臨床神経生理学
Online ISSN : 2188-031X
Print ISSN : 1345-7101
ISSN-L : 1345-7101
最新号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
原著
  • 後藤 和彦, 杉 剛直, 池田 拓郎, 山崎 貴男, 飛松 省三, 後藤 純信
    2019 年 47 巻 6 号 p. 509-518
    発行日: 2019/12/01
    公開日: 2019/12/03
    ジャーナル フリー

    本研究では, オプティックフロー (OF) とランダムドットステレオグラム (RDS) を組み合わせた視覚刺激の特徴を解析し, 運動知覚に対する両眼視差の影響を検討した。対象は若年健常成人13名である。視覚刺激はOF, RDS, OFとRDSを同時に呈示したRDS&OFの3種類で, 頭皮上20部位からVEPを記録した。OFは潜時190 msの陰性頂点 (N190), 潜時250 msの陰性頂点と陽性頂点 (N250, P250) が見られ, RDSは潜時200 msと300 msの陰性頂点 (N200, N300) が見られた。RDS&OFではRDS, OF両方の頂点が見られた。RDS&OFのN250とP250潜時は, OFと比べ有意に遅れた。また, RDS&OFのN200振幅は, RDSと比べ有意に増加した。各頂点の信号源をsLORETAにより調べた結果, OFに対する反応は運動知覚, RDSに対する反応は形状知覚に関連するものであり, 先行研究を支持していた。RDS&OFでは運動知覚に関連する反応はOFに比べて増加したことから, 運動知覚に関する反応は両眼視差の影響を受けていることが考えられる。

  • 平島 富美子, 清水 俊夫, 小池 清美, 阿部 達哉, 小森 哲夫
    2019 年 47 巻 6 号 p. 519-525
    発行日: 2019/12/01
    公開日: 2019/12/03
    ジャーナル フリー

    日本人の総腓骨神経伝導検査では, 健常人でも導出困難例が存在すると言われ, いわゆるルーチン検査の被検神経として選択していない施設も多い。この導出困難例については正座習慣による潜在性腓骨神経障害が存在するためと推測されてきたが, 検証はされていない。近年, 生活習慣は変化していることから, 健常成人の下肢神経伝導検査所見の経年変化を検討した。総腓骨神経, 脛骨神経複合運動活動電位 (CMAP) 振幅は, 1995年以降では有意に増大していた。これらの変化には, 体格や検査時の栄養状態による影響は低く, 運動習慣, 椅子生活への変化などの生活スタイルの変化が影響している可能性を考えた。総腓骨神経の伝導検査は, 1995年以降ではCMAP振幅は有意に増大し導出も容易となっており, 異常の判定も容易になっていると考えた。今後, 総腓骨神経がルーチン検査の被検神経として広く使われることが望ましい。

特別寄稿
特集「神経伝導検査: 古典的検査の新しい発見」
  • 稲葉 彰, 山内 孝治
    2019 年 47 巻 6 号 p. 536
    発行日: 2019/12/01
    公開日: 2019/12/03
    ジャーナル フリー
  • 神林 隆道, 山内 孝治, 宮地 洋輔, 園生 雅弘
    2019 年 47 巻 6 号 p. 537-542
    発行日: 2019/12/01
    公開日: 2019/12/03
    ジャーナル フリー

    神経伝導検査 (NCS) における陽極の影響として, anodal blockの現象が広く信じられてきたが, 実際にはanodal blockは起こらず, むしろ陽極刺激が生じることはあまり知られていない。我々は, 陽極刺激の特徴や陽極刺激がF波検査に与える影響について検討し, 陽極刺激は実際の陽極よりも約22 mm程度離れた部位から生じることを示した。F波検査では, 特に陰極が神経上から離れた状態で不用意に刺激強度をあげた場合に, 陽極刺激によるF波潜時短縮のピットフォールが容易に起こる。この陽極刺激の影響を回避するために, 陽極を神経上から少しずらすことが有用であることを証明した。さらに, 実験中に見出された電極間の相互作用についても検討し, 陰極刺激が陽極刺激を起こりづらくさせ, 一方で陽極刺激は陰極刺激を起こりやすくさせることを発見した。このような電極間の相互作用はこれまで報告されておらず, 初めて見出されたものである。

  • 大石 知瑞子, 園生 雅弘
    2019 年 47 巻 6 号 p. 543-549
    発行日: 2019/12/01
    公開日: 2019/12/03
    ジャーナル フリー

