日本臨床免疫学会会誌
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37 巻, 4 号
第42回日本臨床免疫学会総会抄録集
選択された号の論文の193件中51~100を表示しています
ビギナーズセミナー
  • 早川 智
    2014 年37 巻4 号 p. 300
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      個体の寿命が有限であることの必然として遺伝子は乗り物を次々に変えてゆく必要がある.バクテリアのように無性生殖で同一コピーを増やすことが最も手早くコストのかからない複製手段であるがプラスミドなどによる遺伝子交換には自から限界がある.雌雄両性による有性生殖の本質は世代ごとの遺伝子のシャッフリングにより,環境の変化,特にあらたな病原微生物の出現や変異に対する宿主の多様性を確保することにある.それには異なった遺伝的背景を有する個体間の情報交換が必須であり,さらに子宮内で胎児胎盤を育てる真胎生動物ではこれを許容するため特異免疫系と折り合いをつけねばならない.1953年,Medawarが免疫学的異物である胎児胎盤がなぜ拒絶されないのかという生殖免疫学の中心的命題を提起して半世紀以上が過ぎた現在でも,免疫学的妊娠維持機構は完全に解明されたとは言いがたい.胎児胎盤に対する寛容の破綻は習慣流産や妊娠高血圧症候群,早産の発症に関与するのみならず,母体の自己免疫疾患の発症や増悪に関与する.さらに,子宮内の免疫環境は生まれた児の生活習慣病やアレルギー疾患の発症要因となる.胎盤の免疫学的逃避機構は悪性腫瘍や病原微生物と多くの点で共通しており,臨床免疫学の複合領域における研究が期待される.
  • 山本 元久, 高橋 裕樹, 篠村 恭久
    2014 年37 巻4 号 p. 301
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      IgG4はIgG分画のひとつで,生体には約4%しか存在しない.他のIgGサブクラスと異なり,補体活性化能を持たず,重鎖内ヒンジ部分のジスルフィド結合が弱いために,容易に解離し,2価のように挙動することが可能である.さらに近年,IgG4は他のサブクラスとFc-Fc結合ができることが明らかになった.高IgG4血症はIgG4関連疾患の血清学的特徴のひとつであるが,血管炎,多中心性キャッスルマン病,アレルギー性疾患,活動性の高い全身性自己免疫疾患などでも,血清IgG4濃度は高値を呈しうるため,これらの疾患を鑑別する必要がある.アレルギーにおいては,IgG4はIgEに対する遮断抗体,IgE-facilitated antigen presentationの抑制,FcRIIを介したFcRIからの情報伝達抑制の作用を示すことが知られている.特に食物アレルギーでは,血清IgG4が免疫寛容に寄与することが推測されている.また,IgG4のIgG4関連疾患の病態への関与は不明である.IgG4が病因抗体である可能性は低いと考えられるが,IgG4関連疾患の病勢を概ね反映するとされる.IgG4関連疾患におけるIgG4産生制御機構はまだ解明されていないが,胚中心におけるサイトカイン環境が関与していると推定されている.
  • 藤井 隆夫
    2014 年37 巻4 号 p. 302
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      全身性自己免疫疾患において,自己抗体の測定はその診断,病態や予後の予測,疾患活動性の評価などに有用である.全身性エリテマトーデス(SLE),関節リウマチ,強皮症,シェーグレン症候群では分類基準項目に自己抗体が含まれ,その測定は必須となる.一方,clinically amyopathic dermatomyositisの急性~亜急性間質性肺炎と関連する抗melanoma differentiation-associated gene(MDA)5抗体のように,分類基準に含まれなくとも治療選択に有用な情報をもたらす抗体にも注意が必要である.
      ミエロペルオキシダーゼ(MPO)を対応抗原とする抗好中球細胞質抗体(ANCA)は,顕微鏡的多発血管炎(MPA)の疾患活動性と平行し,病因的意義が比較的明確な自己抗体である.ANCA関連腎炎では免疫複合体の沈着が局所に認められないことからサイトカインを介したANCAの病原性が示唆される.われわれは,MPA同様難治性病態であるneuropsychiatric SLE患者の脳脊髄髄液(CSF)における抗U1RNP抗体の臨床的意義を示してきた.CSF-抗U1RNP抗体の存在はCSF中のIFN-αやMCP-1の活性化と相関したため,CSF-抗U1RNP抗体(あるいはその免疫複合体)は間接的に脳障害に関与すると考えている.このように,血清あるいは病態局所の自己抗体とinflammatory mediatorとの相関がより明確となれば,症例に最適化した標的治療が選択できる可能性がある.
ワークショップ
  • 亀田 秀人, 小倉 剛久
    2014 年37 巻4 号 p. 303a
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      免疫疾患における生物学的製剤の有効性は,標的分子の妥当性と投与量の十分性に規定される.従って,適切にデザインされた臨床試験の結果を詳細に解析すれば,疾患や病態における標的分子の関与の有無,重要な関与をする患者割合,そして標的分子の発現量分布などがある程度推定可能となり,医学の発展に大きく寄与する.腫瘍壊死因子(TNF)の阻害製剤は関節リウマチ(RA)と乾癬にほぼ同等の有効性を示すが,インターロイキン(IL)-17阻害製剤は多くのRA患者に有効性が低い一方で,乾癬における有効性はTNF阻害製剤を凌ぐ.またTNF阻害製剤のRAにおける有効性に製剤間格差は少ないが,抗体製剤と異なり受容体製剤であるエタネルセプトはクローン病における有効性を示せなかった.逆に結核リスクはTNF阻害製剤の中でエタネルセプトが低いとされる.さらに同一の製剤であっても病態によって一般的な有効用量が異なる.こうした臨床成績と製剤の作用機序を考え合わせることで病態を分子生物学的に解明し,病態非特異的免疫抑制・抗炎症療法から病態特異性の高い治療法へのシフトにより,臨床免疫学と免疫疾患治療を飛躍的に進歩させることが期待出来ると云えよう.
  • 南場 研一
    2014 年37 巻4 号 p. 303b
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      ベーチェット病におけるぶどう膜炎は急性発作的に生じ「眼炎症発作」といわれるが,繰り返し生じることにより徐々に視機能を失っていき失明に至ることもある.これまで眼炎症発作を抑制するいくつかの治療がおこなわれてきた.最も古くから用いられているのはコルヒチンであるが有効性は低く,90年代に登場したシクロスポリンはある程度の有効性を示すものの副作用の発現頻度が高いことから有用性に乏しい薬剤であった.そこへ2007年に登場したのがインフリキシマブ(IFX)である.IFXはTNF阻害薬のひとつであり,これまで多くの炎症性疾患において劇的な有効性を示してきた.ベーチェット病においても90%以上の有効性を示し,ベーチェット病における治療を一変させた.
      眼炎症発作を繰り返している患者にIFXを導入すると眼炎症発作頻度が低下するばかりでなく,1回の眼炎症発作の重症度も低下する.また,眼症状だけでなく他臓器においても症状の改善がみられる.
      ただし,結核をはじめとする各種感染症を増悪させる可能性があるため導入前のスクリーニング検査,導入後の定期的な検査が欠かせない.また,投与時反応が約10%の患者にみられる.
  • 高田 英俊
    2014 年37 巻4 号 p. 304a
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      小児科領域でも,若年性特発性関節炎(JIA)をはじめとして,生物学的製剤の有効性が確認されてきた.JIAでは,エタネルセプト,アダリムマブ,トシリズマブが使用され,難治例にも著しい効果を示している.また,小児期から発症する自己炎症性疾患のなかで,NLRP3遺伝子変異によっておこるcryopyrin-associated periodic syndrome(CAPS)に対してカナキヌマブが使用されるようになり,臨床症状の進行を抑える事で,患者のQOLが格段に向上している.CAPSの最重症型であるchronic infantile neurological cutaneous and articular syndrome(CINCA症候群)は,慢性髄膜炎,脈絡膜炎,関節症などの全身性炎症が生涯持続し,高率にアミロイドーシスを合併する疾患であるが,早期にカナキヌマブを導入することで,疾患の進行を抑えることが可能であることが確認された.ただし,カナキヌマブはIL-1betaをブロックするため,重症感染症には注意が必要である.さらに最近では,非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)に対して,エクリズマブが使用可能となった.血漿交換でも病勢のコントロールが困難であるような症例も,エクリズマブによって長期的なコントロールが可能になったことは,患者にとって大きな福音である.これらの具体的症例を提示しながら概説したい.
  • 菊池 潤, 橋詰 美里, 吉本 桂子, 鈴木 勝也, 竹内 勤
    2014 年37 巻4 号 p. 304b
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
    【目的】トシリズマブ(TCZ)およびアバタセプト(ABT)投与関節リウマチ(RA)患者における末梢血単核球サブセットと活性化マーカーの変動および臨床効果との関連を対比し明らかにすること.【方法】当院でTCZおよびABTを導入した,生物学的製剤使用歴のないRA患者39例と49例の投与前,投与後24週,TCZのみ52週までの末梢血単核球を細胞表面染色後,フローサイトメトリーで解析した.【結果】投与前のTCZ群およびABT群の平均年齢は54.8歳および65.8歳(p<0.01),平均SDAIは21.1および23.7(p=0.33),MTX併用率は30.8%および70.6%(p<0.01)であった.TCZ群はCD4+T細胞中のTreg割合が増加し,疾患活動性の変動と逆相関を示した.また,Treg上のHLA-DR発現が亢進し,B細胞中のmemory B細胞分画の割合および単球中のCD16+CD14+単球の割合が減少した.一方,ABT群はTregを含めたCD4+T細胞の活性化が全般的に低下し,Th1上のHLA-DR発現割合が疾患活動性と相関した.【結論】TCZはIL-6経路阻害によりFoxP3発現を亢進しTreg分化を促進する可能性が考えられた.一方,ABTはCD28経路阻害によりTreg分化を抑制するが,他のT細胞機能抑制により臨床効果を得る可能性が示唆された.
