日本臨床免疫学会会誌
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17 巻, 3 号
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  • 今井 浩三, 日野田 裕治, 高橋 徹
    1994 年 17 巻 3 号 p. 139-146
    発行日: 1994/06/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
  • 斎藤 美和子, 宮田 昌之, 松嵜 博記, 武田 功, 渡辺 浩, 木田 さとみ, 海瀬 俊治, 大原 守弘, 西間木 友衛, 粕川 禮司
    1994 年 17 巻 3 号 p. 147-151
    発行日: 1994/06/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    大動脈炎症候群(AoS)に肺高血圧(PH)を合併するのはまれであり,また混合性結合組織病(MCTD)に合併するPHに比べて軽症のことが多い.今回PHと抗カルジオライピン抗体(aCL)との関係をAoSとMCTDについて比較検討した.さらにわれわれが経験したPHを合併したAoS 2例を提示した.
    aCLは, PH合併AoS 2例でいずれも陰性であり, PH合併MCTD 3例ではすべて陽性であった.症例1はAoSと診断14年後にPHを合併し,その後6年経過し生存中である.症例2はAoSと診断6年後にPHを発症しその6年後に死亡した. PH発症後の生存期間は, AoSでは5年以上, MCTDでは平均0.8年であった.
    AoSとMCTDでは, PHは異なる機序で発症し,その予後の違いに関係すると考えられた.
  • 伊従 秀章, 藤沢 康司, 赤塚 順一
    1994 年 17 巻 3 号 p. 152-163
    発行日: 1994/06/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    小児の慢性特発性血小板減少性紫斑病(c-ITP) 38例の液性免疫ならびに細胞性免疫能について検討した.非脾摘群ではCD 3, CD 8比率がcontrolに比し有意に低く,脾摘群ではCD 4比率, CD 4/8比がcontrolに比べて有意に低かった. T-cellの百分率はcontrol群に比べ,有意差はなかった.しかし, B-cellの百分率は非脾摘群でcontrolに比べ有意に上昇していた. T-cellのblastogenesisをstimulation indexでみるとPHA刺激では脾摘群も非脾摘群もcontrol群と有意差はないが, Con-A刺激では非脾摘群においてcontrolに比べ,有意に低下していた.自己抗体では,抗DNA抗体は検索した34例全例で陰性であったが,抗核抗体は33例中8例が陽性, 2例が偽陽性であった.これらは,症例数もまだ少なく,絶対的なc-ITPの免疫学的変化を示すものではないと思われるが,従来の成人c-ITPの報告と異なり, B-cellに異常がある可能性も示唆された.
  • 宮脇 昌二, 源幸 淳司, 川村 雅英
    1994 年 17 巻 3 号 p. 164-171
    発行日: 1994/06/30
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    Radioimmunoassay (RIA)による抗二本鎖DNA (dsDNA)抗体の測定は,感度鋭敏な方法として古くから汎用されている.しかし従来のRIAの抗体測定範囲は狭いため,全身性エリテマトーデス(SLE)で多発する高値陽性血清の正確な抗体価の把握が困難であった.今回抗原dsDNA量を増加させ,測定範囲を拡大したRIAキットを開発し,その臨床的有用性を検討した.その結果,抗dsDNA抗体の測定範囲は旧RIAが0~100U/ml未満であったのに対して,新RIAは0~300IU/ml未満までの測定が可能であった.測定域の拡大により旧RIAで100U/ml以上の異常高値を示した血清39例中32例(82.1%)の最終抗体価の測定が新RIAで可能となった.また旧RIAで100U/ml未満の抗dsDNA抗体価は新RIAとの間にr=0.9346の良好な相関(p<0.01)を示した.測定値上限を拡大した新RIAは, SLE臨床像の解析や経過観察上にきわめて有用と考えられた.
