日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
8 巻, 6 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 溝口 靖紘
    1985 年 8 巻 6 号 p. 307-318
    発行日: 1985/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • Interleukin-2-activated killerとの比較
    高木 秀二
    1985 年 8 巻 6 号 p. 319-328
    発行日: 1985/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    末梢血リンパ球を自己Epstein-Barr virus (EBV)トランスフォームlymphoblastoid cell line (LCL)と混合培養することによりautologous LCL (auto-LCL)を含あNK感受性,非感受性のtargetに対する細胞障害活性が誘導された.一方, recombinant interleukin-2 (IL-2)を用いて誘導されるLymphokine-activated killer (LAK)もNK感受性細胞, NK非感受性細胞をよく障害したが, auto-LCLには低い障害活性しか示さなかった. cold-target inhibition testを用いてspecificityを調べたところ, LAKと混合培養により誘導されたキラーとはtarget spectrumの点から非常に類似していて,後者によるものも主としてLAK活性によると考えられた. NK感受性細胞に対する障害活性はNK感受性細胞によってのみ抑制をうけ,それらにはNK, LAK両方のtarget structureが存在するが,他の細胞にはLAKのtarget structureしか存在しないか,あるいはNK感受性細胞のtarget structureに対する認識機構は他のtargetに向けられたeffector細胞にも存在することが示唆された.そのことを反映しNK非感受性細胞に対する障害活性はNK感受性細胞によっても抑制をうけた. auto-LCLに対する障害活性は混合培養反応によるものでもIL-2によるものでも,用いたすべての細胞により抑制をうけた.すなわち, CTLはあまり出現しておらず,主としてLAKないしそれ類似め細胞により障害されていると考えられた.また,今回の結果から,混合培養によるPBLからのLAK類似キラー誘導において, NK感受性細胞にはその能力が低いが, NK非感受性株化細胞,自己および同種のLCLはLAKをよく誘導することが示された.また,自己LCLはIL-2では十分誘導できないLAK様細胞を誘導することが示された.
  • 渡会 伸治, 西山 潔, 国松 尚一, 小林 俊介, 江原 博, 遠藤 千洋, 香積 京子, 関沢 良行, 山岡 博之, 土屋 周二
    1985 年 8 巻 6 号 p. 329-335
    発行日: 1985/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胃癌患者末梢血中のT-cell亜群を測定し, 2~3の知見を得た.
    (1) 術前stage別末梢血T-cell亜群(OKT3, OKT4, OKT8, OKT4/OKT8比)は,癌進行度と相関がみられなかった.
    (2) 非治癒手術後例・再発例では,治癒手術後例と比べOKT4は低下し, OKT8は上昇し, OKT4/OKT8比は低下するものが多かった.
    (3) OKT4/OKT8比は, IgGFcR+ T-cell, ConA/PHA比いずれとも相関はみられなかった.
    (4) IgGFcR+ T-cellが高値でOKT4/OKT8比が低値を示す症例では, PHA芽球化率が低値を示した.
    (5) stage IV(非治癒手術後例)では,術後除々にOKT4/OKT8比は低下した.
    以上, flow-cytometryを用いてT-cell亜群を測定することは,免疫機能を示すparameterとして臨床的に有用であると考えられた.
  • 田村 尚亮
    1985 年 8 巻 6 号 p. 336-344
    発行日: 1985/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    難治性の慢性気道感染の合併を特徴とするぴまん性汎細気管支炎(DPB)では,その背景または本態に,何らかの免疫学的機序の関与が推測されているが,いまだ十分な検討が行われていない.健康成人15名を正常対照として,自験DPB症例23名の抗体産生能を中心としたB細胞機能について検討した.
    DPBのB細胞は, in vitroでのPWMによるIg産生細胞への誘導に低反応であったが,これはT細胞,単球の機能異常によるものではなく, B細胞がin vivoで既にpolyclonalな活性化を受けているためと考えられた.また,抗μ抗体とBCGF, BCDF含有上清を用いたB細胞の増殖能,分化能の検討により, in vitroでのB細胞機能異常は,分化成熟過程での障害によることが示唆された.
    今後は,局所の病像と,全身反応の表現である免疫学的異常所見とを関連づけた研究が必要であることを示した.
