日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第33回日本臨床免疫学会総会抄録集
選択された号の論文の136件中101~136を表示しています
  • 木村 納子, 安岡 秀剛, 花岡 洋成, 古屋 善章, 高田 哲也, 香月 有美子, 金子 祐子, 野島 崇樹, 佐藤 慎二, 諏訪 昭, ...
    セッションID: 11-8
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    32歳女性。1990年3月に皮下出血と多関節痛が出現し、他院で、血小板減少、抗核抗体陽性、梅毒反応生物学的偽陽性 、ループス抗凝固因子陽性よりSLEと診断、PSL20mg/日が開始された。1992年6月、PSL 15 mg/日投与中に当科に転院、その後PSL減量とともに血小板減少と出血症状を繰り返した。2002年2月、PSL15mg/日投与中に蛋白尿が出現、9月に血清クレアチニン(Cr)が1.4 mg/dl と上昇。同年10月にPSL30mg/日に増量したが蛋白尿と血清Cr高値が続き、腎生検を施行。腎生検所見では、明らかなimmune depositを認めず、光顕での double tract、電顕での広範な内皮下腔拡大、電顕・光顕でのmesangiolysis を示唆する所見があり、血栓形成は認めないものの糸球体のthrombotic microangiopathy の存在が示唆された。また、小動脈のフィブリン血栓と内膜肥厚の所見を認めたことより、本症例の腎障害はループス腎炎ではなく小血管の非炎症性閉塞が主体で、抗リン脂質抗体が関与するものと考えられ、2003年4月より抗凝固療法を開始し、尿蛋白消失、腎機能の改善が認められた。SLE症例における腎障害の病態や治療法を考えるうえで貴重な症例であり報告する。
  • 片岡 浩, 渥美 達也, 近藤 真, 櫻井 典之, 保田 晋助, 小池 隆夫
    セッションID: 11-9
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    【背景】抗リン脂質抗体は、試験管内で凝固時間を延長させる抗凝固作用を示す一方、生体内においては向凝固活性を呈し血栓症を起こす自己抗体であり、全身性エリテマトーデス(SLE)の患者で陽性となることが多い。また凝固因子に対する自己抗体を生じて、出血症状を呈するSLEの例も報告されている。小児においては、感染症を契機に抗プロトロンビン抗体が出現し、出血症状を呈することがある。
    【症例と考察】17歳男性。平成11年に発症した、抗リン脂質抗体陽性のSLE患者で、平成14年に舞踏病様症状を呈したため、ステロイド大量療法を行った。以後漸減し、プレドニゾロン10mg/日で病状は安定していた。平成16年4月血清学的活動性亢進とともに四肢に深部出血を生じたため、当科入院となった。プロトロンビン時間および活性化部分トロンボプラスチン時間の著明な延長と、広範な凝固因子活性低下が認められた。SLEの活動性亢進に伴い凝固抑制因子が出現したものと判断し、プレドニゾロン60mg/日で治療を行った。出血症状および凝固因子活性の改善と並行し、IgM型フォスファチジルセリン依存性抗プロトロンビン抗体(aPS/PT)価の減少が認められた。しかしその他の抗リン脂質抗体は、治療開始前と同等の抗体価を示していたことから、IgM型aPS/PTがプロトロンビン活性を抑制し、出血症状を発症する原因となっていた可能性が示唆された。
  • 坂井 知之, 福島 俊洋, 澤木 俊興, 河南 崇典, 下山 久美子, 唐沢 博美, 正木 康史, 廣瀬 優子, 小川 法良, 菅井 進, ...
    セッションID: 11-10
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    48歳、女性。2003年12月2型糖尿病、うつ病を発症、2004年2月より胸水・腹水・蛋白尿・浮腫が、2004年8月より血小板減少が出現。白血球減少、抗DNA抗体陽性、抗Sm抗体陽性、抗核抗体陽性よりSLEと診断。2型糖尿病は発症初期よりインスリン抵抗性で抗インスリン受容体抗体陽性よりインスリン受容体異常症B型の合併と診断した。prednisolone 25mg/dayに抵抗性でcyclosporin A 200mg/dayを併用し抗インスリン受容体抗体は消失し、最大340単位/日であったインスリン投与量は6単位まで改善した。蛋白尿も著明に減少した。抗DNA抗体・抗Sm抗体は低下傾向を認めたが、胸腹水の改善なく、抗核抗体は不変で補体も低値のままであった。Rituximab 500mgを合計2回投与したところ、抗DNA抗体、抗Sm抗体、抗核抗体は陰性化し補体の上昇、腹水の消失が得られた。一方、胸水、血小板減少の改善は得られなかった。考案:インスリン受容体異常症B型を合併したSLEに対し、prednisolone + cyclosporin Aでは効果不十分であったが、腹水、各種自己抗体陽性、補体低下がRituximab投与にて寛解した。胸水・血小板減少の改善が得られなかった原因としてSLE以外の要因(CMV感染や胸管損傷など)の関与が示唆された。
  • 栃本 明子, 川口 鎮司, 立石 睦人, 深澤 千賀子, 高木 香恵, 田中 みち, 市田 久恵, 勝又 康弘, 菅野 朗子, 副島 誠, ...
    セッションID: 12-1
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    目的:強皮症(SSc)において間質性肺病変(ILD)は予後を決定する重要な合併症の一つで欧米では進行を抑制する目的で積極的に免疫抑制剤による治療が行われている.今回我々はILDに対するシクロホスファミド静注療法(IVCY)の有用性を検討したので報告する.方法:2000年5月以降に当院に入院したSSc患者121例のうち,活動性ILD(胸部CTにて新たな浸潤影または網状影の出現かつ自覚症状の悪化を認める)14例を対象とした.IVCY (400 mg/m2,月1回,2_-_6回)とプレドニゾロン30または40mg/日内服治療を併用した.治療前,治療3, 6, 12ヶ月後に自覚症状,胸部CT,肺活量,血清KL-6値をスコア化しILDの評価を行った.結果:13例は治療前と12ヶ月後で比較し,評価4項目の合計ポイントは有意な低下を認め,ILDの活動性の低下が認められた.また再燃は見られなかった.経過中骨髄障害や出血性膀胱炎などの重篤な副作用はみられなかった.因果関係は不明だが,1例は1回目のIVCY後にウイルス性心膜炎を併発したため以後中止した.結論:CY静注療法は,SScに合併したILDに有用な治療法であることが示唆された.
  • 川口 鎮司, 栃本 明子, 川本 学, 高木 香恵, 勝又 康弘, 岡田 純, 近藤 啓文, 大久保 光夫, 副島 誠, 菅野 朗子, 鎌谷 ...