  • 中山田 真吾, 久保 智史, 好川 真以子, 湯之上 直樹, 宮崎 祐介, 齋藤 和義, 田中 良哉
    2014 年37 巻4 号 p. 305a
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
    【目的】関節リウマチ(RA)は,T細胞-B細胞の機能的連関を介した免疫異常と関節滑膜における炎症病態の遷延化による複合病態を形成するが,治療標的や治療抵抗性に関わる細胞群は明らかでない.【方法】健常人19名,biologic DMARD未使用RA患者74例のbiologic DMARD投与前および投与24週後に末梢血単核球を採取し,8 color flow cytometryを用いてT細胞・B細胞の表現型および患者背景との関連性を検討した.【結果】活動期RA患者末梢血では,effector T細胞(Tem)の割合が有意に増加した.さらに,effector B細胞とplasmablastがCRP・ESR・MMP-3等の炎症所見と正に相関した.Abatacept(CTLA4-Ig)投与24週後,Tfh,Th1,Th17で構成されるTemの割合が有意に減少し,naive T細胞の割合が増加した.一方,TNF阻害剤投与24週後では,naive T細胞の割合が減少し,Th17,Temの割合が増加,B細胞ではIgM memory B細胞が増加した.Treg細胞の割合は両群とも減少した.【考察】活動期RAに対するCTLA4-Ig及びTNF阻害薬はいずれも疾患活動性を改善させたが,T細胞-B細胞の分化異常には相反する変化を与えていた.すなわち,RAの病態では炎症制御に依存しないT細胞"B細胞による免疫異常が存在する可能性が示唆された.
  • 辻 典子
    2014 年37 巻4 号 p. 305b
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      小腸には多くの免疫細胞が集積し,免疫情報(自然免疫シグナルと抗原情報)を全身に伝える免疫応答の場となっている.乳酸菌は小腸の主要な常在細菌のひとつであり,消化管免疫を刺激するとともに他の病原微生物と拮抗することで腸内環境の恒常性維持にも役立っている.小腸においては食物由来の微生物成分も同様に,消化管免疫の活性化と健康増進に関与すると考えられる.
      私たちは乳酸菌が2本鎖RNAを豊富に含み,樹状細胞のエンドソームに存在するToll様受容体(TLR)3を刺激してインターフェロン-β(IFN-β)の産生を誘導することを見いだした.さらに,このIFN-βには腸炎を予防する抗炎症機能があることを示した.乳酸菌の経口投与によるIFN-βの産生誘導はTLR3遺伝子欠損マウスにおいてはみられず,乳酸菌に含まれる2本鎖RNAの分解,あるいはエンドソームの酸性化の阻害によっても消失した.以上より,TLR3は小腸に常在する乳酸菌に対するセンサーとしてはたらき,腸炎の抑制や免疫恒常性の維持に寄与すると考えられた.また,我々はIFN-βがT細胞の機能分化にもさまざまな効果をもたらすことを観察しており,特にTh1細胞および制御性T細胞の機能成熟に関与すると考えられる.
      さらに,乳酸菌の継続した経口投与により脾臓の樹状細胞においてもIFN-βの発現が増強した.このことは乳酸菌が腸管のみならず全身性に効果をもたらすことを示唆している.

      【参考文献】 Double-Stranded RNA of Intestinal Commensal but Not Pathogenic Bacteria Triggers Production of Protective Interferon-β. Kawashima T, Kosaka A, Yan H, Guo Z, Uchiyama R, Fukui R, Kaneko D, Kumagai Y, You D-J, Carreras J, Uematsu S, Jang MH, Takeuchi O, Kaisho T, Akira S, Miyake K, Tsutsui H, Saito T, Nishimura I, Tsuji NM Immunity 38: 1187-97 (2013).
  • 河本 新平, 丸谷 美香子, 加藤 ルシア, 須田 亙, 新 幸二, 土井 靖子, 筒井 裕美, 本田 賢也, 岡田 峰陽, 服部 正平, ...
    2014 年37 巻4 号 p. 306a
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      腸内細菌からの持続的な抗原刺激を受けている腸管免疫系は,大量の免疫グロブリンA(IgA)を分泌することで腸内細菌を制御していることが知られている.腸管IgAは,主にパイエル板の胚中心において濾胞性ヘルパーT細胞(TFH細胞)と呼ばれるT細胞依存的に産生される.興味深いことに,制御性T細胞として知られるFoxp3+ T細胞が腸管特異的にTFH細胞へと分化転換することが,これまでの我々の研究より明らかとなっている.従って,Foxp3+ T細胞がTFH細胞に分化し,IgA産生を制御することで腸内細菌叢に影響を与えている可能性が考えられた.
      そこで,Foxp3+ T細胞をT細胞欠損マウスに移入することで腸内細菌叢にどのような変化が生じるのか検討した.その結果,Foxp3+ T細胞を移入したマウスにおいて,特にFoxp3+ T細胞を誘導する機能をもつことが知られているクロストリジウム属の腸内細菌の多様性が増加することが明らかとなった.さらに,腸内細菌叢の多様性が腸管免疫系にどのような影響を与えるのかについて検討するため,多様性が異なる腸内細菌叢を無菌マウスに定着させたところ,Foxp3+ T細胞移入マウスより得られた多様性の高い腸内細菌叢を定着させたマウスにおいて,より効率の高い腸管IgA誘導とFoxp3+ T細胞の増殖が観察された.以上の結果から,腸管内における恒常性を維持するために腸内細菌叢,Foxp3+ T細胞および腸管IgAの3者間で制御ループが形成されている可能性が示唆された.
  • 川崎 洋, 久保 亮治, 平野 尚茂, 山田 健人, 天谷 雅行
    2014 年37 巻4 号 p. 306b
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      角層の主要な構成タンパク質で,尋常性魚鱗癬(IV)の原因遺伝子であるフィラグリンの機能喪失変異が,アトピー性皮膚炎(AD)の発症因子として注目されている.しかし,その機序には不明な点が多い.近年,我々はフィラグリン欠損(Flg−/−)マウスを作成し,通常湿度SPF環境下で飼育したFlg−/−マウスを解析した.そしてFlg−/−皮膚の角層バリア機能異常を報告したが,Flg−/−マウスと野生型マウス間で肉眼的に顕著な差を観察しなかった.フィラグリンの分解産物は角層の水分保持に重要な役割を担うと報告されている.本研究ではFlg−/−マウスを低湿度環境下(湿度20%以下)で飼育し,乾燥環境がFlg−/−皮膚に与える影響を解析した.生後より低湿度環境下で飼育したFlg−/−マウスは,通常湿度環境下(湿度40-60%)で飼育したマウスに比べIV様の表現型が増悪し,顕著な成長障害を認めた.低湿度環境下のFlg−/−皮膚は,組織学的に異常な角質形成を認め,亀裂を生じやすく,物理的に脆弱である可能性が示唆された.低湿度環境下で飼育したFlg−/−マウスは,同腹の野生型マウス及び通常飼育環境下で飼育したFlg−/−マウスに比べ,経皮水分蒸散量が著しく増加しており,外界から角層内への物質透過性の亢進が観察された.本研究から,Flg−/−に起因する皮膚症状や角層バリア機能異常は乾燥環境下で増悪することがわかり,Flg−/−皮膚でADが生じる機序への湿度環境因子の関与が示唆された.
  • 渡辺 玲
    2014 年37 巻4 号 p. 307a
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      マウス皮膚に分布するmemory T細胞では,血中,リンパ節,組織を循環し皮膚にも分布するcentral memory T細胞と,再度循環に戻ることなく皮膚に定着し続けるresident memory T細胞の存在が報告されており,その機能の解析が進められている.一方,ヒトにおいては,同様の表現型を有する細胞の存在は報告されているものの,その機能や動態は明らかにされていない.演者は以前,皮膚T細胞リンパ腫患者に対する抗CD52抗体(alemtuzumab)の治療により血中のリンパ球と皮膚中のTCMが除去されるものの皮膚にはT細胞が残留し,この残留したT細胞が強いeffector functionを保持して体外からの抗原侵入に備えていることを示したが,alemtuzumabは循環中でのみT細胞を除去できることが推察されたため,治療後皮膚に残留したT細胞は皮膚に居住し循環中に戻ることのない皮膚TRMであることが示唆されている.本ワークショップではヒト皮膚TRMに着目し,その表現型や機能に関してヒトGvHDマウスモデルにalemtuzumabを用いた解析を交えて報告する.