  • 測定法と正常人,高および低ガンマグロブリン血症患者血中濃度
    安倍 正博, 後藤 哲也, 尾崎 修治, 小阪 昌明, Alan Solomon
    1994 年 17 巻 3 号 p. 172-181
    発行日: 1994/06/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    ヒト免疫グロブリン(以下Ig)のλL鎖は可変部のアミノ酸配列の相同性および抗原性によりI, II, III, IV, VIの5つの主たるサブグループに分けられる. λ VI型Ig(以下Igλ VI)の単クローン性増加はALアミロイドーシス患者に高頻度に検出され, λ VIサブグループのアミロイド原性が注目されている.われわれはヒトλ VIサブグループおよびλL鎖に特異的なマウスモノクローナル抗体を用い簡便な定量的酵素免疫測定法(ELISA)を新しく確立し,血清中のIgλ VIの濃度および全Igλに占める割合(以下λ VI/λ比)を明らかにした. Igλ VIはすべての血清で検出され,正常人44例の血清Igλ VIおよび全Igλ濃度はそれぞれ78~432 (平均±SD:197±81) μg/ml, 2,640~8,300 (4,712±1,454) μg/mlであり,血清Igのλ VI/λ比は1.2~9.4 (4.3±1.7)%であった.また, 14例の多クローン性高γグロブリン血症および6例の低γグロブリン血症を伴う患者では,血清Igλ VI濃度はそれぞれ218~1,875 (648±474)μg/mlおよび49~115 (85±25) μg/ml, 全Igλ濃度はそれぞれ8,197~30,000 (14,837±7,029) μg/mlおよび890~1,800 (1,312±340) μg/mlであり,血清Igのλ VI/λ比はそれぞれ2.1~6.4 (4.2±1.7)%, 4.6~9.2(6.5±1.6)%であった.血清Igのλ VI/λ比は上記すべての血清で10%未満であった.これに対して単クローン性Igλ VI増加を伴うALアミロイドーシス患者では,血清Igのλ VI/λ比は10%をはるかに超えており,この比がALアミロイドーシスの検出に役立つ可能性が示唆された.一方,多クローン性高γグロブリン血症を伴う慢性疾患である慢性関節リウマチ,全身性エリテマトーデスおよび肝硬変患者では血清Igλ VIは高濃度であるがアミロイド沈着は明らかでなく,非腫瘍性Igλ VI蛋白のアミロイド原性については今後さらに検討が必要と考えられた.今回確立したλ VIサブグループの定量法はこのユニークなサブグループの各種疾患における分布ひいては病因学的検討に今後貢献すると思われる.
  • 杉田 憲一, 車田 宏之, 藤田 滋子, 黒沢 秀光, 江口 光興, 古川 利温
    1994 年 17 巻 3 号 p. 182-187
    発行日: 1994/06/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    血清中の抗サイトメガロウイルス(CMV)-IgM,抗CMV-IgG抗体陽性の所見と臨床症状より診断したCMV感染乳児の末梢血単核球のCD8, HLA-DR, IL 2 Rβ, CD 45 RO, CD 45 RA, CD 7の発現をflow cytometry法にて検討した.
    CD8+細胞比率の増加, CD 4+細胞比率の減少により, CD 4+細胞/CD 8+細胞比は0.80±0.37 (対照: 2,74±1.80)と低下した. CD 8+細胞数は4,762±1,162/μl (対照: 1,414±127/μl)と増加していたが, CD 4+細胞数は3,250±289/μl (対照: 3,519±322/μl)と増減は認めなかった. CD 8+細胞に対するHLA-DR+CD 8+細胞比率は0.65±0.15 (対照: 0.18±0.09), IL 2 Rβ+ CD 8+細胞比率は0.33±0.10 (対照: 0.11±0.10), CD 45 RO+ CD 8+細胞比率は0.40±0.12 (対照: 0.18±0.02)と高値であった. EBウイルスによる伝染性単核症児と比較し, CMV感染乳児ではCD 45 RO+細胞比率の増加が軽度で, CD7の発現は対照との間に差がみられなかった.