    セッションID: 12-2
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    (目的)強皮症(SSc)に合併する肺高血圧症(PH)の発症の病態を解明する目的で、血管作動性因子、エンドセリン(ET)-1および一酸化窒素(NO)の病態への関与を検討した。(方法)SSc患者48例(PH合併例22例)を対象とした。血漿ET-1はELISAで、血清NO代謝産物は比色法で測定した。NO合成酵素(NOS)-2の遺伝子解析には、蛍光ラベルしたプライマーをもちいたPCRを利用したGeneScan法にて行った。(結果)PHの合併にかかわらず、SSc患者では健常人に比較し、血漿ET-1濃度が有意に高値であった。一方、血清NO代謝産物は、PHを伴わないSSc患者では健常人と比較し有意に高値を呈したが、PHを伴うSScでは、健常人と同等の濃度であった。血中のNO/ET-1比が、PH合併SScにおいて他の群と比較し有意に低下していた。NOS-2遺伝子の転写活性に関与するとされるCCTTT繰返し配列の検討で、PHを伴うSScでは、健常人およびPHを伴わないSScに比較し、繰り返し回数が有意に少なかった。(結論)肺高血圧症の発症に、ET-1産生とNO産生の不均衡が関与しており、NO産生の抑制には、NOS-2遺伝子多型が関与していることが示唆された。
  • 野島 崇樹, 諏訪 昭, 金子 祐子, 佐藤 慎二, 桑名 正隆, 平形 道人
    セッションID: 12-3
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 肺高血圧症(PH)を合併した混合性結合組織病(MCTD)患者の臨床免疫学的特徴の追求。【方法】 対象は、教室のMCTD患者 297例。(1996年改訂、診断の手引きより(厚生省MCTD班))PH合併MCTD例を、前毛細血管性(isolated PH:iPH)、心肺疾患に起因する後毛細血管性PH(cpPH)、PH非合併群(非PH群)の3群の層別化し、臨床特徴を分析した。【結果】1)PH合併MCTD例は53例(17.8%)、iPH群:cpPH群が48:5と、iPH群が高頻度であった。(男女比4:49)2)患者背景では、男女比、発症年齢に差はなかった。3)PHは強皮症を含む重複症候群で高頻度に認められた。一方、他の膠原病基準を満たさない19例ではPH合併を認めなかった。4) iPH群は非PH群と比較し、前腕を越える皮膚硬化、開口障害、pitting scar、皮膚潰瘍、持続性蛋白尿、下肺野-肺線維症、DLco低下、%VC低下、食道運動低下、貧血、低補体血症、ループスアンチコアグラント、抗リボソーム抗体、抗SS-A抗体、ステロイド投与、PG製剤治療が高頻度であった。5)iPH群、cpPH群ともに予後不良であった。【結語】PH合併MCTD例の臨床免疫学的特徴が明らかとなった。
  • 星野 八千代, 深谷 修作, 片山 雅夫, 近藤 啓文, 吉田 俊治
    セッションID: 12-4
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    【目的・方法】MCTDには高率にPHの合併を認めることが知られているが、報告される合併率にはばらつきが見られる。そこで、厚生労働科学研究難治性疾患克服研究事業MCTDに関する研究班においてMCTD患者全例に心エコー検査を必須としPHの合併率を調査した。また、この調査で抽出されたPH合併MCTD患者について1年後に再度心エコー検査やPHに由来する臨床所見の有無につき調査した。 【結果】MCTD患者には22.5%と高率にPHの合併を認めた。この内、PHに由来すると考えられる臨床所見を認めない患者が過半数を占めた。また、1年後の再調査において、推定肺動脈(PA)圧が40mmHg以上の患者では推定PA圧に変動を認めたが、40mmHg未満の患者においては推定PA圧はほとんど変化を認めなかった。 【結語】1. PHを示唆する臨床症状・所見を呈さないにもかかわらず、PHを合併する症例が多数存在することが判明した。2.MCTD患者におけるPHのスクリーニングには心エコー検査は必須と考えられた。3.1年間の観察期間では、PA圧40mmHg未満の軽症例は軽症のまま推移し臨床症状・所見もほとんど変化を認めなかった。4. PHに由来する臨床症状・所見は、推定PA 圧40mmHg以上の症例で40mmHg未満の症例に比し高率に認められた。5.3,4より、MCTDにおいて治療の対象となるPHは、推定PA圧40mmHg以上の症例と考えられた。
  • 山崎 あけみ, 浦野 和子, 市川 奈緒美, 田辺  学, 立石  睦人, 小笠原  孝, 山田 隆, 稲田 進一, 角田 雅美
    セッションID: 12-5
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    【症例】24歳、女性【主訴】筋力低下【現病歴】96年より、レイノー現象、関節痛、日光過敏を認め、98年に発熱、血球減少、筋力低下、抗U1-RNP抗体単独陽性よりMCTDと診断。PSL 30 mg/日を開始し、経過良好であった。04年3月にPSL自己中止。10月より全身倦怠感、下肢筋力低下による歩行困難が出現。CK正常であったが、PSL 30 mg/日再開し、リハビリにて症状軽快した。05年1月にPSL 14 mg/日の時点で四肢の疼痛が出現。4月より、握力低下、四肢筋力低下を認め、PSL 30mg/日に増量したが、歩行困難となったため、5月25日精査加療目的で入院となった。【入院後経過】両上下肢の筋力低下、DTRの消失(アキレス腱反射は残存)を認めた。ANA陽性、抗DNA抗体陰性、抗U1-RNP抗体、抗SS-A抗体は陽性であった。髄液検査にて蛋白145 mg/dl、細胞数 2/3と蛋白細胞解離を認め、神経伝導速度検査にて両上肢のMCVの低下を認めた。CIDPと診断し、γグロブリン大量療法(0.4 g/kg/day×5日間)を施行。1週目より独歩可能、3週目よりMMT、DTR正常化し、神経伝導速度も改善傾向となった。【考察】MCTDに合併するCIDPはまれである。本症例ではガンマグロブリン大量療法が著効し、病態を考える上でも興味深く報告した。
  • 西澤 正俊, 竹内 孝男, 新宅 雅幸
    セッションID: 12-6
