臨床神経生理学
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原著
  • 福元 栄一郎, 早崎 裕登, 岩倉 雅佳, 新地 晃也, 戸髙 秀栄, 佐潟 芳久
    2026 年54 巻2 号 p. 55-61
    発行日: 2026/04/01
    公開日: 2026/04/08
    ジャーナル フリー

    経頭蓋刺激・運動誘発電位 (Transcranial motor evoked potential: Tc-MEP) は, 脳脊髄機能モニタリングとして, 多くの施設で使用されている。本稿では当院で脊椎脊髄手術を行った70症例において, Tc-MEPの刺激設定で, multi-train刺激 (以下MT刺激) のTrain repetition frequency (以下TRF) 設定を5 Hzと10 Hzで比較した際に, 得られる振幅にどのような変化が見られるか検討した。その結果, 5 Hzでは10 Hzに比べ, 下肢の前脛骨筋, 母趾外転筋において振幅が増幅した。また10 Hzでは5 Hzに比べ, 上肢の腕橈骨筋, 短母指外転筋で振幅が増幅した。Tc-MEPのMT刺激においてTRFの設定を変えることは, 振幅が低値でモニタリングが困難な症例において, 安定した波形導出を行うための一手段として有用であると考えられた。

特集「AIとビッグデータ」
  • 臨床神経生理学の新たな地平を拓く
    野寺 裕之, 後藤 純信
    2026 年54 巻2 号 p. 62-63
    発行日: 2026/04/01
    公開日: 2026/04/08
    ジャーナル フリー
  • 花川 隆
    2026 年54 巻2 号 p. 64-68
    発行日: 2026/04/01
    公開日: 2026/04/08
    ジャーナル フリー

    臨床神経生理学的手法を用いて記録したデータに機械学習 (ML) ・人工知能 (AI) モデルなどデータサイエンス手法を応用して解析することには大きな意義がある。とりわけ, 大規模なデータで適切に学習させたMLやAIモデルは汎化性能を持ち, 学習していないデータの判別や予測が可能になる。つまり, 過去に蓄積した患者データを用いて作成したクラス (例えば疾患) 判別器を新患のデータに適応して診断補助に用いることが可能になる。その意味では, ML・AIモデルの性能評価として判別成績と並んで汎化性能が重要である。判別成績と汎化性能のバランスが取れたML・AIモデルモデルを構築するためには, ML・AIモデルの選択に加え, 特徴量の次元が大きい場合の特徴量選択あるいは次元削減・縮約, 適切なハイパーパラメータ調整, 訓練データと試験データを分離する交差検定あるいは外部データによる検証など, 過学習を避けるための慎重な手続きが重要である。

  • 伊賀崎 伴彦
    2026 年54 巻2 号 p. 69-75
    発行日: 2026/04/01
    公開日: 2026/04/08
    ジャーナル フリー

    臨床神経生理学では, 脳波, 筋電図, 脳磁図, 誘発電位など多様な波形データが日常診療から継続的に生み出されている。近年, AIはルーチン脳波の自動解釈や発作検出, 認知機能低下指標の抽出など臨床意思決定に近い領域へ拡張している。しかし, 電極配置, サンプリング条件, アノテーション, 保存形式, メタデータ, 個人情報の扱いが施設, 機器間で異なり, 大規模DB構築と外部検証の障壁となっている。本稿では, 当学会AI・ビッグデータワーキンググループの討議を踏まえ, AI解析に耐えるデータ基盤構築の要点を整理する。標準化を「強制」ではなく「吸収 (マッピング) 」から始め, 外部検証まで見通した“現場で動く仕組み”として設計する視点を提示する。国際的最小基準や報告標準を参照しつつ, ①吸収型標準化とアノテーション統合, ②匿名化, 倫理, ガバナンス, ③メーカー連携による実装, ④多施設協力を促す仕組みの四点から実務的論点を論じる。

