日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
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第34回日本臨床免疫学会総会抄録集
選択された号の論文の138件中101~138を表示しています
一般演題
  • 青木 葉子, 岩本 雅弘, 釜田 康行, 長嶋 孝夫, 奈良 浩之, 上村 健, 吉尾 卓, 岡崎 仁昭, 簑田 清次
    セッションID: 15-4
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    目的 膠原病治療中に発症したPneumocystis肺炎(PCP)の生命予後因子を検討すること 方法 平成12年11月から平成17年9月に当科に入院した患者で膠原病治療中にPCPに罹患した患者をデータベースで検索し後向きに抽出した.年齢,性別,基礎疾患,PCP発症時のステロイド内服量,CD4陽性T細胞数,血清IgG値,アルブミン値,免疫抑制薬の併用,PCP治療薬,気管内挿管,ICUへの入室等の項目とPCPの生命予後の関連を検討した.結果 抽出期間中22人がPCPを発症した.11人がPCP治療中または治療後に死亡した.患者死亡に関して統計学的に有意な項目はICUへの入室であった.考察 膠原病治療中に発症したPneumocystis肺炎(PCP)の生命予後因子を検討したところ,患者死亡と有意に関連があった項目は今回我々が注目した予後因子としてはICUへの入室のみであり,重症例が死亡したという現実であった.CD4陽性T細胞数,血清IgG値,アルブミン値などの検査項目は患者死亡を予測する因子ではなかった.今後,PCPが重症化する要因をさらに検討する必要がある.
  • Ogawa Fumihide, Shimizu Kazuhiro, Hara Toshihide, Muroi Eiji, Hasegawa ...
    セッションID: 15-5
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    Purpose: Ischemia reperfusion, oxidative stress, and inflammation are important factors that contribute to tissue damage in SSc. Since Hsp70 is upregulated by cellular stresses, we investigated the prevalence and clinical correlation of serum Hsp70 levels in SSc patients.Methods: Serum Hsp70 levels were examined in 49 patients with SSc by ELISA. Results: Serum Hsp70 levels were significantly elevated in SSc patients compared to normal controls (p=0.0001). Serum Hsp70 levels were elevated in 27% of total SSc patients with 30% of dSSc patients and 23% of lSSc patients. Hsp70 levels were significantly increased in SSc patients with pulmonary fibrosis (p<0.05) or phalanges contracture (p<0.05) compared with those without pulmonary fibrosis or phalanges contracture. Serum Hsp70 levels were correlated positively with mTSS (p<0.05), serum levels of MCP-1 (p<0.05), and renal vascular resistance (p=0.019). Serum Hsp70 levels were correlated positively with serum levels of 8-isoprostane (p=0.008), and CRP (p<0.05).Conclusion: These results suggest that Hsp70 is a useful serological marker for evaluating cellular stresses and the disease severity in SSc.
  • Ogawa Fumihide, Shimizu Kazuhiro, Muroi Eiji, Hara Toshihide, Hasegawa ...
    セッションID: 15-6
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
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    Purpose: Oxidative stress is important factor that contribute to tissue damage in systemic sclerosis (SSc). Since the physiological response to oxidative stress is regulated by multiple antioxidant systems, it is important to quantitatively measure the total antioxidant capacity in the biological specimens. To determine the clinical significance of total antioxidant power (TAP) in SSc, we investigated the prevalence and clinical correlation of total antioxidant power levels in SSc patients by colorimetric microplate assay. Results: Serum TAP levels were significantly elevated in SSc patients compared to normal controls (p=0.003). TAP levels were correlated positively with systolic blood pressure (p<0.01) and plasma renin activity (p=0.01). In addition, TAP levels were correlated positively with renal vascular resistance (p<0.01) and negatively with renogram (p<0.01). TAP levels did not significantly correlate with mTSS, the extent of pulmonary fibrosis, and CRP levels.Conclusion: These results suggest that oxidative stress contributes to renal vascular damage associated with SSc and that TAP could be served as a useful marker for monitoring renal vascular injury in SSc.
  • 奥山 あゆみ, 亀田 秀人, 関口 直哉, 天野 宏一, 竹内 勤
    セッションID: 15-7
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
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    <目的>MTX効果不十分な乾癬性関節炎患者におけるインフリキシマブの有用性を検証する。<患者と方法>44歳、49歳、59歳の男性患者を対象とした。罹病期間はそれぞれ3.2年、6.5年、5.5年であった。インフリキシマブ3 mg/kgを0、2、6週および以後8週毎に投与した。22週時におけるACR-N一次評価項目とし、PASI (Psoriasis Area and Severity Index) を用いて皮膚病変も評価した。<結果>血清CRP値は1例目で0週時の0.4 mg/dlから22週時の0.1 mg/dl、2例目では1.3 mg/dlから0.2 mg/dl、3例目は7.7 mg/dlから3.7 mg/dlと改善した。22週時におけるACR-Nは各々75、60、14であった。皮疹においては1例目と2例目では6週時にPASIにおける75%以上の改善を認めたが、3例目では50%改善にとどまった。インフリキシマブ投与による有害事象はみられなかった。<結語>インフリキシマブの併用はMTX効果不十分な乾癬性関節炎に有用であった。
  • 井田 弘明, 荒牧 俊幸, 中村 英樹, 有馬 和彦, 黄 明国, 藤川 敬太, 岩永 希, 玉井 慎美, 蒲池 誠, 折口 智樹, 川上 ...
    セッションID: 15-8
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    (目的と方法) Monocytic fasciitisは、2002年Hullらによって提唱されたMacrophagic myofasciitisと異なる新しい疾患概念である(Arthritis Rheum. 46:2189, 2002)。病変は筋膜主体で、CD68陽性細胞の浸潤がみられる。しかし、その臨床的特徴はまだ明らかではない。今回、Monocytic fasciitisと診断できた3症例について、その臨床像を検討した。(結果) 平均年齢29.7才(22から40才)。男性1例、女性2例。基礎疾患は、SLE、分類不能型膠原病、原発性シェーグレン症候群疑い、各1例。症状として、高熱と筋肉痛が全例にみられた。MRIで確認できた罹患部位は、両大腿部(全例)、両上腕(1例)で、筋膜に沿って高信号がみられた。全例血清中のCK上昇はなく、アルドラーゼは高値を示した。自己抗体は、3例中抗RNP抗体 2例、抗Scl-70抗体 2例、抗SS-A抗体 3例、抗ds-DNA抗体 1例が陽性であった。血清中のサイトカインの検討では、TNFα(平均168.9 pg/ml)と可溶性TNFRSF1B(TNFR2) (平均23.2 ng/ml)の著明な上昇、可溶性TNFRSF1A(TNFR1) (平均3.7 ng/ml)の軽度上昇がみられた。生検組織の免疫染色で筋膜にCD68陽性細胞の浸潤が全例みられた。TNFRSF1Aの遺伝子検索では、1例にヘテロで突然変異がみられ、TRAPSと診断。治療は、全例ステロイド剤に反応したが、減量で再発する傾向がみられた。Tacrolimus(FK506)にてfasciitisが軽快した症例が1例あった。
  • 藤川 敬太, 川上 純, 荒牧 俊幸, 岩永 希, 和泉 泰衛, 荒武 弘一朗, 蒲池  誠, 有馬 和彦, 玉井 慎美, 中村 英樹, 折 ...
