症例は, 63歳女性.平成4年8月頃より微熱が出現, 9月には多関節痛,高熱が出現したため某医に入院,抗生剤, γグロブリン製剤を投与されたが解熱せず,同年10月22日当院に転院となった.入院時血沈め元進, CRPの上昇,白血球数, LDH, フェリチンの異常高値を認めたが,手のX線写真ではリウマチ性の変化はなく,自己抗体・腫瘍マーカーも陰性であった. 10月27日,突然努力性呼吸が出現,胸部X線写真では両側肺門リンパ節腫脹,葉間胸水の貯留,右上肺野の浸潤影がみられ,急激な肝障害,表在リンパ節腫脹も出現した.同時にDICも出現したため,治療を開始したが,肺出血,大量下血をきたし,ステロイドパルス療法にも反応なく死亡した.剖検では,脾臓に多発性の梗塞および大腸に血行障害によると思われる広範な壊死を認めたが,血管炎や悪性腫瘍は認められず,経過から成人Still病が最も疑われた.成人Still病は生命予後が良好な疾患であるが,本症例ではDICをきたし急速に死の転帰をとったと考えられた.
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