  • 平田 雅之, 牛場 潤一, 後藤 昌広, 松本 理器, 栁澤 琢史, 後藤 純信, 野寺 裕之
    2026 年54 巻2 号 p. 76-80
    発行日: 2026/04/01
    公開日: 2026/04/08
    ジャーナル フリー

    深層学習やビッグデータといったAI技術の進歩により, 医学分野でも検査や治療においてAI技術の導入に向けた研究開発が進み, 一部は医療機器として認証や臨床試験を経て承認を得ている事例が出てきている。これは臨床神経生理学分野でも例外でない。こうした動向を鑑みて, 当学会では, AI・ビッグデータWGと, その下部組織として開発・応用SWGが組織された。開発応用SWGでは, 当学会でのAI・ビッグデータ技術の活用を促進するべく, 学会員による開発応用を支援していく。具体的な活動計画を以下に示す。1) 学会主導の開発応用研究の立案・実施, 2) 教育普及SWGとの連携による知財戦略・薬機戦略・保険償還に関するノウハウの提供, 3) データセットSWGとの連携による他分野・企業連携の窓口, 4) 規約ガイドラインSWGとの連携による開発成果の公開・応用。現在, 計画を立案した段階であり, 今後は実施に向けて取り組んでいきたい。

  • 高木 俊輔
    2026 年54 巻2 号 p. 81-84
    発行日: 2026/04/01
    公開日: 2026/04/08
    ジャーナル フリー

    臨床神経生理領域 (EEG/EMG/神経超音波等) では, 今後AIによる自動判定や所見要約, 定量指標の標準化, 予後・治療反応予測など臨床価値の高い応用が大きく進むと考えられる。一方, AIやビッグデータ利用の発展に伴ってさまざまな問題が出現する可能性があるが, その防止のための規約や仕組みづくりは依然として未発展である。本稿は日本臨床神経生理学会における, AI/ビッグデータに関係する規約や適正使用を推進するワーキンググループの活動内容や現状を紹介する。

  • 杉 剛直
    2026 年54 巻2 号 p. 85-88
    発行日: 2026/04/01
    公開日: 2026/04/08
    ジャーナル フリー

    機械学習や深層学習に基づいたAIは, あらゆる分野において利用が急速に進んでいる。本総説は「AIを用いた脳波判読自動化の現状と将来」がテーマであるが, 既に類似のReview論文が多く出ている現状も踏まえて, 少し違った方向性から解説を行いたい。はじめに, AIを用いた脳波解析に関する学術論文数と応用分野の現状に関して, 簡潔に述べる。次に, 脳波の判読プロセスに対してAIをどのような形で用いているかという視点に立って, SCORE-AIとハイブリッドAIの2つを紹介させていただく。最後に, AIを用いた脳波判読自動化の将来に対して, 長きにわたって脳波自動判読システムの開発に携わってきた著者の経験に基づき, いささか偏った内容も含まれているが, 重要と考えているところを述べたい。

  • 栁澤 琢史
    2026 年54 巻2 号 p. 89-93
    発行日: 2026/04/01
    公開日: 2026/04/08
    ジャーナル フリー

    人工知能 (AI) およびビッグデータ解析の進展により, 脳波 (EEG) を用いた神経疾患診断の研究は急速に発展している。EEGはミリ秒単位の時間分解能を有し, 神経活動のダイナミクスを直接反映するうえ, 非侵襲・低コスト・可搬性に優れるため, 実臨床で反復的に用いうる神経生理学的バイオマーカーとして重要である。近年は, てんかんや認知症を中心に, 大規模脳波データへ深層学習を適用することで高精度な自動識別が可能となってきた。一方で, 深層学習は高い識別性能を示す反面, どの脳波特徴が診断に寄与したのかが不透明になりやすく, 病態理解や臨床説明可能性の面で課題を残す。とくにアルツハイマー病 (AD) の疾患修飾薬 (disease-modifying therapies: DMTs) の時代には, アミロイド病理を有する軽度認知障害 (MCI) 患者の低侵襲なスクリーニングとして高精度で説明可能性の高い脳波診断技術が求められている。本稿では, AIを用いた脳波解析の原理と神経疾患診断への応用を概説した上で, 認知症領域における深層学習と位相振幅結合 (phase-amplitude coupling: PAC) を対比し, 高性能と説明可能性の補完関係を議論する。さらに, BIOT, LaBraM, NeuroLMなどの基盤モデル, およびデジタル脳・デジタルツインの考え方を取り込み, 今後の脳波診断が「高精度化」だけでなく「解釈可能化」と「個別化医療」へ向かう方向性について論じる。