    セッションID: 15-9
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
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    【症例】58歳女性.1991年頃、関節リウマチを発症しメトトレキサートで加療されていた.2005年7月頃より上眼瞼・背部・四肢伸側の紅斑が出現、8月下旬より労作時呼吸困難が出現し、当科緊急入院.入院時にヘリオトロープ疹、四肢伸側の紅斑、ゴットロン徴候および手掌の丘疹を認めたが、四肢の筋力低下は認めなかった.血液検査ではCPK 173 IU/l,抗Jo-1抗体陰性、胸部CTでは間質性陰影を認め、血液ガスでは著明な低酸素血症を認めた.臨床的に筋症状を認めずADMに合併した間質性肺炎の可能性を考え、ステロイドパルス療法(1g/日3日間)・シクロフォスファミド静注療法(500mg/日)×2回・白血球除去療法(LCAP)×5回・タクロリムス3mg内服で加療を開始.約2ヵ月後に間質性肺炎の再増悪を認めたため、経口ステロイド・シクロスポリン150mg/日・LCAPに加え、シクロフォスファミド静注療法を1g/日に増量し1ヶ月ごとに 計6回施行.途中、縦隔気腫を併発したが安静とステロイド減量で消失し、呼吸状態・胸部CT所見・肺線維化マーカーのいずれも改善を認めた.ADMに合併する間質性肺炎はステロイドや免疫抑制剤などの治療に反応せず、数ヶ月以内に呼吸不全が進行する難治性の病態であるが、シクロフォスファミド静注療法を含めた集学的治療により間質性肺炎の改善を認めたADMの一例を経験し、若干の文献的考察を含め報告する.
  • 下山 久美子, 小川 法良, 鈴木 大介, 出井 良明, 齋藤 美和子, 林 秀晴
    セッションID: 15-10
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
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    目的:多発性齲歯を認める代表的疾患であるシェーグレン症候群(SS)と非SSコントロール(非SS)の唾液分泌量とpHを比較、検討した。SSに対するステロイド治療は重要臓器障害が存在する症例に対して行われ、口腔乾燥症に対する治療は唾液分泌促進剤や人工唾液が主体で、ステロイド療法の意義は確立されていない。しかし、ステロイド療法に反応し、腺機能改善を認める症例も散見される。そこでステロイド療法がSSの唾液分泌量とpHに与える影響を検討した。対象・方法:1) 外来通院患者 266例(SS 120例、非SS 141例、未確定5例)および、2) プレドニゾロン 15mg/日の投与を行ったSS 11例(治療開始後?12W、12?20W、21?36W、37W以降の5回)にサクソンテストを施行し、唾液pHをpH試験紙で測定した。結果:1) 全例において唾液分泌量と唾液pHは有意な正の相関を認めた(r=0.76, p<0.001)。SSの唾液量(1.64±1.61 ml/2min)およびpH(6.82±1.28)は、非SS唾液量(3.46±2.03 ml/2min)およびpH(7.82±1.21)と比べて有意に低下していた(p<0.001)。 プレドニゾロン投与例は、投与開始後20Wで唾液分泌量の有意な増加を認め(p<0.001)、唾液pHは有意に上昇した(p<0.01)。結語:唾液分泌量は唾液pHと関連を示し、口腔内環境に影響を与えている可能性が示唆された。またSSでは少量ステロイド投与により、唾液腺機能が回復する症例が存在し、ステロイド剤が有用な群が存在することが示唆された。
  • 小谷 俊雄, 皆内 康一郎, 近藤 真, 小泉 和輝, 向井 正也, 平安山 直美, 山崎 圭
    セッションID: 15-11
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
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    症例は57歳女性。鼻腔を中心としたWegener肉芽腫症でprednisoloneおよびcyclophosphamideにて他院で治療されていた。平成18年2月より肉芽腫が眼窩内に侵入し、眼球突出及び視力障害を呈したため、3月6日当院紹介入院となった。入院後、prednisoloneを60mgに増量し、cyclophosphamideをmethotrexateに変更して治療していた。治療変更後3週目となる4月18日より発熱・血小板減少を生じたため、骨髄穿刺を施行したところ、血球貪食細胞の出現を認めた。さらに、4月20日には意識障害、翌21日未明には痙攣を生じ、ICU入室、呼吸器管理となった。緊急に施行したMRIにて左側頭葉及び前頭葉にT1で低信号域、T2で高信号域を示す領域が、血管支配と無関係に出現していた。髄液HSV PCR陰性で、血中CMV antigenemiaが高値を示した事から、GCVによる治療を施行したところ、1週間で人工呼吸器管理を離脱し、MRI上も改善傾向を認めた。ウェゲナー肉芽腫治療中に特徴的なMRI所見を呈したCMV脳症の一例を経験したので報告する。
  • 坪内 康則, 川人 豊, 河野 正孝, 和田 誠, 石野 秀岳, 濱口 真英, 山本 相浩, 角谷 昌俊, 新美 美貴子, 吉川 敏一
    セッションID: 15-12
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
  • 唐澤 里江, 大岡 正道, 増子 佳世, 遊道 和雄, 中村 洋, 尾崎 承一, 西岡 久壽樹, 加藤 智啓
    セッションID: 15-13
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】プロテオミクスの手法を用いて、血管炎患者における抗内皮細胞抗体の対応抗原の同定を行う。【方法】ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)およびHeLa細胞からの抽出蛋白を2次元電気泳動で展開し、血管炎患者血清でWestern blotを行い、HUVEC特異的自己抗原を検出同定し,その臨床的意義を検討した。【結果】検出した約150個の蛋白の1つは、抗酸化酵素であるPeroxiredoxin2(Prx2)と同定され、抗Prx2抗体の陽性率は、血管炎患者で60%(高安動脈炎で86%)、健常人で4%であった。PeroxiredoxinのサブクラスであるPrx1およびPrx4とPrx2の抗原性は異なっていた。更に、間接免疫蛍光法にてHUVECの細胞表面にPrx2が発現していることを証明した。臨床的には抗Prx2抗体陽性血清では陰性血清に比べDダイマーおよびTATが有意に高値であり、抗Prx2抗体価は疾患活動性と相関していた。【考察】血管炎に特異的な新規マーカー抗Prx2抗体が同定された。なお、プロテオミクスの手法はAECAの対応抗原の同定に非常に有用であった。
