日本臨床免疫学会会誌
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40 巻, 2 号
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特集:がん免疫チェックポイント阻害剤の免疫性副作用
  • 門野 岳史
    2017 年 40 巻 2 号 p. 83-89
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/12
    ジャーナル フリー

      抗PD-1抗体であるニボルマブおよびペンブロリズマブ,抗CTLA-4抗体であるイピリムマブを代表とする免疫チェックポイント阻害薬は悪性黒色腫,非小細胞肺癌,腎細胞癌,ホジキンリンパ腫といったがん治療に新たな光明をもたらした一方で,様々な臓器に対して免疫関連有害事象という独特な副作用をもたらす.なかでも,間質性肺疾患,大腸炎,甲状腺機能低下症,肝障害,発疹,白斑,下垂体炎,I型糖尿病,腎機能障害,重症筋無力症,末梢神経障害,筋炎,ぶどう膜炎などが代表的である.免疫関連有害事象の出現時期に関しては様々であるが,抗CTLA-4抗体であるイピリムマブに関しては皮膚粘膜障害が比較的早期に出現し,その後消化器症状が出現しやすい.ニボルマブの免疫有害事象は全体としておおよそ投与数ヶ月後に生じることが多いが,出現時期には大きなばらつきがある.免疫関連有害事象に対する治療は基本的にはアルゴリズムに則って行うが,速やかに専門医にコンサルトし,有害事象のグレードと原病の状態を鑑みながら方針を立てていく.免疫関連有害事象は様々な臓器に出現するが故に他科との連携が肝要であり,病院として関係する各科横断的な対策チームを築くことが重要である.

  • 岩間 信太郎, 有馬 寛
    2017 年 40 巻 2 号 p. 90-94
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/12
    ジャーナル フリー

      免疫チェックポイント阻害剤はT細胞の活性化を介して抗腫瘍作用を示すモノクローナル抗体で,がん免疫療法として使用される.細胞傷害性T細胞抗原(CTLA)-4に対するモノクローナル抗体,programmed cell death(PD)-1およびそのリガンドであるPD-L1に対する抗体が開発されており,悪性黒色腫,非小細胞肺癌,腎細胞癌を含む様々な癌種においてその有効性が示されている.進行性の悪性腫瘍における有効性の一方で,これらの薬剤では免疫機序を介すると考えられる副作用(免疫関連副作用;irAE)の発生が問題となっている.irAEは内分泌,呼吸器,消化管,皮膚,神経,筋など全身の様々な部位で認められる.irAEは従来の殺細胞性抗がん剤による副作用とは異なる特徴を有することから,免疫チェックポイント阻害剤を安全に使用するためには,irAEの特徴を理解して適切にマネジメントすることが極めて重要である.本総説では,内分泌系のirAEの中で特に下垂体障害に関する臨床的特徴を解説し,その病態について考察する.

  • 沖山 奈緒子, 田中 亮多
    2017 年 40 巻 2 号 p. 95-101
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/12
    ジャーナル フリー

      現在,悪性黒色腫への免疫チェックポイント分子programmed cell death-1(PD-1)の阻害抗体製剤であるニボルマブ使用を皮切りに,様々な癌腫で本剤による癌免疫療法が試みられており,特に悪性黒色腫では,有効な抗癌剤がなく予後不良の疾患であったため,有望な治療選択肢となっている一方,その作用機序より,自己免疫反応も増強されて,様々な免疫関連有害事象(immune-related adverse events: irAEs)が発症することも避けえない.ニボルマブ投与後irAE発生例を供覧する.症例1:69歳女,既往に橋本病.3回投与後に甲状腺機能低下が顕在化,エコーにて破壊性甲状腺炎あり,甲状腺ホルモン補充療法を要した.症例2:80歳男.4回投与後に急性の甲状腺機能亢進症発症.症例3:85歳女.2回投与後に四肢体性感覚障害,筋力低下を呈するpolyradiculoneuropathyが発症.大量γグロブリン点滴療法,PSL 40 mg内服にて加療.症例4:77歳男.IFN-β局注療法後に11回投与後,全身に乾癬様皮疹が多発,レチノイド内服にて加療.症例5:症例2と重複,甲状腺機能亢進症と同時期に,全身に乾癬様皮疹が多発,PSL 40 mg内服にて,皮疹も略治.乾癬性皮膚炎や既存乾癬増悪例,他のirAE発症例,irAEなし例において,ニボルマブ投与前後で血清サイトカインを測定したところ,irAEなし例では7例中5例で血清IL-6値が低下していたのに対し,irAE発症例では全例で上昇しており,特に乾癬性皮膚炎や既存乾癬増悪例で有意であった.一方,血清TNFα値は,ニボルマブ奏功例で低下し,無効例で上昇する傾向にあった.

  • 只野 裕己, 鳥越 俊彦
    2017 年 40 巻 2 号 p. 102-108
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/12
    ジャーナル フリー

      抑制性共シグナルを伝達する免疫チェックポイント分子Cytotoxic T lymphocyte antigen 4(CTLA-4),Programmed death 1(PD-1),PD ligand 1(PD-L1)に対する阻害抗体が開発され,メラノーマ,非小細胞肺がん,腎細胞がん,ホジキン病,頭頸部がんなど,多くのがん種において新たな標準治療法となりつつある.その一方で,これら免疫チェックポイント阻害剤の副作用と考えられる免疫関連有害事象(irAEs)の報告も増加し,その病態と発生機序の解明が課題となっている.本稿では免疫チェックポイント阻害剤によるirAEsの特徴である,①多様性,②多発性,③持続性,④相関性の4点について概説する.

