日本臨床免疫学会会誌
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34 巻, 5 号
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特集:自己炎症疾患の新しい知見
巻頭言
総説
  • 林 隆也, 中村 亨, 髙岡 晃教
    原稿種別: 総説
    2011 年 34 巻 5 号 p. 329-345
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/31
    ジャーナル フリー
      免疫は,自己と非自己の識別に基づくものである.脊椎動物では,外来微生物に対する宿主防御は,自然免疫系と適応免疫系の大きな2つのシステムから構成される.適応免疫は,体細胞遺伝子組換えにより生じるB細胞及びT細胞の抗原特異的受容体を介した抗原特異的な反応を特徴とする.一方,自然免疫は,微生物に対する非特異的な応答として捉えられてきた.しかし,生殖細胞からすでに遺伝子として組み込まれているパターン認識受容体(pattern recognition receptors ; PRRs)(Toll様受容体,RIG-I様受容体,NOD様受容体やAIM2様受容体など)の発見により,自然免疫認識機構に対する我々の理解が飛躍的に進展した.これらのPRRsは,感染や組織損傷の際に生じるPAMPs (pathogen-associated molecular patterns)やDAMPs (damage-associated molecular patterns)を認識し,I型インターフェロン(I型IFNs)や炎症性サイトカイン/ケモカインの発現など,共通した下流の遺伝子発現誘導プログラムを活性化する.一方で,PRRsを介するシグナル活性化の制御異常は,病的な炎症反応をもたらすことになる.これに関連して,近年臨床的に定義された疾患概念である『自己炎症疾患』の多くにおいて,PRRsもしくはそのシグナル伝達関連分子をコードする遺伝子の変異が報告され,その病因との関連性が指摘されている.本稿において,最近の自然免疫系におけるセンサー分子としてのPRRsの概要と,特に自然免疫シグナリングとの関連性という観点から,『自己炎症疾患』に関する最新の知見を紹介する.
  • 増本 純也
    原稿種別: 総説
    2011 年 34 巻 5 号 p. 346-354
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/31
    ジャーナル フリー
      炎症は傷害に対する生体の防御的な反応である.この生体の防御反応には様々な因子が関与していると考えられるが,多様な生理活性を持つ炎症性サイトカインのひとつであるインターロイキン1β(IL-1β)は特に重要な役割を担っていると考えられている.インフラマソームは,このIL-1β産生を制御する細胞内の蛋白質複合体である.本項では自己炎症疾患を理解するという観点から,研究成果が蓄積されてきたインフラマソームの機能とその制御異常ついて簡単に解説する.
  • 右田 清志, 上松 一永
    原稿種別: 総説
    2011 年 34 巻 5 号 p. 355-360
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/31
    ジャーナル フリー
      家族性地中海熱(Familial Mediterranean fever, FMF)は,持続期間が比較的短い(1~3日)周期性発熱と漿膜炎を主徴とする遺伝性の自己炎症疾患である.2009年に行った全国調査の結果では,日本における推定患者数は,約300人で各種臨床症状の頻度は,発熱が95.5%,胸痛(胸膜炎症状)が35.8%,腹痛(腹膜炎症状)62.7%,関節炎が31.3%であった.またAA amyloidosisは5名(3.7%)に確認された.治療に関しては,コルヒチンが91.8%の患者で有効であった.本邦において一定数のFMF患者が存在しており,重篤な合併症であるAA amyloidosisを予防するためにも早期診断,早期治療介入が望まれる.