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    MCTDは肺高血圧症の合併が無ければ、一般に予後の良い膠原病と言われる。また一種の膠原病重複症候群でもある本疾患で種々膠原病の諸症状の消長、移行を長期間観察し得ることは、異論もあるこの疾患単位を認識しなおす上で非常に意義深い。今回我々はこうした疑問に考察を与え得る症例を経験したので文献的考察を加え呈示したい。症例は36歳女性。15歳時レイノー症状にて発症、ステロイド内服加療を開始した。SLE(蝶形紅斑、関節痛、低補体血症)、多発性筋炎(筋力低下、筋原性酵素上昇)、強皮症(レイノー症状、皮膚硬化、指端壊疽)が出現し、抗RNP抗体陽性よりMCTDと診断した。22歳頃より皮膚潰瘍出現。32歳頃より特に冬季に指端壊疽が強くなり、手指断端形成術、頻回の創部処置などを行った。平成16年10月(36歳)左S1にBOOP様肺炎を認めたが、自然軽快した。平成17年3月(36歳)38℃台の発熱、上気道炎症状、指端壊疽の増悪にて入院。レイノー症状強く、指端壊疽は急速に進行し、両側環指切断術が必要となった。入院時は胸部CT上軽度の間質性肺炎像のみであったが、4月下旬には右肺S1にBOOP様肺炎、炎症反応上昇を認め、種々の抗生剤投与では一時的な軽快のみで再び増悪するという経過であった。呼吸状態は酸素投与無しにて安定していたが、5月上旬深夜より突如呼吸困難が出現し、胸部レントゲン写真上両側に鬱血像を認め、呼吸不全に至り、翌早朝死亡された。
  • 副島 誠, 高木 香恵, 勝又 康弘, 菅野 朗子, 栃本 明子, 川口 鎮司, 鎌谷 直之, 原 まさ子
    セッションID: 13-1
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】多発性筋炎(PM)・皮膚筋炎(DM)に対する第一選択薬として副腎皮質ステロイド薬(CS)が用いられる。しかし、ステロイド抵抗性の症例も存在する。近年、炎症性筋疾患の治療として、CS療法以外にも、免疫抑制薬や免疫グロブリン療法の有効性が報告された。今回、我々はステロイド抵抗性の症例の特徴を分析し,治療開始時にその症例を予測する因子の同定を試みた。【方法】1992年から2004年までに当院に入院したPM/DM 117例のうち,筋症状に対して4週間以上CS大量単独治療(1mg/kg以上)を行った45例を対象とした。治療前と4週後の筋力を徒手筋力検査で評価し,筋力の改善を認めたものを治療反応良好群 (R-群),改善を認めなかったものを治療反応抵抗群(N-群) に分類した。【結果】R-群は32例 (71%),N-群は13例 (29%)であった。入院時のCK,AldはN-群で有意に高値であった。治療前のCK 4536 IU/ml以上,Ald 80.8 IU/ml以上の症例ではそれぞれ77.8%,85.7%の確率でN-群に分類された。また,治療開始2週後のCK,Aldの改善率はR-群に比し,N-群では有意に低かった。【考察】PM/DMに対するCS治療は第一選択薬とされているが,入院時のCK値,Ald値,または治療開始2週後でのCK,Aldの改善率は、2次治療の必要性を考慮するのに有用な指標となることが示唆された。
  • 松下 貴史, 長谷川 稔, 藤本 学, 佐藤 伸一, 竹原 和彦
    セッションID: 13-2
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    アミノアシルtRNA合成酵素(aminoacyl-tRNA synthetase:ARS)に対する自己抗体は皮膚筋炎/多発性筋炎(DM/PM)に特異的であり、本抗体陽性例では間質性肺炎(IP)を高率に合併する。当科および他施設の患者血清にて免疫沈降法を行ったところ、抗ARS抗体はDMの29%(16/55例)、PMの22%(2/9例)、筋炎を伴わないIPの25%(7/28例)に検出された。詳細に検討しえたDM35例を抗ARS抗体の有無で解析すると抗体陽性例では陰性例に比べてIP(94% vs. 23%)、発熱(64% vs. 10%)、及びCRP上昇(81% vs. 27%)が有意に高率に認められた。また、抗体陽性例ではステロイド剤内服治療に加え、他の免疫抑制剤の併用を高頻度(87% vs. 26%)に要した。
  • 伊藤 能永, 吉藤 元, 小林 志緒, 井村 嘉孝, 藤井 隆夫, 川端 大介, 臼井 崇, 田中 真生, 藤田 義正, 梅原 久範, 三森 ...
    セッションID: 13-3
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】筋炎特異的自己抗体である抗SRP抗体はPM/DMの4-8%を占め,陽性例はしばしばステロイド抵抗性で治療に難渋する.抗SRP抗体陽性PM/DM 例の臨床経過を解析し,難治性の要因を検討した.【方法】2001_から_2004年に診療したPM/DM 74 例を対象とし,血清のRNA免疫沈降法により抗SRP抗体を測定した.対象を同抗体の陽性群と陰性群に層別化し,臨床症状および臨床経過を解析した.【結果】7SL-RNAを免疫沈降する抗SRP抗体はPM/DM 74例中6例(8%)に検出された.同抗体陽性PM/DM群は陰性群に比べ,最大血清クレアチニンキナーゼ(CK)値が有意に高く(10726±6658 vs 2635±3036 IU/L,p=0.001),筋症状はステロイド抵抗性(有効率20% vs 82%,p=0.012)で, かつ持続性の経過(50% vs 4%,p<0.01)を示した.しかし,発症から治療開始までの期間,最大投与ステロイド量,治療開始前に対する8週後のCK値の低下率は2群間で有意差がなかった.【結語】抗SRP抗体陽性筋炎の難治性に寄与する因子として発症時のCK値の高さが重要と考えられ,早期に広汎な筋組織が侵されるために治療に長時間を要する可能性が示唆された.
  • 多喜 博文, 荒井 信貴, 篠田 晃一郎, 蓑 毅峰, 川原 順子, 松井 祥子, 杉山 英二, 小林 正
    セッションID: 13-4
