日本臨床免疫学会会誌
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14 巻, 4 号
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  • 粕川 禮司
    1991 年 14 巻 4 号 p. 359-367
    発行日: 1991/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 池田 悦子, 武井 正美, 康 浩一, 西成田 進, 澤田 滋正, 堀江 孝至
    1991 年 14 巻 4 号 p. 368-375
    発行日: 1991/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    われわれは, RA患者末梢血よりphorbol myristate acetate (PMA)刺激を行いB細胞株であるTKS-1を樹立した. TKS-1は, κ鎖, B細胞マーカーの二重染色, κ鎖遺伝子のrearrangementにより,単クローン性B細胞株であった.さらに従来,単球,顆粒球,ホジキン細胞マーカーとされていたCD 15抗原をその細胞表面に表現していた.このようなB細胞亜分画は,これまで報告されておらず,次に無刺激の末梢血中のLeu M1 (CD 15)+B細胞について検討した.間質性肺炎,蜂窩織炎などの合併症を有する活動性の高いRA患者3例でCD 15+B細胞が末梢血中に認められた.それらのCD 15+B細胞亜分画はステロイドの投与により臨床症状が改善するとともに速やかに消失し, RAの再燃により増加を認めた・他のsystemic lupus erythematosus (SLE)を含む膠原病,感染症,間質性肺炎では, CD 15+B細胞亜分画は末梢血中に認められなかった.ある特定の条件下におかれた活動性の高いRA患者の末梢血中にCD 15+B細胞を認めえた.
  • 中野 正明
    1991 年 14 巻 4 号 p. 376-386
    発行日: 1991/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチ(RA) 131例について,関節外症状別に臨床背景,検査所見の比較検討を行った.悪性関節リウマチ(MRA)あるいは間質性肺炎(IP)の合併例は22例であり,疾患活動性やリウマトイド因子(RF)が高値で,予後不良であった.続発性のアミロイドーシスの合併は17例で,疾患活動性は高値であったが, RFは低値であり,蛋白尿や腎機能低下が各々13例, 12例に観察され,最も予後不良であった.全身性エリテマトーデスなどの膠原病の重複例が18例に認められ,低補体血症やγグロブリンの高値が特徴的であった.一方,組織学的に上記以外の腎障害の合併例は30例で,血尿を18例に認めたものの,蛋白尿や腎機能低下の出現は低頻度で,予後は良好であった.検査所見では,疾患活動性とともにRFの低値が認められ, RAに認められる腎障害は, MRAで観察される関節外症状とは異なり, RA自体の炎症反応や免疫異常とは異なる成因による障害であることが示唆された.
  • 辻 秀一, 石原 良美, 神口 浩, 入交 昭一郎, 山村 雅一, 辻 公美
    1991 年 14 巻 4 号 p. 387-394
    発行日: 1991/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    血清可溶性HLA抗原(以下Ss HLA)は, 1970年その存在を明らかにされて以来,検出方法および臨床的意義について研究されてきたが,なお確立されていない.今回,われわれは自己免疫疾患である全身性エリテマトーゼス(以下SLE)における可溶性HLA class I抗原の臨床的意義を明らかにする目的で,ニトロセルロース膜を用いたELISAによるdot blotting法により測定し検討した. (結果) (1) Ss HLA class I抗原はSLE患者21例(55ポイント)のうち9例(15ポイント)で陽性であった. (2) SLE患者においてSs HLAの反応性はリンパ球数と負の相関を示した(p<0.05). (3) Ss HLAの陽性率はSLEの疾患活動性と強い正の相関を示した(p<0.001). (4)活動性SLEにもかかわらずSs HLAを認めなかった7例のうち5例がネフローゼ症候群を有するループス腎炎症例であった.
    SLE疾患におけるSs HLA class Iは免疫複合体を形成し疾患活動性の一因となりうる病因的な可能性が考えられた.しかし,逆にSLE疾患自体に伴う免疫系の賦活化された状態を反映する病態としての可能性も否定できない. Ss HLA class I抗原の遊出機序やその生物学的,臨床的意義に関する今後のさらなる研究が望まれる.
  • 大道寺 英幸
    1991 年 14 巻 4 号 p. 395-402
    発行日: 1991/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    精製Ul RNPを用い, Immunoblotting法により抗Ul RNPおよびSm抗体の対応抗原を分析し,その補体結合性について検討した.