  • 野寺 裕之
    2026 年54 巻2 号 p. 94-96
    発行日: 2026/04/01
    公開日: 2026/04/08
    ジャーナル フリー

    人工知能 (AI) 技術の臨床神経生理検査領域への応用において, 針筋電図は脳波や表面筋電図と比較して研究の遅れが目立つ。その背景には検査の侵襲性に起因するデータ取得の困難さがある。我々は針筋電図の放電判別を音の判別タスクとして定義し, 音響特徴量を用いた機械学習およびスペクトログラム画像を用いた深層学習により安静時異常放電の自動分類が可能であることを報告してきた。本稿では針筋電図AI研究の現状を概観し, 学習データ不足を克服するための半教師あり学習の可能性および将来展望について述べる。

  • 野田 佳克
    2026 年54 巻2 号 p. 97-105
    発行日: 2026/04/01
    公開日: 2026/04/08
    ジャーナル フリー

    筋超音波検査は神経筋疾患において非侵襲的に筋の形態変化を観察できる検査として広く普及してきた。超音波検査は侵襲なく, 安価かつ迅速に実施可能であり, ベッドサイドでの反復評価が容易である点で優れた特性を有する。筋萎縮, 脂肪浸潤, 線維化, 浮腫などを反映するエコー輝度 (echogenicity) や筋厚を繰り返し評価できる点は, 電気生理検査を補完する重要な利点である。しかしながら, 画像の取得と解釈は検者の経験に強く依存し, 装置設定, プローブ圧, 撮像部位の差が定量指標に影響することから, 施設間比較や縦断的評価における課題があった。これらの課題を背景に, 人工知能 (AI) を用いた画像解析による客観化と省力化が注目される。筋超音波に対するAI応用は, 画像の「質感」を数値化して病態を分類する方法 (テクスチャ解析と機械学習), コンピュータが画像から自動的に診断に有用な特徴を学習する方法 (深層学習), 筋の輪郭を自動認識して計測を効率化する方法 (自動セグメンテーション) に大別される。本稿ではこれらの現状と臨床実装に向けた論点を概説する。

  • てんかんダイポール自動解析を例に
    平田 雅之, 朝井 都, 平野 涼司, 二矢川 和也, 金谷 光久, 露口 尚弘, 宇田 武弘, 芳村 勝城, 今井 克美, 鴫原 良仁, ...
    2026 年54 巻2 号 p. 106-112
    発行日: 2026/04/01
    公開日: 2026/04/08
    ジャーナル フリー

    てんかんのElectroencephaligraphy (EEG) ・Magnetoencephalography (MEG) 検査は判読医の高度な知識と経験を要し, 目視で波形を一つ一つ確認するため多くの時間を要する。特にMEGのダイポール解析では, てんかん波形の立ち上がりからピークまでのどの時点で解析を行うかを波形ごとに判断する必要があり, 作業負担は極めて大きい。Artificial Inteligence (AI) を用いたビッグデータ解析は, こうした高度な判読・解析を自動化し, 医療の効率化と均質化を同時に実現し得る有望な手法である。一方, 特定の機器や施設で学習したAIを他施設に適用すると性能が低下するなど汎化性能の課題があり, 多施設データの大規模収集や統一フォーマット化などAI特有の工夫が求められる。さらに例外事例への対応では人と同様には学習が進まないなどの問題も残るが, 技術進歩により改善が期待されよう。本稿ではMEGダイポール解析の完全自動化を例に解説する。

特集「術中脊髄モニタリングの現状と今後の展開」
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