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    50歳 女性。1994年の検診でRF陽性を指摘されていたが特に関節痛などの自覚はなかった。2002年9月より手掌の掻痒感を認め近医皮膚科で尋常性乾癬といわれた。同年11月より39℃台の弛張熱が出現するようになった。2003年1月頃より、朝の手のこわばりとレイノー現象や手指、膝の関節痛なども出現。同年2月28日近医リウマチ科を受診、多発関節痛とRF陽性などから関節リウマチと診断され、PSL10mg/日, MTX6mg/週を開始。皮疹は改善したが発熱が改善せず、MTXを中止されPSLを20mgに増量され解熱した。しかし、同時期から労作時呼吸困難(DOE)を自覚、胸部CTにて間質影を認めステロイドパルス療法を施行され改善を認めた。しかし、PSLを減量中に、熱発、CRP上昇を認め、2003年3月31日当科第一回目入院となった。入院後、病理組織学的診断のためVATSを施行しUIPに矛盾しない組織像が得られた。その後、外来でもステロイド治療抵抗性であり、2004年2月9日精査加療目的にて当科再入院。入院時の検査所見で軽度の筋原性酵素の上昇と関節伸展側の皮疹、抗PL-12抗体が陽性であり、抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体症候群と診断した。シクロスポリンの併用を開始し、症状の軽快を認めた。抗PL-12抗体陽性の抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体症候群は珍しく、若干の文献的考察を加えて報告する。
  • 橋本  美季子, 川端 大介, 井村 嘉孝, 吉藤 元, 臼井 崇, 田中 真生, 藤井 隆夫, 三森 経世, 須賀 英道
    セッションID: 13-5
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    (背景) ステロイド精神病はステロイドの重大な副作用の一つであり、その治療はステロイドの減量、中止である。しかし膠原病治療においては原疾患治療のために減量、中止が困難であることが多い。今回我々は向精神薬に抵抗性のステロイド精神病に対して通電療法 (ECT)が著効した症例を経験したので報告する。(症例) 55歳女性。2001年11月近位筋力低下、筋電図の筋原性変化、CK高値 (18854 IU/L)、抗SRP抗体陽性より多発性筋炎と診断、プレドニゾロン (PSL) 60mg/dayが開始された。筋炎は寛解したがステロイド精神病と思われる抑鬱状態が出現したためPSLは減量後中止、以後シクロスポリンのみで加療された。2003年春より筋炎が再燃 (CK 10000 IU/L台)、PSL40mg/dayの投与が開始されたが、抑鬱状態が増悪し、徘徊をみたため当院転院となる。入院後、PSLのみで筋炎は軽快するも精神症状は増悪、緊張病状態を呈した。向精神薬による副作用が強く、また抵抗性であったことからECTが選択された。ECT 3回目より緊張病状態は改善傾向を示し疎通性も改善した。ECTの中断により再燃したため月1回ECTを継続し (計26回)、精神症状の寛解維持が可能となった。(結語) 薬物療法に抵抗するステロイド精神病に対してECTは選択する価値がある治療法と考えられた。   
  • 青木 昭子, 大野 美香子, 武田 由希子, 新野 史
    セッションID: 13-6
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    【症例】73歳,男性.60歳時肝膿瘍の既往.6ヵ月前から歩行困難,食思不振,体重減少あり入院となった.入院時上眼瞼,手指関節,肘関節伸側に落屑を伴う紅斑,近位筋の萎縮と筋力低下を認めた.皮膚筋炎(DM)と診断し,ステロイドパルス療法,プレドニゾロン(PSL)50mg/日投与,γグロブリン大量療法施行した.食思不振,皮膚筋症状改善し,第69病日退院となった.入院時の検索では胸部CTにて肺気腫,両側下肺野間質影,左肺門リンパ節の腫大を認めた.腹部CTでは肝内にSOLを認めたが肝膿瘍後の変化と考えた.退院2ヵ月後から背部痛の増強,食思不振あり,第2回入院となった.筋原性酵素上昇,発疹はなかったが,胸腹部CTにて左肺門から上葉に広がり,肋骨に浸潤する腫瘍と浸潤影,多発性肝腫瘍を認め,肺がん,肝転移,肺炎合併と診断した.疼痛管理,肺炎治療にて自覚症状改善するも第10病日死亡となった.【剖検所見】左肺門を中心に3cm大の灰白色腫瘍を認め組織学的には多形がんと診断した.肝内,心筋内に転移巣が認められた.左上葉には出血壊死を伴うアスペルギルス肺炎を認めた.【考察】本例はステロイドでDMは寛解し,肺がんの進行にも関わらず寛解のまま,感染症が直接原因で死亡した.DMはparaneoplastic syndromeと考えられ,悪性腫瘍の進行時はステロイド抵抗性である場合が多いが,ステロイドが著効し悪性腫瘍の経過とDM症状が乖離する症例もあると考えた.
  • 黒田 将子, 山藤 智子, 上田 大史, 渡邉 幹夫, 岩谷 良則
    セッションID: 14-1
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】以前我々の研究室では、末梢血IgG3産生細胞数が、バセドウ病(GD)難治群において寛解群に比し増加していることを見出した。そこで今回、血清IgG3/IgG比率とGD患者の難治性との関連を検討した。同時に、甲状腺腫大度との関連についても検討を行った。【方法】5年以上の抗甲状腺剤治療によっても寛解導入できないGD難治群58例、抗甲状腺剤治療によりTRAbが陰性化し、その後無投薬で2年以上甲状腺機能が正常なGD寛解群26例、および健常群39例について検討した。血清中IgGおよび、IgG3濃度はELISAを用いて測定した。【結果】GD難治群の血清IgG3/IgG比率は、GD寛解群に比し有意に増加していた(p<0.05)。また、甲状腺腫大度もGD難治群で有意に増大していた(p<0.05)。難治性GDを検出する感度は、IgG3/IgG比率(17.6%以上を陽性)では17.2%、甲状腺腫大度(横径6.0cm以上を陽性)では19.0%であったが、両者を組み合わせると感度は32.8%と倍増した。【考察】血清IgG3/IgG比率がGD難治群で増加しており、以前のGD難治群におけるIgG3産生細胞数増加の結果と一致した。血清IgG3/IgG比率と甲状腺腫大度の組み合わせが、GDの難治性の予測に有用であることが示唆された。
  • 玉井 慎美, 川上 純, 中村 英樹, 藤川 敬太, 荒牧 俊幸, 岩永 希, 和泉 泰衛, 有馬 和彦, 黄 明国, 蒲池 誠, 荒武 弘 ...
    セッションID: 14-2