  • 基礎的検討
    木本 安彦, 李 峯豪, 董 海東, 高井 新一郎, 田口 鐵男
    1994 年 17 巻 3 号 p. 188-198
    発行日: 1994/06/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    末梢血リンパ球は,種々のlectin存在下にLDCCを示すことができるが,リンパ球をIL-2で培養して得られるLAK細胞が,より強力なLDCC能を有することを示した.植物lectinを種々検討したところ, PWMがLAK細胞に対して最も強力かつ広い抗腫瘍効果を与えることがわかった. Effector細胞としては, PBL, CD 3+ CD 4+, CD 3+ CD 8+細胞いずれもがLDCC能を有し,加えてCD 3- D 56+細胞もLDCCを発揮した.このLDCCの機序を解明するために, PWMで初期刺激したLAK細胞を用い,抗HLA抗体の作用を検討したところ, HLAはLDCCには関与しないことが判明した,先の結果と合わせて, HLA, CD 3, CD 8, CD 56分子はLDCCには関与していないと考えられた.またPWMのLAK細胞への結合と,腫瘍細胞への結合は,量および結合様式が異なる結果が得られた.さらにLDCCには一部apoptosisの機序が関与していること, LAK細胞をeffector細胞とした場合にはNOは関与していないことが示された.ヒトがLDCCを利用しているという直接の証拠はないが,このLDCCを利用した新しい強力な免疫療法の可能性が示唆された.
  • 横山 知子, 松永 敬一郎, 川井 孝子, 辻 隆, 上田 敦久, 大野 滋, 石ヶ坪 良明, 谷 賢治, 横田 俊平, 宮地 清光, 大久 ...
    1994 年 17 巻 3 号 p. 199-204
    発行日: 1994/06/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    抗LKM 1抗体(anti-liver-kidney-microsome antibody type 1)陽性自己免疫性肝炎は2型自己免疫性肝炎と考えられ,若年女性に多く発症し,ほぼ全例が肝硬変に移行する予後不良の疾患であるが,ステロイドが一時的に有効であるという特徴がある.われわれは小児期より抗LKM 1抗体陽性自己免疫性肝炎を発症し,かっ本症と自己免疫性溶血性貧血を合併したまれな症例を経験したので報告した.症例は20歳の女性で12歳時より自己免疫性溶血性貧血と診断され, 13歳時には黄疸と肝逸脱酵素の上昇を認め,抗LKM 1抗体が陽性であった.その後,溶血性貧血と肝機能障害を繰り返し,平成2年9月に再び肝機能障害の増悪を認めた.ビリルビン,肝逸脱酵素の著明な上昇と,抗LKM 1抗体陽性,全身の黄疸,肝脾腫の増大を示したため,メチルプレドニゾロン500mgを3日間静脈内投与後,リンデロン2.5mgと4mgの隔日投与をしたところ,著明な改善がみられた.また腹腔鏡を施行したところ,肝はすでに肝硬変を呈していた.
  • 高橋 裕樹, 森田 俊樹, 塚田 彰子, 鈴木 朝子, 林 敏昭, 池田 典康, 遠藤 圭介, 杉山 敏郎, 日野田 裕治, 今井 浩三, ...
    1994 年 17 巻 3 号 p. 205-212
    発行日: 1994/06/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    われわれは,消化管組織に免疫複合体の沈着を認めた蛋白漏出性胃腸症の1例を経験した.症例は27歳,女性で1992年2月から顔・四肢のむくみ感を自覚.血液検査上,著明な低アルブミン血症および抗核抗体陽性,低補体血症を認め精査目的に同年4月当科入院.肝賢機能正常,尿蛋白陰性であったが, α1アンチトリプシン試験陽性および99mTc標識アルブミンによる腹部シンチグラフィにより消化管への蛋白漏出が確認され,蛋白漏出性胃腸症と診断した.軽度の口渇感以外,膠原病を疑わせる自覚症状はみられず,また消化管生検組織でも軽度の細胞浸潤などの非特異的炎症像のみであったが,蛍光抗体法にてIgG・IgM・C 3の沈着が認められた.またプレドニゾロン投与により低蛋白血症・低補体血症の改善がみられたごとから,蛋白漏出の原因として自己免疫学的な機序の関与が示唆された.