    家兎胸腺PBS抽出液を抗原源とし,抗U1 RNP抗体affinity chromatographyにてUl RNPを精製した.この精製Ul RNPをSDS-PAGE, western blotting法にてニトロセルロース膜に転写し,二重免疫拡散法にて検出したSLE, MCTD患者の抗Ul RNPおよびSm抗体陽性血清を反応させ,ペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgG抗体を用いて対応抗原の検索を行った.補体結合性は患者血清,補体源(新鮮正常血清),ペルオキシダーゼ標識抗ヒトC3抗体を反応させ検討した. SDS-PAGEにて精製Ul RNPから主として65, 36, 32, 26, 16および11~14KDのポリペプチドが検出された.抗Ul RNP血清はSLE, MCTDの診断にかかわらず, 65, 36, 32および26KDなどのポリペプチドと反応し,抗Sm抗体が共存する血清は,それらのBandに加え16 KDとの反応が認められた.これらのポリペプチドに対応する抗U1 RNP抗体の補体結合性を検討したところ, MCTDでは32 KDに対する抗体は, 65 KDおよび36 KDに対する抗体に比較し有意(p<0.01)に強かった. SLEでも32 KDに対する抗体は, 65 KDおよび36 KDに対する抗体に比較し有意(p<0.01)に強く,さらに26 KDおよび16 KDに対する抗体は65KDに対する抗体に比較し有意(p<0.01)に強かった.次にMCTDとSLEで比較すると, 36 KDにおいてSLE (32%)は有意(p<0.05)にMCTD (0%)より補体結合性が強かった.抗Ul RNP抗体はその補体結合の相違により,異なる病因的意義を呈する可能性が示唆された.
  • 杉田 憲一, 鹿嶋 広久, 江口 光興, 古川 利温
    1991 年 14 巻 4 号 p. 403-409
    発行日: 1991/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    白血病児の末梢血単球でのIL 2リセプター(IL 2 R)発現へのIFN-γの効果を検討し,健康成人よりの単球と比較した.さらに, methotrexate (MTX), 6-merucaptopurine (6-MP)の影響を検討した.
    1) 健康人の単球にIFN-γを1,000U/mlより1U/mlの範囲で添加した. 24時間後,単球表面のIL 2 Rの陽性率はIFN-γの添加により増強した.
    2) 白血病患児よりの単球を培養液のみで24時間処置するとIL 2 Rは20.1±14.4%の陽性を示した.健康人の9.3±4.9%に比較して高値であった.しかし,新鮮単球上のIL 2 Rは差がなかった. IL 2 Rの発現に対してのIFN-γの増強効果は健康人の場合に比較し患児では小さかった.
    3) 健康人単球表面のIL 2 R発現に対するIFN-γの増強効果は1×10-6mol/L, 1×10-8mol/Lの6-MPの存在下で抑制された.
  • 西成田 進, 澤田 滋正, 堀江 孝至
    1991 年 14 巻 4 号 p. 410-416
    発行日: 1991/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ヒト血清中の特異的自然抗体の動態を知る目的で,正常者,全身性エリテマトーデス(SLE)患者,多発性骨髄腫患者および臍帯血清中の抗フォスフォリルコリン抗体(抗PC抗体)価を測定した.正常血清中にはELISA法で十分に検出可能なIgGおよびIgMクラス抗PC抗体が存在した.多クローン性高ガンマグロブリン血症の存在するSLE患者血清中では両クラスの抗PC抗体が増加している例が多く, IgG抗PC抗体は28%に,抗IgM抗体は16%に増加例が認められた.反対に正常免疫グロブリンの低下する骨髄腫患者血清中では大部分の例で抗PC抗体が低下していた.母体由来のIgGのみが通過すると考えられている臍帯血清でもIgMクラスのみならずIgGクラス抗PC抗体の低下があり,胎盤でなんらかの選択機構が関与しているものと考えられた.末梢血におけるPC特異的B細胞の頻度を検討したところ,正常者ではpokeweed mitogen (PWM)で刺激後約6倍に増加するが, SLE末梢血ではPWM刺激後,むしろやや減少する傾向を示した.ヒト血清中の抗PC抗体はマウスの抗PC抗体とは異なりT15 idiotypeを表現しておらず,ヒトに固有のidiotypeをもつことが推測された.