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    回帰性リウマチでのリウマトイド因子(IgM-RF)と抗CCP抗体の陽性率を検討した。初診までの平均罹病期間が1年から30年までの10症例で、IgM-RFは70%(7/10)に、抗CCP抗体は40%(4/10)に、また、これら抗体がともに陽性の症例は30%(3/10)であった。回帰性リウマチ10症例から関節リウマチに移行した症例はなかったが、2症例の関節症状の経過は回帰性から持続性となった。10症例中3症例は初診から2年から7年の経過で継時的にフォローしており、これら3症例は初診時はIgM-RF陰性だったが、2症例は経過中にIgM-RF陽性となった。私たちの10症例の検討では、回帰性リウマチから関節リウマチに移行した症例はなかった。しかしながら、IgM-RFと抗CCP抗体の陽性率は健常人コントロールより明らかに高く、また、関節症状の経過が持続性になる症例もあり、回帰性リウマチでは、これら自己抗体と関節症状の推移の計時的な評価が必要と考えられた。
  • 鏑木 淳一
    セッションID: 14-3
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    [目的]日常診療における骨吸収マーカー測定の有用性を明らかにすることを目的とした。[方法](1)関節リウマチと診断されず、骨粗鬆症が認められた25例を対象とした。(2)骨吸収マーカーとして、尿中NTX、尿中DPD、血清NTXをELISAで測定した。(3)リセドロネート投与72週後まで、骨吸収マーカーの変動を、経時的に追跡した。[結果](1)リセドロネート投与4週後、尿中NTXの減少率は、42.6±17.2%であった。これは、尿中DPDの減少率である14.6±14.8%に比べ、有意に(p<0.01)高かった。(2)血清NTXの減少は、尿中NTXと同様にみられた。(3)尿中NTXの減少率が、尿中DPDの減少率に比べ、有意に高い傾向は、リセドロネート投与12週後、24週後、48週後、72週後まで認められた。[結語]骨粗鬆症の治療効果を調べる日常診療において、尿中NTXの測定が有用であることが考えられた。
  • 山形 俊昭, 玉置 千勢, 野崎 祐史, 杉山 昌史, 生駒 信也, 木下 浩二, 船内 正憲
    セッションID: 14-4
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    症例は64歳女性。平成17年2月、事故による左上腕骨骨折後の呼吸困難および下肢の浮腫を主訴に近医受診。その際、肝脾腫、心不全、汎血球減少を認めたため同院入院となった。入院後、心不全や浮腫は改善を認めるも汎血球減少が遷延し、腹部エコー、CT,MRIにて門脈狭窄を認め、脾機能亢進に伴う汎血球減少を疑われた。また、血液検査上、抗カルジオリピン-β2GP_I_抗体陽性、ループスアンチコアグラント陽性を認めた為、平成17年5月当科紹介入院となった。臨床症状及び抗核抗体陰性などの所見より原発性APSと診断。以後新たな血栓症の症状を認めなかったため少量アスピリン投与のみで経過観察となった。一方、入院経過中のスクリーニング検査上甲状腺腫瘍が認められ穿刺細胞診にて乳頭癌と診断。また頭部MRIにて下垂体腺腫を指摘、さらに入院前より認めていた前額部黒色腫瘤の生検にて基底細胞癌を診断された。原発性APSと重複癌の合併は稀であり、両者の関わりは明らかではないが何らかの免疫学的異常が関与している可能性も考えられたため報告する。
  • 吉藤 元, 梅原 久範, 藤田 義正, 藤井 隆夫, 三森 経世
    セッションID: 14-5
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    シェーグレン症候群(SjS)では多発性筋炎(PM),封入体筋炎(IBM),線維筋痛症(FM)などの筋疾患を合併することがある.今回,難治性多発筋痛を伴い診療に苦慮したSjSの一例を経験した.症例は27歳女性.24歳時,下腿点状紫斑,口腔乾燥,多発筋痛,多発関節痛で発症.抗SS-A抗体陽性,口唇生検によりSjSと診断.27歳時,全身の筋痛が増悪.筋電図myopathic patternのため,血中CK上昇はないものの筋疾患合併を疑われ入院.低Kなし.甲状腺ホルモン正常.筋MRI異常なし.筋生検で一部筋線維の大小不同を認めるものの炎症細胞浸潤なく封入体も認めなかった.PMやIBM合併の可能性は低く,FM分類基準で圧痛点11/18であり,SjSへのFMの合併と結論.ノイロトロピン点滴静注を開始.筋症状のvisual analog scaleでは治療前28点から2週後23.5点に改善した.ただし13週後29.9点に戻った.圧痛点数は治療前の11個から13週後9個に減少した.患者の心理面に配慮しFMに関する患者教育を続けたところ,全般的な愁訴が減少した.FMはSjSに比較的高頻度(22-55%)に合併し,SjS例の多訴性に関与している可能性がある.SjSの診療では筋症状にも注意し,FMの合併を認めたら薬物療法・心理的ケアなどの対応を考慮すべきである.
  • 青木 葉子, 長嶋 孝夫, 碓井 雅博, 岩本 雅弘, 吉尾 卓, 岡崎 仁昭, 簑田 清次
    セッションID: 14-6
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    42歳男性。40歳時に、右下腿に抗生物質無効の蜂窩織炎が出現し、末梢血、骨髄の好酸球増多(末梢血WBC48900/μl、eos64%)、感覚性失語、左動眼神経麻痺が出現。頭部CTで左側頭葉皮質下出血を認めた。また胸部CTで両肺野にび漫性浸潤影を認め好酸球性肺炎の合併と診断した。メチルプレドニゾロンパルス(500mg/日)、プレドニゾロン(PSL)40mg/日投与により、好酸球増多、肺浸潤影、蜂窩織炎は改善した。脳動脈生検では好酸球浸潤、血管炎所見は認めなかった。皮膚生検、気管支鏡は未施行だが、肺病変、脳出血、蜂窩織炎の症状はHESに伴った病態と診断した。PSL維持量5mg/日で経過観察中に、左下腿に浮腫性紅斑出現し蜂窩織炎が疑われ、同時に好酸球増多(WBC26900/μl、eos36%)を認め当科入院。左優位に下腿から足背までの皮膚は緊満し、左下腿内側と足背に広範囲に紅色局面を認め足背は一部痂皮、鱗屑を伴った。CTでは皮下組織、筋組織への炎症の波及を認めた。皮膚生検では、真皮及び脂肪組織内に著明な好酸球浸潤を認め、好酸球性蜂窩織炎(Wells症候群)と診断した。皮疹、腫脹は外用ステロイド剤で改善したが、好酸球増多が持続するためPSL50mg/日投与開始し、蜂窩織炎は改善し、好酸球数も正常化した。心臓超音波で中隔の菲薄化と輝度亢進、収縮能低下を認めたが、今回の入院中に他の臓器病変は認めなかった。HESの経過中にWells症候群様症状を呈した例は稀なため報告した。
  • 菅野 朗子, 川口 鎮司, 深澤 千賀子, 高木 香恵, 田中 みち, 山田 徹, 勝又 康弘, 栃本 明子, 副島 誠, 岩澤 絵里子, ...
