプター(sIL-2R)との関連を,ベーチェット病(BD), RA, SLEについて検討した.
    リンパ球のDAP IV活性の変化は, RAでは健常人と変りない良好な反応を示し, SLEではPWM刺激を除いて培養前と変化がなく, BDでは中間の値を示した.培養上清メディウムのDAP IV活性は, RAのPWM刺激を除きリンパ球と同様な傾向を示した. PHA刺激培養の上清メディウムsIL-2Rとリンパ球DAP IVとの関係はr=0.8514 (p<0.001)の有意な相関を認めた.
    リンパ球DAP IVの変化はIL-2Rの介在するhelper T細胞機能の差によることが示唆され,本酵素が免疫病態を反映する新しい指標になりうると考えた.
  • 五十嵐 康, 石塚 全, 黒沢 元博
    1988 年 11 巻 3 号 p. 293-300
    発行日: 1988/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ラット肥満細胞をcompound 48/80およびcalcium ionophore A23187で刺激し,反応停止後,肥満細胞pellet中のprotein kinase C活性および上清中のヒスタミン遊離量を測定した.
    肥満細胞を48/80で刺激し,経時的にprotein kinase C活性およびヒスタミン遊離量を測定すると,刺激30秒後に有意のヒスタミン遊離が認められた. protein kinase C活性は刺激30秒, 1分後に増加したが, 3分後には前値に復した.各種濃度の48/80を用いて肥満細胞を30秒間刺激すると,ヒスタミン遊離量は48/80の濃度に依存して増加し,それに並行してprotein kinase C活性も増加傾向を示した.肥満細胞をA23187により刺激すると,刺激1分後に有意のヒスタミン遊離が認められた. protein kinase C活性は刺激1分後に増加傾向を示したが, 5分後には刺激前値に復した.
    以上より,肥満細胞活性化に伴い,一過性にprotein kinase C活性が増加することが示唆された.
  • 小橋 秀広, 坪田 輝彦
    1988 年 11 巻 3 号 p. 301-308
    発行日: 1988/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    錯乱症状を主徴とし, SLE, Sjögren症候群病像を呈しDICを合併した1例. 65歳,女性.レイノー現象,目の乾燥感,口内乾燥,口内炎についで,下肢浮腫,出血斑,発熱,異常行動,せん妄,意識障害を生じた.細血管障害性溶血性貧血,血小板減少,精神症状,発熱,腎障害の病態に,フィブリノゲン,プロトロンビン, α2プラスミンインヒビターの減少とFDPの増加あり.新鮮血輸血,血小板輸血, prednisolone, gabexate mesylateの投与後,著明に改善.膝窩部潰瘍に血栓形成を認め,乾燥性角結膜炎の合併,皮膚組織のIgG,フィブリノゲンの沈着, PAIgGの高値, ANF,抗RNP抗体などの種々の自己抗体が陽性で自己免疫の関与が深く関係していると考える.自己免疫疾患とTTP, DICについて論じる.
  • 風間 要一郎, 岩本 雅弘, 斉藤 司, 原口 和貴, 女屋 敏正
    1988 年 11 巻 3 号 p. 309-314
    発行日: 1988/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例, 75歳女性. 10年来の慢性関節リウマチでステロイド剤を内服していた.昭和60年4月22日,血小板減少と皮下出血を認め,精査のため当院に入院した.
    入院時検査では血沈124mm/hr, RAテスト2(+),関節の破壊・変形も著明でclassical RAであった.血小板数5×104lであったが赤血球数,白血球数は正常であった.骨髄像は巨核球の減少はなく,血小板寿命の短縮,脾での血小板とり込みの増大, PAIgGの増加を認めたことより自己免疫性血小板減少症と診断した. γ-グロブリン大量療法,ステロイド療法を試みたが効果なく,血小板は徐々に減少し1年後には1×104l前後となり,最後には敗血症のため死亡した. RAに伴う血小板異常は血小板増多が普通であるが,血小板減少もFelty症候群, drug inducedの場合によく知られている.最近PAIgGの測定がなされるようになり,自己免疫性血小板減少症がRAに合併することが報告され,本例もこれに相当するものと考えられた.しかし,末期には白血球減少症も合併し,脾腫はないものの完全にFelty症候群を否定することはできなかった.いずれにしても,本症のごとき著明な血小板減少,出血傾向をきたした症例の報告は初めてと思われ,ここに報告した.
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