ナルコレプシーは, 視床下部に存在するオレキシン神経の脱落・変性がその病態の中心にあることが確認されて以来, これを視野に入れた多くの脳機能・形態画像研究がなされている。情動脱力発作を伴うナルコレプシーのPET/SPECTによる機能画像研究では, 安静覚醒時においては視床下部をはじめ広範囲での脳血流低下・代謝低下が示唆されており, 一方, 情動脱力発作時には帯状回や扁桃体での局所的な血流増加が確認されている。また, fMRIを用いた研究では, 情動脱力発作時の視床下部の活動低下と扁桃体の過活動が報告されている。一方で, 構造画像研究であるVBMでは一貫した結果を得るにはいたっておらず, この理由として, MRIの撮像条件や, 解析プログラムの精度が影響している可能性が指摘されている。しかし, DTI拡散テンソル画像を用いた構造画像研究では, 情動脱力発作に扁桃体が重要な役割を果たしている可能性が示唆されている。
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