日本臨床免疫学会会誌
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18 巻, 2 号
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  • 矢田 純一
    1995 年 18 巻 2 号 p. 133-137
    発行日: 1995/04/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
  • 長宅 芳男, 天野 哲基, 和田 淳, 杉本 光, 川端 研治, 四方 賢一, 槇野 博史, 太田 善介
    1995 年 18 巻 2 号 p. 138-145
    発行日: 1995/04/30
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    3種類の透析膜〔再生セルロース(RC)膜,セルローストリアセテート(CTA)膜,ポリスルホン(PS)膜〕を使用した血液透析において,補体系の活性化と白血球減少, vitronectin (VN)の変動を観察した.
    RC膜は他の膜に比して白血球減少, Bbの上昇, VNを結合したsoluble membrane attack complex (S-MAC)の上昇が有意で,強い補体alternative pathway (AP)の活性化が示唆された.特にS-MACの上昇は透析後長時間持続したが, VNの低下は一時的であったことより, VNレセプターを介する処理を免れたS-MACが長期に浮遊しているものと推察された.以上の所見からS-MACは透析膜を含めた種々の人工臓器の生体適合性判定の有用な指標となりうると考えられた.
  • 山本 樹生, 吉村 幸子, 下司 有美, 森 宏之
    1995 年 18 巻 2 号 p. 146-151
    発行日: 1995/04/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    妊娠中毒症における自己抗体の存在とその意義について検討した. 38人の妊娠中毒症(うち19例は重症型)と対照として26例の正常妊婦の血清を採取した.抗ssDNAとds-DNA抗体の測定はenzyme linked immunosorbent assay (ELISA)によった.子宮内胎児発育遅延を合併した例については同時に抗カルジオリピン抗体,抗フォスファチジルセリン抗体などの抗リン脂質抗体をELISA法により測定した.抗dsDNA抗体は正常妊婦ではすべて陰性であった.妊娠中毒症では38例中1例に出現がみられた.また抗ssDNA抗体は38例中15例(39.4%)に陽性であった.抗ssDNA抗体の出現頻度は高血圧や蛋白尿などの症状が重症となるほど高くなり,軽症型では26.3%,重症型では52.6%が陽性であった.しかし,子宮内胎児発育遅延と抗ssDNA抗体の出現とには相関がみとめられず抗リン脂質抗体のほうが関連していた.
    妊娠中毒症において自己抗体が高頻度に出現することが判明した.これより自己抗体を生ずるBリンパ球活性化が妊娠中毒症の病態に関連する可能性が推察された.
  • 根本 義章, 大塚 毅, 新納 宏昭, 空閑 聖治, 田中 洋輔, 中島 衡, 仁保 喜之
    1995 年 18 巻 2 号 p. 152-159
    発行日: 1995/04/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    ヒトおよびマウスの単球系細胞を用いて,それらの細胞機能に対するIL-10, vIL-10の効果を検討し,単球/マクロファージ活性化に対する両サイトカインの抑制効果について考察した.
    human IL-10 (hIL-10)およびvlL-10はphytohaemagglutinin (PHA)刺激ヒト末梢血単核球のinterferon (IFN)-γ産生を抑制した.両サイトカインはヒト単球の活性酸素の構成的産生のみならず, IFN-γによるさらなる誘導的産生に対しても顕著な抑制効果を示した.また, mouse IL-10 (mIL-10)は, lipopolysaccharide (LPS)/IFN-γで誘導したマウス腹腔マクロファージの一酸化窒素(nitric oxide; NO)産生を抑制した.このような抑制効果はIL-4やtransforming growth factor-β (TGF-β)によるものとほぼ同等で,細胞の前処理時間を長くするほど増強された.
    IL-10/vIL-10は炎症性サイトカイン産生の抑制作用に加え,このような単球/マクロファージから誘導されるエフェクター分子に対する産生抑制作用も有しており,生体防御機構におけるこのサイトカインの挙動は興味深い.