  • 内田 一茂, 岡崎 和一
    2014 年37 巻4 号 p. 307b
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      自己免疫性膵炎の疾患概念は我が国から提唱されたものであるが,様々な膵外病変を伴うことが報告されてきた.病理組織学的には,自己免疫性膵炎,硬化性胆管炎,後腹膜線維症は著しい線維化を伴うがリンパ節,涙腺などでは線維化はほとんど認められず,臓器によりが異なっていることも知られている.このように全身臓器に広がることから,“IgG4関連疾患の包括診断基準”(岡崎班・梅原班)が提唱されIgG4関連疾患という疾患概念が同じく日本から提唱された.欧米の自己免疫性膵炎は必ずしも同一疾患でないものが含まれていることと統一した診断基準の必要性から,国際コンセンサス診断基準(ICDC)が提唱された.組織学的にIgG4陽性形質細胞浸潤・storiform fibrosis・閉塞性静脈炎を特徴とするlymphoplasmacytytic sclerosing pancreatitisを1型,好中球上皮病変(granulocytic epithelial lesion)を特徴とするidiopathic duct-centric chronic pancreatitisを2型に分類された.我が国では2型は稀であることなどから,ICDCを基にした我が国の実情に合わせた自己免疫性膵炎臨床診断基準が改訂された.自己免疫性膵炎は,現在ではIgG4関連疾患の膵病変とされている.今回自己免疫性膵炎の診断・病態・治療の現状について発表する.
  • 近藤 聖子, 藤井 隆夫, 石郷岡 望, 山川 範之, 橋本 求, 井村 嘉孝, 湯川 尚一郎, 吉藤 元, 大村 浩一郎, 三森 経世
    2014 年37 巻4 号 p. 308a
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
    【背景と目的】Neuropsychiatric systemic lupus erythematosus(NPSLE)の精神症状は,脳脊髄液(CSF)中の抗NR2抗体やIL-6と相関することが報告されている.またわれわれはCSF中の抗U1RNP抗体の臨床的意義を報告してきた.そこで今回CSF中の抗U1RNP抗体を測定し,CSF-IL-6濃度に与える影響を検討した.【方法】当科で診療したNPSLE患者76名(女性65名,平均年齢35.5歳)を対象とした.CSF中の抗NR2抗体はELISA,抗U1RNP抗体はRNA-免疫沈降法,IL-6はマルチプレックス分析システムを用いて測定した.対照として,非SLEで非炎症性中枢神経障害の患者15名のCSFを用いた.【結果】1)CSF-IL-6濃度はCSF-抗NR2抗体陽性例で陰性例に比し高値であった(66.3 vs. 17.9 pg/mL, P<0.01).またCSF-抗NR2抗体価は血液脳関門(BBB)の破綻(Qalb)と有意な正の相関を示したが,CSF-IL-6との相関は認めなかった.2)CSF-抗NR2抗体単独陽性例(NR2,21名),CSF-抗U1RNP抗体単独陽性例(U1RNP,8名),両陽性例(DP,7名),両陰性例(DN,40名)の4群にわけると,CSF-IL-6はDN群に比しDP群とNR2群で有意に高かったが,DN群とU1RNP群とは差を認めなかった.しかし,DP群はNR2群よりもさらに高値であった(182.5 vs. 20.7 pg/mL, P<0.05).【考察と結論】抗NR2抗体はBBBの破綻によりCSFに流入してIL-6を誘導する危険性があるが,CSF-抗U1RNP抗体存在下ではその効果が増強する可能性がある.
  • 高橋 勇人
    2014 年37 巻4 号 p. 308b
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      尋常性天疱瘡(PV)は抗デスモグレイン3(Dsg3)自己抗体により全身皮膚や口腔粘膜などに水疱やびらんが多発する皮膚自己免疫疾患である.自己抗体の産生にはDsg3反応性CD4+T細胞が密接に関連していると考えられており,私達の研究グループではマウスからDsg3特異的T細胞受容体(TCR)遺伝子を単離し,TCRトランスジェニックマウス(Dsg3H1マウス)を作成,解析を行ってきた.このマウスはDsg3に対する免疫寛容の解析に有用であるばかりでなく,表皮特異的T細胞が自己免疫機序により皮膚に直接浸潤して生じる皮膚炎が,従来その病態がほとんど不明であったinterface dermatitis(ID)と呼ばれる病理学的変化を取ることを明らかにした.一方,PVとIDが同時に観察される唯一の疾患である,腫瘍随伴性天疱瘡(PNP)においては,従来IDの病態における意義が不明であった.マウスの観察結果からPNPにおけるIDは表皮抗原に対する細胞性自己免疫に由来する病理変化と捉えることが可能となった.また,PNPにおいては原因不明に閉塞性細気管支炎が高率に合併する.PNP患者に実際に観察される気管支の扁平上皮化生を介して,表皮特異的細胞性免疫が肺病変を起こしうる新しい機序を実験的に示した.本ワークショップでは最近の新しい知見を中心にご紹介したい.
  • 西小森 隆太, 日衛嶋 栄太郎, 河合 朋樹, 仲瀬 裕志, 鶴山 竜昭, 森本 剛, 八角 高裕, 松浦 稔, 吉野 琢哉, 池内 浩基, ...
    2014 年37 巻4 号 p. 309a
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
    【背景と目的】一部の原発性免疫不全症で炎症性腸疾患(IBD)類似の腸炎を発症することから,免疫系の異常が炎症性疾患に関与していることが想定されている.近年Mucosal associated invariant T(MAIT)細胞と呼ばれる自然免疫系Tリンパ球と自己免疫疾患の病態との関わりが報告されるようになったが,IBDとMAIT細胞の関係は明らかになっていない.今回我々はMAIT細胞とIBDとの関連について調べた.【対象と方法】IBD患者156人と,健常者57人を対象とし,Flowcytometryを用いて末梢血MAIT細胞数の比較を行った.UC患者の大腸病変部(n=5)とCD患者の小腸病変部(n=10),コントロールとして大腸癌或いは小腸癌の腸切除検体の病理組織標本を用いてMAIT細胞の免疫染色を行った.MAIT細胞のアポトーシス亢進の評価として,末梢血MAIT細胞のカスパーゼ活性陽性率をFlowcytometryで測定した.【結果】末梢血中MAIT細胞数はIBD患者が健常者と比較し有意な低下を認めた(p<0.0001).UCとCD患者の間には有意差はなかった.UC患者の大腸粘膜,およびCD患者の小腸粘膜におけるMAIT数はコントロールと比較し有意な低下を認めた(UC: p=0.0079, CD: p=0.041).またIBD患者では末梢血中MAIT細胞の活性化カスパーゼ陽性率が,コントロールと比較し,有意に上昇していた(p=0.0002).【結語】MAIT細胞のアポトーシス亢進やMAIT細胞の末梢血,及び腸粘膜における減少がIBDの病態に関与している可能性が示唆された.
  • 小野 敏明, 藤田 由利子, 立川(川名) 愛, 高橋 聡, 森尾 友宏
    2014 年37 巻4 号 p. 309b
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
    【目的】造血幹細胞移植の生存率は向上しているが,移植後の日和見感染症は未だに大きな問題である.特にウイルス感染では抗ウイルス薬の副作用,有効な抗ウイルス薬の欠如などの問題がある.ウイルス特異的T細胞は,治療困難例に対して期待されている.ベイラー医科大学のLeenらは,オーバーラッピングペプチド(OLP)とサイトカイン(IL-4/IL-7)を用いて簡便に,またドナーのHLAに関わらずウイルス特異的T細胞を増幅できると報告した.私たちは対応ウイルスと培養法を改変し,特異的T細胞の増幅を試みた.【方法】7ウイルス15抗原:CMV(pp65, IE1),EBV(EBNA1, BZLF1, LMP2),ADV(Hexon, Penton),BKV(LT, VP1),JCV(LT, VP1),HHV6(U54, U90),VZV(IE62, IE63)のOLPにより末梢血単核球を刺激し,無血清培地(IL-4/IL-7添加)にて培養した.作成した細胞の表面抗原分析を行い,特異性はIFNγ産生能と細胞傷害活性測定にて検証した.【結果と考案】9-14日でT細胞が増幅され,全ての抗原に対する特異的T細胞が得られた.培養されたT細胞はドナーにより異なるがCD4T細胞優位であり,central memoryが主体であった.IFNγ産生能を示す特異的T細胞は有意に増幅した.CD4T細胞優位ではあったが,ドナーやウイルスによっては良好な細胞傷害性を示した.現在は得られた細胞のHLA拘束性について検証を進め,また造血細胞移植後日和見感染症に対するウイルス特異的T細胞治療の臨床試験を準備しているところである.
  • 久松 理一
    2014 年37 巻4 号 p. 310a
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      ヒト炎症性腸疾患は潰瘍性大腸炎とクローン病に分類され,現在日本を含めたアジアで増加傾向にある.病態としては疾患感受性遺伝子,食事や衛生状態などの環境因子,腸内細菌のバランスなどが複合的に関与し腸管の免疫学的恒常性が破綻して慢性炎症が生じると考えられている.今日さまざまな薬剤誘発性マウス腸炎モデルや遺伝子改変マウス腸炎モデルが病態解析や治療標的探索に用いられている.本セッションではマウス腸炎モデルによって得られた腸管免疫学の基本的な知見と炎症性腸疾患発症メカニズムを紹介するとともに,マウスモデルではいまだに解決されていないヒト炎症性腸疾患における課題についても検討したい.
  • 細矢 匡, 上阪 等
    2014 年37 巻4 号 p. 310b
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      生物学的製剤は関節リウマチ(Rheumatoid arthritis: RA)の治療戦略に革命的変化をもたらした.この成功はBench-to-Clinicの理念のもとにRAの発症メカニズムを解析し,新規治療薬の開発を志した偉大な成果であり,背景には様々な関節炎モデルマウスの貢献があった.本セッションでは代表的なモデルの特徴をoverviewするとともに,その限界についても考察する.
