正中神経伝導検査で, 順行法と逆行法を用いて感覚神経活動電位 (SNAP) 記録を行った。3指連結コードを作成して3指同時刺激を行うことにより, 順行法を用いても大きな振幅をもつSNAPを得た。指–手関節間で, 皮下浅い神経から電位を記録する逆行法では, 皮下深い神経から電位を記録する順行法より大きなSNAPが得られ, その比は健常者で平均2.5であった。小さなSNAPしか得られない順行法でも第2・第3・第4指の同時刺激により, 手関節から大きな振幅をもつSNAPを記録することが可能となり, 手根管症候群例でも潜時測定が容易になる。3指連結コードを用いると, SNAP振幅の小さい順行法では大きな振幅が得られ, SNAP振幅の大きな逆行法では各指の平均値が得られるという特徴をもつ。
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