  • 高橋 令子, 平林 泰彦, 石井 智徳, 高澤 徳彦, 岡 友美子, 尾崎 泰, 佐々木 毅
    セッションID: 15-14
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    患者は54歳、女性。平成9年、関節痛、皮疹、発熱が出現し、白血球増多、フェリチン上昇、肝機能障害などより成人発症スティル病と診断された。プレドニン100mg/日の投与を行うも改善せず、ステロイドパルス、エンドキサンパルスも併用し、軽快した。加療の間に敗血症も発症した。平成16年、発熱、炎症反応上昇、皮疹が出現し、再度精査が行われた。Epstein-Barrウイルス(EBV)のVCA IgG抗体価が異常高値、EA抗体陽性を示したため、末梢血リンパ球にてEBV DNAのコピー数をPCRにて検査したところ、1500コピー/μg DNAを認めた。リンパ球をB、T、NK細胞に分離し感染細胞の同定を試みた所、T、NK細胞には存在せず、B細胞のみに認めた。clonalityはpolyclonalであった。ステロイド投与のみで炎症反応、発熱は持続のコントロールはつかず、また血圧の維持困難、低酸素血症、肺高血圧が存在したため、VP-16、シクロスポリンの投与を開始し、軽快した。しかしながら現在も、患者末梢血B細胞にEBV DNAは2500コピー/μg DNA存在している。現在、リンデロン、VP-16、シクロスポリンの投与にて、慎重に外来経過観察を行っている。不明熱患者の発熱の原因を検索している際、EBV感染症を認めた。このような際にEBV抗体価、末梢血リンパ球中EBV DNAコピー数を検査することは意義あることであると考えられた。
  • 中川 靖子, 片岡 浩, 保田 晋助, 深江 淳, 堀田 哲也, 渥美 達也, 井上 農夫男, 小池 隆夫
    セッションID: 15-15
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    【背景】シェーグレン症候群(以下SS)は、外分泌腺に対する自己免疫反応により腺組織が破壊され、乾燥症状を呈する疾患である。SSの末梢血ではB細胞の活性化および形質細胞への過剰分化が生じメモリーB細胞の減少が起こると考えられている。転写因子E2Aとその阻害蛋白であるId3はともにB細胞の分化及び機能に重要であるが、Id3欠損マウスにおいてSS様症状を呈することが報告され、ヒトのSSの病態にも関与が示唆される。そこでSS患者の末梢B細胞におけるE2AおよびId3mRNAの発現を検討した。【方法】SS患者10人(男性2人、女性8人;平均年齢61.0歳)の末梢血よりCD19 陽性B細胞を分離し、E2AおよびId3 mRNAの発現量をreal-time PCRを用いて半定量を行い、健常人および他の自己免疫疾患患者と比較した。【結果】SS群は健常群および他の自己免疫疾患群と比較し、E2A/Id3発現比は、健常群1.16±0.61に対して、RA群0.64±0.25(P=0.132)、SLE群0.88±0.19(P=0.340)、SS群2.50±1.08(P=0.009)とSS群で有意に高値を示した。【考察】SS患者においてId3によるE2Aの抑制効果が減弱し、相対的にE2Aの発現が亢進していることで、SSにおけるB細胞の活性化に関与している可能性があると考えられた。
  • 有沼 良幸, 高山 真希, 荒巻 芸, 菊地 弘敏, 駒形 嘉紀, 廣畑 俊成
    セッションID: 15-16
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    62歳女性。主訴は多発関節痛。2006年1月17日頃より、咽頭痛、38℃台の発熱あり。近医にて感冒として処方を受けた。2日後、右下腿に疼痛を伴う結節性紅斑様の皮疹、右足、肩、肘、手指関節の疼痛・発赤・腫張も出現、2月6日当院受診。CRP 5.65 mg/dl、ASO 411 U/mlと上昇、NSAID処方。17日CRP 8.94 mg/dl、ASO 2300 U/mlとさらに上昇。多発性関節炎、炎症反応高値、ASOの上昇からリウマチ熱を疑いPSL 10mg/day、ユナシンを追加。24日炎症反応、症状改善も乏しく27日入院。入院時、最終の外来では認めなかった心雑音が出現、心エコー上も僧帽弁逆流あり、心炎合併のリウマチ熱にて3月2日よりPSL 40mg/dayに増量、溶連菌感染に対してユナシン増量。ガイドライン従いPSL減量、約1週後CRP 0.29 mg/dlと低下、関節症状も改善。心雑音も徐々に消退、2週間後にはほぼ消失、心エコー上も僧帽弁逆流は認めなくなった。PSL漸減により増悪なく3月29日退院。退院後徐々に関節痛悪化。4月14日CRP4.86 mg/dlと上昇、PSL 10mg/dayで維持、NSAID追加。28日には症状軽減、CRP陰性化しPSL減量中である。
    本邦においてリウマチ熱は衛生環境の整った現在ではまれであり、発症し診断に至る症例は極めて少ない。今回我々は比較的発症早期より診断でき、治療により改善可能であった一例を経験したため報告する。
  • 吉田 雅治, 中林 巌
    セッションID: 15-17
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    ANCA関連血管炎(AAV)は至適重症度別免疫抑制療法により寛解へ導入される症例がある一方、カリニ肺炎(PCP)、アスペルギルス(ASP)感染症死が最も多く対策の確立が急務である。今回真菌およびカリニに存在する細胞壁βグルカンに対する抗体の測定系を樹立し、AAVの免疫抑制療法下でのASP感染症、PCPにおける臨床的意義を検討した。[方法]カンジダ及びアスペルギルスの乾燥菌体より可溶化して調整した細胞壁βグルカンを抗原とした抗体(抗CSBG、ASBG抗体)をELISAにより測定した。健常人22名、AAV40例(ASP肺炎を示したAAV3例、PCPを示したAAV2例を含む)を対象とした。[成績]ASP肺炎3例、PCP2例の感染症のリスク因子として白血球減少(2000m3以下)低下、リンパ球(CD4:200 m3以下)IgG500mg/dl以下、37℃以上3日以上熱発、CRP値の上昇があった。抗CSBG抗体力価は健常人22名が5526±1685Uに比較し、AAV40例は533±432Uで、ASP感染症、PCP併発時にはβ-DグルカンおよびCRPの上昇に併行しCSBG力価が369±432U まで有意に低下した(P<0.001)。真菌症、カリニ肺炎が軽快すると抗CSBG、ASBG力価は上昇した。[結論]AAVにおける免疫抑制療法時の抗βグルカン抗体測定は、自然および獲得免疫によるβグルカンに対する宿主の免疫能、深在性アスペルギルス感染、カリニ肺炎の予知予測に極めて有用と考えられた。
