臨床神経生理学
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44 巻 , 1 号
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原著
  • ~健常者と統合失調症者の比較検討~
    近藤 昭彦, 森田 喜一郎, 石井 洋平, 江里口 剛喜, 内村 直尚
    2016 年 44 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2016/02/01
    公開日: 2017/03/01
    ジャーナル フリー

    統合失調症患者は, 対人相互作用場面において, 多様な障害をもつ。中でも, 他者感情への共感や自己情動の表出に困難を示す。本研究では, 統合失調症患者, 健常者 (各12名) を対象に快・不快イメージ課題中の脳血流量変動についてNIRS装置を用いて比較検討した。まず, 快・不快に感じる生物の写真を提示し, 憶えるよう指示した。「正円」イメージ想起をコントロール課題, 憶えた「快・不快に感じる生物」イメージ想起をターゲット課題として, 5回ずつ交互に, 快・不快条件で実施した。結果, 健常群では, 快・不快条件共に, 基本イメージ課題で賦活した領域に重なった前頭側頭領域が賦活していた。群間比較では不快条件において有意に健常者群のOxy-Hbの変動が高く, 統合失調症者の前頭葉の抑制機能の低下を示唆した。以上より, NIRSは統合失調症患者の情動関連脳機能を把握する簡便かつ有用な精神生理学的指標となり得ると考えられた。

  • 山崎 広子, 北 洋輔, 小林 朋佳, 加我 牧子, 稲垣 真澄
    2016 年 44 巻 1 号 p. 11-19
    発行日: 2016/02/01
    公開日: 2017/03/01
    ジャーナル フリー

    緑内障・高眼圧症の大細胞系機能の他覚的評価のため低空間周波数, 高時間周波数, 低コントラストの視覚刺激 (M刺激) を新たに作成し, pattern reversal条件でVEPを記録した。緑内障例8名, 高眼圧症例5名, 健常対照13名のOz部VEP波形をComplex demodulation法により解析しpeak振幅を求めた。疾患群のVEP peak振幅値はコントラスト10%と15%で有意に低下した。コントラストの対数値対peak振幅のプロットに基づく回帰直線から算出したコントラスト閾値は疾患群で有意に高値を示した (p<0.05) 。疾患群の13眼中6眼において, コントラスト閾値が健常群の平均+2SDの値 (4.49%) を超えていた。以上からM刺激によるVEP検査は, 緑内障・高眼圧症症例の網膜から第一次視覚野までの大細胞系機能障害を早期に, 他覚的かつ定量的に捉えうることが示された。

総説
  • 宮内 哲
    2016 年 44 巻 1 号 p. 20-27
    発行日: 2016/02/01
    公開日: 2017/03/01
    ジャーナル フリー

    Hans Bergerがヒトの脳波の発見者であり, α波とβ波の名付け親であることはよく知られている。しかしそれ以上のことを知っている人は少ない。Bergerは脳と心の関連を解明するために脳血流を計測し, 脳温を計測し, そしてついに脳波を発見した。しかしそれは同時に, 脳波がアーチファクトかもしれないというBerger自身の, そして他の研究者からの疑念を晴らすための長くて困難な道への入口にすぎなかった。そして当時のドイツを席巻していたナチスとの関係に苦しみながら, ようやく栄光を掴んだにもかかわらず, 意に反して脳波研究をやめなくてはならなかった。Bergerの研究と生涯, 当時の社会や脳研究の実態を調べれば調べるほど, 単に脳波を発見した精神科医ではなく, まともな増幅器や記録装置がなかった時代に, 脳と心の関連を脳活動計測によって研究しようと苦闘した20世紀初頭の生理心理学者としての姿が浮かび上がってくる。その姿を三回に分けて紹介する。その1では, 脳波の研究を始める前にBergerが行った研究, それらの研究と脳波の研究との関連について述べる。その2では, Bergerが行った脳波の研究の詳細と, 脳波が当時の神経生理学に受け入れられなかった理由について考察する。その3では, 脳波が神経生理学や臨床医学に受け入れられていった過程と, その後のBerger, 特にナチスとの関係, 自殺の原因などについて述べる。

解説
  • 幸原 伸夫, 川本 未知, 石井 淳子, 村瀬 翔
    2016 年 44 巻 1 号 p. 28-35
    発行日: 2016/02/01
    公開日: 2017/03/01
    ジャーナル フリー

    LEMSは非特異的な疲労感が主訴となることが多いが, 近位筋の筋力低下と腱反射の低下, 口渇を認める患者をみたときにはLEMSを疑う必要がある。診断は手筋のCMAP振幅低下を確認し, 筋収縮後のCMAP振幅の増大をみることで容易に行える。10秒間の筋収縮終了直後に電気刺激を加え, 60%以上の振幅増大を認めたときにはLEMSの可能性がきわめて高い。神経末端のP/Q型電位依存性Caイオンチャンネルに対する抗体の存在が本症候群の原因であり, 陽性率は約90%である。対症療法として抗コリンエステラーゼ剤のほか3,4ジアミノピリジン (3,4 DAP) が有用である。悪性腫瘍を伴う場合は原因治療および免疫治療が, 伴わない場合は対症療法を中心として長期のフォローアップが重要である。

その他
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