臨床神経生理学
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41 巻 , 3 号
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原著
  • —優位律動と徐波の検出—
    西田 茂人, 杉 剛直, 池田 昭夫, 長峯 隆, 松橋 眞生, 柴崎 浩, 中村 政俊
    2013 年 41 巻 3 号 p. 127-133
    発行日: 2013/06/01
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    脳波自動判読システムにおいて, 短時間に出現する優位律動と徐波を自動検出し, それらの特徴を抽出する方法を提案する。最初に, 短区間ごとに構成したARモデルの極から, 主要成分のピーク周波数, パワー, スペクトル減衰度などの特徴パラメータの時間推移を求める。次に, 頭皮上各部位ごとの条件と, 頭皮上分布条件を基に優位律動と徐波を判定する。また, 優位律動の検出においては, 耳朶活性の有無を判定し, 双極導出データに対する結果を反映させた自動検出を行う。本提案法を脳波データに適用した結果, 従来の脳波自動判読法では検出が容易でなかった短時間脳波成分を検出することができた。さらに, 検出脳波の周波数, 優位律動のOrganization, 徐波の律動性などの特徴を表現することができた。本提案法によって, 短時間に出現する脳波成分の検出が可能になったので, 脳波自動判読システムをより充実したシステムにすることができる。
特集「脳機能計測法を基礎から学ぶ人のために」磁気刺激法
  • 野嶌 一平, 美馬 達哉
    2013 年 41 巻 3 号 p. 134-142
    発行日: 2013/06/01
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    経頭蓋磁気刺激 (transcranical magnetic stimulation: TMS) は, 変動磁場により非侵襲的に大脳皮質を刺激する方法であり, 大脳皮質の興奮性, 脳損傷後の神経再構築, 脳の可塑性発現を知るための有力な手段となっている。これまでの脳機能評価で使用されてきたTMSは単発刺激による評価であったが, 連続刺激 (repetitive TMS: rTMS) が可能となる機器が開発されて以降, ヒト大脳皮質に対して人工的に可塑的変化 (Plasticity) を引き起こす手法として, 神経内科領域やリハビリテーション領域などで積極的に臨床応用されている。また近年, より効果的な刺激方法を開発するための様々な試みが行われている。本稿ではTMS, 特にrTMSによる大脳皮質の可塑性を誘発する方法とその神経生理学機序に関する知見を紹介する。
特集「臨床に役立つ神経筋電気診断」
  • 馬場 正之
    2013 年 41 巻 3 号 p. 143-150
    発行日: 2013/06/01
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    進行した糖尿病性多発神経障害diabetic polyneuropathy (以下DPN) は生命予後を短縮し, 患者の生活の質を著しく損なう。DPNの客観的重症度判定法確立が世界中から切実に求められているのは, それゆえである。本稿では, 個々のDPN患者における各種伝導パラメータ異常が持つ意味をもとに, DPN進行に関わるNCS異常のとらえかた, および糖尿病性神経障害重症度判定の可能性を検証し, I度: 速度系パラメータ異常のみ, II度: 腓腹神経感覚電位低下, III度: 脛骨神経M波振幅低下, IV度: 脛骨M波高度低下の4段階評価基準がDPN重症度判定に有効であることを解説した。また, それをもとに筆者が作成した重症度アルゴリズムを提示し, 臨床現場での使用法をまとめた。神経伝導検査は世界的にDPNのgolden standardとされるほど客観性に優れるが, このような重症度判定アルゴリズムの導入が糖尿病患者管理の精度向上に寄与するとともに, DPN診療現場における神経伝導検査の重要性をより明確にできると期待される。
  • 谷 俊一, 木田 和伸, 武政 龍一, 池内 昌彦, 田所 伸朗
    2013 年 41 巻 3 号 p. 151-156
    発行日: 2013/06/01
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    神経根症の原因の多くは椎間板ヘルニアまたは椎間孔狭窄であり, 診断にはまず頸椎や腰椎の動きが上肢症状や下肢症状を誘発するかどうかを確かめることが重要である。次に, 神経診察によりデルマトーム (感覚検査) やミオトーム (MMT, 腱反射, EMG検査) に基づいて障害神経根を特定し, それに対応する椎間レベルに一致して画像診断で異常所見が存在することを確認する。一般に, 上肢はミオトーム, 下肢ではデルマトームの信頼性が高い。運動麻痺が著しい場合, 支配神経を末梢部で最大上刺激して麻痺筋から記録されるM波の大きさは支配神経の軸索変性の割合に応じて減少するため運動麻痺の予後の指標となる。神経根症では麻痺筋からM波が誘発できないほど運動神経の軸索変性が重度であっても椎間孔 (後根神経節) より末梢側の感覚神経は軸索変性を免れるためSNAPは正常に記録されることが多い。重症例においてこの現象は末梢神経障害との鑑別に有用である。