    セッションID: 14-7
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    症例1:30歳、女性。経過:93年、発熱、結節性紅斑出現。プレドニゾロン(PSL)にて加療されていたが。皮下結節出現。生検の結果、01年W-C病と診断。PSL20mg/日で加療。04年より肝機能障害出現。05年、PSL30mg/日に増量するも発熱、肝機能増悪する為入院。肝生検の結果NASHと診断。シクロスポリン(CyA)の併用を開始し、肝機能改善し退院。症例2:36歳、男性。経過:00年、発熱、関節痛出現。01年、皮下結節が散発し外科的切除されていた。04年、皮下結節再燃し、生検の結果W-C病と診断。PSL30mg/日開始するも、皮下結節多発するため、シクロフォスファミド(CPA)50mg/日の併用開始。05年W-C病との診断以前より認められていた肝機能障害増悪のため入院。肝生検の結果、NASHと診断。CPA中止し、CyAの併用を開始し、肝機能改善し、退院。考察:W-C病は全身の脂肪織炎を認める稀な疾患である。多くの症例で肝機能障害を認めるがその原因について検討された文献は少ない。今回、肝生検にてNASHと診断された2症例を経験し、W-C病の肝機能障害について考察する上で貴重な症例と考え、報告する。
  • 尾本 篤志, 上辻 由里, 川人 豊, 坪内 康則, 河野 正孝, 吉川 敏一
    セッションID: 14-8
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    症例は38歳女性。主訴は発熱、関節痛、咽頭痛。2004年4月中旬より、両肩、手関節の腫脹、眼瞼結膜の腫脹を自覚し、5月上旬より右肩、左上肢、両顎の関節痛、咽頭痛、発熱、口内炎が出現し、その後も改善せず、経口摂取不良となり、6月6日近医を受診し入院。炎症所見は高値であったが、諸検査にて明らかな原因の同定には至らず、咽頭感染症疑いにて抗生剤を投与。いずれも無効であり、関節痛、発熱は持続し、炎症所見は高値であった。不明熱に対する精査加療目的にて、7月15日に当院当科紹介となり、入院となる。CRP9.5mg/ml、ESR140mm/hrと炎症反応強く、ASO192U/mlと高値、RF、CCP陰性であり、MRI検査にて滑膜炎の所見を認めた。溶連菌感染後の反応性関節炎(PSRA)と考え、MINO、PC-Gの投与を行い、関節炎に対してPSL7.5-10mg/日、SSz500-1000mg/日の投与も行ったが、炎症反応は改善しなかった。病巣感染の除去目的にて11月8日に扁桃摘出施行。組織上、扁桃内に小コロニー形成を認めた。術直後より炎症反応、症状の改善を認め、ASOも正常化し、抗生物質の中止、PSLの減量を進めているが、その後再燃は見られていない。PSRAは扁桃摘出が有効であるとされ、文献的考察も含め報告する。
  • 鈴木 知加子, 阿部 敬, 那須野 正尚, 志谷 真啓, 西村 進, 木村 裕一, 高橋 裕樹, 篠村 恭久, 今井 浩三
    セッションID: 14-9
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    症例1は67歳,女性.主訴はレイノー現象,倦怠感.1998年から当院呼吸器科で間質性肺炎,高血圧の加療中,腎機能障害のため2005年3月当科を初診した.手指硬化を認め,血圧176/68mmHg. Cr 3.5 mg/dl,ANF 80 倍(ho,sp),抗Scl 70抗体 119 U/ml,MPO-ANCA 640 EU,レニン活性正常.腎生検を施行し,全ての糸球体が全体ないし巣状に硬化しており,硬化性糸球体腎炎の所見が得られた.また間質の炎症細胞浸潤を中等度から高度認めた.腎生検施行前から開始していたPSL 40 mg を減量中であるが,腎機能障害が改善中である.  症例2は73歳,女性.主訴は食思不振,発熱.2001年から双極性障害のため当院精神科で加療中,食思不振のため2005年5月当科を初診した.入院後発熱が持続し,間質性肺炎を認めたが発熱の原因が不明であった.腎機能障害が徐々に出現しCr 3.4 mg/dlと増悪,MPO-ANCA 640 EUと陽性.PR3-ANCA・抗GBM抗体・ANFは陰性.腎生検を施行し,糸球体に壊死性血管炎の所見が得られた.透析,mPSLパルスおよびシクロホスファミドを併用しているが,腎機能障害が改善中である.
  • 前田 聡彦, 赤荻 淳, 大岡 正道, 小川 仁史, 林 彩子, 山田 秀裕, 尾崎 承一
    セッションID: 14-10
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    Wegener肉芽腫症は、病理組織学的に(1)上気道から肺に至る壊死性肉芽腫、(2)肺を中心とした壊死性肉芽腫性血管炎、(3)壊死性半月体形成性糸球体腎炎を3大徴候とする全身性疾患であり、PR3-ANCAが疾患標識抗体である。近年当院において経験した3症例は各々が、(1)21歳女性(両側眼窩内腫瘤性病変)、(2)24歳女性(肺内多発結節性病変)、(3)27歳女性(半月体形成性腎炎)と典型的な3大徴候を呈し、うち2症例でPR3-ANCAが陽性であった。我々はこれら全例に対してプレドニゾロン内服とシクロフォスファミド間歇静注療法の併用を行い、どの症例でも寛解導入を得ることが出来た。これらの3症例の臨床的検討を行い、文献的考察を加えて報告する。
  • 鎌田 千晶, 尾崎 承一, 山田 秀裕, 山本 直弘, 今村 愉子, 大久保 道子, 木俣 敬仁
    セッションID: 14-11
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    症例は73歳、男性。2004年12月より他院泌尿器科で前立腺癌と診断され、抗アンドロゲン薬を処方されていた。2005年3月、38℃以上の発熱にて前医入院。両側眼球結膜充血、全身性に膿疱性皮疹を認めた。高熱は持続し、炎症反応も高値であったが、各種培養や骨髄穿刺の結果は異常を認めず、抗生剤も無効であった。骨シンチでは転移巣を認めず、胸鎖関節への集積を認めた。また両側難聴をきたし、突発性難聴と診断されて、ステロイドパルス療法を施行されたところ一旦解熱したが、プレドニゾロンを2週間で漸減中止後諸症状は再燃した。貧血の進行、両下腿浮腫も出現してきたため5月当科に紹介入院となった。38℃以上の発熱が続き、赤沈141mm/H、白血球22900、Hb8.8g/dl、血小板63万、CRP27.34mg/dlと高度の炎症反応を認めた。感染症は否定され、内臓病変も認められなかった。汎発性膿疱性皮疹、胸鎖関節炎より不全型SAPHO症候群と診断した。しかし、高熱や高度の炎症反応は説明がつかず、結膜炎、上強膜炎、網膜血管炎によると思われる眼底出血、感音性難聴を認め、PR3-ANCA陽性であったことからSAPHO症候群とPR3-ANCA関連血管炎の合併と診断した。PSL1mg/kg開始したところ、速やかに解熱、炎症反応陰性化、症状の改善を認めた。SAPHO症候群と血管炎の関連を示唆する興味深い症例であると考え報告する。
  • 八木田  正人, 谷岡 理恵, 籏智 さおり
    セッションID: 14-12