  • 高山 真希, 菊地 弘敏, 有沼 良幸, 駒形 嘉紀, 広畑 俊成
    セッションID: 15-18
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    症例は47歳、男性。主訴は下腹部痛。現病歴は2005年8月初旬より耳鳴りとふらつきあり、近医にて感冒薬の処方を受けた。数日後、突然下腹部痛が出現し8月13日他院に入院。腹部CT検査、腹水穿刺にて血性腹水を認め8月29日当院へ転院。腹部血管造影にて上腸間膜動脈(SMA)、両側腎動脈、脾動脈に多発動脈瘤を認め、血清CRP8.79mg/dlと高値で結節性多発動脈炎(古典的PN)と診断。SMA動脈瘤に対しコイル塞栓術(IVR)を施行し、同日よりプレドニゾロン(PSL)40mg/日を開始。9月4日には左腎動脈瘤が破裂し再度IVR施行。その後もSMAからの出血が続き、回盲部を部分切除し人工肛門を造設。同部位の組織所見では中小径の動脈にフィブリノイド壊死と内弾性板の破壊を認めた。術後も出血はあったが輸血にて保存的な対応が可能となり、徐々にPSLを減量した。しかし、2006年2月上旬に右腋窩部と右大腿部に突然疼痛が出現し、同部位に巨大血腫を認めた。CRP3.53mg/dlと上昇し、四肢血管造影にて末梢血管にも多発動脈瘤を認めたためPSLの増量に加えメトトレキサート(MTX)7.5mg/週を併用。その後は炎症所見も陰性化し、動脈瘤の破裂もなくPSLを減量中である。古典的PNによる末梢血管動脈瘤破裂の報告は稀であるが、コンパートメント症候群を合併し手術を要した症例もあり注意すべき合併症と考えられる。また、本症のコントロールにおいてMTXの併用が有用であることが示唆された。
  • 諏訪 昭, 鈴木 康夫, 金子 祐子, 佐藤 慎二, 桑名 正隆, 平形 道人, 佐藤 徹
    セッションID: 15-19
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】膠原病性肺高血圧症(CPH)におけるエポプレステノール(EPO)療法の有効性と安全性の検討を目的とした.【対象及び方法】EPO療法が導入されたCPH 13例を対象とし,症状,検査所見,血行動態,運動耐用能,有害事象を解析した.【結果】対象は全例女性で(年齢42.2歳,膠原病罹病11.0年,CPH罹病13.8月),診断はSSc 5例,MCTD 3例,SLE 2例,Overlap 2例,SjS 1例であった.全例NYHA III 度以上で,血清UA,BNPが高値を示した.抗核抗体は高力価で,5例で抗U1RNP抗体陽性であった.平均肺動脈圧(PAm)55.2mmHg,心拍出量(CO)2.6 L/min,肺血管抵抗(PVR)21.4 unitsを示した.ベラプロストナトリウム(N=11),シルデナフィル(N=2),抗凝固薬(N=9),利尿薬(N=9),ステロイド薬(N=8),酸素(N=8)が前投与されていた.有効性評価症例(N=9)では,PAm低下(31.0%),CO上昇(43.3%),PVR低下(50.7%)など心血行動態と,BNP値,NYHA分類が改善し,7例(78%)が有効であった.最高酸素摂取量を測定した3例では運動耐用能は改善した.導入直後死亡例(N=3)のうち2例の死因は心不全で,重篤な副作用はなかった.【結語】CPHにおけるEPO療法の有用性が示された.
  • 宮地 清光
    セッションID: 15-20
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
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    乾癬性関節炎(PsA)は欧米に比し比較的まれであるがseronegative RAなどとして見逃しいることがある。本院では最近興味あるPsAを5例経験したので報告する。症例は男女比3:2で年齢は現在30?72歳。第1例は若い女性で、乾癬の皮疹があり診断は容易であった。第2例はRAの関節炎があり、seronegative RAと診断していたが、頭髪の生え際にはじめて皮疹が出現し診断できた。第3例は白人で脊椎炎と後で分かったが、seronegative RAと診断し、Etanercept開始する直前 肘に乾癬の皮疹が出現、予定どうり治療を続行した。劇的に効果があり社会復帰可能となった。第4例は乾癬の皮疹が10数年先行していたが、他院でRAと診断されていた。朝のこわばりがひどく早期社会復帰をめざしEtanerceptを開始し皮膚症状を含め劇的に効果があった。第5例は更年期の関節症状として経過観察していたが、両肘、両膝に乾癬が増悪し診断できた。第3,4例を除き他の例はMTX,SASPで軽快中である。本邦でもPsAの重症例に対しては生物学的製剤の適応を早期に認めるべきである。
  • 菱山 美絵, 山田 秀裕, 尾崎 承一
    セッションID: 15-21
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    症例は46歳女性,平成4年(33歳時)他院にて多発性筋炎と診断。プレドニゾロン(PSL)40mg内服にて寛解.平成11年右膝関節炎あり関節穿刺液より非定型抗酸菌検出されイソニアジド(INH),ピラジナミド(PZA),リファンピシン(RFP)開始.RFPは湿疹のため中止.INH,PZA投与を受けたが耐性化しエタンブトール(EB)に変更,その後EBも中止.平成13年間質性肺炎合併にてシクロスポリン(CyA)200mg併用開始.平成15年7月,再度右関節腫脹が増悪したが関節穿刺培養陰性,PSL増量するも改善なし.平成16年1月当院初診.身体所見上は右膝関節腫脹,熱感,舌に白苔,筋肉痛なし.検査所見ではCK正常,赤沈,CRP陰性,KL-6,SP-D正常.多発性筋炎再燃の徴候は認められず.PSL,CyAを減量しつつ,関節穿刺培養を繰り返した.H16.5月,関節液よりM.kansasii検出.クラリスロマイシン(CAM),EB内服開始にて膝関節腫脹,疼痛改善.H17年2月には正座可能.H17年8 月CAM,EB終了.二次予防としてアジスロマイシン(AZM)継続中. 今回、免疫抑制剤使用下において関節炎の鑑別に難渋した症例として報告する.
