臨床神経生理学
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40 巻 , 4 号
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原著
  • 杉田 淑子, 大倉 睦美, 谷口 充孝, 大井 元晴
    2012 年 40 巻 4 号 p. 169-176
    発行日: 2012/08/01
    公開日: 2014/08/30
    ジャーナル フリー
    REM睡眠行動異常症 (RBD) は, REM睡眠中に起こる睡眠随伴症のひとつである。確定診断は, 臨床症状と終夜睡眠ポリグラフ検査において筋活動抑制を伴わないREM睡眠 (REM sleep without atonia, RWA) が確認されることで行われるが, RWAの判定が確立しているとはいえない。今回我々のセンターでのRWA解析について従来法とAASM manual for scoring sleep 2007等を受けて現在行っている解析方法を呈示し, RBDと診断された13例を対象として, 従来法と現解析方法による%REM, %RWAを比較したが有意差はなかった。現解析方法にてtonic activity typeのRWAがREM睡眠にしめる割合を算出した。RWAの出現様式やカットオフ値の報告がなされ, 神経変性疾患へ進展する群ではtonic activity typeのRWA値が高いといわれている。既報告例と比較し当センターの%RWA, tonic activity typeのRWA値が低かった。今後解析方法の解釈に統一が必要であり, 詳細な解析が疾患分類や薬剤選択につながる可能性がある。
  • 浅川 徹也, 村松 歩, 林 拓世, 水野(松本) 由子
    2012 年 40 巻 4 号 p. 177-184
    発行日: 2012/08/01
    公開日: 2014/08/30
    ジャーナル フリー
    本研究は, 情動刺激下における脳機能の関連性を評価し, 人工ニューラルネットワークを用いて判別評価することを目的とした。被験者は, 健常成人22名であり, 心身状態の違いを Cornell Medical Index (CMI) によって, 正常群と神経症予備群に分類した。脳波は, 視聴覚動画像を用いた情動刺激下で測定し, コヒーレンス解析を行った。各群, 各セッション, 各帯域, 各領域について, コヒーレンス値を分散分析で比較した。また, 人工ニューラルネットワークを用いて, 2群の判別を行った。神経症予備群は正常群と比較して, 快, 不快刺激で外側矢状方向と内側冠状方向のコヒーレンス値が有意に高値を示した。コヒーレンス値による群の判別評価の結果は, β1帯域において, 正解率, 感度, 特異度のいずれも 80%以上を示した。心身状態の違いにより, 情動刺激に脳内の対する情報処理過程が異なることが示唆された。さらに, 脳波コヒーレンス値に, 人工ニューラルネットワークを用いることで, 被験者の心身状態を判別評価することが可能であることが示された。
  • —脳波シミュレーションデータによる検証—
    田中 博昭, 林田 祐樹, 村山 伸樹, 伊賀崎 伴彦
    2012 年 40 巻 4 号 p. 185-194
    発行日: 2012/08/01
    公開日: 2014/08/30
    ジャーナル フリー
    脳内の電気生理学的活動源の挙動や特性を脳電磁図の測定信号から求めようとする際には, ある逆問題解法を用いて信号源の推定を行い, 次に, 得られた推定信号源に対して時間–周波数解析や相互相関解析などを行っている。しかしこの場合, 各解法の推定精度がその後の解析結果を左右してしまうこととなる。そこで本研究では, 測定信号に対して, 直接, 時間–周波数解析や相互相関解析などを先ず行い, その解析結果に基づき, 測定信号に対して多次元重みづけを施すことで, 特定の信号源を選択的に推定する手法を提案する。すなわち, 予め目的とする信号の特性をある程度限定・強調すると同時に, それ以外の信号を抑圧することで, 信号源推定の精度を向上させることができる。本報では, その適用例として, 異なる周波数で互いに相関を示す複数の脳内活動源の推定を取り上げ, 脳波のシミュレーションデータを用いて, 具体的な解析および推定の手順とその結果を示す。
総説
  • 露口 尚弘, 鎌田 恭輔, 中里 信和, 宇田 武弘, 池田 英敏, 坂本 真一, 尾﨑 勇, 井口 義信, 平田 雅之, 亀山 茂樹, 石 ...