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    早期RAとの鑑別を要したRS3PEの一症例(症例): 77歳女性。主訴:両膝関節痛・両下腿浮腫。(現病歴):甲状腺機能低下症の加療中、平成17年3月25日頃より両手指関節の朝のこわばり、両膝痛・右側腹部痛、同3月31日頃より両下腿浮腫・膝関節痛が出現した。4月初めより37度台の微熱あり、本院に精査入院。(身体所見および検査所見):両下腿浮腫あり、足背動脈は触知良好。筋力低下を認めず。両膝関節、右第1指CP・MP関節の腫脹・疼痛および両手関節の腫脹あり。左腋窩リンパ節1cm大触知。膝関節・手のX-P上、骨びらん変化を認めず、OA変化のみ。 CRP0.6 mg/dl, 血沈52 mm/h, RF陰性。MMP-3 272 ng/ml, LDH 657 IU/L, 抗CCP抗体陰性。 SIL-2R 1140 U/ml。(入院経過):膝関節痛、両膝から足先、両手関節から手背までの浮腫が持続した。早期RAを疑うも、発症は急性であり、浮腫が著明である事、X-P上RA変化を認めないことよりRS3PEと診断。 悪性リンパ腫の合併を否定するため、左腋窩リンパ節生検を施行したが、反応性のリンパ節腫脹であった。平成5月7日よりプレドニゾロン10mg/日を開始し、朝のこわばり、膝関節痛、両手・膝下の浮腫は著明に改善した。考案:RS3PEとしてはCRPが上昇していない点が非典型的であるが、本疾患の鑑別を考える上で貴重な症例と思われたので報告する。
  • 高村 聡人, 小川 純, 高田 和生, 宮坂 信之
    セッションID: 14-13
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    症例は60歳男性、48歳時に発症した成人発症Still病の再燃にて当科入院し、メチルプレドニゾロンパルス療法(1000mg×3日間)後、プレドニゾロン(PSL)1mg/kgの内服治療を行った。第24病日に再度同パルス療法を必要としたが、以降は改善しPSLを漸減した。第25病日、薬剤性血小板減少を疑い、予防投与していたオメプラゾールを中止したが、第32病日の上部消化管内視鏡検査にて十二指腸潰瘍を認め、併用していたNSAIDsが主因と考えランソプラゾールを開始した。第29病日サイトメガロウィルス(CMV)アンチゲネミアの陽性化(陽性細胞数3個・6個/5×106cells)を認めていたが、第37病日に陽性細胞数が101個・123個/5×106cellsと著増するとともに大量下血を来たしたため、潰瘍へのCMVの関与も疑いガンシクロビル開始し、内視鏡治療試みるも止血困難であり、第38病日に死亡した。剖検では消化管を含む多臓器にCMV感染を認めた。膠原病診療においては上部消化管潰瘍合併頻度が比較的高いが、特に強い免疫抑制療法下ではCMV感染の関与も考慮するべきであり、その際にCMVアンチゲネミア測定も有用である可能性がある。当科において免疫抑制療法下でCMVアンチゲネミア陽性を呈した症例に関する考察を含めて報告する。
  • 小池 竜司, 小川 純, 針谷 正祥, 宮坂 信之
    セッションID: 15-1
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    【背景と目的】抗リウマチ剤の副作用として肺障害がしばしば問題となるが、種々の因子によりその因果関係について客観的評価が困難な場合がある。臨床薬理学や薬剤疫学では副作用や有害事象の因果関係評価の一貫性や客観性を保持するために、アルゴリズムやスコアリングを用いた評価法が複数提示されているが、抗リウマチ剤に関連する症例報告や市販後調査に必ずしも十分に適用されているとは言えない。そこでまず自験例にこれらの評価法を適用し、それぞれの評価法の妥当性ないし各症例側に存在する問題点を考察した。【方法と結果】東京医科歯科大学膠原病・リウマチ内科において、2000年以降経験し教室内での症例検討にて抗リウマチ剤関連肺障害を疑われた9症例につき、Kramer、Karch、Naranjoそれぞれによって提示されたアルゴリズムにより薬剤と肺障害の因果関係を評価した。ほとんどの症例でpossible以上の関連があると評価されたが、一方でdefiniteに至る強い関連と評価できた例も認めなかった。薬剤性肺障害の薬理学的特性、投与以前に関節リウマチに合併して存在する肺障害が大きな介入要素と推測され、今後抗リウマチ剤関連肺障害の因果関係評価を行うに当たり、これらの介入要素の取り扱いについて十分な検討を要すると考えられた。
  • 秋山 雄次, 竹石 美智雄, 阿達 大介, 横田 和浩, 上川 哲平, 平野 資晴, 秋葉 春彦, 三村 俊英
    セッションID: 15-2
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】当科におけるInfliximabの有用性および脱落例について検討を行った。【対象】MTX及び複数のDMARDsが無効なRA患者54例(男性8例、女性46例)。平均年齢55.6歳。平均罹病期間11.9年。Stage II:8例、III:10例、IV:36例。平均CRP 5.2mg/ml、平均腫脹関節数9.1、平均疼痛関節数13.7であった。【方法】ACR core setによる改善度及び副作用の検討を行った。【結果】1)6例でINHの予防投与を行った。2) 2週後:ACR20:64.9%, ACR50:27.0%, ACR70:5.4%。6週後:ACR20:72.7%, ACR50:38.6%, ACR70:22.7%。30週後:ACR20:58.3%, ACR50:37.5%, ACR70:20.1%。3) 脱落12例;無効3例、胃癌、帯状疱疹、蜂窩織炎・帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛、ループス症状、発熱2例、MTX肺炎、その他。蜂窩織炎、肺炎、扁桃炎、湿疹で4例がスケジュール変更になった。投与時反応は11例で認められた。(当日は脱落例のその後についても報告する。)【結論】Infliximabは治療抵抗性のRAにも有効であった。副作用としては感染症が重要であった。結核の発症は認められなかった。
  • 名和田 雅夫, 齋藤 和義, 中山田 真吾, 田中 良哉
    セッションID: 15-3
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】Infliximab(IFX)の投与経過中途にて、効果減弱例や効果不応例に遭遇することも稀ではない。IFXのRAでの適正な治療対象への投与・適正投与量の層別化につき、当科症例で検討した。【方法】当科の130症例のMTXを6mg/kg以上投与している活動性RAにおき、IFX 3mg/kgを投与した。【結果】投与早期でのIFXの効果予後予測因子を抽出するため、投与2週後のACR70到達・非到達群で層別化したところ、投与前のMMP-3値が有意にACR70非到達群で高値であった(p<0.01)。さらに、ACR70非到達群のMMP-3の平均値である350ng/mlにて層別解析したところ、MMP-3低値(<350)群では、約80%が22週までACR50以上の効果を持続。特にstageI/IIの早期RAでは全例ACR70を維持。一方、MMP-3高値(>350)群では約半数が22週でACR20を維持できない状態でIFX 3mg/kgでは疾患制御困難となった。このうち、6名においてIFX 5mg/kgまで増量したところ、全例ACR70まで改善し投与継続可能となった。【考察】近年、早期RAへのIFX投与の有効性が報告されている。当科の検討においても、stageI/IIのような早期RA、かつMMP-3値が350以下の症例に関してより高い有効性が得られた。また、MMP-3高値(>350)例では低反応群に属し、IFX 5mg/kg増量にて疾患再制御および継続可能となる可能性が示唆された。以上から、臨床症候やMMP-3などを指標とした高用量での臨床試験が必要であると考えられた。
  • 中原 英子, 大島 至郎, 中野 信明, 吉雄 直子, 西本 憲弘
    セッションID: 15-4
