臨床神経生理学
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48 巻 , 2 号
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原著
  • 福本 悠樹, 鈴木 俊明, 岩月 宏泰
    2020 年 48 巻 2 号 p. 59-69
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2020/04/14
    ジャーナル フリー

    運動イメージが実運動を向上させる可能性は多く報告されており, 急性期脳卒中患者などの実運動が困難であるケースに対する治療手段になり得ると考えた。健常者13名を対象とし, 運動練習後の運動イメージがピンチ運動の正確さに及ぼす効果を検討した。最初にF波, Low frequencyとHigh frequencyの比 (LF/HF比) を測定後, ピンチ力を最大随意収縮の50%強度 (50%MVC; maximum voluntary contraction) に調節する練習を行わせた。練習時には, 断続的に視覚情報を与えた。練習後, 視覚情報を完全に遮断し, ピンチ力を50%MVCに調節させる課題を与え, この際の実測値と規定値の誤差を算出した。そして運動イメージを行わせてF波とLF/HF比を測定後, 再度ピンチ課題を与えた。安静と比較した運動イメージ中にF波出現頻度と振幅F/M比, LF/HF比は有意に増加したが, 運動イメージ前後でピンチ力誤差に有意差を認めなかった。しかし, 運動イメージ後にピンチ力誤差が減少した者は, 安静より運動イメージ中の出現頻度が+10∼34%, 振幅F/M比が+0.03∼0.47%の範囲内で増加する特徴を認めた。本研究は, 運動イメージの臨床応用に科学的根拠を与える一助になりえると考えている。

  • 原 由紀則, 川野 健一, 田尻 康人
    2020 年 48 巻 2 号 p. 70-73
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2020/04/14
    ジャーナル フリー

    ドプラ法超音波での神経内血流 (InBF) は, 絞扼部の阻血を代償する神経束間血流増加を示唆する所見で手根管症候群 (CTS) 診断に有用との報告があるが, 手術後の変化については不明である。CTS手術前後の正中神経InBF変化と他所見との関連について検討するため, CTS手術を行った6症例7手の術前から術後1年 (3か月ごと) の超音波所見と診察所見・伝導検査の変化を調査した。正中神経InBFは術前全例で出現し, 術後は徐々に不明瞭化, 1年で全例消失した。自覚的しびれと短母指外転筋筋力は術後3~6か月で改善し, 伝導検査では短母指外転筋記録運動神経遠位潜時と感覚神経伝導速度は術後3~6か月で改善した。InBF所見の不明瞭化・消失は, それが臨床症状や電気生理検査の改善後に生じていたことから, 手術後に神経修復のため増加した神経内血流が神経修復後に正常化する様子を観察している可能性がある。

特別寄稿
特集 「問題症例の脳波」
  • 重藤 寛史, 人見 健文
    2020 年 48 巻 2 号 p. 81
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2020/04/14
    ジャーナル フリー
  • 原 恵子
    2020 年 48 巻 2 号 p. 82-86
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2020/04/14
    ジャーナル フリー

    症例は22歳男性である。11歳時に強直発作で発症し, 脳波で3 Hz棘徐波複合を認めた。全般てんかんの診断で治療開始され, 14歳以降発作は消失した。20歳時に当院に転医し, この時の脳波で6 Hz棘徐波を認めた。抗てんかん薬を減量したところ初診時にみられた6 Hz棘徐波に比べて振幅が増大し, 分布や波形の変化した活動を認めた。抗てんかん薬減量後の波形について, 6 Hz棘徐波とてんかん放電との鑑別, および6 Hz棘徐波と判断した場合のてんかん発作との関連について, 判断に難渋したが, てんかん発作との関連が強くなった可能性を疑い, 抗てんかん薬の減量を中止した。6 Hz棘徐波とてんかん発作との関連の強さを, その特徴からわけようとする報告がある。6 Hz棘徐波の一部はてんかん放電とは区別するべきとされる一方, 約半数にてんかん発作を認めるとの報告があり, 臨床的判断には注意を要する。6 Hz棘徐波とてんかん発作との関連と合わせて報告する。

  • 稲次 基希, 橋本 聡華, 前原 健寿
    2020 年 48 巻 2 号 p. 87-94
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2020/04/14
    ジャーナル フリー

    我々は左前頭葉瘢痕性病変に伴う前頭葉てんかんに対して, 頭蓋内電極を留置し発作を補足したものの, 十分な焦点の同定に至らない症例を経験した。第49回日本臨床神経生理学会学術大会において提示し, 今後の改善点を含めて討論した。瘢痕脳ではしばしば発作起始部の同定が困難である。また広範な焦点を認めることがしばしば経験されるため, 発作時SPECT, MEGなど可能な限り多くのmodalityで検討を行うことが必要と思われる。また, 電極留置には積極的な脳深部電極の併用を考慮すべきで, 発作起始部のみならず, 3次元的にネットワークをとらえることを考慮する必要がある。本症例では帯状回の関与が示唆されたが, 発作型は多様であり, 電極の刺激による発作の再現や, 積極的な皮質脳波の広周波帯域解析なども考慮すべきと考えられた。

  • 藤代 定志, 兵頭 勇紀, 花岡 義行, 小林 勝弘
    2020 年 48 巻 2 号 p. 95-101
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2020/04/14
    ジャーナル フリー

    症例は13歳のDravet症候群の男児である。入院4日前から全般性強直間代発作の後に呆然とした状態が数時間持続し増悪するため入院した。声を掛けると振り向く程度で, 眼球を上転し呆然とする状態が持続していた。明らかなけいれんやミオクローヌスはなかった。脳波では, 2–4Hz全般性棘徐波群発を認めた。ロラゼパムは無効で, ミダゾラム投与で一時的に棘徐波は改善したが, 入れ替わりに全般性に高振幅徐波と棘徐波が出現し, 傾眠傾向は持続した。頭部MRIと血液検査では特記すべき所見はなかった。その後も傾眠傾向と脳波異常が持続するため, ホスフェニトイン静注やレベチラセタム持続静注を行ったが無効であった。以前に効果のあったトピラマートを開始し, 意識状態と脳波異常は著明に改善した。意識障害と高振幅徐波が遷延し, 特殊な非けいれん性てんかん重積状態と考えられたが, 急性脳症の鑑別を要したので報告する。

  • 上原 平, 重藤 寛史
    2020 年 48 巻 2 号 p. 102-106
    発行日: 2020/04/01
    公開日: 2020/04/14
    ジャーナル フリー

    症例は53歳女性。原発性胆汁性肝硬変にて入院中に, 1分間程度の焦点運動発作の後から, 高度意識障害が遷延し, 脳波で一側性周期性放電 (lateralized periodic discharges: LPDs) を呈した。持続脳波モニタリングを行いながら, ミダゾラムと抗てんかん薬による治療を行い, LPDsは消失したが意識障害は改善しなかった。ミダゾラム中止後, 次第にLPDsに代わって, 三相性波形 (triphasic morphology) を伴う全般性周期性放電 (generalized periodic discharges: GPDs) が顕在化し, その解釈が治療上の問題となった。形態的特徴や, 刺激に対する反応性, 臨床情報などから, LPDsは非けいれん性重積状態に伴う周期性放電, GPDsは肝性脳症に伴う三相波と考えられた。両者の鑑別はしばしば問題となるが, 相違点を理解する上で示唆に富む症例であった。

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