    2012 年 40 巻 4 号 p. 195-202
    発行日: 2012/08/01
    公開日: 2014/08/30
    ジャーナル フリー
    PETやPerfusion CTのような様々な脳検査法で脳の循環代謝を測定することは, 虚血巣をふくむ領域の脳機能の評価に有用である。しかし, 脳の循環動態は直接的に脳の神経活動を反映しているものではない。容積伝導した神経活動を表す頭皮脳波において, 急性期の脳虚血巣での徐波の出現が知られているが, 空間分解能, 定量性において脳機能の客観的指標とするには問題があった。脳磁図はこの脳波の短所をカバーできるものと期待され, 虚血性脳疾患への臨床応用がなされつつある。しかし, 脳磁図は, てんかん以外の疾患においては科学的エビデンスは明らかでない。本研究では文献検索に基づき虚血性脳疾患の脳磁図臨床研究の動向を調べMEDLINE にて (stroke OR cerebral ischemia) AND (MEG OR magnetoencephalography) を検索2010年7月までで58論文が検索された。この中から原著論文をえらび, エビデンスレベル, 抄録内容に基づいて25論文に絞りこみ現在脳磁図がどのように利用されているかを調べた。さらにエビデンスレベルはグレード2以上の12編について検討してまとめた。総じて虚血脳での脳磁図の変化を報告した文献が多く, 診断・治療方針の決定に関してはエビデンスレベルの高い論文もあるもののごく少数の報告に限られており, 今後の研究に期待しなければならない。しかし, 虚血に伴う脳の障害程度を脳循環代謝以外の方法で明らかにできることは意義深いと考えられる。
  • 白石 秀明, 尾﨑 勇, 井口 義信, 石井 良平, 鎌田 恭輔, 亀山 茂樹, 露口 尚弘, 中里 信和, 平田 雅之, 渡辺 裕貴, 橋 ...
    2012 年 40 巻 4 号 p. 203-208
    発行日: 2012/08/01
    公開日: 2014/08/30
    ジャーナル フリー
    脳磁図検査は, てんかん, 脳血管障害, 認知機能異常などの神経疾患に対して行われて来た。しかし, 小児疾患の中で, てんかん以外は科学的根拠が現状において証明されていない。本研究では, 文献検索に基づき, 小児における神経疾患において, 脳磁図検査がどのように行われているのかを調査した。検索は, MEDLINEを用いて, child AND (MEG OR magnetoencephalography) で行った。検索により, 2010年6月までで, 93論文が検索された。この中で, てんかん, 一症例のみの症例報告, 総説を除外すると, 14論文が見出された。それらの対象疾患は, Dioxin暴露, 脳室周囲白質軟化症, 多小脳回, 白皮症, もやもや病, Angelman症候群, 書字障害, 注意欠陥多動障害, 広汎性発達障害であった。これら研究は全て後ろ向きの対照比較研究で, エビデンスレベルは2aが10論文, 2bが4論文で, レベル1はなかった。推奨グレードは全てBであった。脳磁図検査は小児神経疾患研究において, てんかん研究以外では一般的ではないが, 非侵襲的検査であり, 乳幼児から繰り返し何度も検査を施行できるという利点を持つことから, 発達脳における変化を考察する上で, 脳磁図検査は有力な検査法となることが期待される。
特集「TMS」
  • 宇川 義一
    2012 年 40 巻 4 号 p. 209
    発行日: 2012/08/01
    公開日: 2014/08/30
    ジャーナル フリー
  • 鯨井 隆
    2012 年 40 巻 4 号 p. 210-215
    発行日: 2012/08/01
    公開日: 2014/08/30
    ジャーナル フリー
    経頭蓋磁気刺激法TMSはヒトへの応用が開始されて約30年近くが経過した。刺激からの脳内誘導電流を介して大脳皮質のI-waveを中心とした興奮性評価や機能解剖学的結合, 可塑性誘導法, 治療応用学的な研究などの進展が目立つ。こうしたTMSの基礎的背景には動物実験などによる大脳皮質内錐体細胞の機能解剖や神経細胞の膜生理学的研究, 数理科学的な研究などがその土台と成っており, 新しいTMSの手法を通してミクロとマクロの融合的視野での理論構築を目指す方向性となっている。今後は, 脳機能のblack boxは総体的なネットワークの視点から高次脳機能学的ならびに治療学的臨床応用の基礎研究が進んでいくものと期待できる。
  • 松本 英之
    2012 年 40 巻 4 号 p. 216-221
    発行日: 2012/08/01
    公開日: 2014/08/30
    ジャーナル フリー
