日本臨床免疫学会会誌
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7 巻, 2 号
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  • 星野 孝
    1984 年 7 巻 2 号 p. 47-59
    発行日: 1984/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 高井 正秀, 土肥 和紘, 藤井 謙裕, 山田 宏治, 金内 雅夫, 花谷 正和, 野中 秀郎, 石川 兵衞
    1984 年 7 巻 2 号 p. 60-67
    発行日: 1984/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    自己免疫疾患における細胞性免疫異常,とくにT細胞機能異常を明らかにする目的でconcanavalin A誘導抑制T細胞機能(Con A-Ts細胞機能)とautologous mixed lymphocyte reaction (AMLR)を検討した.全身性エリテマトーデス(SLE), Sjögren症候群(SJS),進行性全身性硬化症,多発性筋炎はいずれもCon A-Ts細胞機能が健常対照と比べて有意に低下していた.しかしAMLRはSLEがTとTγ, SJSがTγに有意の低下を示した.一方,非活動期のSLEにおけるCon A-Ts細胞機能は回復する傾向にあった.非活動期のSLEにおけるAMLRはTγのみが低下を示した.さらにSLEとSJSではCon A-Ts細胞機能とTγのAMLRとの間に正相関が認められた.つまりSLEとSJSの両疾患は類似した細胞性免疫異常を示すものであり,その原因にはTγの傷害が推測される.
  • 井上 文彦, 古川 裕夫, 内野 治人
    1984 年 7 巻 2 号 p. 68-76
    発行日: 1984/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎患者では,大腸杯細胞に対して,流血性および細胞性の自己免疫が成立していると考えられる.本症は,直腸からの上行性連続病変が特徴で,病変部と正常部の接合面(境界部)が,病態の解明上,重要である.この部で杯細胞に対するimmunocompetent cellのattackが起こり,局所粘膜防御が破綻し,病変が上行する.一方, secretory component (SC)とIgAは局所粘膜防御のうえで重要な因子である.著者らは,本症患者11例につき,大腸の内視鏡的病変部,境界部正常部の各生検組織を得て, SC, IgA,大腸杯細胞粘液の3者の分布を螢光抗体法で観察した.その結果,正常部,境界部では大腸杯細胞粘液は減少していないが, SCとIgA,とくにIgAが減少し,病変部では, SC, IgA,大腸杯細胞粘液すべてが減少していた.したがって,この3者は,相互に関連し,潰瘍性大腸炎の大腸粘膜防御に関与していると考えられた.
  • 相原 泰, 桑島 紀夫, 天野 哲基, 鈴木 信也, 太田 善介, 大藤 真
    1984 年 7 巻 2 号 p. 77-83
    発行日: 1984/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    SLE患者30名における補体の免疫複合体可溶化能(CRA)を測定し, CRAと他の補体系との関連ならびにCRAのSLE病態形成に及ぼす影響を検討した. SLEのCRAは正常人に比して有意の低値を示し,そのCRAは他の補体系(CH 50, ACH 50, C4, C3, factor B)と密接な相関関係が認められた.個々の症例を検討すると, CRAはCH 50よりもより早期に正常域に回復する症例が認められ, SLEの治療,予後判定にCRAは有用な指標になり得ると考えられた.また, CRAと腎症や皮膚紅斑などの血管病変との相関が認められ, CRAと組織障害との相関が示唆された.
  • 畠山 牧男, 溝口 義明, 隅谷 護人, 狩野 庄吾, 若山 宏, 二ノ村 信正, 斉藤 建
    1984 年 7 巻 2 号 p. 84-90
    発行日: 1984/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    SLEで薬剤投与を契機に多発性単神経炎,間質性肺炎を発症し,剖検で肺と脳を除く全身の臓器に瘢痕期の血管炎を認めた1症例を経験した.症例は26歳,女性, 24歳時,多関節炎,発熱,蛋白尿にて発症し, SLEと診断. 2年後,抗生剤投与中に発熱,多発性単神経炎,乾性咳,呼吸困難出現. SM, INH, RFP投与後さらに症状は増悪,精神・神経症状も出現した.ステロイド・パルス療法で軽快したが,減量中に再燃, 2ヵ月後死亡した.剖検では肺を除くほとんどすべての臓器に陳旧性の血管炎を認めた.本例はSLE患者の血管炎,間質性肺炎の発症に薬剤が関与し,同じ誘因により発症しても臓器により異なった病態をとる可能性を示した点で重要と考えられた.また血管炎による中膜の破壊と弾性板の断裂は冠状動脈起始部にまで及んでおり, SLEの血管炎が冠状動脈起始部にまで及びうることを示した.
  • 菅谷 直樹, 杉本 正邦, 若林 芳久
    1984 年 7 巻 2 号 p. 91-96
    発行日: 1984/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Krantzの方法を用いて, SLE患者骨髄赤芽球のヘム合成に及ぼすprednisoloneの影響を検討した.