  • 緋田 めぐみ, 鎌田 千晶, 今村 愉子, 大久保 道子, 廣田 浩一, 木俣 敬仁, 鈴木 健, 山田 秀裕, 尾崎 承一
    セッションID: 15-22
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
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     症例は68才男性。2年前より寒冷時に四肢末端が紫色に変化していた。入院4日前に少量の血痰あり。初診時軽度の咳および喀痰、軽度の炎症反応と白血球の増多により気管支炎と判断し、ニューキノロン系抗生剤を投与した。炎症反応は改善したが、足趾末端に一箇所潰瘍の形成があり、加療のため入院した。内服抗生剤にて咳・痰は出なくなったが、プロスタグランジン製剤の点滴にもかかわらず手指末端にも壊疽が広がった。APTTの延長があり、ループスアンチコアグラントと抗カルジオリピン抗体が陽性だった。他の自己抗体は、陰性だった。前医での胸部CTを再読影したところ、肺胞出血が疑われた。また、頭部MRIにて2週間以内の多発性脳梗塞が確認された。肺胞出血から皮膚症状・脳梗塞の3臓器全ての発症は1週間から10日程度の間に発症したと考えられ、原発性の劇症型抗リン脂質抗体症候群と判断した。 ステロイドパルス療法およびワーファリンによる抗凝固療法を施行するも四肢の壊疽が広がり、免疫グロブリンも投与してやっと壊疽の進行が止まり、救命しえた。 上記症例を文献的考察を加えて発表する。
  • 納田 容子, 伊藤 彦, 東 浩平, 東 伸行, 小林 美奈子, 永嶋 裕司, 市川 陽一
    セッションID: 15-23
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    65歳女性、関節リウマチ(stage IV, classIV)にて通院中の患者。発熱、咳、喀痰にて外来を受診し、気道感染症を考え、抗生剤を投与したが改善せず、精査加療目的にて入院となった。入院時、体温38C台、WBC 8800/ul、CRP 19.7mg/dlと炎症反応高値であったが、抗生剤は無効であった。両側側頭部痛があり、両側浅側頭動脈を索状に触れ圧痛も認めたため、側頭動脈炎を疑い、同部位の組織生検を行った。この結果、巨細胞を混じた全層性の肥厚と内腔の狭窄、内弾性板の断裂や中膜を中心としたリンパ球、形質細胞がびまん性に浸潤しており肉芽腫血管炎の所見であり、側頭動脈炎と診断した。本症例は進行した関節リウマチに重度の骨粗鬆症を合併しており、眼症状も出現していなかったため、治療は少量のプレドニゾロン10mg/日を投与した。これにより各症状は速やかに改善し、1週間後にはCRP 0.7mg/dlと 炎症反応も低下し、退院した。リウマチ性多発筋痛症の約20%に側頭動脈炎が合併すると言われているが、本症例では関節リウマチに合併したことが比較的希であり、また、少量のステロイドが有効であったため報告する。
  • 諏訪 昭, 鈴木 康夫, 金子 祐子, 佐藤 慎二, 桑名 正隆, 平形 道人
    セッションID: 15-24
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    【症例】54歳女性.【主訴】筋力低下.【現病歴】1983年 RAと診断され,SASPで寛解.2000年間質性肺炎と診断. 2001年10月筋力低下出現し入院.【現症】両下肺野にfine crackle 聴取.両上肢近位筋対称性筋力低下あり(MMT4/5).ヘリオトロープ疹 ,ゴットロン徴候なし.【検査成績】LDH 914 IU/l,AST 167 IU/ml,ALT 256 IU/ml, CK 6,369 IU/ml,ALD 118 U/l.抗核抗体40倍(D+Sp)陽性,抗Jo-1抗体陽性,抗SRP抗体,抗U1 RNP抗体,抗リン脂質抗体陰性,RF 507 IU/ml.胸部X線検査で両下肺野に間質性陰影.下肢MRI検査で両大腿直筋,大腿二頭筋にT2WI高信号.筋電図検査で上肢近位筋に軽度筋原性変化.筋生検で筋線維束間にリンパ球浸潤,筋萎縮所見.【経過】RAに合併した多発性筋炎と診断,PSL 60mgでCKは改善.2週間後に脳梗塞,心筋梗塞を発症.グリセロール投与,POBA施行し,軽快退院.2002年4月筋炎再燃.12月にはCK 705 IU/mlまで上昇し,ミゾリビン150mgをPSL 8mgに併用.CKは正常化し,PSL 5mgへ減量後再燃をみない.【結語】筋炎に対する寛解導入および維持療法としてミゾリビンの有用性が示唆された.
  • 玉置 健一郎, 豆原 彰, 中澤 隆, 辻 剛, 森信 暁雄, 熊谷 俊一
    セッションID: 15-25
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    症例1:31歳 男性。17歳時に陰部潰瘍出現。その後、口腔内アフタ、ぶどう膜炎も出現しベーチェット病と診断された。コルヒチン、低容量アスピリン、ステロイド点眼、シクロスポリン(CyA)にて加療されていた。24歳時、眼発作により視力が右0.02、左0.1まで低下した。その後、年に数回眼発作が見られるも大きな視力低下無く経過したが、CyAによる髄膜炎様症状を2度生じたため同剤中止し、メソトレキサートへ変更した。その後、眼発作の頻度が増加し著明に視力は低下した。難治性眼べーチェットに対して、インフリキシマブを導入し、その後発作は認められなくなった。症例2:39歳 女性。30歳頃より両眼の視力低下が出現した。その後結節性紅斑、右前眼部ブドウ膜炎、口腔内アフタを認めたため、不全型ベーチェット病と診断した。コルヒチン、CyA、ステロイド内服にて加療していたが年に数回眼の小発作がみられ、視力低下もありステロイド内服増量で対応していた。38歳時に腎機能障害が出現したためCyAを減量したが、その後頻回に発作がみられるようになり右視力が0.2から0.07に著明に低下した。難治性眼ベーチェットに対して、インフリキシマブを導入した。投与後は発作を認めず視力も徐々に回復してきている。今回我々はインフリキシマブが有効であったベーチェット病の難治性ぶどう膜炎を2例経験したので若干の文献的考察を加え報告する。
  • 豆原 彰, 信原 由実子, 中澤 隆, 辻 剛, 並木 充, 玉置 健一郎, 森信 暁雄, 熊谷 俊一
    セッションID: 15-26
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    症例は51歳女性。2002年、外陰部に排膿を伴う有痛性の潰瘍が出現。2005年6月より口腔内アフタ、両下腿の結節性紅斑が出現し、不全型ベーチェット病と診断。NSAIDsとコルヒチンを併用し、同症状は軽快していた。2006年1月中頃より数回の下血を認め、下部消化管内視鏡検査にて横行結腸から回盲部にかけて多発性潰瘍を認めた。腸管ベーチェットの診断のもと、2月14日よりメサラジンの投与を開始した。その後下血は消失したが腹痛、発熱、CRPの高値は持続したため、3月10日よりプレドニゾロン(最大60mg/日)経静脈投与を開始した。さらにステロイドパルス療法を計3回施行したが、効果(解熱、CRPの低下)は一時的であったため、4月27日より白血球除去療法を開始した。5月2日に回盲部回腸に穿孔を来たしたため、穿孔部位から口側25cmの回腸切除術および人工肛門造設術を施行した。切除した回腸には穿孔部以外にも潰瘍が多発していた。手術後、腹痛、発熱、CRPとも著明に改善し、ステロイドの減量後も寛解維持できている。下部消化管内視鏡においても著明な改善を認めた。ステロイド不応の難治性腸管ベーチェットに白血球除去療法併用と外科的手術による便路変更が効果的であったので、若干の文献的考察を加えて報告する。
  • 東 浩平, 伊藤 彦, 柴田 朋彦, 東 伸行, 永嶋 裕司, 小林 美奈子, 納田 容子, 市川 陽一
    セッションID: 15-27
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    症例は88歳女性、2004年3月血痰を認め近医受診され、胸部CT所見上空洞を伴う多発結節影を認めた。同院にて気管支肺胞洗浄施行されるも結核、非定型好酸菌症、肺アスペルギルス、悪性疾患などの所見は認めなかった。2004年5月25日当院紹介受診され、上気道病変や腎病変を認めず、肺所見およびPR3-ANCA 29Uと陽性であることより、臨床的に肺限局型Wegener肉芽腫症と診断した。肺生検は本人拒否された。限局型でありかつ高齢発症であることよりST合剤による初期療法を選択、開始したところ、2004年10月6日の胸部CTにて空洞病変の縮小傾向を認め、2005年2月16日には空洞病変は消失した。またPR3-ANCAも14Uと改善を認めた。その後も臨床症状や画像所見などは落ち着いていたが、徐々にPR3-ANCAの上昇を認め2005年10月5日喀血や発熱出現、PR3-ANCA 53U、胸部CTにて再燃を認めた。2005年11月2日、シクロホスファミド25mg/dayの経口投与を開始し、その後再び軽快傾向を認めている。Wegener肉芽腫症に対する寛解導入療法はシクロホスファミドおよびステロイドの併用療法が最も推奨されており、ST合剤は寛解維持療法の一つと考えられているが、本症例のように高齢でかつ進行の比較的緩徐な限局型Wegener肉芽腫症では、ST合剤も選択しうると考えられた。
  • 横田 和浩, 進藤 靖史, 吉田 佳弘, 上川 哲平, 水上 晶子, 荒木 靖人, 阿達 大介, 秋葉 春彦, 淺沼 ゆう, 新井 栄一, ...
