進行性全身性硬化症(PSS)の姉と, CREST症候群の妹の強皮症同一家系内発症の一家系を経験したので報告する.
姉は68歳で昭和50年来レイノー現象を認めた.昭和58年から嚥下障害があり,昭和59年よりイレウスにて入・退院を繰り返した.平成2年6月に抗Scl 70抗体陽性が認められ,手指,前腕および顔面の皮膚硬化,指先の潰瘍瘢痕,開口障害,胸部X線像で肺線維症が認められPSSと診断された.イレウス症状を繰り返したが,プロスタグランディンF
2αの投与にて改善した. PSSと肺線維症に対してプレドニゾロンとD-ペニシラミンが使われ,経過観察中である.
妹は66歳で昭和29年来レイノー現象を認めた.朝のこわばりと手指関節痛もあった.昭和49年ころから手指の腫脹を認め,平成2年9月レイノー現象を主訴に当科を受診した.抗セントロメア抗体と抗ミトコンドリア抗体が陽性で,手指の浮腫と皮膚硬化,指先の潰瘍瘢痕,手掌部と口唇の毛細血管拡張,指関節と左〓骨皮下の石灰沈着,食道下部蠕動低下の所見からCREST症候群と診断された.
この姉妹におけるHLA haplotypeはPSSの姉にA 24 (9), Bw 52 (5), DR 2/Bw 54 (w 22), DR 4が, CREST症候群の妹にA 24 (9), Bw 52 (5), DR 2/A 31(w 19), B 51 (5), DRw 8がみられた.
抄録全体を表示