  • 塚本 浩, 上田 尚靖, 堀内 孝彦
    原稿種別: 総説
    2011 年 34 巻 5 号 p. 361-368
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/31
    ジャーナル フリー
      TNF receptor-associated periodic syndrome(TRAPS)は常染色体優性遺伝形式の家族性周期性発熱疾患である.TRAPSではI型TNF受容体(TNFRI)をコードするTNFRSF1A遺伝子について100以上の遺伝子変異が報告されており,かつ浸透率は85%以上と高い.本邦からはC30R, C30S, T61I, C70S, C70G, C88Y, N101Kの7種類の変異が報告されている.変異TNRIは小胞体内に停滞し,ミトコンドリアからの活性酸素産生を介してMAPキナーゼを活性化状態にする.ここに細菌感染等でToll様受容体からのシグナルが付加され,炎症性サイトカイン産生誘導が起こることが本症の病態形成に関与していると考えられている.臨床所見として発熱期間は平均21日間,発熱間隔は1から数ヶ月である.発作期には,発熱と共に,皮疹,筋痛,関節痛,腹痛,漿膜炎,結膜炎,眼窩周囲浮腫などの随伴病変を伴う.治療としては,副腎皮質ステロイド剤とTNF阻害薬エタネルセプトが発作の重症度や発作期間の短縮に有効である.エタネルセプトでは発作頻度も減少するが無効例も存在する.最近では,IL-1受容体拮抗薬アナキンラやIL-6受容体拮抗薬トシリズマブの有効性も報告されている.厚生労働省のTRAPS研究班(代表者:堀内孝彦)は2010年に,本邦のTRAPS患者の病態に即した診断基準を作成するため全国の実態調査を行い,現在遺伝子解析が進行中である
  • 齋藤 潤
    原稿種別: 総説
    2011 年 34 巻 5 号 p. 369-377
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/31
    ジャーナル フリー
      クライオパイリン関連周期熱症候群(CAPS: Cryopyrin-associated periodic syndrome)は自己炎症性症候群の一つで,NLRP3のヘテロ変異により発症する.CAPSは類似の表現型を取る3つの症候群,すなわち家族性寒冷自己炎症症候群(FCAS),Muckle-Wells症候群およびCINCA症候群の総称である.これらのうち,FCASが最軽症,CINCAが最重症の表現型を取る.共通の表現型は自発的もしくは寒冷誘発性の蕁麻疹様発疹と発熱である.重症型では,難聴,髄膜炎,関節拘縮,二次性アミロイドーシスなどを来す.NLRP3の機能獲得変異は強力な炎症性サイトカインであるIL-1βの過剰産生を誘導し,これにより自己炎症がもたらされる.最近の抗IL-1薬の進歩により,CAPSの治療は劇的に改善した.現在3種類の抗IL-1薬が開発されているが,そのいずれもがCAPSに著効を示す.引き続き長期の観察が必要であるが,これらの薬剤の登場によりCAPSの診療は新しい時代を迎えている.
  • 神戸 直智, 佐藤 貴史, 中野 倫代, 中村 悠美, 松江 弘之
    原稿種別: 総説
    2011 年 34 巻 5 号 p. 378-381
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/31
    ジャーナル フリー
      家族歴のあるブラウ症候群と弧発例の若年発症サルコイドーシスは,ともにNOD2の恒常活性変異体を基盤として肉芽種を来す疾患である.本邦で同定されたNOD2変異は,R334Wが最多である一方,R334Q変異が少なく,1例報告である変異が多数存在するのが特徴である.また,世界で初めて6塩基欠失症例が発見された.本症は経過とともに足関節背面や手背などに無痛性の柔らかい腫脹が出現し,特徴的な所見として診断価値が高い.この嚢腫状腫脹と経過とともに顕在化する可動性を残した指趾中節関節の屈曲拘縮は,若年性特発性関節炎との鑑別からも有用である.このようにブラウ症候群/若年発症サルコイドーシスの臨床像は特徴的であるため,医療関係者等の関心を高めることができれば,現時点では病態に基づいた特異的な加療法は存在しないものの,生活に支障を来す重度障害の予防は可能であると思われる.
  • 酒井 秀政, 平家 俊男
    原稿種別: 総説
    2011 年 34 巻 5 号 p. 382-387
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/31
    ジャーナル フリー
      高IgD症候群は,乳児期早期に炎症反応高値の不明熱疾患として発症する自己炎症性疾患である.その原因はコレステロール代謝に関わるメバロン酸キナーゼの欠乏であることから,体内の多くの細胞がその欠乏を共有することになり,その臨床像は他の自己炎症性疾患と比して多様である.しかしながら,腹部症状や皮疹,関節炎などといった多くの症状は他の自己炎症性疾患群と共通のものであることから,臨床の場で即座に診断するのは難しく,乳児期発症の不明熱を診た際に積極的に疑う他ないのが現状である.さらに,病名にある血清IgD値の高値は,診断を考慮するタイミングではほとんど認められておらず,本症候群の診断をさらに混乱させている要因となっている.近年,わが国においても高IgD症候群の確定診断例が明らかになっており,決してヨーロッパに偏在している疾患ではないことが分かってきた.また,高IgD症候群に対する特異的治療法の開発も進みつつあり,臨床的に高IgD症候群を疑った患者に対し,確定診断するための方法や,正確に否定するためのプロセスを熟知しておくことが必要である.