    セッションID: 15-28
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    症例は37歳女性.1994年に臀部・大腿部に圧痛を伴う皮下結節が出現.他院にて皮膚生検施行され,Weber-Christian病と診断.プレドニン50mg/dayの投与にて軽快した.2004年再び臀部・大腿部に皮下結節が出現.Weber-Christian病の再燃と診断され,プレドニン40mg/dayで軽快した.2006年2月に近医でSS-A抗体陽性を指摘され,当科紹介入院.入院後,涙液の低下は認めなかったが,唾液腺機能低下と小唾液腺の組織所見よりシェーグレン症候群と診断した.一方,1994年のWeber-Christian病と診断された際の皮膚生検ブロックを取り寄せ,当院にて検討したところ,皮下脂肪小葉間を主体にbean bag cellを含み,CD8陽性の異型リンパ球の浸潤を多数認め,T細胞レセプターの遺伝子再構成が確認されたことから,皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫と診断した.皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫は稀であり,シェーグレン症候群を合併することは極めて稀であることから,文献的考察を加え報告する.
  • 川上 民裕, 渡部 秀憲, 溝口 昌子, 相馬 良直
    セッションID: 15-29
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    Henoch-Schönlein紫斑病(HSP)別名アナフィラクトイド紫斑病は、下肢に多発するpalpable purpuraと呼ばれる紫斑で始まり、組織学的に真皮上層の壊死性血管炎をみ、この障害血管にIgA沈着が生じる。当教室で経験した成人HSP20例の血中CRP、IgA、抗カルジオリピン抗体(aCL Ab)IgG、aCL Ab IgM、aCL Ab IgA、β2グリコプロテイン_I_(β2GP_I_)依存性aCL AbをELISA法で測定し、臨床像との相関を検討した。20例は全て膠原病などの合併症がない。20例中15例(75%)にaCL Ab IgAが検出されたのに対し、aCL Ab IgG、aCL Ab IgM、β2GP_I_依存性aCL Abは検出されなかった。検出された15例のaCL Ab IgA値は、血中CRP値、IgA値とそれぞれ相関関係を形成した(rs=0.91, p=0.0007; rs=0.80, p=0.0026)。また、この15例中、関節痛を訴えた症例のaCL Ab IgA値は、訴えなかった症例の同値より有意に高かった(p=0.022)。同様に、蛋白尿を認めた症例の方がなかった症例に比べ、有意にaCL Ab IgA値が上昇していた(p=0.013)。成人HSP病初期におけるaCL Ab IgA値の上昇は、aCL Ab IgAがその発症機序に関与していることを推測させた。
  • 北薗 貴子, 山野 嘉久, 山田 和夫, 太良 光利, 新名 清成, 三好 逸男, 末吉 和宣, 吉村 あゆみ, 松木田 純香, 有村 公良
    セッションID: 15-30
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    症例は73歳女性。平成17年2月頃より発熱と両前腕・両肘・手背に紫紅色斑が出現。近医内科を受診するも改善せず、その後関節痛、脱力感も出現し、近医内科を受診。リウマチ性多発筋痛症と診断され、プレドニゾロン(PSL)10mg/dayを開始された。しかしその後も症状が増悪するため、同年7月22日当院皮膚科、内科へ紹介受診となった。入院時、ヘリオトロープ疹、ゴットロン徴候様の皮膚症状および多発性皮膚潰瘍を認め、血液所見では少数の異型リンパ球と軽度炎症所見があり、抗核抗体160倍、CPKは正常であった。PETにてリンパ節および皮膚_から_皮下の集積を認めた。神経伝導速度にて多発性単神経炎の所見が得られたが、皮膚生検では膠原病の皮膚病変と合致するものの血管炎の所見は認めなかった。以上より本症例は皮膚潰瘍と多発性単神経炎を合併したAmyopathic皮膚筋炎と診断した。経過中、診断を明らかにするためPSLを中止したところ、皮膚病変、全身状態ともに悪化しPSL20mg/dayを開始するも徐々に呼吸状態も悪化、CTにて間質性肺炎を認めすぐにステロイドパルスを開始した。さらにシクロフォスファミド(CPA)パルスを併用し、その後PSL50mg/dayを漸減しながら月1回のCPAパルスを行っているが、症状の悪化は認めていない。本症例のように、皮膚潰瘍を伴うAmyopathic皮膚筋炎は、本邦では珍しく、高率に間質性肺炎を合併することが知られており、若干の文献的考察を加えて報告する。
  • 平野 亨, 嶋 良仁, 丸田 みちる, 河合 麻理, 桑原 祐裕, 有光 潤介, 大河原 知治, 萩原 圭祐, 山鳥 大材, 仲 哲治, 緒 ...
