日本臨床免疫学会会誌
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6 巻, 6 号
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  • 井上 孝利, 大久保 英雄, 桶田 俊光, 活田 融, 平田 泰彦, 林田 一洋, 浜口 和之
    1983 年 6 巻 6 号 p. 505-511
    発行日: 1983/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    24歳男性,幼児期より湿疹ができやすく, 11歳血小板減少性紫斑病(ITP), 17歳胃潰瘍,腸疾患, 18歳腎孟炎, 20歳肝障害と多彩な既往歴を有する. 21歳時に再びITPと診断されて血小板輸血とsteroidの投与を受けた. 56年暮から肺炎に罹患し,このときの検査によって著明な低ガンマグロブリン血症が発見された.血中Ig濃度はIgG, IgA, IgMともに低値であったが,末梢血中にはリンパ球が存在したのでcommon variable hypogammaglobulinemia (CVH)と考えられた.患者リンパ球をin vitroの系でPWM刺激し,免疫グロブリン産生能を測定した結果, B細胞の機能障害, helper活性低下ならびにsuppressor活性亢進が証明された.したがって本症例においては, B細胞系の分化障害とともにT細胞系の異常が共存することになり,リンパ球がT: B細胞系に分化する前の段階における障害があると推定された。
  • 青柳 愛孝
    1983 年 6 巻 6 号 p. 512-522
    発行日: 1983/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    悪性リンパ腫や白血病患者の腫瘍細胞が自己の末梢血や局所リンパ節の単核球によって, in vitroで融解するか否かを知る目的で生検により得られた腫瘍細胞や凍結保存した腫瘍細胞に対して患者の単核球や対照の健康人単核球をエクエクター細胞とする51Cr-release法による細胞傷害能を検索した。悪性リンパ腫の場合, 10検体のうち50%の5検体に,急性白血病の場合, 6検体のうち16.7%の1検体に有意の細胞傷害活性がみられた.そして,これらの細胞傷害活性は単核球が直接作動する場合と液体抗体を介する場合があったが,これらの反応はいずれもNK活性より弱かった.そして,このin vitroの成績が臨床所見と一致すると思われる症例がいくつかみられた。
    付属リンパ節の単核球が自己の腫瘍細胞に対してKiller T-cellとして作動し,この反応がRaji cellの競合阻止試験により阻害されたことは,きわめて興味深かった.以上より自家系腫瘍に対する細胞傷害能の測定は腫瘍特異抗原の検索や,特異的免疫療法の進歩にとって有用な検索と思われる.
  • 松尾 良信, 横山 三男, 木下 克海, 永田 義彦, 藤田 和博
    1983 年 6 巻 6 号 p. 523-534
    発行日: 1983/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    健康成人末梢血リンパ球をPHA, Con AおよびPWMで刺激して,活性化リンパ球を誘導し,その細胞膜表面に出現してくる活性化リンパ球膜抗原をDualレーザーFlow Cytometer (EPICS-V,コールター社)を用いて分析した.
    健康成人末梢血単核球をFicoll-Conray比重遠心分離法によって分離し,細胞を洗浄後,細胞数が, 1×106mlとなるように, 10%の非働化胎児ウシ血清を添加したRPMI-1640培養液に浮遊した.この細胞浮遊液に至適濃度のレクチンを加え, CO2インキュベーターで72時間培養した.培養後,細胞をリン酸緩衝生食水で3回洗浄後,細胞膜表面抗原を間接螢光抗体法および間接螢光抗体法と直接螢光抗体法との二重螢光抗体法で螢光染色した.二重螢光抗体染色法は,まず, tetramethyl rhodamine isothiocyanate (TRITC)標識ヤギ抗マウスIgG血清を第二抗体として用いた間接螢光抗体法を行った後,さらに, fluorescein isothiocyanate (FITC)標識モノクローナル抗体,たとえば, FITC標識T4およびT8モノクローナル抗体で直接螢光抗体法を行った.
    抗Tacモノクローナル抗体, T4, T8, T6, OKT-9およびOKT-10モノクローナル抗体で識別される抗原やIa-様抗原が,レクチンで刺激して誘導された活性化リンパ球に著明に出現した.また,活性化リンパ球の膜表面抗原を二重螢光抗体染色法で標識し, DualレーザーFlow Cytometerで分析すると, T4陽性細胞のすべてにTac抗原が表現されており,またT8陽性細胞もTac抗原を表現していたが, Tac抗原陰性でT8が陽性の細胞も存在していた.さらに, T4とT8モノクローナル抗体で二重螢光抗体法を行ったところ,いずれのモノクローナル抗体とも反応するdouble marker cellsの存在することがわかった.
    J5で識別される急性リンパ芽球性白血病抗原(CALLA), B1で識別されるB細胞抗原およびMo 2で識別されるmyelomonocyte抗原は,活性化リンパ球にはいずれも出現していなかった.
    以上のことから,健康成人末梢血単核球をレクチンで刺激し,活性化リンパ球を誘導すると,その細胞膜上に,休止期には表現されていなかった新しい抗原が出現してくることがわかった.このように, 1つの細胞について,同時に2つの膜表面抗原を分析するためには二重螢光抗体法によって抗原を染色し, DualレーザーFlow Cytometerによって分析することがきわめて有用である.