  • 園生 雅弘
    2013 年 41 巻 3 号 p. 157-163
    発行日: 2013/06/01
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    腕神経叢障害の評価にはその解剖の理解が不可欠であり, それを踏まえた臨床症候の詳細な検討が出発点となる。電気生理学的検査では感覚神経伝導検査の有用性が特に高く, 複数の神経を調べることで, C6~T1由来の腕神経叢成分についての局在診断が可能である。運動神経伝導検査ではC8/T1が評価できる。針筋電図検査は臨床症候以上の情報が期待できる場合に適応となる。頸部傍脊柱筋の針筋電図は, 頸椎頸髄疾患と腕神経叢疾患の鑑別に有用である。胸郭出口症候群 (TOS) では母指球萎縮を主徴とする稀なtrue neurogenic TOSだけが真の疾患概念として確立されており, T1優位の下神経幹障害が神経伝導検査で証明できる。その他放射線性・腫瘍性腕神経叢障害, 胸骨正中切開術後C8腕神経叢障害においても電気診断が有用である。神経痛性筋萎縮症では, 臨床的・電気生理学的に, 腕神経叢障害で説明困難な多発性単ニューロパチーの分布を証明することが診断に寄与する。
  • 野寺 裕之
    2013 年 41 巻 3 号 p. 164-171
    発行日: 2013/06/01
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    手根管症候群 (CTS) はありふれた疾患であり, 典型例では電気生理検査の解釈は比較的容易であるものの, 判断に苦慮する症例も少なからず経験する。手根管部での伝導遅延を証明することが電気生理検査の主眼であるが, ルーチンの正中神経伝導検査のみならず尺骨や橈骨神経との比較試験を含めた多彩な検査法を過不足なく施行することができるかが重要となる。検査尤度と臨床所見から推察した検査前確率を考慮することがCTSの適切な電気診断には必須である。
  • 栢森 良二
    2013 年 41 巻 3 号 p. 172-179
    発行日: 2013/06/01
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    肘部尺骨神経障害 (ulnar neuropathy at the elbow: UNE) は手根管症候群についで頻度の高い絞扼障害である。同様に頻度の高いTh1神経根症, 手関節での尺骨管症候群との鑑別, あるいは神経根症を合併している二重挫滅症候群の診断には, 基本的な臨床所見が重要である。電気診断学はこれらの病歴や理学所見の延長線上にある。尺骨神経伝導のルーチン検査は, 健側と患側の尺骨神経を手関節, 肘下, 肘上で刺激して筋複合活動電位 (CMAP) と感覚神経活動電位 (SNAP) を導出して, これを比較することである。UNEでは患側SNAPは軸索変性の程度を反映して低振幅である。さらに肘下と肘上刺激によるCMAPの波形相違や, 肘分節間伝導遅延がある。上腕骨内上顆を挟んで4~6 cmほどの分節で, 5つの異なった主な病態がある。これを診断するために, 短分節刺激によるインチング法によって伝導遅延あるいは伝導ブロックの部位を特定する必要がある。
  • 正門 由久
    2013 年 41 巻 3 号 p. 180-186
    発行日: 2013/06/01
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    脳波や筋電図等を用いて, 疾患の診断や神経機能を解明する神経生理学は, 電位を記録, 表示, 計測, そして記録された神経や筋の活動電位の解釈, これらを含む学問である。診断のためには疾患などによる波形の変化等についての知識が必要であるが, 一方技術的な限界や機器の問題などによる波形の変化についての知識も必要である。つまり診断および評価のためには機器, ME (medical electronics) 医用電子工学に関する知識が不可欠である。基本的な活動電位の発生, それを記録する際の周波数帯, アナログからデジタルへの変換, フィルタや電極の影響, アンプ, マイクロプロセッサー, モニター, スピーカー, 刺激機器などについての特性を知ることが必要である。これらを知ることで, 記録したい波形を得ることや得られた波形の解釈などもできることとなる。
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