  • 古田 博文, 有賀 正, 崎山 幸雄, 松本 脩三
    1995 年 18 巻 2 号 p. 160-167
    発行日: 1995/04/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    Epstein-Barr virus (EBV)樹立B細胞株の活性酸素の産生をhorseradish peroxidase (HRP)を添加することで増強させた化学発光(chemiluminesence, CL)を用いて測定した.この測定系を用いて慢性肉芽腫症(chronic granulomatous disease, CGD)患者群(13例)のEBV樹立B細胞株のCLを正常群(8例)と比較検討した.正常群ではHRP添加によりCLが増強したが, CGD患者群ではHRP添加においても有意のCLを認めなかった.
    ヒト組み換えインターフエロンγ(recombinant human interferon-γ, rhIFN-γ)とgranulocyte-colonystimulating factor (G-CSF)について, in vitroにおけるB細胞株の活性酸素産生への影響を検討した.正常群でrhIFN-γ添加時にCLが有意に上昇したが(p<0.01), G-CSF添加時には上昇は認められなかった. CGD患者群では伴性劣性型varianttypeを含め全例で, rhIFN-γ, G-CSF添加時に有意のCLの上昇は認められなかった.
    本測定系におけるEBV樹立B細胞株のCLは, NADPH oxidase機構に依存していることが示唆された.
  • 近藤 重弘, 金山 和広, 森瀬 公友
    1995 年 18 巻 2 号 p. 168-177
    発行日: 1995/04/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    胃癌組織におけるコラーゲンをTGFα, βとともに免疫組織化学的に染色し,腫瘍組織に浸潤するリンパ球とともに分化型癌,未分化型癌の組織型の違いについて検討した.胃癌の分化型癌の間質は,コラーゲンtype IおよびIIIが強く染色された.未分化型癌の間質ではtype I, IIIとともに, type IV, V, VI夏も,分化型癌に比し染色され,両組織型に差がみられた.胃癌間質のリンパ球集族部位におけるTリンパ球浸潤は,未分化型癌は分化型癌に比しCD 3陽性細胞数が増加し, CD 4/CD 8陽性細胞数比が有意に高かった. TGFαは分化型癌の癌細胞に,未分化型癌に比し高率に染色された. TGFβ1は未分化型癌の癌細胞に,分化型癌に比して有意に高い頻度で染色された.以上より,胃癌間質のコラーゲン,リンパ球集族部位におけるTリンパ球浸潤,および癌細胞におけるTGFα, TGFβ1の表出は分化型癌と未分化型癌では差がみられ,胃癌の分化型癌と未分化型癌ではコラーゲン産生の調節機構が異なることが示唆された.
  • 北村 登, 西成田 進, 滝沢 隆, 富田 康之, 葉山 隆, 堀江 孝至
    1995 年 18 巻 2 号 p. 178-187
    発行日: 1995/04/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    Fibronectin (以下FN)は,血漿中,細胞表面,細胞外マトリックスなどに存在する糖蛋白で,細胞の接着のみならず炎症反応,免疫反応に重要な役割を担っていることが明らかにされてきている.今回われわれは,培養ヒト末梢血単球を, IL-1α, IL-6, TNFαなどのサイトカインやlipopolysaccharide (LSP)で刺激した後の活性化の状態を, FNの産生を指標として測定した.いずれのサイトカイン, LPS刺激でも,単球は濃度依存性にFNの産生を増加させた.経時的変化でみると,いずれの刺激によっても,培養後4時間でFN産生の増加を認めた.また単独ではほとんどFN産生を示さないsub-optimal doseのサイトカインでも, 2種を組み合わせることによって(IL-1α+IL-6, IL-1α+TNFα, IL6+TNFαなど),各サイトカイン単独で高濃度刺激の場合と同等のFN産生を認めた.これらのサイトカイン, LPSによるFNの産生は, FNに特異的なcDNAを用いたNorthern blotting法でも検討され,培養後4時間のmRNAの発現は無刺激に比較して有意に増強していた.以上の結果は,実際の生体内で,単球活性化を始まりとする免疫・炎症反応が,必ずしも単独で大量のサイトカインを必要とせず,きわめて微量のサイトカインどうしの相乗的(synergistic)な効果によって十分に進行しうることを示している.さらに,単球より産生されたFN自身もまた,免疫・炎症反応の進行に関与しているものと考えられた.