  • 橘 順子
    1991 年 14 巻 4 号 p. 417-428
    発行日: 1991/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Tリンパ性悪性腫瘍が疑われたリンパ節27例につき単細胞浮遊液を作成し,蛍光抗体法によるflow cytometryを用いた細胞表面抗原の検索と免疫組織染色を併用し, retrospectiveに両者の診断学的有用性につき検討した.対照として反応性リンパ節炎22例についても検討した.
    Flow cytometryによる検索では, Tリンパ腫および反応性リンパ節炎の細胞表面抗原陽性率は,それぞれCD 3 (58.7%, 68.1%), CD 4 (46.9%, 49.8%), CD 8 (23.3%, 24.7%)と,両群はほぼ同様の陽性率を示した. CD 4/CD 8比についても2.01, 3.31であり,陽性率のみではCD 8+Tリンパ腫の2例を除きTリンパ腫と診断することは困難であった.免疫組織染色では,組織学的に腫瘍細胞の局在が明らかであり,同部の染色性はT細胞抗原, CD 4あるいはCD 8のclonal excessが判断でき,診断的価値が高いものであった.
    皮膚の免疫組織染色では, 17例中9例に明らかな腫瘍T細胞のclonalityを確認しえた.皮膚型Tリンパ腫においても免疫組織染色による検索が有用と考えられた.
  • 高田 清式
    1991 年 14 巻 4 号 p. 429-438
    発行日: 1991/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胃癌における新しい腫瘍マーカーを検索することを目的として,胃癌細胞に対するモノクローナル抗体を作製し,その抗原の性状について免疫学的検索を行った.ヒト胃膠様腺癌白石株を担癌したBALB/c系ヌードマウスの腹腔内に同系健常マウスのT細胞を投与し,腫瘍消退後のヌードマウスの脾細胞とマウス骨髄腫細胞P3X63Ag8.653株とを融合させ,モノクローナル抗体産性ハイブリドーマを作製した.モノクローナル抗体の免疫学的性状は,各種組織の凍結切片および各種培養細胞株を用いて,アビジン・ビオチン複合体を用いた酵素抗体法で解析した.その結果,モノクローナル抗体MKS-1 (IgG1)は,胃癌組織に32例中20例,大腸癌組織に10例中6例反応を示し,癌細胞培養株でも,胃癌,大腸癌,膵癌に反応を示した.他方,正常胃,大腸組織および胎児組織には反応しなかった.さらに, MKS-1が反応する抗原は,免疫ブロット法で検討した結果, 70kDaに相当する分子量を有し,かつ糖鎖が関与していると考えられた.以上の所見から,作製したMKS-1は胃などの消化器癌に比較的特異性が高いと考えられた.
  • 大浪 更三, 菊田 豊, 西間木 友衛, 粕川 禮司
    1991 年 14 巻 4 号 p. 439-446
    発行日: 1991/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    進行性全身性硬化症(PSS)の姉と, CREST症候群の妹の強皮症同一家系内発症の一家系を経験したので報告する.
    姉は68歳で昭和50年来レイノー現象を認めた.昭和58年から嚥下障害があり,昭和59年よりイレウスにて入・退院を繰り返した.平成2年6月に抗Scl 70抗体陽性が認められ,手指,前腕および顔面の皮膚硬化,指先の潰瘍瘢痕,開口障害,胸部X線像で肺線維症が認められPSSと診断された.イレウス症状を繰り返したが,プロスタグランディンF2αの投与にて改善した. PSSと肺線維症に対してプレドニゾロンとD-ペニシラミンが使われ,経過観察中である.
    妹は66歳で昭和29年来レイノー現象を認めた.朝のこわばりと手指関節痛もあった.昭和49年ころから手指の腫脹を認め,平成2年9月レイノー現象を主訴に当科を受診した.抗セントロメア抗体と抗ミトコンドリア抗体が陽性で,手指の浮腫と皮膚硬化,指先の潰瘍瘢痕,手掌部と口唇の毛細血管拡張,指関節と左〓骨皮下の石灰沈着,食道下部蠕動低下の所見からCREST症候群と診断された.
    この姉妹におけるHLA haplotypeはPSSの姉にA 24 (9), Bw 52 (5), DR 2/Bw 54 (w 22), DR 4が, CREST症候群の妹にA 24 (9), Bw 52 (5), DR 2/A 31(w 19), B 51 (5), DRw 8がみられた.
