臨床神経生理学
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原著
  • 牛島 武, 山下 賢斗, 伊賀崎 伴彦, 村山 伸樹
    2021 年 49 巻 4 号 p. 163-170
    発行日: 2021/08/01
    公開日: 2021/08/01
    ジャーナル フリー

    60秒間の右足関節背屈による等尺性収縮運動中のCz脳波と前脛骨筋 (TA) 筋電図を測定し, 収縮力増大に伴うβ帯域およびγ帯域の積分コヒーレンス (β-COH, γ-COH), 脳波パワー (β-EEG, γ-EEG), 筋電図パワー (β-EMG, γ-EMG) と筋電図平均周波数 (MNF), 筋電図二乗平均平方根 (RMS) の変化からTAの運動制御を検討した。β-COHの大きい (COH+) 群と小さい (COH−) 群で調査した結果, COH+/−両群で収縮力間のγ-COH, β-EMG, γ-EMGとMNF, RMSに有意差を認めた。これらから, γ-COHがβ-COHより収縮力増大に伴う運動の維持に強く関与していることが示唆される。一方, 収縮力増大に伴うγ-COHの増加は, COH+/−両群で有意であったが変化率に相違を示した。これらから, COH−群は, COH+群と同じ運動制御と, それを補う制御を行っていることが示唆される。

特集 「誘発電位・脳波(てんかん以外)―神経生理学的アプローチによる心理学研究」
  • 軍司 敦子, 勝二 博亮
    2021 年 49 巻 4 号 p. 171
    発行日: 2021/08/01
    公開日: 2021/08/01
    ジャーナル フリー
  • —反応抑制課題における発達性協調運動症—
    鈴木 浩太
    2021 年 49 巻 4 号 p. 172-175
    発行日: 2021/08/01
    公開日: 2021/08/01
    ジャーナル フリー

    心理学において, 事象関連電位 (event-related potential: ERP) 成分と特定の情報処理の対応関係が検討されてきた。ERP成分の心理学的意味付けに基づき, 精神疾患や神経発達症におけるERP成分の特徴は解釈される。本稿では, まず, 反応抑制課題におけるERP成分の心理学的意味付けに関わる知見を紹介した。反応抑制課題のERP成分として, 代表的なものに, Nogo-N2とNogo-P3がある。先行研究から, Nogo-N2は, 反応実行前の認知処理 (例えば, 競合モニタリング) に関連し, Nogo-P3は, 反応実行後の反応抑制の処理に関連することが考えられた。次に, その応用例として, 発達協調運動症 (Developmental Coordination Disorder: DCD) の反応抑制課題のERP成分の特徴を紹介した。定型発達 (Typical Development: TD) 者とDCD者で, Nogo-N2の違いが認められなかった。他方, TD者と比較して, DCD者で, Nogo-P3が減弱した。したがって, DCD者の運動の不器用さの情報処理過程への影響は, 運動実行後の処理に限定されていることが示唆された。このように, ERP成分に関する心理学的な知見は, 精神疾患や神経発達症の理解に役立てることができると考えられた。

  • 木田 哲夫
    2021 年 49 巻 4 号 p. 176-178
    発行日: 2021/08/01
    公開日: 2021/08/01
    ジャーナル フリー

    注意は社会的生活を営む動物において極めて重要な生体機能であり, これが損なわれると様々な障害が起こる。そのため, その神経機構の解明は重要と言える。注意による情報処理の促進現象は行動的実験では古くから知られており, 反応時間の短縮や正確性の向上などが報告されている。一方, 注意の生理学的な研究の初期としては, 条件反射研究のPavlovや神経モデルを提唱したSokolovなどが挙げられ, 特に単一ニューロン活動記録が開発された頃から発展してきた。一方, ヒトを直接被験体とした注意の神経生理学的な研究は, 脳波における誘発電位記録法の登場以来, 大きく進歩してきた。これまでに, 誘発電位 (または事象関連電位ERP) 振幅の増大や潜時の短縮, 特異的な周波数活動の変調, ネットワーク特性の変化などが報告されている。本稿では能動的 (随意的) 注意について古典と最近の知見のいくつかを紹介したい。

  • 田原 敬, 久保 愛恵, 勝二 博亮
    2021 年 49 巻 4 号 p. 179-183
    発行日: 2021/08/01
    公開日: 2021/08/01
    ジャーナル フリー

    本稿では主に注意機能の視点から雑音下聴取の神経生理学的機序について論じ, 雑音下のような聴取困難な状況で高まる心的な労力であるListening effortについて概説した。脳波や脳機能イメージングを用いた報告からは, 雑音下においてより効率的に音声を聴取するために注意機能が重要な役割を担っていることが確認された。あわせて, Listening effortについても, 注意機能や実行機能等の脳内ネットワークが関与していることが確認された。また, Listening effortを評価するための生理指標として瞳孔径や脳波が活用されていたが, それらの指標間には十分な一貫性がなく, その発生機序も含めさらなる検討が求められていた。以上より, 雑音下聴取やListening effortを扱う際には, 注意機能に代表されるような聴覚機能以外の視点からのアプローチも重要になると示唆された。

  • 木村 元洋
    2021 年 49 巻 4 号 p. 184-191
    発行日: 2021/08/01
    公開日: 2021/08/01
    ジャーナル フリー

    系列的規則に沿って変化する物体 (例えば, 飛んでくるボール) を観察しているとき, 私たちの視覚系はその規則を利用して, その物体の未来の状態を自動的に予測している。このような物体を観察している際の事象関連電位 (event-related potential: ERP) を計測すると, (少なくとも比較的単純な規則に沿って変化する物体の場合) 予測された物体の状態と実際の物体の状態が一致したときには外因性のERP (P2) の減衰が, 一致しなかったときには内因性のERP (visual mismatch negativity: VMMN) の出現が観察される。本稿では, この二つのERP効果に関する基礎的な知見, およびこの二つのERP効果が知覚の変容と密接に関係していることを示す近年の知見を紹介する。さらに, 自動的予測はそもそも何のために行われ, 私たちの日々の活動においてどんな役割を担っているのかについて考察する。

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