【目的】SSにおいて,抗M3R抗体の病態的意義を明らかにする.
【方法】
1)M3Rの細胞外領域(N末端,第1,2,3細胞外ループ)のペプチドを抗原としたELISAで,SS42例,健常人(HC)42例の抗M3R抗体を測定した.
2)ヒト唾液腺上皮(HSG)細胞株を抗M3R抗体陽性SS,陰性SS,HC由来IgGで12時間共培養し,塩酸セビメリン刺激後のCa-influxへの影響を検討した.
3)M3Rの第2細胞外ループ免疫後のM3R欠損マウス由来脾細胞を骨髄腫細胞株と融合し,抗M3R
2ndモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを作製した.培養上清からモノクローナル抗体を精製し,HSG細胞株を用いてCa-influxへの影響を検討した.
【結果】
1)すべてのエピトープに関して,HCと比較してSSでは抗体価,抗体陽性率ともに有意に高値であった.
2)N末端,第1細胞外ループに対する抗体陽性SSのIgGはCa-influxを増強したが,第2細胞外ループに対する抗体陽性SSのIgGは抑制した.第3細胞外ループに対する抗体陽性SS,抗M3R抗体陰性SS,HCのIgGは影響を与えなかった.
3)異なるCDR3領域を有する2種のハイブリドーマが作製できた.2種の抗M3R
2nd モノクローナル抗体は,第2細胞外ループに対する抗体陽性SSのIgG同様,Ca-influxを抑制した.
【結論】SSにおいて,第2細胞外ループに対する抗M3R抗体は,唾液分泌低下に関与する可能性が示唆された.
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