      関節炎のモデルマウスは主に以下のように分類できる.①自然発症モデル,②免疫誘導モデル,③自然免疫依存モデル.①はヒトTNF transgenic miceやIL-1受容体antagonist KO miceが該当し,関節炎における炎症性サイトカインの重要性を明らかにしてきた.②や③にはコラーゲン誘導関節炎(CIA)やコラーゲン抗体関節炎(CAIA)が該当する.MHC class IIエピトープの重要性やT-B相互作用による自己抗体の産生,補体依存的の関節炎の惹起はヒトのRAの病態と共通する部分も多く,関節炎の病態解析のほかに新規治療薬の探索目的でも用いられるが,その治療反応性はRA患者への有効性を保証するものではないことには注意が必要である.関節炎モデルマウスはRAの病態から推測される新規治療標的の探索や,抗リウマチ薬のRA患者への治療反応から得られた仮説を立証するツールとして用いることが可能であろう.
  • 小野 さち子, 江川 形平, 椛島 健治
    2014 年37 巻4 号 p. 311a
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      天疱瘡は,ケラチノサイトの接着分子であるデスモグレインに対する自己抗体産生により発症する自己免疫性水疱症である.産生された自己抗体が血液中から表皮へ移行・沈着することで病態が形成される.実際,野生型マウスに病原性抗デスモグレイン抗体を投与すると,新生児マウスでは表皮内水疱を生じ,成体においては脱毛および口腔粘膜びらんが形成される.本モデルマウスを用いて天疱瘡の病態形成メカニズムが広く検討されてきたが,「血液循環中から表皮への自己抗体の移行がどのように制御されているか」についてはあまり解明されていない.これは,従来,表皮の自己抗体沈着の評価に用いられて組織蛍光抗体法では感度,定量性ともに低く,微細な抗体沈着量の変化を捉えることに限界があったためである.そこで我々は,新たに,フローサイトメトリーの手法を用いて表皮への抗体沈着を感度良く,定量的に評価する方法を確立した.非病原性抗体を用いる事で,上述の天疱瘡モデルマウスと異なり,表皮内水疱形成に伴う二次的な炎症等の影響なく,抗体の動態を観察することが可能であった.本手法により,血中の自己抗体循環量のみならず,皮膚局所における刺激(物理的刺激,炎症等)が自己抗体沈着量,つまりは皮疹の形成に大きく寄与することをはじめて明らかにした.また,皮膚への抗体移行の制御という観点から天疱瘡の治療法について検討を行ったのでここで紹介したい.
  • 相澤(小峯) 志保子
    2014 年37 巻4 号 p. 311b
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      真胎生動物では,母体が父親由来の抗原をもつ胎児・胎盤を許容することが必須である.胎児・胎盤に対する免疫寛容の破綻は,習慣流産・不育症,妊娠高血圧症候群などを引き起こす.正常な妊娠の維持には胎児に対する免疫寛容を維持した上で,病原微生物を正しく認識し排除する必要がある.生殖免疫学の領域ではマウス,ラット,モルモット,サルなどが実験に供される.通常,ヒトの妊娠では胎児・胎盤に対するアロの免疫認識が生じる.その破綻を再現するモデルとしてH2ハプロタイプの異なるCBA/J(H2-k)メスマウスとDBA/2J(H2-d)オスマウスを交配する,流産モデルが頻用されている.この系では,未治療の場合,約4割の胎仔が流産,あるいは吸収胚となる.マウスは交配のコントロールが容易で妊娠期間も短いことに加え,ヒトと共通する免疫マーカーが多く同定されているので有用な動物モデルであるが,ヒトの妊娠とは異なる点も多い.ヒトを含む霊長類では,妊娠初期から絨毛性ゴナドトロピンが産生され,妊娠維持にはたらくが,マウス胎盤では産生されない.胎盤形態でも,ヒト,サル,マウスの胎盤はともに血絨毛胎盤であるが,齧歯類では迷路が形成され構造がかなり異なる.その意味で,妊娠サルこそが理想的なモデルであるが,経済的,動物倫理的等の理由から一般的な利用は難しい.本発表では,流産マウスモデルの知見を中心に生殖免疫学領域の動物モデルを紹介する.
  • 門脇 淳, 三宅 幸子, 千葉 麻子, 佐賀 亮子, 山村 隆
    2014 年37 巻4 号 p. 312a
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      多発性硬化症(MS)の罹患者は日本で増加しており,我々は食習慣・腸管免疫系の変化が重要な要因と推定した.MSは中枢神経(CNS)ミエリン反応性T細胞を主体として発症・病態が変化する自己免疫疾患と考えられているため,MSの動物モデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を自然発症するMOG(Myelin oligodendrocyte glycoprotein)反応性T細胞受容体(2D2-TCR)トランスジェニックマウスを用いて腸管T細胞のCNS自己免疫炎症への影響を調べた.2D2マウス小腸上皮内には多くの2D2-TCR+上皮内リンパ球(IEL)が存在し,2D2-TCRの発現が高い細胞集団(THIGH)と低い集団(TLOW)に区別され,各々末梢抗原誘導性,胸腺抗原誘導性のフェノタイプを有していた.THIGH,TLOWを分離採取し,野生型(C57BL6)マウスへ細胞移入を行い,MOGペプチド免疫によるEAEを誘導して病態を比較すると,TLOW移入群では変化がなかったが,THIGH移入群では,CNSへTHIGHが浸潤し,Lag3などの免疫制御性分子の発現を上昇させ,病態が軽症化することがわかった.THIGHは,in vitroでT細胞の増殖を抑制し,抑制にはLAG3, CTLA-4, TGFβが関与していた.また,THIGHを細胞移入すると同時にLAG3の阻害抗体を投与すると,EAEの抑制効果が消失することが分かった.さらに,関節リウマチモデルであるKBx/NマウスのIELにも同様の制御性フェノタイプを持つIELが存在した.この自己免疫制御能を持つ腸管IEL-T細胞の誘導の変化がMS増加と関連しているかもしれない.
  • 高木 正稔
    2014 年37 巻4 号 p. 312b
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      日常の診療の中で最もよく知られているリンパ腫以外の非腫瘍性のリンパ増殖症(lymphoproliferative disorder, LPD)としてEBウイルス関連のLPDがあげられる.EBウイルス関連LPDは原発性,または後天性の免疫不全症に合併する.また成人領域ではCastleman病やStill病,IgG4関連多臓器リンパ増殖性疾患,などが古典的にリンパ節腫脹や肝脾腫を示すことが知られている.しかし,これら疾患群は現時点でその責任遺伝子の解明には至っていない.いくつかのLPDの中で,遺伝性を示す一群が知られ,その責任遺伝子が明らかとなってきている.遺伝性を示すLPDの多くは原発性免疫不全症に分類される.原発性免疫不全症は従来,易感染性を示す疾患として知られてきたが,近年,自己免疫異常を含む免疫制御異常症として疾患概念が再定義されつつある.こういった中でX連鎖リンパ増殖症候群(XLP),自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS)などがLPDを呈することは,よく知られている.その他にもまれな疾患として,RAS関連ALPS様疾患(RALD),PI3Kデルタ(PIK3CD)異常症,PKCデルタ(PRKCD)異常症などが知られている.これら疾患にみられるLPDはリンパ腫と異なりポリクローナルな増殖を示すが,時にオリゴクローナールに増殖したり,白血病,リンパ腫へと進展するものがある.これまで血液腫瘍と原発性免疫不全症は全く異なる疾患カテゴリーと考えられていたが,これら疾患の発見が,免疫と腫瘍の架け橋となり,更なる,研究の発展につながることが予想される.
  • 小林 一郎
    2014 年37 巻4 号 p. 313a
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      成熟過程で生じた自己反応性T細胞の多くは胸腺における負の選択(中枢性免疫寛容)により除去される.負の選択を免れた自己反応性T細胞は制御性T細胞(Treg)の働きによって抑制される(末梢性免疫寛容).転写因子FOXP3はTregの分化に必須のマスター遺伝子であり,その変異は多彩な自己免疫疾患を呈するimmunedysregulation, polyendocrinopathy, enteropathy, X-linked(IPEX)症候群を来す.IPEX症候群における難治性下痢は通常乳児期に発症し,病理学的には消化管粘膜固有層への強い細胞浸潤と絨毛萎縮を,また血清学的には消化管上皮細胞に対する自己抗体の存在を特徴とする.内分泌疾患としては新生児・乳児期に発症する1型糖尿病と甲状腺機能低下症が多くいずれも抗GAD抗体・抗甲状腺抗体が陽性となる.その他に湿疹・天疱瘡・禿瘡などの皮膚疾患,自己免疫性血球減少,糸球体腎炎・間質性腎炎,血管炎などの合併も知られる.診断にはFOXP3蛋白の細胞質内染色によるスクリーニングも用いられるが,最終診断には遺伝子解析を要する.治療にはステロイド薬とシクロスポリンないしタクロリムスの併用が有用であるが,造血幹細胞移植が唯一の根治的療法である.AIRE遺伝子変異によって中枢性免疫寛容の破綻を来すAPECEDとの標的自己抗原の違いは,中枢ないし末梢性免疫寛容への依存度が抗原によって異なる可能性を示唆する.