  • 高橋 健二, 田坂 文重, 長谷川 泰子
    1995 年 18 巻 2 号 p. 188-196
    発行日: 1995/04/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    抗ラ氏島抗体(ICA)を,ラット膵切片を用いた蛍光抗体間接法で検出し,その感度と特異性を検討した.ヒト膵法による検出も行い成績を比較した.対象はIDDM 58例(うち発症早期例17例), NIDDM 456例で,対照を健常者110例,自己免疫疾患50例とした.ラット膵法による検出の結果, IDDM 32例(55.2%), NIDDM 7例(1.5%),自己免疫疾患0例(0.0%),健常コントロール1例(0.9%)にICA陽性,発症3カ月未満のIDDMでは14/17(82.3%)の陽性率であった.ラット膵法とヒト膵法で検出したICA抗体価はほぼ同等であった.成績より,ラット膵法によるICAの検出は,感度82%,特異性99%以上と推定された.ラット膵法によるICAの検出は特異性が高く,感度も良好であり,抗原性が安定し,抗原の入手も容易であることより,有用な方法であると考えられた.
  • 小松 文夫, 木原 和徳
    1995 年 18 巻 2 号 p. 197-206
    発行日: 1995/04/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    膀胱癌から回復した患者のNK活性およびLAK活性を測定した.この癌患は1980年に膀胱癌(transitional cell carcinoma)を指摘され,手術,放射線療法,化学療法を繰り返したが, 1987年以降は再発の兆候はなく現在はtumor freeの状態にある.最近NK活性およびLAK活性を測定したところ非常に高値を示し,また末梢血リンパ球中のCD16+は52.9%(対照17.5%), CD 4-CD 8-CD 16+は26.6%(対照12.1%)であった.すなわちこの患者が現在tumor freeの状態にあるのは極端なキラー活性の高値と関連すると推測された.本例はCD 4-CD 8-細胞を多く有していたのでCD 4-CD 8--LAKを誘導しその特徴をCD 8+-LAKと比較した. CD 4-CD 8--LAKはキラー活性が高く,長期培養でも活性は持続し,培養細胞に対する接着性も強かった.一方CD 8+-LAKはキラー活性はそれほど高くはなく培養2週間以上過ぎると速やかに低下した.ただし本例のCD 8+-LAKはMHC拘束性は証明されなかったが自己腫瘍細胞に対して対照より高いキラー活性を示しており,自己腫瘍細胞に特異性を示す細胞を有している可能性があった.本例のキラー活性の上昇した理由についてはいまだ明らかではない.
  • 横山 雅子, 諏訪 昭, 篠沢 妙子, 藤井 隆夫, 三森 経世, 秋月 正史, 市川 陽一, 東條 毅
    1995 年 18 巻 2 号 p. 207-214
    発行日: 1995/04/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    71歳男性患者が,発熱・咽頭痛・筋肉痛・皮疹で入院,成人発症スティル病と診断した.非ステロイド性消炎鎮痛剤とプレドニゾロン(PSL) 40mg/日の内服で改善した. PSL減量中に,低酸素血症・胸部X線上両側びまん性浸潤影がみられ,成人呼吸促迫症候群(ARDS)と診断した.酸素投与とPSL 50mg/日への増量により軽快したが,数日後に発熱・皮疹,血清フェリチンの著増がみられ,スティル病の再燃が疑われた.さらに血小板数著減, FDP増加より播種性血管内凝固症候群(DIC)と診断, PSLの60mg/日への増量,蛋白分解酵素阻害剤投与で寛解した.これまで,成人発症スティル病とARDSの合併が1例, DICの合併が8例報告されているが,両者の合併の報告はない.成人発症スティル病の病態を考える上で示唆に富む症例と考えられた.
  • 上田 章, 樋口 茂輝, 菊池 郁夫, 林 升, 前原 東洋, 宮地 清光
    1995 年 18 巻 2 号 p. 215-220
    発行日: 1995/04/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    症例は42歳の女性.平成4年7月頃より両手指関節痛, 12月肩関節痛,背部痛,寒冷時のレイノー現象が出現.平成5年3月眼と口腔内の乾燥感が出現し,同年6月1日当科へ紹介.朝のこわばり30分.手指関節の疼痛腫脹,左肩関節および両膝関節に圧痛.皮膚に手指硬化および色素沈着等を認めず.検査成績では血沈20mm/hr, γグロブリン1.65g/dl, RAPA 320倍,抗核抗体1,280倍,抗SS-A抗体64倍および抗Wa抗体が陽性. Schirmer試験陽性,唾液腺造影所見および口唇唾液腺組織像よりシェーグレン症候群と診断した.