  • 松本 美富士, 小川 勝己, 伊藤 歩
    1983 年 6 巻 6 号 p. 535-541
    発行日: 1983/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    最近,ヒトのnatural killer (NK)細胞が標的細胞との反応の結果,きわめて短時間に化学発光が生じることが報告された.そこで,本研究は化学発光法がヒトの
    NK細胞活性の測定法として利用しえるかについて検討を行った. NK細胞と標的細胞との反応の結果みられる化学発光量はリンパ球,あるいは標的細胞の細胞数に依存するが,至適発光量はリンパ球数2×106/ml,標的細胞数3×106/mlであった.この化学発光を生じる細胞は,以下の理由でリンパ球によるものであった.すなわち,このリンパ球分画は95%以上のリンパ球を含んでおり, NK細胞に対する単クローン性抗体(HNK-1)と補体との処理によって化学発光は消失した.リンパ球,あるいは標的細胞(K 562)のみでは化学発光はみられなかったし,さらに,自己あるいは同種リンパ球との相互作用によっても化学発光は生じなかった.
    健康人10名の末梢血のNK細胞による化学発光量を51Cr放出法によるNK細胞活性と比較すると,相互によい相関がみられた.
    以上のごとく,化学発光法はヒトのNK細胞活性の測定法として用いることができる.
  • 橋本 博史, 赤沢 滋, 津田 裕士, 高崎 芳成, 松本 孝夫, 奈須 一, 藤巻 教子, 鈴木 三佐子, 塩川 優一, Paul I. ...
    1983 年 6 巻 6 号 p. 542-549
    発行日: 1983/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    向精神薬を服用している183例の精神病患者の血清を用いて,各種抗核抗体を検索し投与薬剤,薬剤投与量, SLE様症状との関係について検討した.また,抗核抗体陽性を認めた症例については, HLA抗原の検索を行い,正常人との比較検討を行った.その結果,螢光抗体法による抗核抗体は37例に陽性を認め,これらはcarbamazepineの投与量が有意に多く,日光過敏症と口腔内潰瘍を認める症例も多かった.また, HLA-DRw8を有する症例も多い傾向にあった. Farr assayによるDNA抗体は25例に認められたが,いずれも抗体価は低値であった.
    Crithidiaによる螢光抗体法では, 2例にdsDNA抗体を認めたが補体結合性は認められなかった. PHA法によるENA抗体は21例に認め,関節痛と高γ-gl.血症を有する症例が多かった.抗ヒストン抗体は3例に陽性を認め,いずれの症例もchlorpromazine服用患者であった.
  • 国広 潔, 横川 泰, 小野 順子, 高木 良三郎, 野口 志郎, 草場 公宏
    1983 年 6 巻 6 号 p. 550-554
    発行日: 1983/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Graves病患者22名,橋本病患者32名,全身性エリテマトーデス(SLE)患者16名,健康人10名の血清について抗ランゲルハンス島細胞膜抗体を測定した. Graves病患者の23%,橋本病患者の25%に陽性であったが, SLEと健康人は全例陰性であつた. Graves病において罹病期間の長いものに抗ランゲルハンス島細胞膜抗体の陽性者が多かったが,性,発病年齢,マイクロゾーム抗体価などと抗ランゲルハンス島細胞膜抗体の陽性率との間に相関はなかった,マイクロゾーム抗体と抗ランゲルハンス島細胞膜抗体の両者陽性の甲状腺疾患患者9名とSLE患者15名について抗リンパ球抗体を測定したところ,前者の陽性率は11%でSLEに比し低かった,このことは甲状腺疾患患者の一部のものには複数の内分泌器官に対する自己抗体が存在する可能性および本疾患の免疫異常の発生機序はSLEとは異なることを示唆するものかもしれない.
  • 竹内 勤, 小出 純, 細野 治, 安倍 達, 本間 光夫
    1983 年 6 巻 6 号 p. 555-560
    発行日: 1983/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス(SLE)および正常人リンパ球による抗DNA抗体産生能を, in vitroリンパ球培養系によって解析した. SLEリンパ球ではDNA抗原刺激により有意の抗DNA抗体産生の亢進が認められたが,正常人ではかかる反応は認められなかった. DNA抗原刺激抗DNA抗体産生の系では, DNAはT細胞依存性に作用し,非活動期SLE T4細胞が促進的に,非活動期SLE T8細胞が抑制的に抗DNA抗体産生を調節していた.しかし,活動期SLE T8細胞は,いかなるT4/T8比においてもかかる抑制効果を示さず,活動期SLEにおいてはDNA特異的抑制性T細胞機能低下が示唆された.
  • 石山 泰二郎, 阿部 総太郎, 杉本 正邦, 若林 芳久, 塩川 優一
    1983 年 6 巻 6 号 p. 561-567
    発行日: 1983/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ヒト末梢血B細胞コロニー形成に関する基礎的検討について報告する.非T細胞rich分画を,照射T細胞とPHA-P30μgとともに, 24時間液体培養を施行したのち,メチルセルロース培地に埋め込む. 50細胞以上の細胞塊をコロニーとして倒立顕微鏡下にて算定する.