  • 山崎 康司, 槇野 博史, 太田 康介, 池田 修二, 平川 秀三, 太田 善介, 藤原 久子
    1991 年 14 巻 4 号 p. 447-453
    発行日: 1991/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は35歳女性で, 34歳時より両側の強膜炎でステロイド剤の投与を受けていた.眼症状から9ヵ月後高熱が出現し,近医で蛋白尿,血尿,腎機能低下を指摘され当科に入院した.腎生検にて半月体形成性腎炎による急速進行性腎不全と診断した.壊死性血管炎や肉芽腫は認められなかった.また入院時抗ヒト好中球細胞質抗体(ANCA)が強陽性cytoplasmic patternであり,特徴的臨床症状とあわせWegener肉芽腫症(WG症)と診断した.メチルプレドニゾロンパルス療法,抗凝固・抗血小板療法を併用し臨床症状,腎機能の改善を認めた. ANCAも治療に伴い1ヵ月後には陰性化した.眼症状で発症するWG症は過去4例しか報告がなく,また上気道,下気道病変を欠き腎病変を9ヵ月後に呈する特異な臨床経過を示すWG症と考えられた. ANCAはvariant formのWG症の診断や治療の指標として有用であると思われた.
  • 小山田 吉孝, 岡本 真一郎, 竹内 勤, 荒木 葉子, 川村 雅文, 菊池 功次
    1991 年 14 巻 4 号 p. 454-462
    発行日: 1991/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胸腺腫を伴う後天性低γ-グロブリン血症(Good症候群)の1例を経験したので,文献的考察を含め報告する.症例は67歳の女性で,昭和60年ころより易感染性を呈していた.平成元年2月,口腔内カンジダ症が認められた.その際,低γ-グロブリン血症および胸腺腫を指摘され, Good症候群と診断された.免疫学的検索では,末梢血中のB細胞の著減, T細胞の相対的増加, CD 4陽性細胞/CD 8陽性細胞比の明らかな低下が認められた.また,同種PWM誘導免疫グロブリン(IgG)産生において,患者末梢血T細胞は正常人に比し,強いIgG産生抑制活性を示し,これらが,本症例における低γ-グロブリン血症の成因であることが示唆された.平成元年1月,悪性胸腺腫の診断のもとに,胸腺腫摘出術を施行されたが,術後,明らかなγ-グロブリンの増加は認められていない.
  • 和田 淳, 天野 哲基, 田野口 創, 太田 善介, 大島 浩一, 大月 洋, 松尾 信彦
    1991 年 14 巻 4 号 p. 463-468
    発行日: 1991/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Neuro-Behçet病の神経症状は多彩であるが,複視のみの神経症状で発症し,橋の側方注視中枢に限局した障害をきたした症例を経験した.症例は, 38歳男性. 25歳ころより口腔内アフタ,アクネ様皮疹,外陰部潰瘍が出現しはじめ,その後,眼症状も合併したため, Behçet病としてコルヒチンの投与を受けていた.昭和63年3月,突然発熱,頭痛とともに複視が出現したため当科受診し入院となった.髄液圧の上昇と単核球の中等度の増加が認められるが,精神症状はなく,頭部CTおよびMRIでも異常なく,髄液中にoligoclonal bandが認められることから,多発性硬化症との鑑別が問題となった.しかし4主症状が存在することや,左眼の外転障害以外に右眼の内転障害も認められることから, neuro-Behçet病による橋の側方注視中枢の障害と考え,プレドニゾロンの投与を行ったところ,複視は速やかに消失した.
  • 酒井 基, 今井 浩三, 青木 繁雄, 田巻 知宏, 河上 祐一郎, 杉山 敏郎, 千葉 進, 日野田 裕治, 谷内 昭
    1991 年 14 巻 4 号 p. 469-475
    発行日: 1991/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    今回著者らは,脳波異常を伴い意識消失発作を繰り返し,経過中脳梗塞を発症したループスアンチコアグラント陽性SLEの1例を経験した.症例は42歳女性で1981年よりSLEの診断を受け通院治療を受けていた, 1988年11月ころより意識消失発作を繰り返していたため, 1989年5月当科入院,入院時よりループスアンチコアグラントおよび抗カルジオリピン抗体が陽性を示していた.意識消失は,その臨床所見および脳波所見より複雑部分発作と考えられた.さらに本症例は肺炎に罹患後, 1989年10月17日に脳梗塞を発症した.意識消失発作,脳波異常および脳梗塞発症の原因として,ループスアンチコアグラントなどの抗リン脂質抗体の存在が推測された.
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