    抗Wa抗体はtransfer RNA関連蛋白に対する自己抗体で,これまでに報告された抗Wa抗体陽性症例6例はすべて強皮症である. 6例中2例にシェーグレン症候群の合併を認めたが,本症例は強皮症以外では初めて抗Wa抗体を認めたシェーグレン症候群単独例であるため報告する.
  • 児浦 利哉, 西成田 進, 松川 吉博, 小林 達也, 島田 一, 武井 正美, 富田 康之, 馬場 真澄, 葉山 隆, 橋本 寿美子, 堀 ...
    1995 年 18 巻 2 号 p. 221-227
    発行日: 1995/04/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,女性.約40年間,口腔乾燥を認め,耳鼻科での精査によりシェーグレン症候群の診断を得た.さらに多飲多尿,腓腹筋痛,下腿皮下出血が出現したため入院となった.入院時,汎血球減少,赤沈亢進, LDH高値,血清総蛋白高値,高ガンマグロブリン血症, IgG-κ型M蛋白,クリオグロブリン血症が認められた.また,フィッシュバーグテスト,バゾプレッシンテスト, NH4Cl負荷試験などの結果,腎性尿崩症,潜在性尿細管性アシドーシスの合併を認めた.入院後,血漿交換,プレドニン40mg/日の投与を開始したところ,血清総蛋白,ガンマグロブリンは低下し,出血症状は改善した.しかし,尿量,尿比重は改善しなかったため,サイクロフォスファミド大量療法(700mg/body)を行ったが,検査異常所見ならびに尿崩症の改善は認めなかった.本症例で認められた腎間質と糸球体の障害は,シェーグレン症候群とクリオグロブリンの両者によるものであると考えられた.
  • 丸岡 敬幸, 徳田 道昭, 猪尾 昌之, 倉田 典之, 高原 二郎
    1995 年 18 巻 2 号 p. 228-234
    発行日: 1995/04/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    Felty症候群に認められる血小板減少は高度でなく,低補体血症も正常下限にとどまることが多いとされる.今回われわれは,高度の血小板減少と多彩な自己抗体の出現および著明な低補体血症を認めた症例を経験した.身体所見および検査成績よりシェーグレン症候群,悪性関節リウマチ,混合性結合織病は否定的であった. SLE改訂診断基準の2項目を満たしたのみであるが,高度の低補体血症の存在から今後SLEの病像が明瞭になる可能性が残った.治療的には少量ステロイド剤と同時に少量シクロスポリンA (CsA)を併用し,血小板の増加,低補体血症の改善と同時に,自己抗体力価の減少も認めた.このことは, CsAが抗血小板抗体を含めた自己抗体産生を抑制し,病状の改善に関与した可能性を示唆する.しかし,慢性関節リウマチの疾患活動性は, CsAによっても抑制されず,メソトレキサート少量療法の併用にて低下した.
  • 島田 一, 西成田 進, 岸上 義房, 葉山 隆, 沢田 海彦, 堀江 孝至, 中村 紀子, 加藤 満利子, 平野 信, 中村 修, 須藤 ...
    1995 年 18 巻 2 号 p. 235-240
    発行日: 1995/04/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    腎不全で発見されたIgG-κ型良性M蛋白血症を合併したIgD-λ型多発性骨髄腫(stageIIIb)の1症例を経験した.症例は76歳,男性.腰痛,胸部痛,腎機能障害のため入院となった.血清免疫グロブリン定量で, IgG 1,179mg/dl, IgD 1,160mg/dl, 血清免疫電気泳動でIgD-λ型とIgG-κ型の2種類のM蛋白を認め,骨髄検査では異型性をともなう形質細胞が著増(43%)していた. IgG-κ型は良性M蛋白血症と判断された. melphalan, prednisoloneによるMP間歌療法を施行したところ, IgD-λ型M蛋白は著減し,骨髄検査でも形質細胞の減少を認め部分寛解を得た.一方, IgG-κ型のM蛋白は一過性に増加したものの,ほとんど変化はなく, 2種類のM蛋白はMP間歌療法に対して異なった感受性を示した.