総説
  • 岡田 賢
    2017 年 40 巻 2 号 p. 109-117
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/12
    ジャーナル フリー

      慢性皮膚粘膜カンジダ感染(CMC: Chronic Mucocutaneous Candidiasis)は,口腔粘膜,消化管,外性器,皮膚,爪を主要病変とし,難治性,反復性のカンジダ感染症を呈する“状態”を示す.カンジダに対する局所免疫には,ヘルパーT細胞の亜群であるTh17細胞と,それが産生するインターロイキン17(IL-17)が重要で,この免疫機構の破綻によりCMCを発症する.本項では,IL-17の障害を背景に発症する原発性免疫不全症である慢性皮膚粘膜カンジダ症(CMCD: CMC disease)と,症候性CMCについて概説する.CMCDと症候性CMCは,CMCを“主要な感染症状”とする原発性免疫不全症という共通の側面を持つ.他方で,CMCDではカンジダ以外の病原体に対する易感染性を原則的に認めないのに対して,症候性CMCでは他の病原体に対する易感染性や臓器症状の合併が認められる.過去の検討で,CMCDの原因としてIL-17シグナル伝達に直接関与する分子群の異常が報告されている.一方で,症候性CMCの原因としてTh17増殖分化に関与する分子群の異常が多く認められることから,両疾患はIL-17シグナル伝達に関与する分子群の異常により発症する遺伝性疾患であることが言える.本項では,CMCDと症候性CMCに着目し,臨床症状,分子病態を概説する.

  • 北郡 宏次, 吉藤 元
    2017 年 40 巻 2 号 p. 118-123
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/12
    ジャーナル フリー

      全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus: SLE)の予後を規定する難治性病態の一つに,ループス腎炎(lupus nephritis: LN)がある.これまでのオステオポンチン(osteopontin: OPN)の免疫に関連する機能およびLN,IgA腎症などの自己免疫疾患における発現亢進の報告に着目し,LNの血中,尿中における全長OPN(OPN full)および,白血球に対する誘因活性を有するOPN N末端断片(OPN N-half)について解析し,LNにおける疾患バイオマーカーとしての可能性を検討した.結果,LNの尿中OPN N-half濃度は健常人に比べ高値を示し,さらに,同様に蛋白尿を呈するが病態が異なる糖尿病性腎症よりも高値を示した.また,尿中OPN N-halfは,LNの治療強化後に低下傾向を示したことから,糸球体における炎症病態によって産生され,LNの疾患活動性と相関するバイオマーカーとして利用できる可能性が示唆された.

  • 横川 直人, 住友 直文, 三浦 大, 澁谷 和彦, 永井 宏, 後藤 美賀子, 村島 温子
    2017 年 40 巻 2 号 p. 124-130
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/12
    ジャーナル フリー

      新生児ループスは母体の抗SS-A抗体が関与して,新生児に心病変,皮膚病変,血球減少,肝機能異常などを引き起こす後天性の自己免疫症候群である.新生児ループス(心病変)は抗SS-A抗体陽性の妊娠の1-2%に合併し,致死率が約20%でペースメーカーが約70%必要となる重篤な合併症である.一方,皮膚病変は心病変よりも頻度は高いが,6か月以内に自然軽快する.新生児ループスの約半数は無症候性の母親に生じるため,児の特徴的な皮膚病変や心病変より新生児ループスを疑い,母親の抗SS-A抗体を測定することが大切である.前児の心病変は約10倍,皮膚病変でも約5倍,次の妊娠で新生児ループス(心病変)を合併するリスクが高くなる.前児で新生児ループス(心病変)を合併した母親の次の妊娠でヒドロキシクロロキンが次の児で新生児ループス(心病変)の発症を抑制することが米英仏の後ろ向きのレジストリ研究で報告された.現在,米国でオープンラベルの臨床試験が進行中で,本邦でも検証を行う予定である.今後,新生児ループス児および児の母親のその後の妊娠のレジストリを立ち上げることにより日本での臨床研究を促進することが期待される.

症例報告
  • 山下 由理子, 松本 真輔, 平本 龍吾, 小森 功夫, 田中 孝之, 西小森 隆太, 平家 俊男, 梅津 守一郎, 乾 あやの
    2017 年 40 巻 2 号 p. 131-137
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/12
    ジャーナル フリー

      胎児水腫と新生児期の胆汁うっ滞性肝障害と貧血,炎症反応上昇を認め,6歳時に反復する発熱発作を契機にメバロン酸キナーゼ欠損症(mevalonate kinase deficiency: MKD)の確定診断に至った女児例を経験した.5歳11か月時に発熱,炎症反応高値の精査加療目的に入院したが,自然解熱し,炎症反応の正常化した.月1回の頻度で発熱を認め,血清IgD値が高値であることからMKDが疑われた.遺伝子検査にてMKDの原因遺伝子として既知のp.Leu51Pheのヘテロ変異,新規変異であるp.Met282Thrを認め,尿中メバロン酸は非発作時,発作時ともに上昇し,メバロン酸キナーゼ活性は低下していたことからMKDの診断に至り,現在は発作時のプレドニゾロン内服で良好なコントロールを得ている.既往症として,胎児水腫,新生児期に貧血,炎症反応の上昇,胆汁うっ滞性肝障害を認めており,過去の報告から疾患関連性が示唆された.MKDの発熱発作は患者のQOLに及ぼす影響が大きい.新生児期の原因不明の胆汁うっ滞性肝障害と反復する腹痛,発熱を認める児にはMKDの可能性を考慮し,積極的に精査を進めることが望ましい.

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