  • 金澤 伸雄, 有馬 和彦, 井田 弘明, 吉浦 孝一郎, 古川 福実
    原稿種別: 総説
    2011 年 34 巻 5 号 p. 388-400
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/31
    ジャーナル フリー
      中條—西村症候群(ORPHA 2615, MIM 256040)は,幼小児期に凍瘡様皮疹で発症し,弛張熱や結節性紅斑様皮疹を伴いながら,次第に顔面・上肢を中心とした上半身のやせと拘縮を伴う長く節くれだった指趾が明らかになる特異な遺伝性炎症・消耗性疾患である.和歌山,大阪を中心とした関西と東北,関東地方に偏在し,30例近い報告がある.全国疫学調査で生存が確認された関西の10症例に加え,新規幼児例が和歌山で見出され,今後も増える可能性がある.長らく原因不明であったが,ホモ接合マッピングにより,免疫プロテアソームβ5iサブユニットをコードするPSMB8遺伝子のホモ変異が同定された.患者由来細胞,組織の検討により,本疾患ではプロテアソーム機能不全のためにユビキチン化,酸化蛋白質が蓄積することによって,p38 MAPK経路が過剰に活性化しIL-6が過剰に産生されることが示唆された.最近,欧米からもPSMB8遺伝子変異を伴う類症が報告され,遺伝性自己炎症疾患の新たなカテゴリーであるプロテアソーム不全症が世界に分布することが明らかになりつつある.
  • 楠原 浩一
    原稿種別: 総説
    2011 年 34 巻 5 号 p. 401-407
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/31
    ジャーナル フリー
      PFAPA症候群(periodic fever, aphthous stomatitis, pharyngitis and adenitis syndrome)は,アフタ性口内炎,咽頭炎/扁桃炎,頸部リンパ節炎を主な随伴症状とする3~6日程度の発熱発作を比較的規則的に繰り返すことを特徴とする,非遺伝性の自己炎症疾患である.わが国では周期性発熱症候群の中で最も高頻度であると考えられている.本症には明らかな遺伝性はみとめられず,原因となる遺伝子も同定されていないが,何らかの遺伝的要因が発症に関与している可能性がある.鑑別診断として遺伝性周期性発熱症候群と周期性好中球減少症が重要である.病因はいまだ不明であるが,最近の研究結果から,環境因子により補体系とIL-1β/IL-18の活性化が誘発されて,同時にTh1ケモカインの誘導とそれに引き続く活性化T細胞の末梢組織への集積がおこっていることが推定されている.また,IP-10/CXCL10は他の周期性発熱症候群との鑑別に有用なバイオマーカーである可能性がある.治療法はまだ確立していないが,これまで不明であった病因,病態の解明が進んでおり,それに基づいて治療法の見直しや新規治療法の開発が進められていくものと考えられる.
  • 石ヶ坪 良明, 寒川 整
    原稿種別: 総説
    2011 年 34 巻 5 号 p. 408-419
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/31
    ジャーナル フリー
      ベーチェット病は口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍,皮膚症状,眼症状,外陰部潰瘍を主症状とする全身性炎症性疾患である.ベーチェット病の原因は未だ不明だが,HLA-B51抗原陽性率が優位に高く,一部のStreptococcusに対する免疫反応においてインターロイキン2(IL-2),インターフェロンγ(IFN-γ)といったTh1優位のサイトカイン上昇を認めTh1型自己免疫疾患と考えられている.
      一方で,ベーチェット病の病巣部では好中球優位の炎症細胞浸潤を伴う所見が認められ,病態の主要な役割を好中球が担うことも示唆されている.近年注目されている自己炎症疾患の病態は遺伝子異常による好中球機能亢進が原因と考えられており,ベーチェット病との関連が注目されている.その理由として,自己炎症疾患では口腔内アフタ性潰瘍やぶどう膜炎,陰部潰瘍といったベーチェット病で特徴的とされる症状を伴うことが多く,治療方法も一部共通していることが挙げられる.
      ベーチェット病と自己炎症疾患の関連性を示唆する所見は多いが,ベーチェット病では免疫抑制薬が有効であり,自己炎症のみならず自己免疫の病態も関与していると考えられる.
      ベーチェット病の自己免疫に関する視点では,最近ではTh1だけでなくTh17の関与も注目されており,大規模ゲノム解析ではTh17関連の疾患感受性遺伝子が同定されている.
      一方で,ベーチェット病に対する新たなIL-1β阻害薬の有効性が報告され,ベーチェット病の病態については今後さらなる解析が必要である.現在,国内外の大規模ゲノム解析からベーチェット病疾患感受性遺伝子が同定されており,今後の発症機序の解明や治療の向上が期待されている.
