自己免疫疾患(全身性エリテマトーデス,慢性関節リウマチ,ショーグレン症候群,全身性進行性硬化症,多発性筋炎および重症筋無力症)で抗リンパ球抗体を
51Cr release assayにより測定し,高率に本抗体を検出した.これらの疾患で検出される抗リンパ球抗体はTリンパ球を特異的に傷害した.
T cell subsetsに対する反応性は,全身性エリテマトーデス(SLE)血清では20例中14例にTγ細胞を,慢性関節リウマチ(RA)8例中5例,重症筋無力症9例中7例にT
non-γ細胞を強く傷害し,残りは両者に対する反応性に有意の差を認めなかった.
次に,抗リンパ球抗体がcell-mediated lympholysisのprekiller, killer T細胞に及ぼす影響について検討した. prekiller T細胞に対しては, SLEおよびRA血清では影響を及ぼさず,中にはむしろ% cytolytic activityが著明に充進する例を認めた.
一方, killer T細胞に対する反応性では, SLEおよび重症筋無力症の抗リンパ球抗体は% cytolytic activityを有意に低下させ,高い反応性を認めた.しかし, RA血清はkiller T細胞に影響を及ぼさなかった.
以上の結果から, SLE, RAおよび重症筋無力症の抗リンパ球抗体は, Tリンパ球を特異的に傷害するが, T cell subsetsやcell-mediated lympholysisのkiller T細胞に対する反応性の面において差異を認めた.
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