  • 西田 直徳
    2014 年37 巻4 号 p. 313b
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      原発性免疫不全症(PID)の中には自己免疫疾患や自己炎症性疾患を呈するものが少なからず存在する.自己炎症性疾患の一病型である炎症性腸疾患(IBD)は慢性肉芽腫症やWiskott-Aldrich症候群などでときどき合併することが知られている.難治性IBDと診断されていた症例でIL-10/IL-10R欠損症が同定されたのを機に,IBDを呈するPIDが注目されるようになった.XIAP欠損症の主症状はEBウイルス関連または反復性の血球貪食性リンパ組織球症(HLH)であるが,一部にIBDを合併していることが明らかとなった.わが国のXIAP欠損症の約40%にあたる9例のXIAP欠損症でIBDを呈していた.反復するHLHの経過中にIBDを合併する症例のみならず,IBDのみを症状とする症例も認められた.治療抵抗例が多く,生物学的製剤の使用にも関わらずコントロール不良のため,腸切除に至った症例もある.わが国において小児例を中心に難治性IBDの中にはXIAP欠損症を基礎疾患とする患者が少なからず存在することは明記すべきである.1例ではあるが,臍帯血移植によって合併したIBDが寛解に至った症例がある.PIDを基礎疾患とするIBDは造血幹細胞移植の治療対象となりうるので,早期発見による治療介入により患者QOLの向上につなげたい.
  • 今川 智之
    2014 年37 巻4 号 p. 314a
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      若年性特発性関節炎(juvenile idiopathic arthritis; JIA)は,16歳以下に発症する原因不明の慢性関節炎であり,小児リウマチ性疾患において最も頻度の高い炎症性疾患である.その病態には炎症性サイトカインの異常産生を生じることが関わっていることが明らかとなり,治療においてもこの炎症性サイトカインを標的とした複数の生物学的製剤が用いられている.特に全身型JIAは関節炎の他に特徴的な弛張熱や肝脾腫や漿膜炎など全身性の炎症症状を示すことが特徴であり,その臨床特徴より小にリウマチ性疾患のみならず自己炎症疾患にも分類されるようになっている.
      JIAの病態において炎症性サイトカインの関連は明らかとなっているが,サイトカイン産生亢進を生じるメカニズムは明らかにはなっていない.しかしながら,JIA症例ではしばしばインフルエンザや風疹ウイルス,EBウイルスなどのウイルス感染や各種ワクチン接種により再燃など疾患活動性上昇を認める.さらに全身型JIAの重症例としてマクロファージ活性化症候群(MAS)を認めることがある.このMAS症例ではI型インターフェロン発現に関わるIRF5遺伝多型が発症に関連していることが判明している.これらの事象よりJIAにおいて自然免疫に関連する免疫制御に何らかの過剰応答を来たしている可能性が考えられる.
  • 石垣 和慶, 庄田 宏文, 高地 雄太, 安井 哲郎, 門野 夕峰, 田中 栄, 藤尾 圭志, 山本 一彦
    2014 年37 巻4 号 p. 314b
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
    【目的】関節リウマチ(RA)の病態に関与するCD4陽性T細胞クローンの候補を同定する.【方法】RA患者の末梢血と滑膜に浸潤するCD4陽性T細胞のsingle-cell解析を実施した(2例).トランスクリプトーム解析とT細胞受容体(TCR)の配列解析から増殖傾向の強いCD4陽性T細胞クローンの特徴を解析した.また,RA患者(5例)と健常人(5例)から末梢血を採取し,世代シーケンサー(NGS)による網羅的なTCRレパトア解析を実施した.【結果】滑膜に浸潤傾向が強いCD4陽性T細胞クローンではTh1型のgene set,CXCR4,JAK3の発現が亢進しており,RAの病態に関与するクローンであると考えられた.これらのクローンは末梢血中ではCXCR3-CXCR5-CCR6-の分画に集積していた.RA患者ではメモリーCD4陽性T細胞,特にCXCR3-CXCR5-CCR6-の分画においてクローナリティが高く認められた.【結論】我々はNGSという新しい解析手法をsingle-cell遺伝子発現解析とTCRレパトア解析とに応用することで,RAの病態に関与するCD4陽性T細胞クローンの候補を同定した.この手法は従来の実験系よりも仮説に依存しないものであり,新たな知見が得られる可能性があると思われる.
  • 近藤 裕也, 田原 昌浩, 飯塚 麻菜, 横澤 将宏, 金子 駿太, 坪井 洋人, 高橋 智, 松本 功, 住田1 孝之
    2014 年37 巻4 号 p. 315a
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
    【目的】T細胞における転写因子RORtの発現が自己免疫性関節炎に与える影響を明らかにする.【方法】1)C57BL/6(B6),RORγtトランスジェニック(Tg)マウス)でコラーゲン誘導関節炎(collagen induced arthritis; CIA)を誘導した.2)collagen type II(CII)免疫後のリンパ節細胞をCIIとともに培養し,培養上清中のサイトカイン濃度をELISAで測定した.3)免疫後のCD4+T細胞の転写因子発現およびCCR6発現との関連をFACSで解析した.4)Foxp3+Tregをin vitroで刺激し,培養上清中のIL-10濃度をELISAで測定した.5)CII免疫後のB6またはTgマウスから採取したリンパ節細胞をCII免疫後のB6マウスに移入し,CIAへの影響を評価した.【結果】1)CIAの発症率,重症度がTgマウスにおいて有意に低下した.2)CII反応性のIL-17産生はTgマウスで有意に高値を示した.3)Tgマウス由来CD4+ T細胞ではRORγt,Foxp3は共発現し,Foxp3+Tregにおいて有意なCCR6発現の亢進を認めた.4)Foxp3+TregからのIL-10産生は,Tgマウスで有意に高値であった.5)Tgマウス由来のリンパ節細胞の移入によってB6のCIAが有意に抑制された.【結論】TgマウスではCIIに対するIL-17産生が亢進しているにも関わらず関節炎発症は抑制されており,その機序としてRORγt/Foxp3共発現制御性T細胞が関与する可能性が示唆された.
  • 吉本 桂子, 倉沢 隆彦, 鈴木 勝也, 安倍 達, 竹内 勤
    2014 年37 巻4 号 p. 315b
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      BAFFはシェーグレン症候群(SS)の病態形成への関与が推測されており,治療標的として注目されている.一方でSSでの涙腺および唾液腺傷害への関与が推測されるαEβ7(CD103)がBAFF-TgマウスのCD4+Foxp3+T細胞に高発現していることが報告され,CD103とBAFFの関連性の検討はSSの病態形成機序の解明につながると考えられる.そこで我々はJurkatを基盤にCD103高発現株(1B2)を樹立し,CD103とBAFFの相互作用について検討を加えた.その結果,1B2はコントロール株(2D2)と比較して細胞増殖速度の著しい低下とFACS解析によりBAFF受容体(BR3)の発現亢進を示した.またDNAマイクロアレイ解析より,1B2においてFasL,BAFF,STAT4,CD38,PD-1などの分子の発現亢進が認められ,CD103発現亢進による細胞機能の変化が推測された.さらに抗CD3抗体刺激下では,1B2は2D2と比較して有意に高いIL-2産生亢進を示し,BAFFを添加することによりさらに促進することが明らかとなった.この培養系に抗CD103抗体刺激を加えると1B2においてIL-2産生はさらに亢進したがIL-10産生は顕著に抑制された.これらの結果より,BAFFシグナルとCD103を介したシグナルは相互作用を持ちT細胞の活性化機構に関与していることが示唆された.
  • 江川 形平
    2014 年37 巻4 号 p. 316a
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      皮膚顆粒層特異的に発現するインボルクリン(involucrin: Ivl)のプロモーター下に膜結合型卵白アルブミン(mOVA)を組み込んだマウス(Ivl-mOVAマウス)を作製し,皮膚を標的とする自己免疫応答について検討した.ナイーブなOVA特異的CD8陽性T細胞(OT1-T細胞)を移入したところ,約1週間で著明な皮膚炎が誘導された.表皮角化細胞がCTLにより攻撃を受ける様子のライブイメージングを試みた.また本マウスでは,移入したOT1-T細胞が皮膚所属リンパ節内で一旦depletionを受けるものの,その後著明なexpandが生じることが観察された.また,脾臓や腸間膜リンパ節といった皮膚所属リンパ節以外のリンパ組織においてもOT1-T細胞の細胞分裂を認め,そのメカニズムについて検討した.本マウスは,薬疹やGVHDといった細胞性免疫が主体となる皮膚疾患の病態モデルとして有用と考えられた.
  • 市村 洋平, 門野 岳史, 遠山 哲夫, 山田 大資, 増井 友里, 佐藤 伸一
    2014 年37 巻4 号 p. 316b
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      転写因子IRF5はToll様受容体-MyD88シグナル伝達系の下流で働く調節因子であり,炎症性サイトカインの発現を促す.我々はIRF5欠損マウスを用いて,IRF5が接触皮膚炎に与える影響につき検討を行った.皮膚にTh1反応を起すDNFBもしくはTh2反応を起すFITCを塗布して接触皮膚炎を誘導したところ,IRF5欠損マウスではTh1反応は減弱する一方で,Th2反応は逆に亢進した.次に養子移入実験を行ったところ,IRF5欠損における異常は感作相に起因すると考えられた.更に,IRF5欠損樹状細胞と野生型T細胞との共培養を行ったところ,DNBS添加下では樹状細胞のIL-12産生能が低下するとともに,T細胞の増殖能が減弱しIFN-γ産生が減少した.逆に,FITC添加下でIRF5欠損樹状細胞と野生型T細胞との共培養を行ったところ,今度はT細胞の増殖能が増強しIL-4産生が増加した.これらの結果より,IRF5欠損は樹状細胞による抗原提示をTh1反応からTh2反応へとシフトさせると考えられた.更にIRF5欠損マウスにおける樹状細胞のサブセットを検討したところ,IRF4によって維持され,Th2反応を誘導するMGL2およびPDL2陽性のサブセットが増加していた.IRF5はIRF4と競合することが知られており,更にIRF5欠損に伴ってIRF4の発現が増加していた.以上より,IRF5は接触皮膚炎において感作相における樹状細胞のTh1-Th2バランスを制御していることが示唆された.