  • 武田 功, 五十嵐 哲, 海瀬 俊治, 西間木 友衛, 粕川 禮司
    1994 年 17 巻 3 号 p. 213-220
    発行日: 1994/06/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    症例は59歳の女性.発熱,全身倦怠感および顔面紅斑が出現し平成3年4月23日当院に受診.肝機能障害,白血球減少および全身の中毒疹を指摘され入院した.補液と肝庇護剤の投与で肝機能の改善と解熱傾向がみられたが,その後発熱と中毒疹の増強,筋痛,腹痛,リンパ節腫脹,手指のシビレおよびレイノー現象が出現した.第15病日の検査値で白血球27,000/μlと著増, BUN 74.0mg/dl,血清クレアチニン3.86mg/dlと腎機能障害, IgG 571mg/dl, IgA 68mg/dl, IgM 106mg/dlと低ガンマグロブリン血症,抗核抗体80倍陽性, CD 4/CD 8比0.54と低下など多彩な症状および検査値異常が認められた.結節性多発動脈炎を強く疑いリンパ節と皮膚生検を行った.リンパ節生検ではIBL-T cell lymphomaの組織所見で,皮膚生検でもリンパ腫細胞の皮膚浸潤の所見が認められ,血管炎の所見は認められなかった.本症例は,低ガンマグロブリン血症を示したIBL-T cell lymphomaであり,腫瘍細胞による免疫異常により多彩な臨床症状が認められたまれな症例と考えられたので報告する.
  • 橋本 通, 吉河 康二, 神宮 政男, 江崎 一子, 野中 史郎, 安田 正之, 延永 正
    1994 年 17 巻 3 号 p. 221-228
    発行日: 1994/06/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    症例は48歳の女性.平成4年10月微熱, 11月Raynaud症状出現, 12月31日高熱,全身リンパ節腫脹,肝脾腫,右側胸水,膵炎,腎機能障害にて近医入院となった.血小板減少症,低補体血症ならびに著明な高γグロブリン血症を伴い;リウマトイド因子,抗甲状腺自己抗体陽性を示した.リンパ節生検にてidiopathic plasmacytic lymphadenopathy with polyclonal hyperimmunoglobulinemia (IPL)に合致した組織像を呈した.副腎皮質ステロイド剤投与を受けたが微熱,リンパ節腫脹,肝脾腫が持続したため平成5年5月11日当科転院となった. VEP療法を開始,自他覚的に著明に改善,同年8月5日退院となった. IPLなどのリンパ増殖性疾患はしばしば自己免疫疾患類似の症状を呈し,自己抗体も陽性となることが知られている.当症例は全身性エリテマトーデス(SLE)様の臨床症状を示したが,抗腫瘍剤の投与によるリンパ節の縮小に伴い臨床症状の改善がみられた.
  • 大田 俊行, 松元 茂, 前川 信行, 増田 美穂, 安部 美穂子, 中塚 敬輔, 小山 芳伸, 田中 良哉, 齋藤 和義, 江藤 澄哉, ...
    1994 年 17 巻 3 号 p. 229-236
    発行日: 1994/06/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    IgA欠損症は,しばしば全身性自己免疫疾患が合併するとされ,両者の関連性が指摘されている.しかし,全身性自己免疫疾患の発症を経時的に観察できたIgA欠損例の報告は多くない.われわれは抗けいれん剤投与によって発症したと考えられた後天性IgA欠損の女性例を数年間観察し,当初多発関節炎およびリウマトイド因子陽性より慢性関節リウマチの発症を疑ったが,最終的にネフローゼ症候群を伴った全身性エリテマトーデス(SLE)の発症を確認できた.本例は分泌型IgAの欠損と低IgG 2血症を伴っており,反復性感染症がみられた. IgA欠損症と自己免疫疾患がどのように関連しているのか文献を交えて考察した.
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