日本臨床免疫学会会誌
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3 巻, 3 号
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  • 矢田 純一
    1980 年 3 巻 3 号 p. 113-120
    発行日: 1980/07/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 奥平 邦雄, 谷本 潔昭, 相川 崇史, 堀内 淑彦, 青塚 新一
    1980 年 3 巻 3 号 p. 121-132
    発行日: 1980/07/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    SLE血清中に存在する抗リンパ球抗体について,正常人末梢リンパ球より分離したリンパ球subpopulationをtarget cellとして用い,その細胞傷害性を検討した結果Tγ cellに対しては81.1%, Tγ (一) cellに対しては76.2%, B cellに対しては71.4%に陽性血清が見い出され,それぞれの平均傷害率は57.6%, 62.0%, 41.5%であった.
    さらにCon A Sepharose処理によるIgM抗体吸収実験より,抗リンパ球抗体の免疫グロブリンクラスを検討したところ, Tγ cellに対する抗体およびBcellに対する抗体にはIgGが約50%含まれているのに対し, Tγ (一) cellに対する抗体のIgG抗体のしめる割合は少なく, IgMが約80%含まれていることが明らかとなった.
    つぎにCH50,流血中immune complex,抗2本鎖DNA抗体価との関連を検討した結果, Tγ cellに対する抗体でIgG抗体が含まれていると老えられる群では,低補体, immune complex陽性,抗2本鎖DNA抗体価高値のものが多く, IgM抗体群では補体値は正常範囲, immune complexは陰性,抗2本鎖DNA抗体価も低値であり, IgG抗体群とIgM抗体群の間には明らかな差が認められた.
    同一患者血清を活動期から寛解期に追跡した結果では,活動期に一致して, Tγ cellに対する抗体はIgGが優位であり,寛解期に移行するにつれてIgG抗体の低下とIgM抗体の上昇がみられた.
    以上のように,活動期SLE患者血清中に出現するanti Tγ cell IgG抗体は,種々の自己抗体の出現と一致しており, suppressor T cell機能異常に深くかかわっていると考えられた.
  • 良性疾患の多種皮膚反応について
    陳 鋼民, 荻野 健次, 曾我 浩之, 松本 伸, 岡崎 哲郎, 和田 豊治, 小西 洋, 清水 信義, 寺本 滋
    1980 年 3 巻 3 号 p. 133-139
    発行日: 1980/07/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    良性疾患の免疫能を低下させる因子としては加齢,栄養不全,ある種の感染症,薬物,外傷や手術侵襲,麻酔など数多くの因子がある.今回著者らは岡山大学第2外科にて入院治療をうけた良性疾患222例(内訳は心疾患91例,良性消化器疾患30例,その他の良性疾患101例)に,四種皮膚反応(PPD, PHA, candida, SK-SD)を施行し,それによりskin test index (STI)を算定して, STIと各種栄養パラメーター(hemoglobin,リンパ球数, albumin,体重身長比)の相関性を検討した.
    その結果(1) STI 1.0以下の異常率は心疾患42%,良性消化器疾患23%,その他の良性疾患12.5%であった. (2)良性消化器疾患と心疾患で, STIとhemoglobin, albuminの間に相関を認めた. (3)心疾患のうちNYHA分類III-IV度でSTI正常値1.0以下の症例が多く認められた.
  • 清水 法男, 吉岡 宏, 泉 明夫, 浜副 隆一, 尾崎 行男, 前田 迪郎, 古賀 成昌
    1980 年 3 巻 3 号 p. 140-145
    発行日: 1980/07/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    目的:手術侵襲は術後における細胞性免疫能を低下させることが知られている.癌患者の場合は,この時期に残存癌細胞の増殖あるいは転移をおこしやすくなるといわれており,この時期における免疫能の低下を防止することは意義のあることと思われる.このため,術前より各種免疫賦活剤を投与し,免疫学的パラメーターの検討を行った.
    症例および方法:すべて胃癌症例を対象とし,免疫賦活剤として, PSK, LentinanおよびLevamisoleを使用した.
    結果:白血球数およびリンパ球数は免疫賦活剤投与後1週には軽度上昇がみられた. PHAおよびPPD皮内反応さらにPHA反応でみるかぎり各種免疫賦活剤術前投与効果がみられたが,それはLevamisoleがもっとも強く,ついでPSKおよびLentinanであった.