教育講演
  • 中江 進
    2014 年37 巻4 号 p. 317
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      IL-25,IL-33およびTSLPといった上皮細胞が産生するサイトカインは,Th2細胞をはじめ,様々な細胞に作用してTh2サイトカインの産生を誘導する.したがって,これらサイトカインは寄生虫に対する感染防御といったTh2型免疫応答に重要な役割をもつ一方で,過剰な作用はアレルギー疾患などの発症に関わることが知られている.従来,接触性皮膚炎はTh1型免疫応答によって誘導されると考えられてきたが,遺伝子欠損マウスを用いた解析の結果,Th2型およびTh17型免疫応答によって誘導されることが明らかにされている.本講演では,接触性皮膚炎の発症機序において,Th2型免疫応答を誘導する上皮細胞由来のサイトカインの関与と役割について,最近の知見を紹介する.
  • 烏山 一
    2014 年37 巻4 号 p. 318
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      好塩基球の存在は,いまから120年以上も前に報告されており,T細胞やB細胞などリンパ球に比べてかなり長い経歴をもつ.しかしながら,好塩基球の生体内での機能に関しては長い間,謎のままであった.好塩基球は末梢血白血球のわずか0.5%を占めるにすぎない極少血球細胞であり,末梢組織に常在するマスト細胞(肥満細胞)といくつかの類似性(好塩基性分泌顆粒の保持,高親和性IgE受容体FcεRIの発現,ヒスタミンなどケミカルメディエーターの分泌など)を有するため,しばしばマスト細胞の前駆細胞や血中循環型のマスト細胞などと誤解され,好塩基球が独自の役割をもっているかに関しては長らく疑問視されていた.一方,解剖学的観点からすると,マスト細胞が末梢組織中に定住しているのに対し,好塩基球は末梢血中を循環するといった局在の違いは明らかで,好塩基球が生体内でマスト細胞とは異なるユニークな役割を担っている可能性が示唆されていた.事実,この数年の間に好塩基球解析に有用なツールが次々と開発され,慢性皮膚アレルギー炎症や好酸球性食道炎などアレルギー疾患発症において好塩基球が極めて重要な役割を果たしていることが報告されて,好塩基球とその産物を標的とした新たな治療戦略が注目されている.
  • 水島 昇
    2014 年37 巻4 号 p. 319
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      オートファジーは真核細胞に普遍的な細胞内分解システムである.オートファジーでは,細胞質の一部がオートファゴソームに取り囲まれた後にリソソームへと輸送され,そこで生じた分解産物は再び細胞質に戻されリサイクルされる.酵母を用いた遺伝学的研究をブレークスルーとして,オートファジーの分子生物学的研究はこの10年間に大きく進展した.オートファジー関連(ATG)遺伝子を利用した逆遺伝学的アプローチによって,マウスをはじめとするさまざまな生物種でのオートファジーの生理的意義が急速に明らかにされつつある.全身あるいは組織特異的オートファジー不能マウスを用いた解析から,オートファジーは飢餓時のアミノ酸プールの維持,細胞内タンパク質やオルガネラの品質管理,初期胚発生,精子形成,神経細胞変性抑止,腫瘍抑制,内因性抗原提示などにおいて重要な役割を担っていることが明らかになった.特に2013年には,オートファジー関連因子WDR45/WIPI4に変異を持つヒト神経変性疾患も発見された.一方,酵母で発見されたオートファジー関連因子のほとんどすべては高等動植物でも保存されており,それに基づいた分子機構の解析も進んでいる.講演では,オートファジーの代謝生理学的役割を中心に,オートファゴソーム膜形成の分子機構,オートファジー選択的基質の認識機構,オートファゴソームとリソソームの融合機構などについての研究成果についても紹介したい.
  • 石井 優
    2014 年37 巻4 号 p. 320
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      生体という小宇宙の中では,多種多様な細胞が生きて,動いている.2光子励起顕微鏡などを用いた近年の生体イメージング技術は,この生きた細胞の生きたままの動きのある世界を捉えることを可能にしてきた.本講演では,演者がこれまで行ってきた骨髄や免疫組織の生体イメージング研究を紹介し,見ることによって初めて分かった様々な免疫細胞の巧妙な動きとその制御について解説する.
      演者は特に,従来極めて困難であると考えられていた,生きた骨組織・骨髄腔の内部を高い時空間分解能で観察することに世界に先駆けて成功し,古い骨を吸収して骨代謝を調節する破骨細胞のin vivoでの活性制御機構を解明した.彼らの姿を動的にイメージングしてみると,骨表面に貼り付いた破骨細胞は,実際に骨吸収を行う「骨吸収型(R型)」と,吸収機能が休止した「非吸収型(N型)」を常に遷移しており,様々な局所の刺激によってR型⇔N型のスイッチングが起こることが観察された.例えば関節炎症での骨破壊に関与すると知られていたTh17は骨表面にいるN型の破骨細胞に直接作用し,R型へと機能変化させることにより急速かつ強力な骨破壊を誘導していることが明らかとなった.本講演では,これら生体イメージングの研究技術・成果の解説に加えて,本技術を活用して得られた生命の動的システムのイメージング研究の実際や今後の発展性について概説する.
共催セミナー
  • 杉浦 一充
    2014 年37 巻4 号 p. 321
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      乾癬は尋常性乾癬(psoriasis vulgaris: PsV),乾癬性紅皮症,関節症性乾癬,滴状乾癬,汎発性膿疱性乾癬(generalized pustular psoriasis: GPP),限局性膿疱性乾癬に分類される.
      本講演では,疾患概念が変わりつつあるGPPとその類縁疾患に焦点をあてて免疫遺伝学的病態についての最新の知見を紹介する.
      GPPは全身の膿疱の発症の前後にPsVを併発する病型としない病型がある.従来GPPは単一遺伝子の変異を病因とする疾患ではなく,孤発性の疾患と考えられていた.しかし演者らはPsVを伴わないGPPの大半はIL36RN遺伝子を病因遺伝子とする常染色体劣性遺伝性の疾患(IL-36受容体阻害因子欠損症:deficiency of interleukin-36 receptor antagonist: DITRA)であることを明らかにした.それに対して,PsVを伴うGPPはCARD14遺伝子の多型と関連することも明らかにした.CARD14遺伝子はNF-κB活性化因子であるcaspase recruitment domain type 14をコードする.以上の結果より,PsVを伴わないGPPとPsVを伴うGPPは遺伝学的に全く異なる疾患であることが判明した.さらに妊婦に発症する全身性の皮膚膿疱性疾患である疱疹状膿痂疹においてもIL36RN遺伝子変異の検出される症例が存在することや,重症薬疹の一つである急性汎発性発疹性膿疱症においてもIL36RN遺伝子変異の検出される症例が存在することも明らかにした.
      IL-36とCARD14遺伝子多型はPsVの病態形成にも大いに関与していることについても紹介する.
  • 本田 哲也
    2014 年37 巻4 号 p. 322
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      乾癬は再発を繰り返す慢性炎症性皮膚疾患の1つである.臨床的には,全身皮膚に散在する境界明瞭な紅斑を特徴とし,皮膚症状以外にも,しばしば関節炎を合併する.組織学的には表皮層の著明な肥厚と,真皮の炎症細胞浸潤が認められる.その根本的原因は未だ不明な点が多いものの,その病態形成に炎症性サイトカインが深く関与していることが明らかとなっている.実際,抗TNF-alpha抗体や抗IL-12/23p40抗体は既に臨床現場で使用され,優れた効果を発揮している.また抗IL-17抗体など新規の生物製剤も今後登場する予定である.それら生物学的製剤の使い分けを考えるポイントは,現状では臨床症状,効果発現時期,平均の症状改善率,投与プロトコール,経済性など一般的な観点からの選択が主流となるが,各生物学的製剤が免疫系に及ぼしうる影響の観点からの選択も重要であり,また個々の症例での病態形成メカニズムに着目した選択も今後必要と考えられる.実際,すべての患者さんが1つの生物学的製剤に十分な反応を示すわけではなく,他剤への変更をすることで,より優れた効果が認められる症例も経験される.本講演では,乾癬治療における各生物製剤の使い分けのポイントについて,若干の症例提示を行いつつ,乾癬免疫学的病態の観点から考察する.
  • 山本 一彦
    2014 年37 巻4 号 p. 323
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬であるトファシチニブは,新たな関節リウマチ治療薬として我が国では2013年に承認されている.従来の生物学的製剤とは異なり,経口投与可能な低分子化合物であり,特定のサイトカインの働きを抑制するのではなく,JAK経路に関係する複数のサイトカインのシグナル伝達を同時に阻害するマルチターゲット効果を有することが特徴である.臨床試験の結果では,MTXやTNF阻害薬を含む抗リウマチ治療薬で効果不十分な患者に対し,早期から臨床効果の発現が認められている.
