脳機能を評価する比較的新しい方法としてResting state functional magnetic resonance imaging (RSfMRI) があり, 特にindependent component analysis (ICA) に基づく解析は, ネットワークレベルでの病態解析法として応用されてきた。筋萎縮性側索硬化症 (ALS) における, 脳機能ネットワークを評価した論文が散見されるが, 各ネットワーク間の関連性に関する報告はない。また, 上位運動ニューロン徴候を欠くためにALSと診断できない場合もあり, 診断補助としてのICAによるネットワーク解析の有用性評価と, ALSにおけるnetwork-network interactionを明らかにするために本研究は行われた。12人のALS患者と12人の疾患対照のMRI撮影を行った。ICAにより, sensorimotor network (SMN), Salience network (SN), right frontoparietal network (RFPN) などを同定した。両群間に各ネットワーク発現量の有意な差は認められなかったが, ALSにおいてのみ, SMN・RFPN・SN間に有意な相関が見出された。これらの結果は, 診断補助としてICAに基づくネットワーク解析を用いることの困難さと, ALSにのみ認められる, 異常なnetwork-network interactionの形成を示唆する。
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