日本臨床免疫学会会誌
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37 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
特集:Human Immunology:疾患理解から治療へ
  • 藤尾 圭志, 岡村 僚久, 住友 秀次, 山本 一彦
    2014 年37 巻2 号 p. 69-73
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/16
    ジャーナル フリー
      自己免疫応答を抑制する制御性T細胞として従来CD4陽性CD25陽性Foxp3陽性の制御性T細胞(CD25+Treg)が知られてきたが,筆者らはCD4陽性CD25陰性LAG3陽性の制御性T細胞を同定した(LAG3+Treg).LAG3+TregはT細胞アナジーに関連する転写因子Egr2を発現しているが,最近Egr2がIL-27により誘導されるIL-10産生を制御するなど,免疫応答を抑制する機能が分かってきた.Egr2をT細胞とB細胞で欠損するマウスはCD25+Tregの機能が保たれているにもかかわらずIL-17の産生亢進とSLE様の病態を呈する.Egr2欠損にさらにEgr3の欠損が加わるとより重篤な病態となることから,Egr2とEgr3の協調による自己免疫応答の抑制が示唆されている.またSLEモデルマウスの疾患感受性遺伝子Ly108のEgr2発現への関与も報告されている.これらのことから,LAG3+TregとEgr2はCD25+Tregとは異なる免疫抑制系を構成すると考えられ,さらなる解析により自己免疫疾患の理解が進み,新たな治療戦略の構築につながることが期待される.
  • 柳井 亮二, 武田 篤信, 吉村 武, 園田 康平
    2014 年37 巻2 号 p. 74-82
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/16
    ジャーナル フリー
      ぶどう膜炎とは,狭義には「ぶどう膜組織の炎症」であるが,臨床的には「眼内の全ての炎症」を指す.ぶどう膜炎は単一の疾患概念ではなく,自己免疫疾患,感染症,造血器悪性腫瘍など多種多様な原因や背景をもとに発症する.ぶどう膜炎の多くは再発する可能性のある慢性病であり,姑息的に眼炎症をコントロールするだけでなく,長期的観点から患者の視機能の維持を考える必要がある.Behçét病は,放置すれば中途失明に至る重篤な全身疾患である.コルヒチン・シクロスポリンを中心とした従来の治療法に抵抗性の患者が多く,視機能予後の悪いぶどう膜炎の代表格であった.しかしながら,2007年から始まった生物学的製剤である抗TNF-α療法はBehçét病の治療に大きな変革をもたらしている.眼発作回数が激減したことで,患者が失明の恐怖から解放されたと言っても過言ではない.現在,Behçét病以外のぶどう膜炎では生物学的製剤の使用が認められていない.しかし,遷延化したVogt-小柳-原田病やサルコイドーシスの患者では副腎皮質ステロイドでの治療が難しく,新たな治療が求められている.本稿ではぶどう膜炎の病態について概説し,生物学的製剤を用いた新規治療についての現況を報告する.
  • 佐藤 和貴郎
    2014 年37 巻2 号 p. 83-89
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/16
    ジャーナル フリー
      多発性硬化症(Multiple Sclerosis: MS)は中枢神経系の慢性炎症性脱髄を特徴とする臓器特異的自己免疫疾患である.再発期と寛解期があり,再発にはT細胞が重要な役割を果たしている.中でもIFN-γを産生するTh1細胞とともにIL-17の産生を特徴とするTh17細胞の病原性が近年注目されている.Th1細胞やTh17細胞などのヘルパーT細胞サブセットはそれぞれ特徴的なケモカイン受容体を発現する.Th1細胞はCXCR3やCCR5陽性,Th17細胞はCCR2陽性CCR5陰性およびCCR4陽性CCR6陽性を特徴とする.再発寛解型MS患者のCD4+T細胞におけるCCR2, CCR4, CCR5, CCR6の発現をフローサイトメトリーで調べたところ,末梢血CD4+ T細胞における各分画の頻度は健常者あるいは疾患コントロールと比較し有意な増加や減少を認めなかった.しかし再発期MS患者の脳脊髄液ではCCR2+CCR5+細胞の頻度が末梢血中の頻度と比較し疾患特異的に増加していた.同細胞は活性化によりIFN-γとIL-17の両者を産生,また血液脳関門の破綻に関わるMatrix-Metalloproteinase-9(MMP-9)の高発現や炎症惹起蛋白Osteopontin(OPN)の高発現,さらに血液脳関門モデルの高い通過能をもっていた.このことから再発時に「先兵」として中枢神経系に浸潤しやすい細胞と考えられた.複数のケモカイン受容体の発現パターンを調べることにより,疾患に関連する重要なリンパ球分画を同定できる可能性がある.
  • 鳥越 俊彦, 廣橋 良彦, 塚原 智英, 金関 貴幸, KOCHIN Vitaly, 佐藤 昇志
    2014 年37 巻2 号 p. 90-95
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/16
    ジャーナル フリー
      1991年のMAGE抗原の発見以来,腫瘍免疫学は急速に発展し,数多くのヒト腫瘍特異抗原が報告されている.著者らも,遺伝子発現クローニング法,バイオインフォマティクス,Reverse immunology,Transcriptome解析,網羅的ペプチド解析などの方法を駆使して,多くのヒト腫瘍抗原を同定してきた.近年,ヒト固形腫瘍の根幹をなすがん幹細胞の分離によって,がん幹細胞特異抗原も明らかにしてきた.一方で,これら基礎研究成果を創薬につなげるために,T細胞エピトープペプチドを用いたがんワクチン臨床試験も推進している.臨床試験ではワクチンの安全性,腫瘍抑制効果,免疫効果を検証し,最適プロトコルとバイオマーカーを見出さなければならない.臨床試験の結果を基礎研究にフィードバックし,より効果の高いがんワクチンの実用化をめざす創薬の道程と展望について概説する.