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    ヒト化抗IL-6受容体抗体(トシリズマブ)はIL-6の作用を阻害するモノクローナル抗体で、Castleman病や関節リウマチなどの炎症性疾患治療に有効である。しかしトシリズマブは、発熱や倦怠感といった炎症症状のみならずCRP産生を抑制するため感染症の発見が遅れる可能性がある。今回、トシリズマブ投与中に重症肺炎を発症したCastleman病の1症例を提示し、IL-6阻害治療中の感染症の鑑別について討議したい。 症例は60歳男性。トシリズマブ8mg/kgを2週間隔で使用し、40回目投与後に軽度胸背部痛を自覚、その3日後に本剤投与のため来院。CRP陰性であったが、WBC 10200と増加し、軽度のラ音を聴取。胸部X-PおよびCTで肺炎と診断。抗生剤投与により症状、WBC、X-P所見とも改善し2週間で退院。CTにて肺炎の治癒を確認。しかし、42回目の本剤投与後39度の発熱を認め受診。WBCは43300と増加し、胸部CTで重症肺炎と診断。CRPは1.0と軽度上昇のみであったが翌日には14.3と著増。一時人工呼吸器を装着したが、免疫グロブリン製剤および抗生剤投与にて約3週間で軽快した。IL-6阻害治療中は、十分な問診と観察を行い、感染症が疑われた場合には積極的な検査を行う必要がある。WBCは感染症の早期発見に有用である。CRPの上昇は重症化時にのみ見られ、CRPのみに頼るのは危険である。
  • 池田 高治, 上出 康二, 橋爪 秀夫, 古川 福実
    セッションID: 15-5
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】強皮症の皮膚硬化病変に対する効果的な治療法は少ない。ビタミンA酸誘導体エトレチナートを投薬し、皮膚硬化の改善作用をmodified-Rodnan total skin thickness score (TSS)を用いて評価し、その変動にてエトレチナートの有用性を検討した。【方法】エトレチナート使用症例群12例(ステロイド全身投薬・免疫抑制薬・D_-_ペニシラミン・ブシラミン等併用症例7例)エトレチナート非使用症例群20例(ステロイド等使用症例13例)を対象とした。エトレチナート初期量0.5mg/kgから投薬した。各群の治療開始時と安定維持されたスコアの平均値の有意差を検討した。【結果】エトレチナートのみ使用症例群(15.86±10.65→8.14±6.72)で有意差を認めた(P<0.01)。エトレチナート・ステロイド併用症例群(10.08±7.79→7.40±5.37)、ステロイド等使用症例群(10.08±6.90→11.30±7.65)、エトレチナート・ステロイド等非使用症例群(6.57±3.41→7.14±3.41)では有意差を認めなかった。【考察】ステロイドや免疫抑制剤は、強皮症の全身症状に応じて主に用いられるため、皮膚硬化を十分抑制できない場合がある。対してエトレチナートは治療初期より投薬可能であり、皮膚硬化病変への有望な治療法であることが示唆された。
  • 関谷 和治, 中島 修, 信川 高寛, 岡野 哲郎
    セッションID: 15-6
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    [目的] 関節リウマチ(RA)患者は通常治療においても朝のこわばり、関節の痛みを伴う場合が多い。本学会では症例数を増し、複数の臨床家の意見を含め、雲南紅豆杉の補完医学素材としての有効性を検討した。[対象] 3施設3名の医師の管理の基、調査に同意が得られたRA患者10例を対象とした。[方法] 雲南紅豆杉(お茶成分タブレット180mg/日)を治療と併用した。有効性の評価はリウマチ手帳およびADL(activity of life)は日本リウマチ学会のチェックリストに従った。[結果] 朝のこわばりは10例中7例に改善が認められ、3例は変化なかった。改善例のうち4例(1.5h→0、120min以上→0、15min→0、all day→0)は朝のこわばりが消失した。関節痛は10例中6例に疼痛関節数の減少が認められた。さらにそのうち4例(3→0、1→0、28→0、32→0)は症状が消失した。記載なし1例、変化なし2例と有効であった。しかし、検査所見の明らかな改善は2例のみであり、他は検査所見の変化は認められなかった。C型肝炎合併RA患者の1例はDMARD使用にもかかわらずASTが60から39に、ALTが47から24に改善した。[考案] 紅豆杉使用による悪化例はなく、朝のこわばりには著効例も見られ患者の満足度はおおむね良好と考えられた。しかし、「薄皮を剥ぐような感じ」という感想も寄せられ期待以上ではないという意見もあった。特筆すべき事は、C型肝炎合併患者の肝機能保護において雲南紅豆杉は有効であった。
  • 宮地 清光, 岳野 光洋, 石ヶ坪 良明
    セッションID: 15-7
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    関節炎が先行した乾癬性関節炎に対してMTX, エタネルセプト併用療法が著効した1男性例を報告する。症例:IC 37歳、白人男性、主訴:非対称性多発性関節炎現病歴:2003年10月背部痛、2004年4月右第3DIP関節炎2_から_3ヶ月持続、8月右第2指PIP関節腫脹、9月右第1指IP、11月右第1_から_4指のPIP関節の腫脹と疼痛、さらに両側手首、両膝関節痛が出現し11月9日本院初診。CRP 0 mg、RA因子0 Uであった。12月メソトレキセート(MTX)8 mg少量間歇投与、時にNSAID,さらにプレドニン5 mgを服用し関節症状は軽快し始めた。2005年3月下旬MTX 10.5 mgさらに、5月下旬MTX 13mgに増量した。CRP, RA因子は陰性であるのにもかかわらず関節の腫脹が持続するので、関節エコーを依頼した。その後 頭部、左肘に掻痒性皮疹が出現した。6月胸部写真、さらに胸部CTで異常所見がなし。DAS28は4/CRP=4.37で6月13日第1回目のエタネルセプト25 mg施行した。劇的に効果を認めたが、その後MTXを併用しないこともあり、効果は少し落ちたが病状は安定した。関節エコーは右膝、右3PIPにごく軽度の血流シグナルを認めたが滑膜の肥厚は明らかではなかった。皮疹の組織学的検索はされていないが、乾癬が考えられた。総括:関節炎が先行したMTXとエタネルセプトの併用で寛解した乾癬性関節炎の1例を報告した。
  • 山崎 崇志, 安井 耕三, 三澤 由佳, 上松 一永, 小池 健一
    セッションID: 15-8
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    種々の内科的あるいは外科的治療に十分反応せず再燃を繰り返していた腸管型ベーチェット病の男児2例に対し、サリドマイドを投与し著明なQOLの改善を得た。【症例1】16歳男児。11歳時に当科に紹介され、在宅で高カロリー輸液を行っていた。15歳時に腸管の狭窄および穿孔による癒着性腹膜炎を発症し回盲部を切除した。16歳時に弛張熱と著明な体重減少を認め、1ヵ月後に結腸に多発性の潰瘍を認め入院した。入院4ヵ月後にサリドマイド投与を開始したところ著明に改善し、半年後にはプレドニン投与を中止できた。【症例2】7歳男児。4歳時より発熱と右下腹部痛を時々認め、5歳時に近医で虫垂炎と診断され手術を受けたが症状は改善しなかった。その後、腸管型ベーチェット病と診断され、近医で種々の内科的治療が試みられたが再燃を繰り返し、7歳時に当科に入院した。サリドマイド投与を開始したところ著明に改善し、シクロスポリンおよびプレドニンの中止が可能となった。【考察】サリドマイドは当初国内での使用が認可されていなかったが、TNF-α産生抑制作用および種々の抗炎症作用から多発性骨髄腫、ハンセン病、AIDSなどに使用されるようになってきた。今回難治性の腸管型ベーチェット病に対し著効を示し、ステロイド投与を中止できたことから圧迫骨折の進行も防ぐことができた。難治性の炎症性腸疾患に対しては大変有効な薬剤であると思われた。
feedback
Top