24歳,女性. 95年2月18日,頭痛,発熱を主訴に来院. Plts2.6万/μ
lと著減しており, 2月22日当科初診.脾臓を1横指触知し,両下肢に出血斑が散在していた.リンパ節腫大,皮疹は認めなかった. WBC6000/μ
l,異型リンパ球5%, Hb11.8g/d
l, Plts5.0万/μ
l. GOT, GPT, LDHの上昇が見られ, CMVIgM抗体価の上昇(×320:FA法)を認めた.骨髄穿刺所見では,有核細胞数10万/μ
l,巨核球90/μ
l, 3系統に異常は認めなかった. PCR法, in situ hybridization法による骨髄中CMVの検索はいずれも陰性であった.以上より, CMV単核球症とそれに合併した血小板減少症と診断した.血小板数は,経過中自然に正常値(17.6万/μ
l)まで回復した.先天性CMV, rubella virus感染や, EBV単核球症に血小板減少が合併することはよく知られているが,本症例のように,健常成人のCMV感染に出血傾向が見られるほど重症の血小板減少が合併するのは比較的まれである. 1991~1995年の間に, EBVあるいはCMV単核球症で当院に入院した13例の検討では, EBVと同様にCMV単核球症においても,診断時血小板数がその後の経過に比し減少していることが多く,健常成人におけるCMV感染による重度の血小板減少はまれだが,軽度の血小板減少は我々が考えているより多いことが示唆された.
抄録全体を表示