    セッションID: 15-31
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    再発性多発軟骨炎(RP)は、比較的稀な全身の軟骨病変を主体とする難治性疾患であるが、最近当院で典型例および非典型例の2症例を経験したので報告する。症例1は27歳女性で喘息様症状で発症し、耳介軟骨炎および鞍鼻を伴い、RPと診断された。呼吸管理のため気管切開を施行され、その後ステロイドおよびメソトレキセートで炎症のコンロトールを行っている。典型症状を示したもののtypeIIcollagenに対する自己抗体は陰性であった。症例2は50歳男性で両側強膜炎および右胸部腫瘤で発症し、非特異的な関節痛を訴え精査のため当科紹介された。胸部腫瘤の組織所見では確定診断に至らなかったが、慢性炎症疾患と考えステロイドを投与開始した。その後気道狭窄が出現し、TypeIIcollagenに対する自己抗体が陽性であり、RPと診断された。(考察)確定診断に至る所見が発症時に必ずしも全て揃うとは限らず、慎重な臨床経過の観察が必要である。また今後確定診断にいたる新たな自己抗体の検索が必要であることが示唆された。
  • 和田 達彦, 鈴木 貴博, 佐藤 将之, 井上 明美, 伊藤 壮一, 越川 義章, 大曽根 康夫, 秋月 哲史
    セッションID: 15-32
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    64歳女性。‘98年よりレイノー現象が出現、2000年5月より尿潜血を指摘されていたが蛋白尿はなかった。‘01年8月以降は当院内科を受診。両手指のソーセージ様腫脹、手指硬化、汎血球減少、抗U1-RNP抗体(115U/ml)を認めMCTDの診断基準を満たしていた。また汎血球減少、赤血球円柱、抗ds-DNA抗体低力価(35 IU/ml)陽性、抗核抗体(1280倍)より改訂SLE予備基準も満足していた。’05年1月より労作時呼吸困難が増強し、胸部のX線、CT検査で肺気腫と診断し在宅酸素療法を開始した。間質性肺炎・肺高血圧は認めなかった。'06年4月13日突然の胸部不快感と喀血を主訴に救急車で来院した。左肺野に呼吸音減弱と断続性ラ音を聴取し、胸部CTにて左下葉の肺胞出血と診断した。救急センターにて止血剤投与で経過観察していたが、呼吸状態が悪化したため挿管し、再度施行したCTで肺胞出血の増悪を認めICUへ入院した。ステロイドパルス療法を施行し、後療法はPSL 1mg/kgとし一時軽快傾向であったが、その後再び発熱し敗血症性ショックにて死亡した。入院時の血清学的所見では、抗Sm抗体が58.6 U/mlと初めて陽性となり、抗RNP抗体は447 U/ml、抗ds-DNA抗体は110 IU/mlと高値であった。MCTDを主体とする経過中に肺胞出血が出現し、SLE活動性指標である抗ds-DNA抗体の上昇、疾患標識抗体である抗Sm抗体の出現など、劇的な病態の変化に伴い血清学的プロファイルに変動がみられた貴重な症例であり報告する。
  • 萩原 圭祐, 嶋 良仁, 岩谷 博次, 中庄谷 奈々穂, 新倉 加奈, 有光 潤介, 平野 亨, 山鳥 大材, 緒方 篤, 田中 敏郎, 吉 ...
    セッションID: 15-33
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    症例は54歳女性、2004年発症の強皮症の患者。プレドニゾロン5mg、D-ペニシラミンにて外来フォローされていたが皮膚硬化が増強し、シクロスポリンを導入するも改善せず、2005年9月13日入院。入院時、血圧96/62mmHg、BUN21、Cr0.7であったが、10月28日よりCr1.6、血圧150-170/90-100mmHgと上昇が見られ、強皮症腎クリーゼが疑われた。腎保護作用を期待し、テルミサルタン20mg、テモカプリル2mgより開始するも、血液データーおよび血圧は改善せず、ニカルジピン持続静注も併用した。11月18日にはBUN61、Cr7.4まで上昇し血液透析導入となった。週2回の透析導入後も腎機能回復を期待し、収縮期血圧130mmHg以下を目標とした厳格な降圧療法を続行した。最終的にはアムロジピン10mg、フロセミド40mg、テルミサルタン160mg(最大投与量80mg)、テモカプリル8mg(同4mg)投与を続け、血圧100-110/50-70mmHgにコントロールした。2006年1月23日(最終透析後10日)BUN55、Cr3.4と明らかな腎機能の改善を示し透析離脱となった。現在テルミサルタン40mg、テモカプリル4mgにてCr2大で推移している。(考察)強皮症腎クリーゼにより透析導入となっても、高用量ARB、ACEI療法により腎機能改善の可能性があることが示唆された。
  • 島田 恵子, 大岡 正道, 伊藤 宏, 前田 聡彦, 鎌田 千晶, 上月 雅子, 赤荻 淳, 山田 秀裕, 尾崎 承一
    セッションID: 15-34
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    Wegener肉芽腫症における眼窩内腫瘤は失明や脳神経症状など重篤な合併症を呈する可能性があるだけでなく、従来おこなわれてきた免疫抑制剤を用いた治療に抵抗性を示す難治性の病態として知られている。今回われわれは、Cycrophosphamide間歇静注療法に抵抗性を示した眼窩内腫瘤を持つWegener肉芽腫症に対して、Rituximabを使用し、改善を認めた3例を経験したので文献的考察を含めて報告する。一例は21歳女性。平成17年1月発症。EL型。一例は50歳女性。平成2年発症。EL型。一例は62歳男性。平成5年発症。E型。いずれの3例もCycrophosphamide間歇静注療法をおこなったが悪化傾向を認める眼窩内腫瘤を呈していた。Rituximabを使用したところ、眼痛、視力障害、眼球運動の速やかな改善を認め、眼窩内腫瘤の縮小を認めた。感染症などの合併症は認めていない。また、眼窩内腫瘤以外の病態についても改善を認めている。
  • 奥谷 大介, LIU Mingyao
    セッションID: 16-1
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    Background: Acute lung injury (ALI) can be easily developed by a variety of insults including intestinal ischemia-reperfusion injury (IIRI). Patients with ALI require mechanical ventilation (MV) which can worsen pre-exisiting lung injury. Src protein tyrosine kinase (PTK) family is signaling proteins involved in intracellular signal transduction related to acute inflammatory responses. The aim of the present study is to see if pharmacological inhibition of the Src PTKs might modulate ALI. Methods: Rats received intestinal ischemia by occluding the superior mesenteric artery for 30 min. Then, reperfusion was initiated by removal of the occlusion, and animals were ventilated for 4 hours with tidal volume of 15 ml/kg and PEEP of 0 cmH2O. Src inhibitors (PP2 or SU6656) were administered before MV. Blood gas was measured during MV. Lung injury was assessed by histological examination. Results: After MV, ALI was developed in non-treated animals with significantly lower PaO2 levels and more pathologically damaged lungs. Animals treated with Src inhibitors showed improved pulmonary function. Conclusion: Pharmacological inhibition of Src PTKs could be a potential therapy for ALI.