  • 徳弘 英生, 船渡 忠男
    1985 年 8 巻 6 号 p. 345-351
    発行日: 1985/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    数回のリンパ節生検組織像および剖検(4例)よりimmunoblastic lymphadenopathy (IBL)と明確に診断された48歳より59歳の男2,女3の計5例について,おもに免疫学的所見を検討した.発症の発端にもなる薬剤過敏を示すものが多く,皮膚〓痒,発疹,再発性の発熱をきたし,全身性表在リンパ節の腫脹のみならず, 4例は縦隔洞リンパ節も腫脹,肝,脾腫をみとめ,感染症,自己免疫性溶血性貧血を合併し,死亡4例中3例は感染症によった.異常抗体の出現があったが,特に抗グロブリン試験は4例中3例において陽性で,多クローン性高γ-グロブリン血症を呈し, 1例には尿中にFc fragmentがみられた.末梢リンパ球のCon Aに対する反応性は低下, PWM刺激によるIg分泌細胞は著増し,抗体産生系の賦活が示唆された.また, PHA加芽球化試験MLC試験に患者血清が抑制的に働く成績を得た.よって, IBLではhelper T cell機能亢進, suppressor T cell機能の低下があり, T cell機能抑制因子が血清中に存在することが推測される.
  • 倉持 恒雄, 大貫 忠男, 丸山 寛迪, 井上 真夫, 石田 尚志
    1985 年 8 巻 6 号 p. 352-358
    発行日: 1985/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    自己リンパ球混合培養反応autologous mixed lymphocyte reaction (AMLR)は, in vitroで自己の非T細胞に対して自己のOKT4 T細胞が反応する現象であり,その反応が免疫学的特異性と免疫記憶を具備していることからリンパ球の細胞間相互作用における免疫networkのモデルとして注目されている.
    本論文では, IgA腎症患者におけるAMLR,健常人リンパ球とのallogeneic MLRおよび自己赤血球ロゼット形成autologous rosette formation (ARF)を調べるとともに,患者末梢血中のT cell subsetsとAMLRとの相関について検討した.
    対象および方法: IgA腎症患者16名,健常人20名の末梢血より比重遠沈法にて単核球を採取したのち,その一部をplastic Petri dishに移し37°C, 60分間温置してplastic表面に付着する細胞とplastic表面に付着しない非付着細胞を得た.
    Petri dishに付着しなかった細胞群は,ヒツジ赤血球とrosetteを形成させたのち,比重遠沈法によりT細胞を精製した.このT細胞群は, OKT8 monoclonal抗体とウサギ補体で処理してOKT4細胞に分画し, AMLR, allogeneic MLRの反応細胞として,マイトマイシン処理された自己の非T細胞あるいは健常人の非T細胞と混合培養した. ARFは,末梢血リンパ球をCon Aとともに72時間,前培養したのち,自己赤血球を加えてロゼット形成能を観察した.末梢血中のT cell subsetsは, monoclonal抗体のOKシリーズのうち補体結合能を有するOKT3, T4, T8を用いmicrocytotoxicity testにより全細胞に対する死細胞を算定した.
    成績: IgA腎症患者のAMLRの反応性は,健常人のAMLRに比較して著明に低下した(p<;0.001).
    反応細胞に患者のOKT4+細胞,刺激細胞を健常人の非T細胞としてMLRを実施したときの反応性は患者のAMLRの成績と有意差をみとめなかったが,逆の場合のMLRの反応は,健常人におけるallogeneic MLRの反応性と一致した.自己赤血球ロゼット形成率は,患者リンパ球で著しく低下していた(p<0.001).患者の末梢血T cell subsetsは, OKT3+, T4+細胞の著明な低下をみとめたが, OKT8+細胞に変化はみとめなかった.
    結論:今回, IgA腎症患者においてAMLRの反応性の著明な低下,末梢血リンパ球中のOKT4+細胞およびARF形成率の著明な低下がみとめられたが, AMLRは,その反応細胞がOKT4+細胞に限極されていること,自己赤血球ロゼット形成細胞がAMLRにおける反応細胞の一部である可能性も報告されていることから推測すると, IgA腎症患者の免疫応答は, OKT4+細胞の反応系に異常があることが示唆された.
  • 市川 幸延, 清水 宏明, 内山 光昭, 有森 茂
    1985 年 8 巻 6 号 p. 359-366
    発行日: 1985/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    免疫不全症患者に自己免疫性溶血性貧血(AIHA)が発症する場合のあることが知られている.またAIHA患者には血清免疫グロブリン異常がしばしば認められることも報告されているが,極端に血清免疫グロブリンが低下することはまれである.
    私達は,溶血発作時に著しい低IgM血症(7mg/dl)を伴ったIgG抗体による特発性AIHAの一例を経験したのでここに報告する,その他の血清免疫グロブリンではIgA(408mg/dl)とIgE(1,090u/ml)は増加し, IgG(759mg/dl)は軽度に減少していた.表面免疫グロブリン陽性細胞として測定した末梢血Bリンパ球は7.3%と正常で, IgG, IgA, IgM陽性Bリンパ球もそれぞれ7.7%, 2.0%, 3.7%と正常に存在した.一方,末梢Tリンパ球はOKT3, OKT4, OKT8陽性細胞のいずれも著減していた.本症例にみられた低IgM血症は一過性で,メチルプレドニゾロンによる治療によって溶血が改善するに従い血清IgM値は正常化した.
