臨床神経生理学では, 脳波, 筋電図, 脳磁図, 誘発電位など多様な波形データが日常診療から継続的に生み出されている。近年, AIはルーチン脳波の自動解釈や発作検出, 認知機能低下指標の抽出など臨床意思決定に近い領域へ拡張している。しかし, 電極配置, サンプリング条件, アノテーション, 保存形式, メタデータ, 個人情報の扱いが施設, 機器間で異なり, 大規模DB構築と外部検証の障壁となっている。本稿では, 当学会AI・ビッグデータワーキンググループの討議を踏まえ, AI解析に耐えるデータ基盤構築の要点を整理する。標準化を「強制」ではなく「吸収 (マッピング) 」から始め, 外部検証まで見通した“現場で動く仕組み”として設計する視点を提示する。国際的最小基準や報告標準を参照しつつ, ①吸収型標準化とアノテーション統合, ②匿名化, 倫理, ガバナンス, ③メーカー連携による実装, ④多施設協力を促す仕組みの四点から実務的論点を論じる。
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