症例報告
  • 矢島 秀教, 山本 元久, 田邊谷 徹也, 鈴木 知佐子, 五十嵐 哲祥, 松井 美琴子, 苗代 康可, 高橋 裕樹, 篠村 恭久
    2014 年37 巻2 号 p. 96-100
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/16
    ジャーナル フリー
      症例は73歳男性.腹部炎症性大動脈瘤に対してグルココルチコイド内服治療中に全身倦怠感と発熱を認めた.当科入院後に施行した胸部CT検査所見より感染性肺炎として治療中,先行する短期記憶障害に続いて痙攣を伴う意識障害が出現した.頭部MRI検査を施行したところFluid Attenuated Inversion Recovery画像及び拡散強調画像にて両側大脳辺縁系に高信号を認めた.単純ヘルペス脳炎を疑いアシクロビルを開始したが,意識障害は改善しなかった.追加検査にて髄液よりhuman herpes virus(HHV)-6 DNAが検出されたため,HHV-6脳炎と診断した.ガンシクロビル投与を開始したところ,意識障害及びMRI画像所見は改善した.HHV-6脳炎にはガンシクロビルが有効であり,免疫抑制療法中に原因不明の脳炎を見た場合,HHV-6脳炎を鑑別におくべきであると思われた.
  • 東 直人, 的場 聖明, 西岡 亜紀, 村本 睦子, 上田 英一郎, 畠田 典子, 真鍋 蘭, 黄 昌弘, 岩村 優美, 野崎 優子, 松井 ...
    2014 年37 巻2 号 p. 101-110
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/16
    ジャーナル フリー
      62才,男性.2010年1月末,手指冷感,皮膚色調の暗紫色への変化を自覚.次第に四肢全体にしびれ感が拡大し,疼痛と脱力が急激に増強した.併せて末梢血好酸球増多を認め同年3月入院.WBC 20600/μl,好酸球46.6%(9600/μl)に加え,CK 2334 IU/l,尿蛋白と尿潜血を認めた.好酸球増多の原因となる基礎疾患が除外でき,好酸球増多症候群(HES)と診断した.ステロイド薬による治療の開始により末梢血好酸球数,CK値,尿所見は速やかに改善した.しかし,四肢のしびれ感,疼痛,脱力は持続し,指趾壊疽が出現した.血管造影検査では四肢動脈の狭窄や閉塞を認め,末梢循環改善薬や星状神経節ブロックなどで加療するも次第に指趾壊疽は増悪した.同年7月骨髄単核球細胞による血管再生医療を実施.術後2週で創部辺縁の出血と色調改善を認め,その後壊死範囲は拡大しなくなった.同年11月指趾切断術を施行するも術後切断面の上皮化は順調で,しびれや疼痛も軽減した.ステロイド薬漸減中も再燃徴候はなく,術後3年に渡り皮膚所見の改善とサーモグラフィー検査など客観的指標による血流改善効果の維持が確認できた.HESに伴う動脈閉塞による指趾壊疽は稀だが難治性である.骨髄単核球細胞による血管再生医療が本病態に対する治療法の一選択肢になり得ると考えられた.
  • 高峰 裕介, 井汲 菜摘, 小野江 元, 早瀬 未紗, 長澤 洋介, 阪上 雅史, 杉山 海太, 中川 優, 内野 慶人, 高橋 宏通, 平 ...
    2014 年37 巻2 号 p. 111-115
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/16
    ジャーナル フリー
      今回我々は間質性肺炎合併全身性強皮症に対し,長期間シクロファスファミドを内服中に亜急性に進行する意識障害と認知症症状で発症した68歳女性の中枢神経原発悪性リンパ腫を経験した.検査所見で髄液蛋白の上昇以外,血清中のCRP及びsIL-2Rは正常であった.頭部MRIにて白質に脳梗塞様の病変が多発しており,画像所見及び髄液検査からは進行性多巣性白質脳症との鑑別を要した.入院2週間後の頭部MRIで病変の拡大,増生を認め,意識障害も徐々に進行した.髄液のJCウィルスPCR検査は陰性であったが,検査の感度は80%であるため,その他の疾患鑑別も含め脳生検を行った.組織学的に血管内腔にリンパ球様の大型の腫瘍細胞塊を認め,特殊染色の結果,IVLと診断した.治療はR-CHOP療法を行い,意識障害と認知症症状は軽快した.中枢神経(CNS)原発の血管内悪性リンパ腫(IVL)は,稀な疾患で,特異的な検査所見に乏しく,麻痺や脱力などの局所症状や認知症症状など多彩な症状を呈する.そのためCNS原発のIVLは診断が難しく,炎症所見やsIL-2Rが生前に診断がつかないことも多い.
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