睡眠時行動異常 (睡眠時随伴症) は, 眠りに入る間, 睡眠中, または睡眠からの覚醒中に生じる不快な身体事象や経験である。2014年に改訂された睡眠障害国際分類第3版 (International Classification of Sleep Disorders, 3rd ed; ICSD-3) に基づき, 睡眠時随伴症Parasomniaは, ①ノンレム関連睡眠時随伴症Non-rapid eye movement sleep (NREM) -related Parasomnia, ②レム関連睡眠時随伴症rapid eye movement sleep (REM) -related Parasomnia, ③その他の睡眠時随伴症Other Parasomnia, ④孤発症状および正常範囲の異型症状Isolated Syndrome and Normal Variantsの4つに分類される。さらにNREM-related Parasomniaは, ノンレム睡眠からの覚醒障害として, 錯乱性覚醒Confusional Arousals, 睡眠時遊行症Sleepwalking, 睡眠時驚愕症Sleep Terrorsの3疾患と, 睡眠関連摂食障害Sleep related Eating Disorder (SRED) に分類される。特にNREM-related Parasomniaの一つであるSREDは, 夜間睡眠中もしくは半覚醒状態で無意識下での摂食行動を特徴とする稀な疾患であり, 診断が難しく, SREDの症例を経験することは少ない。本特集では, NREM-related Parasomniaの多様性について論じる。また当院で経験した2症例をもとに, 患者の行動記録や画像, 終夜睡眠ポリグラフ検査 (polysomnography: PSG) 所見を提示し, SREDの臨床的特徴や診断上の課題について検討した。さらに, SREDと夜間摂食症候群 (Night Eating Syndrome: NES) との鑑別, 疾患の病態連続性や治療戦略について考察する。
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