    経頭蓋磁気刺激法 (transcranial magnetic stimulation: TMS) の最も基本的な刺激法として, 単発刺激法 (single-pulse stimulation) が挙げられる。その単発刺激法で最も普及している評価項目は, 神経根刺激法と組み合わせて測定する中枢運動伝導時間 (central motor conduction time: CMCT) であろう。その応用として, 通常のCMCTの測定に脳幹刺激法や馬尾起始部刺激法を組み合わせる方法が存在し, より詳細に皮質脊髄路の伝導を評価できる。また運動野の同定, 神経可塑性, 大脳皮質の興奮性, 脳梁伝導, 大脳皮質信号連絡の評価などにも応用可能である。更に中枢神経の解析に限らず, 末梢神経近位部病変の検出にも用いられる。このように単発刺激法は, TMSの基本でありながら, 実に様々な有用な解析方法を有している。
  • 花島 律子
    2012 年 40 巻 4 号 p. 222-226
    発行日: 2012/08/01
    公開日: 2014/08/30
    ジャーナル フリー
    経頭蓋的磁気刺激 (TMS) による運動誘発電位 (Motor evoked potential: MEP) の振幅を皮質の興奮性の指標として条件刺激の影響を調べることができるが, 運動野二連発経頭蓋磁気刺激法では, 条件刺激を運動野に与えることで運動野内の興奮性調節機構を検出する。Kujirai methodでは条件刺激を閾値以下にして, 試験刺激に1–5 ms先行させると抑制が生じShort-interval intracortical inhibition (SICI) と呼ばれる。これは皮質内のGABA性介在神経の機能を反映するとして, 近年では皮質内抑制の指標として用いられている。また, 試験刺激後に閾値以下強度のTMSを加えると, 約1.5 ms, 3.0 ms, 4.5 msをピークとした促通がみられる。これは, 磁気刺激により誘発されるI-waveの間隔と等しいことから, I-wave facilitationもしくはShort-interval intracortical facilitation (SICF) と呼ばれる。SICFの機序は二発の刺激により生じた促通性介在神経におけるEPSP時間的加重によると考えられている。SICIもSICFも皮質レベルの調節機能であり, 神経疾患や様々な条件下での皮質興奮性の変化を捉え機序を解明するための指標となる。
  • 堤 涼介, 代田 悠一郎, 宇川 義一
    2012 年 40 巻 4 号 p. 227-233
    発行日: 2012/08/01
    公開日: 2014/08/30
    ジャーナル フリー
    経頭蓋磁気刺激法における2つのコイルを用いたpaired pulse stimulationの例として, 大脳半球間抑制 (interhemispheric inhibition: IHI) と小脳抑制 (cerebellar inhibition: CBI) について概説する。IHIは左右のM1にコイルをおき, 片側からの条件刺激を対側からの試験刺激より6 ms以上先行させる条件で刺激を行った場合のMEP振幅が, 試験刺激単独によるMEP振幅に比べ減少するもので, M1間の脳梁を介した抑制機能を評価することができる。CBIは小脳半球と対側M1にコイルをおき, 小脳刺激をM1刺激に5–8 ms先行させる条件で刺激を行った場合のMEP振幅が, M1刺激単独によるMEP振幅に比べ減少するもので, 小脳プルキンエ細胞から歯状核視床皮質路を通る小脳遠心路系の機能を評価することができる。これらの機能は運動制御に重要な役割を果たしており, 様々な神経疾患における病態生理の解明や臨床応用が期待される。
  • グロイス 純, 宇川 義一
    2012 年 40 巻 4 号 p. 234-239
    発行日: 2012/08/01
    公開日: 2014/08/30
    ジャーナル フリー
    単相性4連発磁気刺激法 (QPS) とは, 従来の磁気刺激法とは異なり, 4発の単相性刺激をバースト状に発生させるパターン化された新しい不均一型反復磁気刺激法である。QPSはISIの長さによってヒトの大脳皮質に双方向の長期可塑性 (LTP, LTD) を誘導し, 従来のrTMSより効果も強く, 持続時間も長い。またQPSにより誘導される可塑性は, シナプス可塑性の恒常性維持機構として提唱されているBCM理論に合致し, その上メタ可塑性と一致した変化も出現する。その上QPSは従来の磁気刺激で提唱されているようにBDNF polymorphismに依存することもない。以上のことからQPSは, 今後現在治療が困難な神経難病の新しいrTMS治療法としても期待されている。
  • 植木 美乃
    2012 年 40 巻 4 号 p. 240-246
    発行日: 2012/08/01
    公開日: 2014/08/30
    ジャーナル フリー
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