日本臨床免疫学会会誌
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16 巻, 3 号
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  • 江口 勝美
    1993 年16 巻3 号 p. 191-207
    発行日: 1993/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 大浪 更三, 茂木 積雄, 吉田 浩, 粕川 禮司
    1993 年16 巻3 号 p. 208-215
    発行日: 1993/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    CREST症候群3例とPBCとCREST不全型合併2例の経験から,本邦報告CREST症候群85例を集計し,それらの免疫・遺伝学的検討を行った.
    CREST症候群での合併症をみると, PBCが最も多く29/85例(34.1%)で,他に,シェーグレン症候群18/85例(21.1%),肺線維症7/85例(8.2%),他の肝疾患7/84例(8.2%),慢性甲状腺炎5/84例(5.8%)や肺高血圧3/84 (3.5%)などがみられた. CREST症候群に合併するPBCの病型は症候性8/29例(27.6%)に比し,無症候性が21/29例(72.4%)と多い.
    免疫学的検討から, CREST症候群単独ではACAが22/27 (81.4%), PBCとCREST症候群の合併ではAMA 28/29 (96.5%), ACA 21/22 (95.4%)と両抗体陽性が特徴的にみられた.
    遺伝学的検討ではCREST症候群にHLA-B 7/DR 1, PBCとCREST症候群の合併にDR 9あるいはDR 3が高頻度にみられ,推計学的な有意差が認められたことから,異なった遺伝的要因が推察された.
  • 渡邊 英章, 鳴海 賢二, 榊原 宣, Martin H. Goldrosen, Kenneth A. Foon
    1993 年16 巻3 号 p. 216-226
    発行日: 1993/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    抗CD 3抗体刺激LAK細胞培養上清の抗腫瘍効果について検討した.健常成人(n=14)の末梢血から単離した単核細胞を, IL-2 1,000 U/ml存在下で培養してLAK細胞を誘導した.培養初期48時間にOKT-3 10 ng/mlで刺激したLAK細胞をCD 3 (+) LAK,刺激しなかった通常のLAK細胞をCD 3 (-) LAKとした. MTTアッセイで検討するとCD 3 (+) LAK培養上清は濃度依存的に,ヒト大腸癌樹立細胞株HT 29, LS 174Tの増殖を抑制したが, CD 3 (-) LAK培養上清は抑制しなかった.
    CD 3 (+) LAK培養上清中に存在するTNF-α, IFN-γを抗体で中和しても,腫瘍抑制効果は消失しなかった.また, CD3 (+) LAK培養上清中の腫瘍抑制因子の物理化学的性質は,分子量約67Kdで, pH3.5以下, pH9.5以上で失活し, 95°C, 10分間の加温で失活する蛋白質であることがわかった.
    この腫瘍抑制因子は,われわれがすでに報告したCD 3 (+) LAK培養上清中のLAK活性抑制因子と同一であると考えられた.
  • TNF-S投与後のCD8陽性DAF陰性T細胞の減少に関する検討
    渕野 泰秀, 篠原 貫之, 岡田 則子, 冨田 昌良, 梅野 寿実, 池田 靖洋, 岡田 秀親
    1993 年16 巻3 号 p. 227-235
    発行日: 1993/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Recombinant TNF-SAM2(以下TNF-S)投与による感作を行った3時間後にOK-432を投与すると,体内でTNF産生が高まることを利用した治療法(内因性・外因性TNF療法: EET療法)で進行再発大腸癌の治療を試みている.このEET療法を行った癌患者について,末梢血白血球像およびリンパ球亜群(特にCD 8陽性DAF陰性T細胞)の変化を解析した.桿状核球はprimerとしてのTNF-S投与後著明に増加し, triggerとしてのOK-432投与後更に増加した.一方白血球,リンパ球,単球, CD 16陽性細胞, CD 8陽性CD 11 b陽性T細胞およびCD 8陽性DAF陰性T細胞はTNF-S投与後いったん減少し, OK-432投与後増加し前値に復すという傾向を示した.またCD 4/CD 8比はTNF-S投与後より高く維持されていた.特にわれわれが活性化T細胞として注目しているCD 8陽性DAF陰性T細胞は, TNF投与直後より著減し, 60分後には3%以下となった.末梢血リンパ球をTNF-S存在下に培養したり, TNF-S投与前の末梢血リンパ球を投与後60分の非働化自己血清存在下に培養しても, CD 8陽性DAF陰性T細胞は変動をみせず, TNF-S自身やTNF投与後血清などには直接Tリンパ球上のDAF発現を抑制する活性は認められないと考えられた. TNF-S投与により一過性に末梢血内で減少する各免疫担当細胞は,いったん腫瘍局所,網内系臓器あるいは血管内皮などに補足されると推察された.
  • 宮地 清光, 鷹野 佐恵子, 松嶋 広, 保坂 洋夫, 宮川 浩, 鈴木 王洋, 川越 光博, 権田 信之, 柴田 実, 上野 幸久
    1993 年16 巻3 号 p. 236-243
    発行日: 1993/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は69歳時,会社の検診で肝機能異常を指摘された. 75歳時,胆道系酵素が高値のため, B病院肝臓外来へ紹介された. ERCPで肝外胆道系疾患はなく,抗ミトコンドリア抗体(AMA)陽性のためPBCが疑われ, 77歳時肝生検目的のため入院となった.肝生検像では, PBCの所見は乏しく, chronic persistent hepatitisの所見のみであった.本抗体の対応抗原が免疫沈降法により95kDaの蛋白で,細胞質のcytosol分画に存在していることから,本抗体を抗p95 cytosol (C)と改名した.
    本症例はその後の免疫学的検査では, AMAと異なる抗p95 C抗体陽性の他,抗セントロメア抗体も陽性であった.さらに血液生学的検査では,高度の閉塞性肝機能障害を呈していたが,自覚症状では全身倦怠感,〓痒感,黄疸はなく,予後良好の1例と考えられた.本研究所で経験した本抗体陽性の15症例を呈示し,臨床的特徴について考案した.
  • 大曽根 康夫, 山本 則彦, 鈴木 厚, 美田 誠二, 松岡 康夫, 入交 昭一郎
    1993 年16 巻3 号 p. 244-248
    発行日: 1993/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    精神症状発現時に髄液中のIFNαとIL-6が高値を示し,抗UlRNP抗体と抗Sm抗体が経過中に出現したSLEの1例を報告する.症例は19歳女性,平成2年3月,顔面に紅斑が出現した. 9月に抗UlRNP抗体が,また12月に抗Sm抗体が陽性となった. 3年1月抑うつ状態となり2月入院,強直性間代性痙攣,不随意運動が出現したが,パルス療法で改善した. 6月抗Sm抗体は陰性化したが, 8月再び陽性となった. 9月下旬より躁状態著明なたため, 10月再入院となった.パルス療法とサイクロホスファマイド300 mgの静注投与を施行し,精神症状は急速に改善した.入院時に採取した髄液中のIFNαは3461 U/ml, IL-6は680 pg/mlと著明に上昇していたが,第10病日には精神症状が持続していたにもかかわらず,両者はともに検出感度以下と著明に低下していた.本例はCNSループス診断における髄液中IFNαおよびIL-6測定の臨床的意義と自己抗体の出現様式を考えるうえで貴重な症例と考え報告する.
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