  • 向井 正也, 佐川 昭, 渡部 一郎, 谷村 一秀, 清水 昌人, 沖 一郎, 大西 勝憲, 藤咲 淳, 中川 昌一
    1985 年 8 巻 6 号 p. 367-373
    発行日: 1985/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例, 72歳,女性,腰痛を主訴として来院. Bence Jonesλ蛋白を認めたほか,末梢血で形質細胞を34%認め, Bence Jones型形質細胞性白血病と診断した.さらに腎不全を認め,化学療法に加えて,血漿交換療法を施行した.一時,腎機能は著明に改善したが,再び増悪し,その後の治療に反応せず死亡した.
    剖検では腎組織にて,尿細管内に骨髄腫蛋白を認めたほか, PAP染色にて尿細管上皮細胞内にλ型蛋白を認めた.以上より, Bence Jones蛋白と腎不全との関係について考察し,あわせて,血漿交換療法の有用性について述べた.
  • 三木 知博, 山内 康平, 勝部 知子, 小林 祥泰, 坂根 剛, 恒松 徳五郎, 長岡 三郎
    1985 年 8 巻 6 号 p. 374-381
    発行日: 1985/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    D-PenicilIamine (D-PC)は,進行性全身性硬化症(PSS)に対してその有効性が議論されている.われわれも,肺線維症を伴うPSS症例において,副腎皮質ステロイド薬で治療していたが,肺線維化が進行増悪したためD-PCを併用した.肺線維化の進行を抑制しえたが,投与1ヵ月半後に近位筋の脱力があらわれ,血清CPKなどの筋原性酵素が著明に上昇し,筋電図および筋生検で多発性筋炎に合致する所見を得た. D-PCの投与中止で多発性筋炎の症候は完全に改善した. D-PCの副作用は従来より種々報告されているが,本例のようなD-PCで多発性筋炎を起こした症例は,世界でも20数例を数えるにすぎない.さらに本例のごとく少量(200mg/日)で著明な筋炎症状を示した例はまれである.ここで遭遇した経験は,少量でしかも比較的短期間の投与で,かかる重篤な副作用が起こりうることを明らかにした.
  • 佐野 統, 熊谷 俊一, 井村 裕夫, 恒松 徳五郎
    1985 年 8 巻 6 号 p. 382-388
    発行日: 1985/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    SLEの活動性が抑制された時期に,抜歯が契機で細菌性心内膜炎を発症し大動脈弁閉鎖不全症をきたした1例を報告する.症例は36歳女性. 33歳顔面蝶形紅斑,脱毛にて発症したSLE. 36歳発熱, discoid疹,蛋白尿,赤沈促進,リンパ球減少,抗DNA抗体高値,低補体価をみとめ当科入院,ステロイド剤と免疫抑制剤により上記症状,検査所見は改善した.その時期に抜歯を行ったところ,発熱,蛋白尿,拡張期雑音,赤沈促進, CRP陽性, PCG, UCGで大動脈弁閉鎖不全症の所見をみとめた.また,血液培養にてenterococcusが証明されたため,細菌性心内膜炎の合併と診断し大量の抗生物質を投与したところ,菌は陰性化した.翌年,再び同様の症状が出現し血液培養で同一菌を検出した.今回われわれは,本症例の臨床所見,抗enterococcus抗体価の変動,免疫学的検査所見などから, SLEにおける心内膜炎の発症機序について若干の考察を加えて検討した.
  • 近田 研, 四方 治, 大塚 亨, 中嶋 博久, 篠崎 隆, 磯野 倫夫, 前野 仁史, 斎藤 征夫, 沢木 〓二
    1985 年 8 巻 6 号 p. 389-392
    発行日: 1985/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    免疫機能における胸腺の中枢的な役割はよく認識されている.視床下部・下垂体・副腎系も免疫反応をコントロールする1因子と考えられているが,その詳細は不明である.著者らは以前,下垂体摘出・副腎摘出ラットにおいて,血清免疫グロブリン量の増加することを報告した.今回,下垂体摘出・副腎摘出ラットのリンパ系細胞(胸腺・脾臓・末梢リンパ球)の表面マーカー(W3/13・W3/25・ox 8)を, FAcs 440を用いて解析した.下垂体摘出・副腎摘出ラットの末梢リンパ球・ox 8+細胞の減少と,脾細胞・末梢リンパ球のW3/25+/ox 8+比の上昇を認めた.これらの結果より,下垂体・副腎は免疫機構の調節に関与していると思われる.
feedback
Top