臨床神経生理学
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49 巻 , 1 号
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原著
  • 文野 住文, 北川 真帆, 辻村 文孝, 中谷 裕也, 西浦 誠, 濱本 大輝, 東山 真里那, 三宅 ほのか, 森田 優希, 吉田 美穂, ...
    2021 年 49 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル フリー

    50%収縮強度での足関節底屈運動イメージが, 最大足関節底屈トルクに与える影響について検討した。対象は健常成人36名とし, 運動イメージ群とコントロール群の2群に各々18名ずつランダムに振り分けた。椅座位で右股関節と右膝関節を屈曲位, 右足関節底背屈中間位とし, 多用途筋機能評価運動装置Biodex system 3を用いて, 介入前後の最大足関節底屈トルクを比較した。介入について, 運動イメージ群では50%収縮強度での足関節底屈運動イメージを1分間行い, コントロール群では1分間の安静を行った。介入後の最大足関節底屈トルクの身体質量比を介入前の値で除した相対値を算出し, 運動イメージ群とコントロール群の2群で比較した。結果, 運動イメージ群における最大足関節底屈トルクの身体質量比相対値が, コントロール群よりも有意に高値を示したことから, 50%収縮強度運動イメージは最大足関節底屈トルクに対する即時的な増大効果を有することが明らかとなった。

  • 渕野 航平, 黒部 正孝, 松原 広幸, 鈴木 俊明
    2021 年 49 巻 1 号 p. 8-13
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル フリー

    短母指外転筋に対する圧刺激強度が脊髄前角細胞の興奮性に与える影響について検討した。右利きの健常成人25名を対象とした。右短母指外転筋上の皮膚面に対して垂直に30秒間圧刺激を与え, その前後に右手関節部で正中神経を電気刺激し右短母指外転筋の筋腹上からF波を記録した。圧刺激の強度は, 圧刺激により疼痛を訴えた強度である痛覚閾値強度 (平均14.7±7.2 N) および痛覚閾値の50%強度 (平均7.6±4.1 N) の2種類とした。F波の分析項目は, F波出現頻度および振幅F/M比とした。痛覚閾値強度での圧刺激後は, 圧刺激前と比較してF波出現頻度 (刺激前: 47.3±16.7%, 刺激後: 48.1±15.9%) および振幅F/M比 (刺激前: 1.13±0.49%, 刺激後: 1.11±0.51%) に変化を認めなかった。痛覚閾値の50%強度での圧刺激後は, 圧刺激前と比較してF波出現頻度 (刺激前: 50.8±18.5%, 刺激後: 41.6±17.1%) および振幅F/M比 (刺激前: 1.21±0.61%, 刺激後: 1.02±0.48%) が低下した (p<0.05) 。本研究から, 短母指外転筋に対して痛覚閾値強度の圧刺激では脊髄前角細胞の興奮性は変化しないが, 痛覚閾値の50%強度で圧刺激を行った後, 脊髄前角細胞の興奮性が低下することが示唆された。

特集 「発達障害の神経生理学的解析」
  • 白石 秀明
    2021 年 49 巻 1 号 p. 14
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル フリー
  • 青柳 閣郎, 大山 哲男, 加賀 佳美, 相原 正男
    2021 年 49 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル フリー

    AD/HDの病態生理に実行機能障害が想定されている。実行機能は, 背側の認知回路のみならず, 腹側の情動回路の関与が重要である。今回, 情動回路の評価法として, Wisconsin Card Sorting Test (WCST) 施行中の瞳孔径変化を計測し, 情動性自律反応の実行機能への関与を検討した。対象は, 健常成人9例, 定型発達児 (TDC) 17例, AD/HD 1例。解析はcognitive shift (CS) 時における瞳孔径変化を中心に行った。成人4例では同時にNIRSで前頭部脳血流を測定した。健常成人ではCS時に散瞳し, それ以外では縮瞳していた。CS時に前頭部のOxy-HbがNIRSで上昇する現象と同期していた。TDCではCS時の瞳孔径変化は発達的に変化しており, 15歳以上の年長群で成人と同様の結果となった。これは, WCSTの成績の発達的変化と一致していた。AD/HD例では, CS時の瞳孔径変化は縮瞳傾向であった。瞳孔径変化は実行機能とカップリングしており, 情動性自律反応の実行機能への関与が示唆される。

  • 久保田 雅也, 木村 育美, 室伏 佑香, 川井 未知子
    2021 年 49 巻 1 号 p. 22-29
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル フリー

    神経発達症は状態像の寄せ集めにより診断されるが, その背景にある神経生物学的な機構を反映する簡便なマーカーがあれば, 経過フォローにおいても有用となる。今回は (1) ASDに対する顔認知課題 (サッチャー錯視) における瞳孔径変化, (2) ADHDでの自発瞬目頻度減少, (3) ASDでの睡眠脳波におけるnon-REM atoniaに注目してASD, ADHDにおける病態との関連を検討した。いずれも認知負荷のほとんどない (もしくは0の) 状態でのパラメータであり, 所与の病態を反映していると考えられた。上記はそれぞれ (1) 青斑核–ノルアドレナリン系, (2) 脳幹ドパミン系, (3) 背側縫線核–セロトニン系との関連を考察した。これらは神経発達症の発達における様々な代償戦略の基盤ともなりうる。

  • 金村 英秋, 相原 正男
    2021 年 49 巻 1 号 p. 30-36
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル フリー

    自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症などの神経発達症では, てんかん合併や脳波異常を認める頻度が高い。また, 行動上の問題を抱える小児ではけいれん発作の有無によらず, 脳波上てんかん性突発波を認めることが多いとされおり, 神経発達症とてんかん児における行動障害において病態としての類似性が想定されている。両者における行動異常の病態には前頭前野との関連が推察されており, 発作の難治化・脳波異常の長期化が前頭前野の成長障害を惹起し, 行動障害がもたらされている可能性が示唆されている。加えて, 神経発達症において前頭部突発波およびその出現頻度が行動異常と関連を有していることが推察され, 抗てんかん薬は前頭部突発波の改善にあわせ, 行動異常の改善ももたらす可能性も示唆されている。神経発達症の行動異常に対して, 脳波所見 (突発波の出現頻度および前頭部突発波の有無) を鑑みた対応が重要である。

  • 脳波・事象関連電位・fNIRSを中心に
    加賀 佳美
    2021 年 49 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 2021/02/01
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル フリー

    注意欠如多動症 (ADHD) は, 多動衝動性, 不注意を主体とする神経発達症の一つとして知られている。その診断は, 保護者や教育者からの聞き取りや質問紙によって行われ, 主観的評価法が主体である。近年発達した非侵襲的脳機能評価法として, 脳波周波数解析, 事象関連電位 (ERP), 機能的近赤外線スペクトロスコピー (fNIRS) などが知られ, 神経発達症の客観的評価法として注目されている。ADHDでは, 前頭葉の機能低下などから, 異なるパターンの周波数分布やNoGo電位のようなERPの振幅低下や潜時延長, fNIRSによる前頭葉の酸素化ヘモグロビン (OxyHb) の低下などが報告されている。これらの検査法は治療の効果判定や症状の経時的変化などに有用であると報告されており, 非侵襲的脳機能測定法は神経発達症の診断や治療の点から臨床応用に期待可能な手法となっている。

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