      一方,安全性に関しては従来の生物学的製剤と同様に感染症や悪性腫瘍の発現が報告されている.特に我が国では帯状疱疹の報告が多いことも含めて,今後日本人における安全性データを構築していく必要があることから,現在本邦では市販後全例調査が実施されている.さらに日本リウマチ学会からは「全例市販後調査のためのトファシチニブ使用ガイドライン」が策定され,トファシチニブの使用においては適正使用の推進がなされている.市販後の有効性・安全性評価が待たれるところであるが,本講演ではトファシチニブの作用機序,臨床試験のデータや最新情報含め適正使用情報を中心に紹介する.
  • 亀田 秀人
    2014 年37 巻4 号 p. 324
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      関節リウマチにおけるインフリキシマブの画期的有効性の報告から20年以上経過した.その間には様々な分子標的の探求とともに製造行程の改良による免疫原性の低下,寛解導入における用法と用量の最適化,寛解維持における減量や中止の試み,患者登録制度による安全性の検証などが全世界で行われ,日本の貢献も少なくなかった.リスク・ベネフィット・コストバランスのさらなる向上のために,適切な患者スクリーニングとモニタリング,有害事象の予防や早期対応の確立,有効性の投与前予測や投与後早期の適切な判断,寛解導入後における必要最小限の投与量や投与期間の設定などが臨床現場で推進されている.
      腫瘍壊死因子(TNF)を標的とした生物学的製剤が現在5種類使用可能であり,バイオシミラー製剤の開発も急速に進められている.しかし全ての生物学的製剤がリスク・ベネフィット・コストのいずれにおいても想定される完成形からはほど遠く,今後のバイオベターの開発に期待したい.また複数の生物学的製剤の併用も全面禁止ではなく適応が慎重に検討されるべきであり,各製剤の用量や用法は個々の患者の分子発現プロファイルに即したテーラーメイドが望ましい.疾患や病態による各生物学的製剤の有効性にみられる大きな相違は,サブセットを含めた疾患や病態の解明に貴重な示唆を与え,臨床免疫学会はそのような情報交換と議論に最適な場を提供するであろう.
  • 田中 良哉
    2014 年37 巻4 号 p. 325
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      関節リウマチ(RA)や全身性エリテマトーデス(SLE)は代表的な自己免疫疾患である.治療には,副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬を中心とした副作用の多い非特異的な治療が選択されてきた.しかし,RAに対する治療では,メトトレキサートとTNFやIL-6を標的とした生物学的製剤の併用療法により高率な寛解導入が可能となり,治療改革が齎された.また,早期からのタイトコントロールにて関節破壊の抑止,長期寛解維持による身体機能保持が可能となり,他の内科疾患と同様の長期アウトカムを設定できるに至った.現在,B細胞,破骨細胞,IL-17等を標的した生物学的製剤が開発段階にある.また,Jak阻害薬をはじめ,生物学的製剤と同等の有効性を有する経口キナーゼ阻害薬の開発にも期待が寄せられる.さらに,長期安全性,経済性の観点から休薬によるドラッグホリデー,治癒を目指した治療ストラテジーの確立が必要である.斯様なRAに対する治療改革は,SLE,ベーチェット病や血管炎症候群をはじめとした膠原病,クローン病等の炎症性腸疾患,乾癬等の皮膚疾患,神経免疫疾患など多彩な自己免疫疾患の治療の進歩にも大きな影響を与えつつある.今後,ベンチサイドとベッドサイドの双方向のリサーチトランスレーションにより,自己免疫疾患の病態解明や新規分子標的療法による治療にさらなる新展望が開けるものと期待される.
  • 森尾 友宏
    2014 年37 巻4 号 p. 326
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      原発性免疫不全症(primary immunodeficiency: PID)は免疫系において重要な役割を果たす分子の異常により,生体防御能が低下し,易感染性を呈する疾患群である.古典的には罹患患者は易感染性を呈するが,最近になって,限られた微生物にのみ易感染性を示す疾患,自己免疫現象が主体となった疾患,炎症が主体となる疾患も数多く知られるようになった.サイトカインに対する抗体により特徴的な症状所見を呈する疾患など,後天的な疾患についての概念も拡大しつつある.さらにはPIDでは悪性腫瘍の発生頻度も高く,血球分化異常と腫瘍発生,DNA損傷修復異常と腫瘍発生を研究する上でも重要となっている.
      特発性血小板減少性紫斑病,自己免疫性溶血性貧血,血球貪食症候群,慢性甲状腺炎,I型糖尿病,IgA腎症,などの背景にPIDがあるとの認識はこれから益々重要になり,PIDの研究は一般疾患の分子的背景についての示唆も提供することになると考えられる.
      PIDの領域ではγグロブリンの定期補充などによる感染予防,造血細胞移植や遺伝子治療による根治的治療,機能獲得型変異によるPIDに対する分子標的阻害薬の使用などが行われているが,この分野においても進歩が見られている.当セミナーにおいて紹介させていただきたい.
  • 上阪 等
    2014 年37 巻4 号 p. 327
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      T細胞は,ヒト白血球抗原(HLA)と結合した抗原をT細胞受容体(TCR)で認識して活性化し,司令塔として免疫系を制御している.関節リウマチ(RA)では,最強の疾患感受性遺伝子がHLAクラスII分子であることから,CD4T細胞が病態形成に深く関わると考えられる.そのため,T細胞はRA治療標的として炎症性サイトカインとともに注目されてきた.
      アバタセプトCTLA-4Igは,TCR刺激を受けたT細胞の活性化持続を担う補助刺激分子CD28の機能を阻害し,その結果,T細胞活性化を阻害する.マウスでは疾病予防効果しかないと考えられたが,実際には,RA治療でTNFやIL-6の阻害薬に劣らぬ効果を発揮した.しかも,時間と共に有効性が上がり,安全性に優れる傾向がある.一方,T細胞にIL-17を産生するTh17細胞が同定され,RAを含む自己免疫疾患のマウスモデルで病態形成を担うことが見出された.そのため,抗IL-17抗体がRA治療に優れると思われたが,その期待は裏切られた.これら2つのT細胞標的療法は,図らずも臨床免疫学,ヒト免疫学の重要性を再確認させたといえる.
      T細胞は他の免疫疾患でも重要な役割を果たすため,その抑制は膠原病において寛解導入療法の鍵と考えられる.今後,RAにおいて全員寛解を目指す上で重要な治療オプションとなろう.
  • 竹内 勤
    2014 年37 巻4 号 p. 328
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
      RA炎症性サイトカインネットワークを解明する上で,これまでの研究により,とりわけIL-6が重要なサイトカインである事が実臨床下で見えてきた.
      バイオナイーブ患者を対象に,IL-6シグナルを遮断するTocilizumab(TCZ)とTNF阻害薬であるInfliximab(IFX)を用いたKEIO 1st-Bio Cohortでは,サイトカインや血清バイオマーカー変化が検討された.IFX群でIL-6濃度が低下したがTCZ群はIL-6濃度が上昇,またTNFはTCZ群で変化は見られなかった.骨形成促進因子のOsteocalcinは,TCZ群のみ有意に上昇した.更に,Abatacept(ABT)をアクティブコンロトールに末梢血単核球のT cellサブセット変動を評価した所,ABTはTreg/CD4やActivation Treg/Tregなど,Tcell関連サブセットが低下した一方,TCZは上昇していた.興味深い事に,Treg変動と病勢変動は負の相関を示した(rho = −0.4, p = 0.011).
      このようなTranslational Researchより,TNFとIL-6の両者は炎症カスケードにおいて重要な位置を占める事に加え,新しい知見として,IL-6シグナル抑制は末梢血免疫細胞の調節を担いRAの様々な病態制御に影響している事が分かってきた.本セミナーで,詳細について議論していきたい.
一般演題(ポスター)
  • 好川 真以子, 中山田 真吾, 岩田 慈, 久保 智史, 湯之上 直樹, WANG Peggy, 齋藤 和義, 田中 良哉
    2014 年37 巻4 号 p. 331a
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
    【目的】SLE患者末梢血ではメモリーB細胞の増加を認めるが,その質的異常は不明である.今回,ケモカイン受容体発現によるB細胞の亜分類を試み,その的意義を検討した.【方法】健常人(HD)8例,RA 31例,SLE 56例の末梢血より単核球を分離,B細胞分化マーカー(IgD, CD27),ケモカイン受容体(CXCR3, CXCR5, CCR6)を染色後,8 color FACSを用いてリンパ球サブセット解析を行い,臨床病態との関連性を解析した.【結果】1)SLE患者CD19+CD20+B細胞ではHD,RAと比べCXCR5B細胞が有意に増加し,特にIgDCD27−/+メモリーB細胞で顕著であった(p<0.01).2)同集団は疾患活動性と相関せず活性化Tfh細胞と正相関を認めた(p<0.05).3)CXCR5CXCR3B細胞は抗Sm抗体価と,CXCR5CXCR3+メモリーB細胞はエフェクターメモリーT細胞と正相関を認めた(p<0.05).4)免疫抑制療法により疾患活動性改善後もCXCR5メモリーB細胞は残存した(p<0.05).【考察】SLEではCXCR5減弱とCXCR3増強を伴う病的なB細胞を認め,Tfh細胞との相互作用を介した自己抗体産生および病態組織に再循環するメモリーB細胞のエフェクター機能の獲得による病態形成が示唆された.さらに免疫抑制療法により疾患活動性改善後も末梢血に残存することから,既存治療では根治困難なSLEの病因に関与している可能性が示唆された.