    骨髄赤芽球1×106個を非働化した20% AB型血漿, pH 7.4NCTC 109 1.0ml中にエリトロポエチン1単位と放射性鉄を加え,場合によってはprednisolone添加または, prednisoloneで処理した患者末梢血単核球1×106個を加えた後, 37°C 5% CO2で72時間の培養を行った.その後,ヘム中に取り込まれた放射性鉄をTealeの方法で抽出し, γシンチレーターで測定した.その結果:
    1) 正常ヒト骨髄赤芽球のヘム合成に対するprednisoloneの影響は認められなかった.
    2) 患者骨髄赤芽球のヘム合成はprednisolone添加により著明に改善することが認められた.
    3) 患者末梢血単核球をprednisoloneで処理すると正常ヒト骨髄赤芽球のヘム合成に対する抑制がとれることが認められた.
    以上の結果はSLEの貧血の原因にprednisoloneに感受性を有する単核球が関与している可能性を示唆するものと思われた.
  • 相良 憲幸
    1984 年 7 巻 2 号 p. 97-106
    発行日: 1984/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    1965年のGoldらの報告以来, CEAの分離,精製が多くの研究者により報告されている.
    しかし臓器特異性を示すCEAの報告はなくまたCEAの癌特異性に関しても疑問視する報告も少なくないが,今井ら45)は腫瘍特異性CEAの存在を報告している.
    著者らは,肺癌細胞由来のCEA活性物質の分離・精製を行い,その免疫化学的性質に関する検討を行った.
    その結果, HLC-1細胞由来CEA (HLC-1 (CEA))は,免疫組織学的手法,および免疫拡散法にては,大腸癌由来CEAとの間に差異を見出せなかったが,分子量27万dalton, pIが4.4と現在まで報告されたものとの間に若干の相違を示した.
    HLC-1(CEA)は, pH3CEAやCEA-Sと同様にCEAのsub-fractionである可能性が示された.
  • 石坂 明人, 外岡 立人, 松本 脩三
    1984 年 7 巻 2 号 p. 107-110
    発行日: 1984/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Luciferin-luciferase惹起生物発光を用い,細胞内ATP量を測定することにより,ヒト単核球のレクチンに対する反応性を評価した.細胞数とATP量は直線関係にあり,その再現性は高かった.レクチン刺激単核球のATP量は培養後,経時的に増加し,培養後48時間では,レクチン非刺激群に比べ有意に高かった.さらに興味あることに, Mitomycin C処理,レクチン刺激群では,そのATP量は著明に増加てたが,レクチン非刺激群ではATP量の増加は認められなかった.以上の事実は,細胞内ATP量を測定することにより,放射性同位元素を用いることなく単核球のレクチン反応性を評価することが可能であり,さらに,レクチン刺激後早期の変化を評価することも可能であるということを示唆している.
  • 大久保 英雄, 井上 孝利, 梅井 利彦, 石橋 大海, 奥村 雄三
    1984 年 7 巻 2 号 p. 111-117
    発行日: 1984/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    IgG K型多発性骨髄腫(MM)の症例のIg生合成を分析することによって, MMにみられる多クローン性免疫グロブリン(Ig)の低下機序を考察した.本症例は末血中に形態学上,骨髄腫細胞の出現なく,白血球数・分類共に正常であったが,リンパ球のT:B比は90:2とB細胞の減少がみられた.末梢単核球(PMC)のin vitroにおけるIg産生は, IgA, IgM共に正常で, IgGは低下していた.骨髄単核球(BMC)のIg産生は, IgA, IgMが著明に減少し, IgGの減少はみられなかったが,このIgGは骨髄腫蛋白であった.
    PMCおよびBMCのIg産生の成績を基にして考察すると,本症例にみられたIgA, IgM低下の機序は,骨髄中のIgA, IgMの産生障害と,末梢血中のB細胞の減少によるIgの産生減少によると推定される, BMCの骨髄腫蛋白の産生が少ないので,本症はいわゆるoligo-M-component typeと思われる.
  • 山田 隆, 宮坂 信之, 西戸 孝昭, 奥田 正治, 村田 英雄
    1984 年 7 巻 2 号 p. 118-124
    発行日: 1984/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    シェグレン症候群には,その多彩な免疫異常と関連して,リンパ系悪性腫瘍の発生が高率にみられることが知られているが,実際にその報告例は多くない.
    今回われわれが経験した症例(53歳,女性)は1975年にレイノー現象と粘液水腫のため入院,生検により橋本病,慢性活動性肝炎を伴ったシェグレン症候群と診断され,甲状腺製剤とステロイド剤の投与が開始された.しかし,その半年後に閉塞型の肝機能障害の増悪,黄色腫の出現,高脂血症,抗ミトコンドリア抗体陽性など原発性胆汁性肝硬変症(PBC)が強く疑われる病態を呈し,アザチオプリンの併用により小康を得ていた.ところが, 1981年末,空腹時左季肋部痛を訴え,胃内視鏡検査にて粘膜下腫瘍が疑われ,生検により悪性リンパ腫と診断された.翌年4月胃切除術を施行,切除胃の病理組織診断は形質細胞腫であった.また同時に行った肝生検組織像ではPBCに合致する所見を得た.
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