インターフェロン(IFN)療法を施行したC型慢性活動性肝炎(Chronic Active Hepatitis以下CAH)患者49例を対象に, in vitroにおける末梢血単核球の2-5 AS産生能をIFN療法前後に測定し,血清2-5 AS活性との関連性および血清中のC型肝炎ウイルス(HCV)の消失を指標とした治療成績との関係を検討した.
CAH患者のIFN治療前の血清2-5 AS活性およびin vitroにおける無刺激時の単核球2-5 AS産生能は,健常人に比べ有意に高値を示したが,治療成績との間に一定の傾向は認められなかった.またIFN刺激時の単核球2-5 AS産生能は,健常人と同等の反応性が認められたが,治療成績との間には一定の傾向は認められなかった.しかしHCVのgenotype別に症例を検討した結果genotype II型の感染群では単核球のIFNに対する反応性が高い群ほど良好な治療成績が得られた(p<0.05).一方,血清2-5 AS活性では,この傾向は認められなかった. IFN治療終了後2カ月目の再測定では,治療により血清中のHCV-RNAの消失したCAH患者の無刺激時の単核球2-5 AS産生能は,依然として健常人より高値を示した.一方, IFN刺激による単核球2-5 AS産生能は,血清中HCVの非消失例では,消失例に比べ有意に低値を示した(p<0.001).また,血清中HCVが持続陽性で肝機能の改善も得られなかったいわゆる無効例では,治療前と比しても有意に低下していた(p<0.05).
以上より, CAH患者のIFN治療前における無刺激時単核球の2-5 AS産生能は, HCVに対する生体内での反応を反映していると考えられた.また, IFN刺激時の単核球2-5 AS産生能は,測定時の生体のIFNに対する反応性を知る手がかりとなり,治療効果の予測およびIFNに対する反応性の変化を知る一つの指標となり得ると考えられた.
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