  • 吾妻 安良太, 栗本 太嗣, 石田 和之, 森川 哲行, 川本 雅司, 工藤 翔二
    1995 年 18 巻 2 号 p. 241-246
    発行日: 1995/04/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    62歳男性で四肢末端のしびれ感を主訴に来院した患者を経験した.胸部レ線検査の結果,肺野の腫瘍陰影と縦隔リンパ節の著しい腫大,および鎖骨上リンパ節の腫大を認め,同部位の組織検査から肺小細胞癌と診断した.知覚神経を主体とする末梢神経伝導速度の遅延が認められ,シスプラチンおよびエトポシドによる化学療法を施行し,原発性肺癌に対し縮小効果を得たが,末梢知覚神経障害はむしろ増悪傾向にあった.彼の血清中にはラット末梢神経上の29kDの蛋白と反応するIgM型抗体が認められたが,中枢神経組織と反応する抗体は認められなかった.また患者血清中の抗体は肺小細胞癌とも反応し,末梢神経知覚障害の発症に患者血清中の抗体が関与していることが示唆され,しかもこの抗体は従来から報告されている同じ腫瘍随伴末梢神経障害をきたす抗Hu抗体とは,認識する抗原の分子量や局在も異なることから新しい知見と考えられ,また腫瘍随伴症状の発症メカニズムの重要な機序の1つであると考えられた.
  • Common variable immunodeficiencyの1男児例
    和田 靖之, 佐藤 達也, 北島 晴夫, 久保 政勝
    1995 年 18 巻 2 号 p. 247-255
    発行日: 1995/04/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    慢性サイトメガロウイルス感染症を合併したcommon variable immunodeficiency(CVID)の8歳男児を経験した.発症時IgA欠損症と診断され,その4年後にその臨床像はCVIDに合致した.経過中,自己免疫性溶血性貧血,間質性肺炎,血球貧食症候群,慢性胃腸炎などのさまざまな合併症を認めた. 8歳時に大腸,肺,骨髄の生検組織でのPCR法によるサイトメガロウイルスのDNAが陽性となった.血液検査所見では, HLA-DR+CD 8+のT cellの増加に伴うCD 4/8の低下,リンパ球の絶対数の低下,各種刺激によるリンパ球幼若化反応の低下などの細胞性免疫の異常が認められた.以上より,慢性サイトメガロウイルス感染症を合併したCVIDと診断した.本症例は原因不明のCVIDにおけるサイトメガロウイルス感染症の役割について,示唆を与える症例と考えられた.
  • 久野 千津子, 中村 稔, 真弓 武仁, 林田 一洋, 加治 良一, 長澤 浩平, 仁保 喜之, 福田 敏郎, 恒吉 正澄, 大島 孝一
    1995 年 18 巻 2 号 p. 256-264
    発行日: 1995/04/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    症例は20歳,女性. 1993年2月,高熱,関節痛,サーモンピンク様皮疹が出現し,白血球増多,脾腫を認め,成人スチル病と診断された. γ-globulin製剤およびprednisolone(PSL)の投与にて症状は改善した.同年9月より全身倦怠感,微熱が出現し,当科に再入院.成人スチル病の再燃を疑われ, PSL 15mg/day投与にて経過観察していたが, 10月2日,高熱と下肢にサーモンピンク様皮疹が出現. 10月7日にはGOT 3,270IU/l, GPT 1,880IU/l, LDH 5,480IU/lと肝障害が出現し,急速に肝不全状態となったため, methylprednisoloneによるpulse療法,血漿交換を開始した. hemophagocytosisが原因と思われる汎血球減少を合併し, VP-16による化学療法も施行.しかしDICが進行し, 11月2日死亡した.剖検所見では,肝臓は組織学的に肝細胞の広範な壊死を認め, histiocyteの浸潤を認めた.本症例はhemophagocytic syndrome(HS)により成人スチル病や急性ウイルス性肝炎と鑑別困難な症状を呈した興味ある症例と考え報告する.
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