症例報告
  • 池内 秀和, 梅元 あずさ, 月田 真祐子, 櫻井 則之, 前嶋 明人, 黒岩 卓, 廣村 桂樹, 野島 美久
    原稿種別: 症例報告
    2011 年 34 巻 5 号 p. 420-425
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/31
    ジャーナル フリー
      近年各種TNF阻害薬が関節リウマチ(RA)の臨床に導入され,めざましい効果を挙げているが,感染症の合併も問題になっている.アダリムマブ(ADA)は新規に開発された完全ヒト型抗ヒトTNF抗体製剤である.今回我々はADA投与中にニューモシスチス肺炎(PCP)を発症したRAの2例を経験したので報告する.【症例1】66歳女性.RA罹病期間5ヶ月.ADA開始時,Steinbrockerの病期分類II,機能分類3,DAS28 (CRP3) 6.18.メトトレキサート(MTX) 6 mg/週,プレドニゾロン(PSL) 5 mg/日を併用していた.ADAは著効し28日後にはDAS28 (CRP3) 2.04になった.開始106日後,38℃台の発熱,咳嗽が出現し入院した.【症例2】62歳男性.RA罹病期間2年.既存の肺疾患なし.ADA開始時,Steinbrockerの病期分類II,機能分類3,DAS28 (CRP3) 6.15.MTX 8 mg/週,PSL 15 mg/日を併用していた.関節痛は改善傾向であったが,開始28日後,労作時息切れと倦怠感が出現し入院した.両症例とも胸部CTで間質性陰影を認め,β-D-グルカン高値であり,PCPと診断した.入院同日よりスルファメトキサゾール/トリメトプリム合剤を開始,70 Torr以下の低酸素血症があり高用量のPSLも併用した.症状は改善し,それぞれ第8,第16病日に退院した.喀痰Pneumocystis jirovecii DNAは両症例で陽性であり,β-D-グルカンと共に早期診断に有用であった.早期にST合剤を開始できたことも良好な予後につながったと考えられた.
  • 鳥越 雅隆, 宮村 知也, 中村 真隆, 寳来 吉朗, 平田 明恵, 安藤 仁, 高濱 宗一郎, 南 留美, 山本 政弘, 末松 栄一
    原稿種別: 症例報告
    2011 年 34 巻 5 号 p. 426-430
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/31
    ジャーナル フリー
      症例は50歳,女性.1999年にBasedow病を発症し,抗甲状腺薬を開始されたが副作用のため中止となった.同年,甲状腺部分切除術を受け,甲状腺機能はコントロール良好であった.2007年8月,発熱,咽頭痛,皮疹,関節痛の出現を契機に当科を紹介受診し,成人発症Still病(AOSD)と診断された.同時にTSH低下,free T4上昇も認め,Basedow病の再燃と診断された.ステロイドパルス療法にて両疾患とも軽快し,以後ステロイドは漸減され,経過良好であった.2009年11月,プレドニゾロン(PSL)3 mg/日へ減量したところ,12月にAOSDとBasedow病が共に再燃した.PSLを30 mg/日へ増量し,両疾患とも改善が得られた.本症例はAOSDの発症,再燃においてBasedow病の活動性が同期していた.Basedow病とAOSDの合併例は我々が検索した限りでは過去に5例の報告があり,本例は6例目となる.これら6例中4例で両疾患の活動性が同期している.活動期のAOSDは高サイトカイン血症や全身性の免疫異常を来すことが知られており,Basedow病の増悪を惹起した可能性が推察された.
  • 山本 栄治, 深江 智明, 河合 康史, 神尾 学, 本多 英喜, 福味 禎子, 中川 充, 松永 敬一郎, 沼田 裕一
    原稿種別: 症例報告
    2011 年 34 巻 5 号 p. 431-437
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/31
    ジャーナル フリー
      抗カルジオリピン抗体の一過性上昇を示した,Fusobacterium敗血症の1例を経験した.症例は24歳,男性.発熱,頭痛で発症し,救急車で来院.項部硬直なし,体温39.5度,WBC15200/μl, CRP 22.6 mg/dl.入院後,後頭部痛,咳嗽あり.CX-Pにて両下肺野に浸潤影を認めたため,クラリスロマイシン内服を開始.症状改善せず,第8病日に抗菌薬をパズフロキサシンへ変更.胸腹部CTにて両側肺に複数の不整小斑状結節像を認め,肝右葉上部に径3 cm強の円形低吸収域を認めた.血液培養よりFusobacterium necrophorumを検出し,敗血症性肺塞栓ならびに肝膿瘍を伴ったFusobacterium敗血症(Lemierre症候群)と診断した.第10病日より,抗菌薬をパズフロキサシンからアンピシリン/スルバクタムヘ変更.その後解熱したが,再び38.4度の発熱があり,クリンダマイシンを追加した.肝膿瘍の消失まで53日間の抗菌薬点滴を必要とした.抗カルジオリピン抗体は第21病日に67.1 U/mlと上昇を認めていたが,治療に伴い,第51病日には,29.2 U/mlまで低下した.Fusobacterium感染症では抗カルジオリピン抗体が上昇することが報告されている.今回の症例では抗カルジオリピン抗体が肝膿瘍の縮小に伴って低下していく経過が観察され,一過性の高カルジオリピン血症を呈していたと考えられた.
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