  • 植木 尚子, 新納 宏昭, 大田 俊一郎, 廣崎 友里, 三苫 弘喜, 赤星 光輝, 有信 洋二郎, 塚本 浩, 赤司 浩一
    2014 年37 巻4 号 p. 331b
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
    【目的】自己免疫疾患の病態において,B細胞は病原性あるいは制御性という相反した役割を果たしている.近年ヒトB細胞は,マウスB細胞とは異なり,刺激誘導下に強力にgranzyme B(GzmB)を産生することが判明した.今回,我々はヒトGzmB産生B細胞の誘導メカニズムとその機能について健常人ならびにSLE患者にて検討を行った.【方法】ヒトB細胞のGzmB遺伝子ならびに蛋白発現についてはqPCR,細胞内染色,ELISAにて評価した.またGzmB産生B細胞の機能として,共培養による活性化T細胞の増殖,生存の変化を解析した.【結果】B細胞に作用するサイトカイン中ではIL-21が最も強力にGzmB産生を誘導し,抗原受容体刺激はIL-21と相乗的に作用した.GzmB発現誘導に重要な細胞内シグナルとしてSTAT3が判明した.また,GzmB産生B細胞と共培養によって,活性化T細胞の生存や増殖は阻害され,この阻害はGzmB発現のsilencingにて解除された.一方,SLE患者B細胞ではGzmB産生誘導は健常人に比べ有意に高く,その産生増強のメカニズムとしてtype 1 IFNやTLRの関与が示唆された.【結論】これらの結果から,SLEの生体内環境ではGzmB産生B細胞がより強く誘導されることが判明し,この細胞集団のヒト自己免疫疾患の病態における特異的な役割が強く示唆される.
  • 大田 俊一郎, 新納 宏昭, 植木 尚子, 廣崎 友里, 三苫 弘喜, 赤星 光輝, 有信 洋二郎, 塚本 浩, 赤司 浩一
    2014 年37 巻4 号 p. 332a
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
    【目的】自己免疫疾患の病態における制御性B細胞(Breg)の役割が着目されている.我々は,SLE患者でTLR9 ligand(CpG)刺激によるBreg誘導が著明に障害されていることを報告した.今回,健常人及びSLE患者において,BregのT細胞機能抑制について評価し,更にBreg誘導メカニズムについて検討を行った.【方法】ヒトB細胞の遺伝子発現はqPCR,蛋白発現はELISA, FACSにて評価した.またBregをT細胞と共培養し,CFSE assayによる増殖能,細胞内染色によるcytokine産生能の変化を評価した.【結果】健常人においてBregはT細胞の増殖及びIFNγ産生をIL-10依存性に著明に抑制した.一方,SLE患者ではBreg誘導能が低下しており,更にT細胞機能抑制能も著明に低下していた.近年,マウスのBreg誘導において形質細胞(PC)分化に必須の転写因子であるPRDM1(Blimp1)の関与が報告されている.我々はヒトBregにおいてもIL-10とBlimp1発現に正の相関を認めた.そこでPrimary B細胞のBlimp1をKDしたところ,IL-10の産生低下が認められ,Breg誘導におけるBlimp1の重要性が確認された.しかし,SLE B細胞においては無刺激の状態ではBlimp1及びIL-10発現が高いが,刺激後はBlimp1増強が弱く,IL-10の誘導も障害されていた.従ってBlimp1発現の増強がBreg誘導に重要であることが示唆された.【結論】自己免疫疾患における制御性B細胞の機能異常の分子メカニズムの解明によって新たな治療戦略の可能性が示唆される.
  • 廣崎 友里, 新納 宏昭, 大田 俊一郎, 植木 尚子, 三苫 弘喜, 赤星 光輝, 有信 洋二郎, 塚本 浩, 赤司 浩一
    2014 年37 巻4 号 p. 332b
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
    【目的】関節リウマチの病態におけるB細胞の役割として,自己抗体やサイトカインの産生,抗原提示を介したT細胞刺激などが挙げられる.近年関節局所のB細胞がRANKL(Receptor Activator of NF-κB Ligand)を産生し,骨破壊に寄与する可能性が示唆されている.今回我々は関節リウマチ患者B細胞のRANKL発現の制御機構および直接的な骨破壊への効果について検討を行った.【方法】末梢血B細胞を用いてBCR/CD40刺激下でのRANKL発現をqPCRおよびflow cytometryにて比較した.また,cathepsin Kの遺伝子発現およびTRAP染色を用いて破骨細胞分化誘導を検討した.【結果】BCR/CD40刺激後,switched-memory B細胞が最も高くRANKLを発現していた.Cathepsin Kの発現およびTRAP染色の結果から,switched-memory B細胞の破骨細胞誘導効果が高いことが示された.関節リウマチ患者においては,健常人と比較して,switched-memory B細胞のRANKL発現が優位に高く,この発現に対する抑制性サイトカインIL-10による抑制効果は減弱していた.【考察】これらの結果から,関節リウマチにおけるB細胞のRANKL発現異常には負の制御機構の破綻も疑われ,直接的に骨破壊へ関与していることが示唆される.
  • 中根 俊成, 樋口 理, 向野 晃弘, 前田 泰宏, 松尾 秀徳
    2014 年37 巻4 号 p. 333a
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
    【背景】抗ganglionicアセチルコリン受容体(gAChR)抗体は自己免疫性自律神経節障害(AAG)の病態において主たる役割を担っていると推測されている.我々は簡便,高感度,且つ定量性を備えた抗gAChR抗体測定系を確立し,2012年には全国からの抗体測定依頼を受ける態勢を整備した.【対象】全国の施設より送付された血清検体(自律神経障害を呈した248症例・331検体)を用いて抗gAChR抗体測定を行った.内訳はAAG(54例),AASN(23例)などであった.【方法】カイアシルシフェラーゼ免疫沈降(LIPS)を応用した検出法にて抗gAChR抗体(α3・β4サブユニット)測定を行い,臨床情報について解析した.【結果】全248症例のうち43症例で抗gAChRα3抗体が陽性であった(17.3%).43症例のうち12症例で抗gAChRβ4抗体が陽性であった.AAG/pandysautonomiaにおいて23/55例(41.8%)であり,抗体陽性症例の免疫治療内容について比較検討した.【考察】抗gAChR抗体陽性症例解析の基盤が整いつつあることを確認した.今後は中枢神経系に存在するnicotinic AChRを構成する他のサブユニットに対する抗体産生などを確認する必要がある.治療では複合的免疫治療が有効ではあるが,治療効果の症例間の差,同一症例においても治療反応性の良好な自律神経症状とそうでない自律神経症状が存在することなどが解決すべき問題である.
  • 仲野 総一郎, 鈴木 智, 高崎 芳成, 山中 健次郎
    2014 年37 巻4 号 p. 333b
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
    【目的】膠原病の皮膚潰瘍・指尖潰瘍などの末梢循環障害を起因する病態において,今まで血管内皮細胞に関わる分子の発現異常や,血管内皮前駆細胞数についての関連が示唆されているが,これらとの自己免疫反応や自己抗体が関係しているかについて検討はされておらず,今回我々は自己抗体・免疫反応に着眼し検討を行った.【方法】レイノー症状を有する膠原病患者ならびに健常人の末梢血を用いて,血管内皮前駆細胞数をフローサイトメトリーで解析.患者血清と,ヒト微小血管内皮ライセートを用い,血管内皮細胞に対する免疫反応を検証.患者血清からIgGを精製し,血管内皮細胞ならびに血管内皮前駆細胞に発現し血管病変に関わりのあるエンドセリンB受容体との免疫反応を検証結果:レイノー症状を呈する膠原病疾患患者の末梢血中血管内皮前駆細胞数が低下していた.レイノー症状を呈する膠原病患者血清が内皮細胞ライセートに反応した.また免疫沈降-Western blottingで抗エンドセリンB受容体抗体に反応するバンドが検出された.【結語】レイノー症状を呈する膠原病患者では抗内皮細胞抗体およびエンドセリンB受容体に対する自己抗体が存在する可能性が示唆された.
  • 樋口 理, 向野 晃弘, 中根 俊成, 前田 泰宏, 小森 敦正, 右田 清志, 八橋 弘, 中村 英樹, 川上 純, 松尾 秀徳
    2014 年37 巻4 号 p. 334a
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/07
    ジャーナル フリー
    【背景と目的】全身性および臓器特異的自己免疫疾患では,古くから自律神経障害を伴う症例が知られるが,その分子病態は未解明である.近年,急性あるいは慢性経過を示し,広汎な自律神経障害を呈す自己免疫性自律神経節障害(AAG)の主因が,自律神経節後シナプス領域に局在するganglionicアセチルコリン受容体(gAChR)に対する自己抗体であることが多角的実験手法により証明され,自律神経障害における自己抗体介在性の分子病態の存在が注目されている.本研究では,膠原病や自己免疫性慢性肝疾患における抗gAChR抗体の陽性率を解明する.【方法と結果】長崎大学病院と長崎医療センターにて集積された自己免疫疾患217症例(関節リウマチ,シェーグレン症候群,全身性エリテマトーデス,自己免疫性肝炎,原発性胆汁性肝硬変,その他関連症例を含む)を対象とした抗gAChR抗体探索を実施し,平均22.6%の抗体陽性率を確認した.一方,抗gAChR抗体検査目的で当院に送付された著明な自律神経障害を呈する自己免疫疾患合併12症例の血清検体では,50%(6/12)の抗体陽性率を確認した.【結論】膠原病や自己免疫性慢性肝疾患に抗gAChR抗体が潜在することが明らかとなった.特に,広汎かつ著明な自律神経障害を呈す症例はAAGに匹敵する抗体陽性率を示し,当該抗体と各種自律神経症状の因果関係が疑われた.
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