    神経伝導検査 (NCS) には多くのpitfallが存在するが, その一つに刺激・記録の波及 (current spread, 以下spread) がある。上肢運動神経伝導検査 (MCS) で, 上腕, Erb点刺激を行う際は正中神経と橈骨神経で問題になる。ルーチン正中神経MCS手首刺激で, 必要以上に強い刺激は, 尺骨神経へのspreadを生じ, 伝導ブロックがあると誤診することになる。下肢においては腓骨神経MCSの膝窩刺激で不用意に強い刺激は脛骨神経へのspreadを生ずる。感覚神経伝導検査 (SCS) において, 正中神経順行性SCSでspreadが生じる。示指刺激は, 橈骨神経も同時に刺激しており, 重症CTSで正中神経SNAPが消失している場合に特に問題となる。その他, 尺骨神経逆行性SCSの手関節部刺激における尺骨神経背側皮枝 (DUC) へのspread, 外側前腕皮神経 (LAC) 逆行性SCSにおける橈骨神経へのspreadがある。これらの様々なspreadを, NCSのpitfallとして理解することが重要である。

  • 田村 暁子, 園生 雅弘
    2019 年 47 巻 6 号 p. 550-552
    発行日: 2019/12/01
    公開日: 2019/12/03
    ジャーナル フリー

    神経伝導検査における電気刺激の持続時間は, 一般に短いほど痛くないと信じられてきた。我々は, 同じ生理的効果を現す刺激, たとえば運動神経の最大刺激において, 刺激持続時間と痛みの関連を検証した。対象は, 脛骨神経では健常者14例, 正中神経では健常者20例で, 被検者にはブラインドで, 異なる2つの持続時間の刺激を順に与え, どちらが痛いか申告してもらい, 痛みの強さをスコア化した。その結果, 脛骨神経では0.05 ms, 0.1 ms, 0.2 ms, 1.0 msの比較で, 0.2 msにおける痛みが有意に最小であった。正中神経では, 0.05 msと0.2 msはいずれも1.0 msよりも有意に痛みが小さかった。0.05 msと0.2 msは有意差がなかった。さらに正中感覚神経でも0.2 msで痛みが最小であった。同じ生体効果を現す刺激強度では, 持続時間が短いほど痛くないとは限らず, わが国で広く用いられている0.2 msが神経伝導検査の刺激持続時間として最も適切であると考えられた。

  • 片山 雅史, 寺本 靖之, 岩永 書朋, 松永 薫, 中西 亮二
    2019 年 47 巻 6 号 p. 553-558
    発行日: 2019/12/01
    公開日: 2019/12/03
    ジャーナル フリー

    健常人および手根管症候群 (CTS), 糖尿病性多発末梢神経障害 (DPN) について, 複合筋活動電位 (CMAP) を記録する際に, 手関節部刺激時に誘発可能な刺激強度を求めた。健常人において, CMAPが記録される最小の刺激強度 (T1), および刺激強度と振幅をプロットした曲線の傾き (S) の値は, 加齢による影響を受けなかった。T1はDPNで有意に高い値を示しており (p<0.001), CTSでは健常人との有意差は認められなかった。また傾きSはCTS, DPNいずれも健常人より有意に小さかった (p<0.001) 。CTSにおいて, SはCMAPの終末潜時と有意な負の相関を示し, 手術例では術後にSの改善が認められた。刺激閾値を測定し解析を深めることで, 刺激点近傍における神経線維の状態を把握できる可能性が示唆された。

  • 園生 雅弘
    2019 年 47 巻 6 号 p. 559-564
    発行日: 2019/12/01
    公開日: 2019/12/03
    ジャーナル フリー

    遠隔電場電位 (FFP) は, 聴性脳幹反応, 体性感覚誘発電位において記載され, その発生機序も解明されてきた。近年, 運動神経伝導検査における複合筋活動電位 (CMAP) にもFFPが寄与することが明らかになってきた。この現象は脛骨神経と尺骨神経において著明であり, 特に脛骨神経ではCMAPの大半はFFPに由来する。尺骨神経CMAPについては, 手首部尺骨神経障害患者における検討, 随意収縮時の表面運動単位電位 (SMUP) を用いての再構成による検討などから, FFPが骨間筋など小指球以外の筋, とりわけ掌側>背側の尺側に位置する骨間筋に由来することを我々は明らかにした。しかしその最終的な発生機序は不明である。また小指球における運動単位数推定 (MUNE) においても小指球外の筋由来のSMUPが過半を占めていた。「CMAPは筋腹上の探査電極由来の電位である」というこれまでの常識が実は違っていて, FFPがCMAPに大きく寄与していることがわかってきたのである。

feedback
Top