  • 釜田 康行, 岩本 雅弘, 吉尾 卓, 岡崎 仁昭, 簑田 清次
    セッションID: 16-2
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
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    膠原病に伴うレイノー現象は、時に指尖潰瘍をきたし壊疽に至ることもある。これまでレイノー現象の治療薬は、プロスタグランディン製剤等の血管拡張剤が用いられてきたが、奏効する例は少なく有効な治療法がないのが現状だった。本研究では、レイノー現象を有する12例に対し、短期試験としてシルデナフィル内服前後で経時的に指尖部温度を測定し、温度上昇に至る血流改善効果があるか確認した。また長期試験として3例に対し3ヶ月間シルデナフィルを投与し、自覚症状、他覚所見、指尖部温度測定によりその有効性を評価した。短期試験ではシルデナフィル内服により1_から_2時間後に0.1_から_7.1度、平均2.4度の指尖部温度上昇を認め、75%の症例で手指の温感を自覚した。長期試験でもシルデナフィル投与3ヵ月後に1.1_から_3.1度、平均2.1度の指尖部温度上昇を認め、指尖潰瘍やひび割れの治癒を認めた。また冷感・疼痛等の自覚症状が約90%減少した症例もあった。シルデナフィルは膠原病に合併したレイノー現象に対し、短時間で指尖部の血流を改善し表面温度を上昇させ得る薬剤であることが確認された。またシルデナフィルを継続して内服することにより、指尖部の血流低下で生じた指尖潰瘍を改善させることが確認された。 
  • 竹内 孝男, 竹川 麻衣, 伊藤 能永, 岸 史, 宮本 昌彦, 南方 保
    セッションID: 16-3
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    【症例】67歳、女性【現病歴】2005年2月より多発関節痛を来たし、近医で関節リウマチ(RA)の診断にて5月より3ヶ月半MTXを内服するも症状は改善しなかった。8/31当院免疫・リウマチ内科初診。9/16よりエタネルセプト(Eta)を開始したところ、RAの活動性は低下し、有効であった。9月下旬より尿量減少、10/31外来受診時足背に浮腫を認め、血清アルブミンは著明に低下し、強度の蛋白尿も認め、ネフローゼ症候群と診断した。Etaの副作用の可能性が考えられたため同日よりEtaを中止し、12/2腎臓内科に精査加療目的で入院。【経過】Eta中止後蛋白尿は減少傾向にあったが、12/12よりプレドニゾロン(Pred)40mg/dayを開始した。その後も蛋白尿は徐々に減少してきたため12/19日よりPredを30mg/dayに減量し、12/27日退院。入院中に腎生検を施行。【考察】本症例ではRA歴が短期間であることより、RA性腎症は考えにくい。薬剤性の可能性としてはジクロフェナクナトリウムとEtaが考えられるが、投与時期と蛋白尿出現の時期とかその推移を考慮するとEtaによる副作用の可能性が強い。文献的にはEtaによって発症したと考えられるネフローゼ症候群症例は世界でも4例しか報告がなく、そうした症例とも本症例を比較検討したい。
  • 船内 正憲, 嶋津 秀紀, 玉置 千勢, 山形 俊昭, 野崎 祐史, 杉山 昌史, 生駒 真也, 木下 浩二
    セッションID: 16-4
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    近年の膠原病治療法の進歩にも拘らず治療抵抗例は少なくなく、特に肺高血圧症の合併は主要な死因の1つである。一方、血管内皮障害に伴って産生されるエンドセリンは肺高血圧症の病態に関与していると報告され、その受容体拮抗薬は肺高血圧症に対する治療薬として効果が期待されている。今回、肺高血圧症を伴う膠原病患者にエンドセリン受容体拮抗薬 ボセンタンを投与し、心肺機能の改善とともにレイノー現象、皮膚潰瘍の改善を認めたので報告する。対象は強皮症11例、混合性結合組織病1例、多発性筋炎1例、全身性エリテマトーデス1例の計14例。治療開始3カ月後にレイノー現象は9例中2例で消失し、他の症例も軽快傾向を示した。手指の潰瘍は3例全例で改善し、皮膚温の上昇を認めた。身体活動能力は6分間歩行距離が平均320 mから420 mと増加し、半数の症例で改善を示した。心エコー上、右室圧は平均44 mmHgから40 mmHgに、BNPは平均40.0 pg/mlから35.0 pg/mlに低下した。副作用は1例で発熱を認めたが一時的であり、他の1例でトランスアミナーゼの上昇を認めたが、用量を減量して投与を続行し得た。以上からボセンタンは肺高血圧症を伴う膠原病に対して有用な治療薬の一つと考えられ、引き続き経過観察中である。
  • 岸 潤, 南木 敏宏, 高村 聡人, 渡部 香織, 駒野 有希子, 宮坂 信之
    セッションID: 16-5
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
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    症例は27歳の女性。発熱・倦怠感の主訴のもとに当科入院したが、意識障害、蝶形紅斑、口腔内無痛性潰瘍を認め、汎血球減少、抗核抗体陽性、抗ds-DNA抗体陽性から全身性エリテマトーデス及び中枢神経ループス、骨髄穿刺より血球貪食症候群の合併と診断された。入院第3病日、第9病日および第21病日よりそれぞれメチルプレドニゾロン1g/日×3日間のパルス療法が計3回施行され、その間はプレドニゾロン1mg/kgの経口投与が行われた。しかし発熱および血小板3万/μl程度の血小板減少が持続したため、第27病日に免疫グロブリン大量静注療法を行った。第29病日には血小板数2.3万/μlと更に減少し、効果不十分と考え第30病日にリツキシマブ1000mgの投与が行われた。しかし、第34病日より乾性咳嗽が出現し、胸部レ線では両肺野に両下肺野優位のスリガラス影を認めた。BALFでは総細胞数が11.15×105/mlと著増、リンパ球優位であり、臨床経過とあわせてリツキシマブによる薬剤性間質性肺炎を疑った。以後、経過観察したところ、咳嗽は徐々に自然軽快し、第42病日の胸部レ線ではスリガラス影も改善を認めた。リツキシマブによる間質性肺炎は、悪性リンパ腫において複数の報告がなされているが、膠原病領域では乏しく、貴重な症例と考え報告する。
  • 山野 嘉久, 栄楽 信隆, 新名 清成
    セッションID: 16-6
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    症例は関節リウマチ2例。メトトレキセートとインフリキシマブの併用療法により臨床的効果を示したが、併用していたステロイドの減量が困難であった。そこで、タクロリムスを併用したところ、ステロイドの減量・中止が可能となり、特に副作用の出現も認められなかった。この2症例は、メトトレキセートとインフリキシマブの併用療法でも現在の承認された用量範囲内ではコントロール不十分となる関節リウマチ患者が存在することを示唆し、その様な症例においてタクロリムスを併用することが有効かつ安全である可能性を示している。この2症例の臨床経過、検査結果を示し、タクロリムスを併用しステロイドを中止することの是非につき、若干の文献的考察を加えて発表する。
  • 坂之上 裕子, 松川 吉博, 深町 大介, 土屋 貴彦, 白岩 秀隆, 清水 貴子, 北村 登, 武井 正美, 澤田 滋正
    セッションID: 16-7
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    ボセンタンの臨床適応が認められ,膠原病性肺高血圧症治療の選択肢が拡大された.エポプレステノール(Epo.)不耐性の肺高血圧症にボセンタン併用が有効であったので報告する.[症例] 52才,女性.平成9年Raynaud症状にて初診.抗核抗体1280倍,抗DNA抗体640倍,抗Sm抗体陽性,リンパ球減少,蛋白尿にてSLEと診断.平成11年肺線維症を,12年には肺高血圧症を併発した.ベラプロスト120microgを投与していたがNYHA Class III, 6分間歩行229m,BNP103pg/mlと効果不十分なため14年よりEpo.導入した.下痢,脱毛,食欲不振のため4.0 ng/kg/minを維持量とし,コントロール良好であった.平成17年3月頃より呼吸困難と下腿浮腫が出現し,BNPも上昇したため利尿剤を追加投与した.当初は反応良好であったが次第に不良となり,Epo.増量を試みた.以後,BNPと臨床症状を指標にEpo.を次第に増量していったが,8.25ng/kg/minで収縮期血圧80-90mmHgと低下したため,18年5月にボセンタン投与開始した.投与翌日から呼吸困難は改善し, 5日間でBNPは711から472 pg/mlへと改善したが血圧低下は認められなかった.Epo.不耐例へのボセンタン追加投与は有用であると考えられた.
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