臨床神経生理学
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原著
  • 粟田 由以, 高橋 優基, 嘉戸 直樹, 鈴木 俊明
    2020 年 48 巻 4 号 p. 153-160
    発行日: 2020/08/01
    公開日: 2020/08/12
    ジャーナル フリー

    目的: 本研究は500 msの刺激間隔で2回および10回の聴覚刺激を呈示する前後のリズミカルな運動の正確性と一貫性の変化を検討した。方法: 対象は, 健常成人10名 (男性6名, 女性4名, 平均年齢27.2±5.9歳) とした。聴覚刺激を2回および10回呈示する前後における足踏み運動の間隔の絶対誤差と変動係数を比較した。結果: 絶対誤差は聴覚刺激を呈示する前と比較して聴覚刺激を2回および10回呈示した後で減少を認めた。変動係数は聴覚刺激の呈示する前後で差はなかった。結論: 500 msの間隔であれば, 2回の聴覚刺激の呈示により足踏み運動の正確性は改善する。

  • 林 文子, 村瀬 永子, 平野 花奈, 山本 紗綾, 益田 喜信
    2020 年 48 巻 4 号 p. 161-167
    発行日: 2020/08/01
    公開日: 2020/08/12
    ジャーナル フリー

    糖尿病性多発性神経障害 (diabetic polyneuropathy; DPN) の重症度分類が, 2013年に馬場らにより提唱された。この分類は主に2型糖尿病 (diabetes mellitus: DM) で研究されたものであり, 我々はこの分類が1型DMにも適応するかを調べ, 馬場分類を用いて1型DMと2型DMの比較検討をおこなった。対象は1型DM患者38名 (平均年齢59.6歳) と2型DM患者42名 (平均年齢63.8歳) で, 腓腹神経および脛骨神経の神経伝導検査を実施しDPNの重症度分類に当てはめた。1型DM患者38名のうち7名 (19%) は腓腹神経の振幅低下がみられたのみで, 速度成分 (腓腹神経や脛骨神経の伝導速度およびF波の最短潜時) に異常が認められなかった。それに対して, 2型DM患者42人ではこのような症例は全く認めなかった。これらの結果は, 1型DMの約1/5の患者で感覚神経優位の軸索障害が関与し, 2型DMとは異なる病態生理に基づいているか, あるいは進行の違いによるものと推察された。

症例報告
  • 高井 一志, 長谷川 修, 井上 純一, 三村 知之, 谷 栄了, 松永 徹也, 中村 彩紗
    2020 年 48 巻 4 号 p. 168-172
    発行日: 2020/08/01
    公開日: 2020/08/12
    ジャーナル フリー

    全身50か所におよぶミツバチ刺傷後のアナフィラキシーショックと横紋筋融解症を克服したものの, その後筋力低下が進行し, 多発根神経炎と考えられた75歳男性例を経験した。集中治療室には入室したが, 鎮静は行われなかった。第6病日に集中治療室を退室しリハビリテーションが開始されたが, 四肢筋力低下が進行, 上肢は口まで手が届かず歩行には支持介助が必要であった。第19病日に神経伝導検査を行い, 活動電位振幅低下に加えて伝導速度低下とF波潜時の延長がみられた。第22病日の髄液検査では蛋白が42.8 mg/dLであった。抗GM1-IgG抗体と抗GQ1b-IgG抗体は陰性であったが, 自己免疫性神経炎と判断し, 第29〜33病日に免疫グロブリン療法を行った。筋力の回復とともに徐々に日常生活動作が改善し, 第58病日に独歩を獲得, 階段昇降が可能となった時点で自宅に退院した。この間に神経伝導検査を2回再検し, 左右非対称の複合筋活動電位振幅と複合感覚神経電位振幅の低下を認め, 急性運動感覚性軸索型ニューロパチーと考えられた。

特集「第6回脳脊髄術中モニタリング談話会 複合電位に潜んだ真実を見逃すな」
  • 小川 潤
    2020 年 48 巻 4 号 p. 173
    発行日: 2020/08/01
    公開日: 2020/08/12
    ジャーナル フリー
  • 今城 靖明, 舩場 真裕, 坂井 孝司
    2020 年 48 巻 4 号 p. 174-180
    発行日: 2020/08/01
    公開日: 2020/08/12
    ジャーナル フリー

    頸椎部圧迫性脊髄症 (CCM: cervical compressive myelopathy) の神経学的所見による診断は時に困難である。それは, CCMが軽症例から重症例へとどのように進行するか不明であることや従来の神経学的所見は高位診断であって, 横断像で前方圧迫か後方圧迫か側方圧迫かどのように圧迫されたか考慮されていないためである。C4/5単一椎間障害のCCMを対象としてMRIで脊髄圧迫形態別に脊髄誘発電位 (SCEP: spinal cord evoked potentials) と神経所見から脊髄がどのように障害されるか検討した。脊髄圧迫形態は広範圧迫型, 中央圧迫型, 片側圧迫型に分類した。多くは広範圧迫型でSCEPでは楔状束, 外側皮質脊髄路, 後角, 薄束の順に障害され, 神経所見ではC7領域のしびれ, C6領域の痛覚障害, 上腕三頭筋腱反射亢進, C6領域の触覚障害, 下肢触覚障害の順に障害された。

  • 高橋 雅人, 梅田 達也, 伊佐 かおる, 伊佐 正
    2020 年 48 巻 4 号 p. 181-189
    発行日: 2020/08/01
    公開日: 2020/08/12
    ジャーナル フリー

    術中脊髄モニタリングは, 術中の脊髄機能を知るうえで重要な検査法であり, より正確な判断を下すにはmultimodalなモニタリングが必要となる。運動路のモニタリングでは, 頭蓋刺激由来の運動誘発電位として, transcranial electrical stimulation-muscle motor evoked potential (Tc(E)-MEP) やepidural motor evoked potential (D-wave) が広く行われているが電位の起源や伝導路を理解しなければ, 偽陰性が生じる可能性がある。我々は基礎研究で中枢神経損傷後における錐体路の変化について検証を行ってきた。基礎研究における運動誘発電位の起源, 伝導路についての検証法について紹介する。刺激部位, 刺激条件, 記録部位を念頭に, 得られた波形の振幅, 潜時から伝導路を明らかにする。

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