  • 荒尾 俊夫, 蔵 和夫
    1980 年 3 巻 3 号 p. 146-151
    発行日: 1980/07/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Levels of circulating immune complexes in the serum of patients with connective tissue diseases were measured by the 125I-protein A-PEG procedure. These included 21 patients with systemic lupus erythematosus (SLE), 20 rheumatic arthritis (RA), 11 sicca syndrome (SS), 9 progressive systemic scherosis (PSS), 9 mixed connective tissue diseases (MCTD) and 10 healthy individuals. The groups of connective tissue diseases except for SS had increased levels of immune complexes in serum compared to a group of healthy individuals. In particular, patients with SLE and RA were high levels of immune complexes. No correlation was found between the levels of circulating immune complexes and serum complement (CH50, C3 and C4). Also, there was no correlation with the titers of IgM-rheumatoid factor in the sera of patients with seropositive RA.
    125I-protein A-PEG procedure is a sensitive, simple and not complement dependent.
  • 小野 啓吾, 猪野 裕英, 秋元 純, 荘 茂, 畔柳 武雄
    1980 年 3 巻 3 号 p. 152-158
    発行日: 1980/07/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    本症例は, 12年前より糖尿と蛋白尿を指摘されていた34才の男性で,多飲多尿,全身骨痛および胸郭変形を主訴としていた. Fanconi症候群として発現した近位尿細管機能不全,遠位尿細管機能不全,骨髄における軽度の形質細胞増殖およびBence-Jones蛋白尿が存在した.また骨髄電顕像で異型形質細胞の細胞質内に球状封入体が認められた.その他,種々の精査にて,われわれは, light chain nephropathyに合併したlight chain diseaseと診断した.
    Smithlineの提唱したlight chain nephropathyの報告例は少なく, Bence-Jones蛋白と腎尿細管障害との関連性については議論が多い. Maldonadoは多発性骨髄腫とFanconi症候群の関連性を強調しているが,本症例もpremyeloma状態と考えられ,今後の経過を追うとともにさらに精査および検討を重ねたい.
  • 川村 肇, 武田 昭, 権田 信之, 隅谷 護人, 押味 和夫, 狩野 庄吾, 高久 史麿, 酒井 秀明
    1980 年 3 巻 3 号 p. 159-165
    発行日: 1980/07/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    食道狭窄を合併し, 10年の長い経過後に腎症状を呈したWegener肉芽腫症の1例.
    39才の女性. 10年の経過中,関節痛,紅斑,遊走性肺陰影,鼻汁,口咽頭びらん,鞍鼻,嚥下困難が出現し,第7頸椎の高さに限局性食道狭窄を認めた.入院中尿蛋白・顆粒円柱出現と腎機能低下がみられ, cyclophosphamide大量投与により軽快した.
    本例の食道狭窄は, Wegener肉芽腫症の活動期に発症しており,他の誘因もないのでWegener肉芽腫症によるものと考えられる. Wegener肉芽腫症の食道狭窄合併例の報告はないが,食道に円周性びらんを呈し,組織学的に血管炎を認めた剖検報告例があり,本症も血管炎によるびらん形成後の瘢痕化による食道狭窄と考えられる.
    また本例は10年間限局型Wegener肉芽腫症として経過した後でも古典的Wegener肉芽腫症にみられるような糸球体腎炎を呈する可能性があることを示唆している.
  • 権田 信之, 狩野 庄吾, 隅谷 護人
    1980 年 3 巻 3 号 p. 166-171
    発行日: 1980/07/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    活性Tリンパ球を定量的に検出するvirus plaque assayを用いてヒト末梢血リンパ球のphytohaemagglutinin (PHA)およびconcanavalin A (Con A)反応性Tリンパ球を測定し,再現性, carbonyl-iron処理,加齢との関係について検討した.対象は68歳以上の高齢者および38歳以下の若年対照各8名で,末梢血よりFicoll-Conray比重遠心法にて分離したリンパ球106をPHA 0.1 μl/mlまたはCon A 5 μg/mlと2日間培養後,水庖性口炎ウイルス(VSV)を感染させ, L細胞単層培養上に重層し2日間培養後生じたプラーク数を算定した. 5回くり返し行った実験で,培養液対照群, Con A添加群では実験間のばらつきは少なく再現性が認められたが, PHA添加群では凝集のためばらつきが大きかった. carbonyl-iron処理の有無による差はみられなかった.高齢者ではCon AおよびPHA反応性V-PFCが若年者に比し,有意に減少していた.
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