    この結果,播種細胞数とコロニー数が比例関係を示す.コロニーは,第4日目にて算定すると5.0×105個あたり570±333個のコロニー形成をする.また,コロニー構成細胞は, FITCでラベルした抗ヒトImmunoglobulinウサギF(ab)2血清にて陽性にそまる.そして,ギムザ染色にて,形質細胞とリンパ球の性格をもち,かつ, Eロゼット形成能はない.
  • 舩渡 忠男, 小出 朝男, 大谷 英樹, 斎藤 正行, 大沢 伸孝
    1983 年 6 巻 6 号 p. 568-577
    発行日: 1983/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Salmonella paratyphi B (SPB)に対するヒト末梢血Bリンパ球の反応性を研究した. SPBはヒトBリンパ球を免疫グロブリン産生細胞(ISC)へ非特異的多クローン性に誘導した. SPBによるヒトBリンパ球からISCへの誘導はTリンパ球非依存性で, Mφ非依存性で, DNA合成を伴わなかった.これらの結果は細菌菌体がBリンパ球を増殖しないが, Bリンパ球からISCへの分化,多クローン性のIg分泌を誘導することを示唆した.それゆえSPBは他のmitogenと比較して異なるBリンパ球populationを刺激することが証明された. SPBはヒトリンパ球活性化機構において詳細な解析を可能にすると思われる.
  • 更井 哲夫
    1983 年 6 巻 6 号 p. 578-583
    発行日: 1983/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    幼時発症のPartial Lipodystrophyに50歳ごろよりSjögren症候群を合併発症した63歳女性例を経験した.本症例は両者合併例として本邦第1例と考えられる.患者はPartial Lipodystrophyに特有な上半身の皮下脂肪組織の欠落による特異な顔貌を示し,神経症状を呈していたが,糖脂質代謝異常,血清補体異常はみられなかった.乾燥症状は徐々に発現し,シャーマーテスト,小唾液腺生検陽性であり,血中SS-A抗体陽性であることからSjögren症候群の合併と診断した. Lipodystrophyには補体成分の異常がすでに報告され,自己免疫疾患合併の可能性が考えられていたが, 1946年Lawrenceによる第1例報告にも耳下腺腫脹とリンパ球浸潤が記載され,すでに世界で3例の両疾患合併が報告されている.外表所見より容易に診断可能なLipodystrophy患者に乾燥症状や血中自己抗体の有無,補体成分異常を検討することにより,両者の関係がより明らかにされるであろう.
  • 吉田 健三, 吉尾 卓, 行山 康, 広瀬 俊一
    1983 年 6 巻 6 号 p. 584-589
    発行日: 1983/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    C3 nephritic factor (C3NeF) was found in patients with membranoproliferative glomerulone phritis (MPGN) and in some cases of partial lipodystrophy. C3NeF was supposed to be the auto-antibody to C3 convertase (C3bBb) of the alternative complement pathway and stabilize it, resulting in characteristic complement profile in their serum.
    Recently C4 nephritic factor (C4NeF), which was thought to be the auto-antibody to C3 convertase of the classical complement pathway (C4b2a), was found in patients with systemic lupus erythematosus (SLE) or poststreptcoccal glomerulonephritis.
    We found C4NeF activity both in serum and urinary IgG fraction of a patient with SLE, who presented nephrotic syndrome and MPGN at the time of renal biopsy. The C4NeF activity in serum and urine disappered after the treatment of steroid therapy.
    We also found C3NeF activity only in serum IgG fraction, not in urinary IgG fraction, of a patient with ulcerative colitis, sclerosing cholangitis and chronic glomerulonephritis, of which biopsy specimen showed MPGN. However, the activity was atypical in comparison with C3NeF reported so far, because of its unstability and weakness in activating complement of normal human serum and it suggested heterogeniety of C3NeF.
    While C4NeF activity was detected both in serum and in urine, C3NeF was found only in serum. Thinking into consideration that selectivity of the urinary protein from the two patients did not differ, we speculated C3NeF had high affinity to the glomerulus.
  • 加藤 治樹, 谷川 徹, 吉田 憲正, 出口 雅子, 上田 正博, 吉川 敏一, 竹村 周平, 杉野 成, 近藤 元治
    1983 年 6 巻 6 号 p. 590-593
    発行日: 1983/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    RU 41740, a glycoprotein extracted from Klebsiella Pneumoniae, has an ability to activate human complement in a dose response fashion either through the classical or the alternative pathway in vitro, when measured by the lysis of either sensitized sheep erythrocytes or unsensitized rabbit erythrocytes, as well as by immunoelectrophoresis.
    Some of bacterial or plant-derived polysaccharides have been reported to restore impaired host immune responses mainly through their cellular immunity, and partly through humoral immunity. The present data led us to speculate that the agent might exert its anti-infectious ability via the activation of complement system.
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